4.2.1 実時間計測システムの構成
図4.4にTC-FDMLレーザを用いた実時間計測システムの構成を示す。本システムは光学系 と測定系により構成している。
光学系はTC-FDMLレーザ,サーキュレータ,ひずみセンサである5つのFBGと検出器からな
る。TC-FDMLレーザからの出射光はサーキュレータを介してFBGに入射される。FBGk(k=1~5)
のブラッグ波長λBk(k=1~5)はおのおの1530, 1540, 1550, 1560, 1565 nmであり,反射率は約80 %, 半値幅は約0.2 nmである。おのおののFBGで反射された光は再び,サーキュレータを介して検 出器に入射する。検出器の特性は周波数帯域幅がDC~300MHzであり,波長帯域幅は1100 ~ 1700 nmである。FBGk(k=1~5)の設置位置は基準位置PRからのファイバ長Lk(k=1~5)を7.19, 12.43, 18.01, 23.52, 29.34 mとした。ここで,FBG1とFBG2の間には長さがΔLDの遅延ファイバを挿入で きるようにしており,そのとき,L2~L5は遅延ファイバの長さ ΔLDだけ増加する。なお, TC-FDMLレーザから基準位置 PRまでのファイバ長はLTR,基準位置PRから検出器までのファイバ 長はLRDとした。
測定系は FPGA を導入したデータ集録装置(DAQ)ならびにパーソナルコンピュータ(PC) により構成されている。DAQ(PXIe-1071,National Instruments)は発振器 OSC の制御信号に同 期したトリガ信号と 10 MHzの基準クロック信号を入力し,周波数同期している。このDAQは ADCとFPGAが一体となったデジタイザとトランスミッタを搭載している。デジタイザ( PXIe-5170R,National Instruments)は分解能14 bitの4つのアナログ入力チャンネルがあり,サンプリ ング周波数 fsを 250 MHzとしたインラインの信号処理が可能となっている。信号処理された結 果は転送帯域幅が最大3.2 GByte/sのトランスミッタ(PXIe-8381,National Instruments)を介して PC に転送する。DAQ から PC のデータ転送は,転送速度の高速化を図るため,Direct Memory Access (DMA)転送方式を用いている。
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実験はTC-FDMLレーザの掃引周波数fmを50.7 kHzで駆動させ,双方向の掃引光を用いて,各
FBGの反射光を測定する。本システムは各FBGの反射波長λmk(k=1~5)をTC-FDMLレーザの 掃引周期Tmの半周期ごとに測定でき,その時間分解能tr(=1/2fm)は9.9 μsである。
図4.4 TC-FDMLレーザを用いた実時間計測システム Trg. signal
Detector
Data Acquisition System (DAQ) Ref. clock
ADC FPGA PC
FBG1
OSC TC-FDML
Laser
Delay fiber ΔLD
PR
transferDMA FBG2 FBG3 FBG4 FBG5
Trans-mitter Digitizer
AMP
Control signal
LTR
LRD
Circulator 2
L1 L2 L3
L4 L5
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4.2.2 FPGA による実時間信号処理
FBG の反射信号の検出を高速化するため,FPGA を用いた信号処理を導入した。図4.5に FPGA を用いた信号処理のフローを示す。検出器の信号はトリガ信号により ADC を介して,
FPGAに転送される。FPGAはしきい値処理により検出器の信号からFBGの反射信号を抽出する。
そして,2.3節で述べた重心法を適用するため,抽出した FBG の反射信号は振幅がピークと なった位置のデータ番号N0とその前後2点ずつ(Mm=2)の計5データをホールドする。つぎに,
(2.4)式の重心法により重心位置 Ncpを算出する。実時間測定を行うためには,この一連の 処理を順掃引と逆掃引において,FBGの反射信号ごとに行い,それをTC-FDMLレーザの掃引周
期Tm(=1/fm)以内で出力する必要がある。そのため,FPGAはパイプライン処理を用いた並列処理
の実装により信号処理を高速化した。FPGAにより算出された各FBGの反射信号の重心位置Ncp
の結果はFPGA内のFIFOバッファに順番に入力し,PCへ転送する。この重心位置Ncpの結果を 用い,反射信号の時間tcpを(2.5)式により算出している。
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図4.5 FPGAによる信号処理のフロー FPGA
Threshold processing
Data hold (5 data)
Centroid peak
FPGA buffer FBG1
FBG2
FBG5
FBG5
Forward-scan
Backward-scan FBG2
FBG1
NCP1
NCP2
NCP9
…
NCP10
NCP5
NCP6
…
……
Detection of FBG Signal
Data Hold in Peak Area
Calculation of Centroid Peak
NCP
FPGA Buffer
PC ADC
Amplitude VD
Data number i Sample
data
Vth
Amplitude VD
Data number i Sample
data Hold data
( Mm= 2 )
N0
Amplitude VD
Data number i Sample
data Hold data
( Mm= 2 )
Ncp
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4.2.3 計測システムのモニタ画面
計測システムはFPGAを搭載しているDAQを制御できるLabVIEWを用いて開発した。図4.
6は計測システムのモニタリング画面である。モニタリング画面は制御部と表示部からなる。
制御部はDAQやOSCなどの測定系の動作状態の確認やデータ集録の設定が行える。表示部は測 定したおのおのの FBG の反射波長を実時間で表示している。また,同時に測定した反射波長の データはバイナリ形式のファイルに保存する。計測システムはこれら複数のタスクを効率よく 実行させるため,並列分散処理を実装した。これにより,計測システムは複数の FBG の反射波 長を実時間でモニタリングすることができる。同図は動的なひずみを印加したときの反射波長 をモニタリングした表示であり,ひずみにより FBG の反射波長が変化していることがわかる。
計測システムは複数のFBGの反射波長を実時間モニタリングできる。
図4.6 計測システムのモニタ画面