(1) パラグラフ11〈諮問小委員会の意見書の作成、提供〉に基づく通知を受け取った指定歳入関 税庁官吏は、タックス・アレンジメントに関するGAAR諮問委員会の意見書を検討し、納税者 にアレンジメントから生ずる税務上の利益が、一般的反濫用ルールに基づき打消されるべきであ るか否かを示した文書による通知を納税者に与えなければならない。
(2) 通知が税務上の利益は打消されるべきであると述べる場合は、それは、次のものを、又、示 さなければならない。通知は、税務上の利益が生じているとの前提で与えられる。
(a) 打消の効果を与えるために必要とされる是正措置、
(b) 適切な場合は、それに効力を与えるために納税者が行うことを求められる措置。
(1) 指定歳入関税庁官吏は、税務上の利益が納税者に生じたと考える場合は、このスケジュール に基づき、通知を与え、又はその他のことをすることができる。
(2) 従って、このスケジュールに基づき、指定歳入関税庁官吏によって与えられる全ての通知は、
税務上の利益が(そうしたことが生じたことに同意することなく)生じているとの仮定に基づき 与えられる。
General Anti-Abuse Rule(GAAR)guidance
(Approved by the Advisory Panel with effect from 30 January
2015)
Ⅲ 英国の一般的租税回避対処法ガイダンス
英国歳入関税庁(HMRC)
「一般的反濫用ルール(GAAR)ガイダンス(A、B、C) 」
パートA―ガイダンスの目的と地位
パートB―GAARは何を成し遂げるよう企画されているか、そして、それを達成するために如何に
機能するかの概要
パートC―特定事項
(GAAR諮問委員会承認、2015年1月30日から適用)
目 次
パートA―ガイダンスの目的と地位 ………113
パートB―GAARは何を実現するよう企画されているか、そして、
それを達成するために如何に機能するかの概要 ………114
パートI―GAARは何を実現するために企画されているか ………114
B1 GAAR導入の背景 ………114 B2 GAARの基本的アプローチ ………114 B3 GAARの目標 ………115 B4 GAARは何を目標としないか ………116 B5 国際的タックス・アレンジメント………117 B6 GAARとその他の租税ルール ………117 B7 GAARとその他の法律上の反租税回避規定 ………118 B8 GAARとその他の規定を使用した歳入関税庁の
租税回避に取り組む権利………118
パートⅡ GAARは如何に機能するよう企画されているか ………119 B9 GAARが適用される税 ………119 B10 タックス・アレンジメント ………119 B11 「濫用的」アレンジメントの特定の仕方………120 B12 納税者保護措置 ………120 B13 打消と派生的調整 ………121 B14 歳入関税庁官吏によるGAARの運用 ………122 B15 GAAR及び自主査定 ………122 B16 GAAR及びペナルティー ………122 B17 クリアランス ………123 B18 GAARルールの施行日 ………124 パートC 特定事項 ………125 C1 重要概念………125 C2 税務上の利益………125 C3 タックス・アレンジメント………126
C5 濫用的………128 C6 税務上の利益の打消………131 C7 派生的救済調整………141 C8 審判所又は裁判所における手続き………141 C9 GAAR法の優先性 ………142 C10 GAAR法の適用開始 ………143 C11 租税回避スキームの開示(DOTAS) ………143 C12 銀行のための課税実務に関するコード ………143
パート A ガイダンスの目的と地位
A1 このガイダンスは、2つの主要な目的もって公表される。
A2 第一に、普通人の言葉で、GAAR<一般的反濫用ルール>が実現しようとしたこと及びその実 現のためにGAARは如何に機能するかについて幅広い要約を提供することである1。
A3 第二は、その目的を議論することにより、GAARの特有の特徴を考慮し、必要に応じて、具 体例によってその議論を例示することにより、GAARの解釈と適用のための助けとすることで ある。
A4 この場合、解釈と適用の助けになるこのガイダンスの機能は、GAAR立法によって明確に認 められていることに注意することは重要である。2013年財政法§211(2)は、GAARの適用 を検討する全ての裁判所又は審判所が、GAAR諮問委員会により承認されたガイダンスを考慮 することを義務付けている。このガイダンスのパートA、B、C及びDは諮問委員会により承 認されている(諮問委員会は、関連知識と経験により選任された全ては歳入関税庁から完全に 独立した個人からなる委員会である)。
A5 このガイダンスのパートEは、GAARの運用の手続き的な側面を扱う。そのパートは、諮問 委員会により審査されたが、委員会に承認されることは義務づけられていない。そうしたもの として、裁判所は、法律により義務づけられてはいないが、それを考慮することができる。*
A6 このガイダンスは、歳入関税庁及び諮問委員会の見直しの下に置かれ、定期的に最新のもの とされる。ガイダンスが、改正される時は、ガイダンスの改正日は明確に記録される。アレン ジメントが行われる時に通用しているガイダンスの特定の版の引用を容易にするため、ガイダ ンスの各々の版は、HMRC<歳入関税庁>ウェブサイトのリンクとしてアクセスできる。
1 GAAR法自体は、2013年財政法パート5及び同法のスケジュール43に掲げられている。
* 本書ではパートA、B及びCを取り扱い、D及びEは取り扱っていない。
パート B ― GAAR は何を実現するよう企画されているか、そして、
それを達成するために如何に機能するかの概要
パート I―GAAR は何を実現するために企画されているか
B1 GAAR の導入の背景
B1.1 2010年12月に政府は、グレハム・アーロンソン勅撰弁護士に、英国に一般的反租税回避 ルールが必要であるか否かを検討する委員会を指導するよう依頼した。
B1.2 グレハム・アーロンソンは、税の専門家の検討グループを集め、同グループは2011年11月 21日にその報告書を公表した(111111GAAR最終報告)。この報告書は、政府に、濫用的租税 回避スキームを目標とする対象を狭く絞った一般的反濫用ルールを英国税制に導入することを 求める勧告を提出した。
B1.3 2012の予算で政府は、その報告書の幅広い内容の勧告を受け入れることを発表した。
B1.4 2013年財政法におけるGAARは、大部分は、GAAR検討グループ報告で発展された原則に 基づいているが、公式の諮問手続の結論を反映し、いくつかの実質的相違点を有している。
B2 GAAR の基本的アプローチ
B2.1 GAAR検討グループ報告書は、「租税の賦課の制度は、国が、市民のために提供するサービ ス及び施設の費用の支払いを行うための主要なメカニズムであり、全ての納税者は適正な自己 の分担金を納付すべきである。」との前提に基づいている。この同じ前提がGAARの基礎と なっている。従って、それは、多くの古い事件に於いて裁判所により取られた、「手段が如何 に不自然で、税務上の結果が如何に真の経済的位地から隔たっていようとも、納税者は合法的 手段により自己の租税債務を減額するために自己の独創性を自由に活用できる。」とするアプ ローチを拒絶している。
B2.2 これらの裁判所判決のうち、次のものは、最も濫用的な租税回避スキームにさえ合法性を与
えるものとして、通常、引用されているものである。
「上院議員閣下、最上級当局〈である上院は〉はいつも、『臣民は、法律内で、そうすることが できる限り、君主により課税される税を引き寄せないよう自己の諸事を整える権利を与えられ ていること、及び、租税法で賛同を発見することができる、どんな明白な言葉又はどんな遺漏 も合法的に利用することができることを』認めてきております。それをする際に、臣民は責任 を負担しないし、非難も招かないのであります。」2
「全ての人は、できるのであれば、適用される法により引き寄せられる税がその他の場合より 少なくなるよう、自己の諸事を整える権利を与えられているのである。この結果を得るために 諸事を整えることに成功すれば、内国歳入庁長官又は仲間の納税者が、納税者の独創性を如何 に評価しなくとも、納税者は増額された税を納付することを強要されないのであります。」3
「この国の人間は、誰も、内国歳入庁が最大級のシャベルを自己の店舗に差し入れることを可 能にするよう自己の事業又は自己の財産への法律関係を形成する、最小限の義務、道徳又はそ の他の下には置かれていない。内国歳入庁は、納税者のポケットを減少させる目的のため税法 に基づいて歳入関税庁に提供されている全ての強みを活用するに、のろまではないし−そして、
正しく、迅速であるのである。そして、納税者は、同様に、歳入庁による彼の財産の減少を阻 止するために、正直にできる範囲で、抜け目なくする権利を与えられているのである。」4 B2.3 エアシャー・プルマン事件のクライド卿の判決からの引用である最後のものは、議会が
GAAR法を制定する際に拒絶したアプローチを要約するものである。税制は、納税者が租税債 務を除去又は軽減するために巧妙なスキームにふけることのできるゲームのように取り扱われ るべきではない。
B2.4 従って、下記を理解することが重要である。GAARの運用に関する限り、議会は、こうした アプローチを断固として拒絶し、納税者が自己の租税債務を減額しようとして行うことのでき る範囲に関し、優先的法律上の制限を課したのである。合理的に合理的行為の過程と見做され 得るものを超えていこうとする、そうした目的を達成するためにアレンジメントが納税者によ り実施される時に、その制限に達するのである。
B3 GAAR の目標
B3.1 GAARの主たる政策目的は、納税者が濫用的アレンジメントに入ることを阻止し、自称プロ モーターのそうしたアレンジメントの販売促進を阻止することである。租税法典の他の部分を 使用して歳入関税庁により拒絶される租税回避アレンジメントがあり得るが、それら租税回避
2 Lord Sumner in Fisher’s Executors v CIR [1926] AC395
3 Lord Tomlin in Duke of Westminster v CIR [1936] AC1
4 Lord Clyde in Ayrshire Pullman v CIR (1929) 14TC754