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Gehring–Martio の定理

ドキュメント内 C n Z との擬等角同値性について (ページ 40-47)

第 3 章 擬円板の幾何学的特徴づけ 19

3.6 Gehring–Martio の定理

この節では前節で紹介したGehring–Martioによる結果[12]の一部を証 明する. 証明も[12]に沿って進める.

 まずR¯nの領域に対し, QED領域ならばLLC領域であることを証明す る. 証明のポイントは極値的距離の評価を巧みに使って,他の幾何学的量 を評価することである.

3.6. Gehring–Martioの定理 29 Lemma 3.6.1

ΩをR¯nの領域とする. Ωがc-QED領域ならば, ncのみに 依存する定数a=a(n, c)≥1に対してΩはa擬凸領域である.

  証明

x1, x2 Ωを固定し,|x1−x2|=rとする.さらにx1x2を端点に持つ Ω上の曲線αを一つ選び, F1 =α∩B¯r/4n (x1), F2 = α∩B¯r/4n (x2)とおく.

このとき

j=1,2mindiam(Fj) r 4 1

4 dist(F1, F2) であるから, Theorem 1.2.5より

δR¯n(F1, F2)≥cn log5 4 =cn

となる.ただしcnnのみに依存する正の定数である. Ωはc-QED領域 であるから, δ(F1, F2)≥cn/cを得る. 次に,

s = r 4exp

{( cn 2cωn−1

)11n}

に対して, Γ1 ={

γ ∈F(F1, F2)| γ ⊂Bsn(x2)}

, Γ2 =F(F1, F2)\Γ1 と定め,L= inf{

ℓ(γ)| γ ∈F(F1, F2)}

とする.まずExample 1.1.3から, mod(Γ1)nsn

Ln

を得る. さらにProposition 1.2.4の証明と同様の方法でΓ2のモジュラス を評価すると

mod(Γ2)≤ωn1

( log4s

r )1−n

= cn 2c が得られる. 従って以上より

cn

c ≤δ(F1, F2) = mod(Γ1Γ2)

mod(Γ1) + mod(Γ2)nsn Ln + cn

2c つまり,

L≤s

(2Ωnc cn

)n1

< rexp {

2

(2ωn1c cn

)n11}

=ar

が得られる.二つ目の不等号では作為的に少し大きくなるようにしている.

また,ancのみに依存した定数であることに注意する. 従ってLの 定義からγ0 ∈F(F1, F2)で

ℓ(γ0)≤ar=a |x1−x2| を満たすものが存在することがわかる.

 次にγ0の端点をy1 ∈F1, y2 ∈F2とし, ri =|xi−yi|とおく. このとき ri ≤r/4が成り立つ.ここで各i= 1,2に対して,F1 =α∩B¯rn

i/4(x1), F2 = γ0∩B¯rn

i/4(yi)と置き直して同じ議論を行うと,F1F2をΩ上で結ぶ曲線 γ1i

ℓ(γ1i)≤ari a

4 |x1−x2|

を満たすものが得られる. このように繰り返し曲線を構成していけば, Ω 上の曲線族ji | i = 1,2. j = 1,2,· · · }で以下の条件を満たすものが得 られる.

i. γjiαγji1を結ぶ曲線である. (i= 1,2. j = 2,3,· · ·) ii. ℓ(γji) a

4j r.

iii. αに属するγjiの端点は, ¯Br/4n j+1に属す.

 これらの条件からγji をうまくつないでいけば, Ω上の求長可能曲線γ

3.6. Gehring–Martioの定理 31 でx1x2を結ぶものが得られることがわかる. さらにこのとき

ℓ(γ) ℓ(γ0) +

j=1

ℓ(γj1) +

j=1

ℓ(γj2)

ar+

j=1

a 4j r+

j=1

a

4j r= 5a

3 |x1−x2|

が成り立つ. x1, x2 Ωは任意であったから, a = 5a/3とすれば, Ωはa 擬凸である.また,ancにのみ依存する定数であったので, ancのみに依存する定数である. 以上より主張を得る. 2 Theorem 3.6.2 (cf. [12] Lemma 2.11 (1985))

ΩをR¯nの領域とする. Ωがc -QED領域ならば, cnのみに 依存する定数c = c(n, c) 1に対してΩはc -LLC領域で ある.

 証明

任意にf M¨ob(Rn)とx Rn, r > 0をとる. このときProposition 3.4.3よりf(Ω)はc-QED領域である. さらにLemma 3.6.1によりcn のみに依存する定数a≥1に対してf(Ω)a擬凸領域となることがわか る. これより任意のx1, x2 ∈f(Ω)∩B¯nr(x)は

ℓ(γ)≤a |x1−x2|

を満たすf(Ω)上の求長可能曲線γによって結ばれる. 任意のy γに対 して

|x−y| ≤r+ a

2 |x1−x2| ≤r+ar = (1 +a)r

が成り立つので,γ ⊂B¯(1+a)rn (x)である.af, x, rに依らない定数である ことに注意すれば, Lemma 3.3.3よりΩは(1 +a) -LLC領域であること

がわかる. 2

 次にR¯nの領域に対して, 一様領域ならばQED領域となることを証明 する.この証明は前定理が幾何学的な考察の下で示されたのに対し,解析 的手法を用いて示される.

 ΩをR¯nの領域とし,E, F Ωを連続体とする.このときΩ\ {∞}上の ACL関数1u で,E\ {∞}上でu≤0,F \ {∞}上でu≥1を満たすような

1ACL(absolutely continuous on lines)関数については[28]などを参照せよ.

ものの全体をW(E, F; Ω)と表す. このとき Cap(E, F; Ω) = inf

uW(E,F;Ω)

\{∞}|∇u|ndm

EF のΩ上での容量と呼ばれる. 実はこの量に関して次の有名な定 理が成り立つ.

Theorem 3.6.3 (J. Hesse [15] (1975))   任意の連続体E, F Ωに対して以下が成り立つ.

Cap(E, F; Ω) =δ(E, F).

この定理により,極値的距離の代わりに解析的な量である容量を用いるこ とができる.

Theorem 3.6.4 (cf. [12] Lemma 2.18 (1985))   Rnの領域に対して, 一様領域はQED領域である.

 証明

ΩをRnの一様領域とする. E, F Ωを連続体とし, 任意にε > 0をと る. このときu∈W(E, F; Ω)とt >0で

|∇u|ndm Cap(E, F; Ω) +ε

かつ,E上でu≤ −t, F 上でu≥1 +tを満たすようなものが存在する. 実 際, v ∈W(E, F; Ω)で

|∇v|ndm <Cap(E, F; Ω) +ε

を満たすようなものをとり, 十分小さいt >0に対して u= 1 +t

1−t (v−t) とすればよいことが簡単な計算からわかる.

 このときΩは一様領域なので, Jonesの定理[17, Theorem 2]およびそ の証明により, u, E, F に依存しない定数Mと, 関数u : Rn Rで以下 の条件を満たすものが存在する.

3.6. Gehring–Martioの定理 33

i= 1,· · · , nに対し,弱微分 ∂u

∂xi

Ln(Rn)に属す.

u| =u.

M

|∇u|ndm≥

Rn|∇u|ndm.

 次に軟化子をρδとする2. u| =uは連続なので,畳込みρδ∗uδ→0 でuにΩ上広義一様収束する.またρδ∗un乗Dirichlet積分もun 乗Dirichlet積分に収束するから, 十分小さいδをとれば

i.

Rn|∇δ∗u)|ndm≤

Rn|∇u|ndm+ε, ii. E上でρδ∗u 0,F 上でρδ∗u 1  

を満たすようにできる(ΩRnであるから, E∪F はRnのコンパクト集 合である).さらに,ρδ∗uはRn上で滑らかな関数であるから, 条件ii)よ りρδ∗u ∈W(E, F;Rn)となる.つまり

Cap(E, F;Rn)

Rn|∇δ∗u)|ndm を得る. 以上より

Cap(E, F;Rn)

Rn|∇δ∗u)|ndm

Rn|∇u|ndm+ε

M

|∇u|ndm+ε ≤MCap(E, F; Ω) +ε(M + 1) が成り立つ. ε→0とすれば

Cap(E, F;Rn)≤MCap(E, F; Ω)

が得られ, ME, F に依存しない定数であったから, Theorem 3.6.3によ りΩはQED領域である.     2

2例えば ρδ(x) = 1 cδ exp

(

1

1xδ2 )

(|x| < δ), ρδ(x) = 0 (|x| ≥ δ), cδ =

Rn

exp (

1

1xδ2 )

dmなどがある.軟化子の性質については[35]を参照.

(注意)この証明では, 証明中に使ったJonesの定理[17, Theorem 2]が非 常に重要な役割を果たしていることがわかる.

 Ω上の可測関数uで, 一階弱偏微分がそれぞれLn(Ω)に属すものの全 体をE(Ω)とする. ただし測度0集合を除いて値が一致するものと, 差が 定数になるものは同一視する. このとき, ノルム

∥u∥E(Ω)=

n i=1

∥∂xif∥Ln(Ω)

によってE(Ω)はBanach空間となる. このとき有界線形作用素

Λ :E(Ω) −→E(Rn)

で, 任意のf E(Ω)に対して Λf| =fが成り立つようなものが存在す るとき, ΩはEDE領域(extension domain for the Dirichlet energy space) であるという.

 Jonesの定理[17, Theorem 2]の主張は,一様領域はEDE領域であると いうものである. また, 同論文[17]内でJonesは一様領域はSobolev拡張 領域であることや, EDE領域は擬等角写像によって不変であることなど も証明している.逆にSobolev拡張領域が一様領域にならないことは[33]

などによって知られている.

35

4 C \ Z との擬等角同値性に

ドキュメント内 C n Z との擬等角同値性について (ページ 40-47)

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