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)と言うところや第五連の始めの﹁白い裸の身体で﹂(ゴ詳包自仏当喜久)という言葉と裏表になって重なるし︑

さら

に︑

五月祭の日には︑もうひとつの祝祭日である告解火曜日の場合とおなじように︑ロンドンの若い徒弟たちが

騒乱や暴動を惹きおこすこともあったから︑サウジ

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が指摘しているような無礼講

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言いかえれば︑反秩序︑

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ニヴァル的なさかさまの世界︑祝祭性)を働く煙突掃除の少年たちというのは︑サウジ

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がこのような見解を述

北大文学部紀要

十七・十八世紀イギリスの民衆文化とブレイク

かし

﹂︑

べたときの政治的・社会的な立場がどんなものであったかは不問に付すとしても︑その﹁逸脱的な在り様が人々を脅

( )

その外側にいる人びとを﹁正体不明の不安に陥れる﹂﹁反秩序性の体現者﹂にほかならない︒つまり︑煙突掃

除の少年たちは親方を含めたすべての体制側の人びとに対してその存在を問い返す否定的で破壊的な力の具現者なの

であり︑そうした意味において︑たとえ実際には煙突掃除職人の徒弟でなくても︑その姿に変装しさえすれば︑それ

(

は反秩序であることを象徴的に示すことができたわけである(その他︑煙突掃除の少年の性的象徴としての側面に

のなかの﹁乳母のうた﹂と﹁ロンドン﹂とともに︑別稿で論じることにする︒)

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シユは﹁煙突掃除の少年﹂の唯一の暇はこの詩の最終行だと言い︑他の多くの研究者や批評家たちも

( )

この最終行には十八世紀後半の子どもや労働者のための賛歌にお決まりの教訓が残存していると指摘する︒ブレイク つ

いて

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﹃経

験の

歌﹄

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は十八世紀の賛歌の道徳的な教訓を除去することによってパロディ化することに成功しなかったのだろうか︒ハー

宙)

シユはこの最終行に用いられているば

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﹃の二つの語の意味の唆昧さ︑あるいは︑多義性に注目しているカ

この二語の持つ多義性はおなじ行の代名詞

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とも深く関わっていることであるし︑さらに遡って第一連の四行目

の前

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詩句

的 ︒ 山 ︑

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目的

00 wのなかのぜ︒ロへと↓のニつの代名調とも結びつけて考えられるべきもの

でもある︒言うまでもなく︑この詩の語り手である↓はごく幼いころに煙突掃除職人に買られた少年なのだが︑そ

うした身の上を第一連で物語りながらも︑自分の置かれている悲惨な境遇に同情を求めているのでもなく︑また︑自

分を買った父親や厳しくつらい仕事を押しつける親方に対して明らさまに抗議しているのでもない︒ただ︑煙突掃除

を依頼する上層階級の人びとと煙突掃除の少年とのあいだには厳然とした分け隠てが存在することをこのぜ

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円の代名詞の対置が示していて︑この差別や対立を少年が明確に意識しているというのではないにしても︑中位ある

いはもっと上位の階層の子どもを持つ親たちが

﹃無 垢の 歌﹄

を買って

﹁煙

突掃

除の

少年

﹂ の 必

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B

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同門司

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という詩句を読んだときに︑自分のなすべき仕事を弁えている少年の言葉に安心感を抱くと同時に︑それと

は正反対のなにか脅かされているような︑巻き添えにされるような︑不安を感じたかも知れない││それほどまで

( )

に接近した位置にぜ︒ロへと凶・が置かれているから︒

最終行の

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という語には﹁割り当てられた仕事﹂とか﹁命令されてする仕事﹂という意味だけではなく︑もつ

海)

と広い宗教的な意味が含まれていると

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・ハ!シユは解しているの戸カそのまえにこの詩の語り手である煙突

および︑トムが見た夢のなかでの少年たちのあいだでの気持の通い合掃除の少年ともっと年下の少年トムとの間柄︑

いについて考えておかなければならない︒手短かに言えば︑語り手の少年とトムのあいだにはお互いに理解しあって

のあいだに成立していた気持の通い合いとおなじものであろうし︑また︑トムの見る夢は︑﹁序のうた﹂で笛を吹く

‑ 65

いて︑自然な気持の通じ合いがあり︑これはちょうど︑前述の﹁乳母のうた﹂で楽しく遊んでいる子どもたちと乳母

羊飼いが雲のうえの子どもを見るのとおなじような︑ブレイクの詩に特有のヴィジョンであり︑この夢のなかでトム

が自分とおなじ境遇にある多くの煙突掃除の少年たちが解放されて自由の身になることを願う気持はこの詩の語り手

の少年が幼いトムに自然に芽生えてきた友情を抱き︑お互いに気持が通いあっているのとおなじである︒トムが見た

こうした夢の話のあとでは最終行のようなお説教はいかにも場違いで白々しいが︑それだけではなく︑ここまでのと

ころで述べられている少年たちの姿は子どもを買った父親や少年たちに過酷な労働を強いる親方にはね返って行って︑

少年たちの上位に立つ人びとを脅かすものとなる︒ここで最終行の白円という語の多義性︑意味の重層性︑が問題と

なるわけであり︑仮りにこの最終行を親方が徒弟に向って言う表向きの公式的な言葉と解するのならば︑ありきたり

北大文学部紀要

十七・十八世紀イギリスの民衆文化とブレイク

の陳寓な教訓に終ってしまうけれども︑さきに述べたような意味で徒弟が親方を脅かしているのだから︑このが弓は

()親方を含むものとなり︑拡大され一般化された表現となる︒つまり︑親方が徒弟の労働から得られる利益の追求のみ

を一方的に推し進めるのでないならば︑煙突掃除の少年たちを取り巻く過酷で悲惨な現実もやがては消滅して行く︑

と暗に述べているのであろう︒しかし︑この最終行が丘

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という条件文であることは親方と徒弟が同一の立場に身

を置くことがないという事実を踏まえた表現であるとしたら︑互いに矛盾しあうものを同時に含んだ極度に逆説的な

()色合いの濃厚なものとなり︑この意味でも強烈な効果を持っていると言えるであろう︒

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ラスレット︑﹃われら失いし世界﹄(川北他訳︑三嶺書房)︑

第二章一階級社会││社会層の区分と権力の配分︒キ

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ス・ライトソン︑﹃イギリス社会史一五八Oー一六八O

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野訳︑リブロポlト)︑第一章人々の位階︒

(4 )

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N串・ウィリアム・ハリソンの四階層の区分については

青山誠子︑﹃シェイクスピアの民衆世界﹂(研究社出版︑一九

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(5

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﹁ハズバンドマン﹂という言葉については︑ラスレット︑﹃わ

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とキlス・ライトソン︑﹃イギリス社

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怠を参照せよ︒

(6 )

﹁ サ

lヴァント﹂と呼ばれる階層の人びとについては︑川

北稔︑﹃民衆の大笑帝国││近世イギリス社会とアメリカ移

民﹄︑とくに﹁イギリス近世社会とサ1ヴァント﹂の章を参

(7 )

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(∞) Peter Burke, Potular Culture , ...p.xi. 

(∞) Martin Ingram, 'The Refonn of Popular Culture?  Sex and  Marriage in  Early Modem England', Potular Cultu inSeven‑ teenth‑Century England, ed. B. Reay, p.129. 

( :=:)  11"¥ tくふれム, r .Q~心母〈二 J 事I I11(:;J' pp.67, 70;‑ 1 11"¥ T

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紳士、t<:点化以J.i:I<0‑11くくOj'pp.55,  378ー79,etc. 

(口)Cf.  Tessa Watt, Cheat Print and Potular Piety, 1550‑1640,  p.2. 

(岱) Peter Burke, Potular Culture ... , p.22; 

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採択さヨJ'(丑-~・ 0垢'-<わ〈仰盤)' p.40. 

(出)Peter Burke, Potular Culture ... , pp.58, 63, 

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pp.84, 90; 

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点く長崎十m::OJt>), p.69. 

(ヨ)て一号、,

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J二幽長(許羽田1燃料記J'p.69. (::;)  Peter Burke, Potular Culture ... , p.28.  (;::)  Peter Burke, Potular Culture ... , p.24. 

(口)Peter Burke, 'Popul Culturein Seventeenth‑Century LOI

don', Potular Culture  in  Seventeenth‑Centuη England, ed.  Barry Reay, pp.31‑58. 

(ヨ)Peter Burke, Potular Culture ... , p.25 ;J. C.  Holt, Robin  Hood (Thames and Hudson, 1989, reVised and eularged edi‑ :Hくわ〈緋積

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tion), p.161. 

(ヨ)Peter Burke, Potular Culture  p.26; Margaret Spufford,  Small Books and Pleasant Histories .‑Potular Fiction and i Readershit  in  Seventeenth‑Century England(Methuen, 1981  Cambridge U. P., 1985). 

(お)Peter Burke,Popular Culture in Seventeenth‑Century Lon‑ don', B. Reay (ed.)ot.cit., pp.36, 38. 

(尽)Peter Burke, Potular Culture ... , p.27. 

( g:j)  Barry Reay,hoduction:Popular Culture in Early Modem  England', B. Reay (ed.), ot.cit., pp.ι7. 

(g5)  Peter Burke, Potular Culture ... , p.63 ; B.  Reay (ed.),  ot. cit., 'Introduction', p.14. 

~ ) Peter Burke,'Popular Culture in  Seventeenth‑Century Lon‑ don', B. Reay (ed.)φ.cit., p.32. 

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(r~ll自r ‑ばく長崎十眠時f')'p.72; Tessa Watt, ot. cit. , p.4; il rj‑

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(同キ仁社11益幅'若草 紘纏, 1-ばく長崎'機~細恒, 1‑民兵Il廿)'r:;!;:!41H小8:;1手術見付 (回目玉引回、足翠脳'語豊田量刑個出, 1.民兵 l崎) cf. Brian Rig by, Potular Culture in Modern France .‑A Stu

φ

01 Cultural  Discourse (Routledge, 1991), pp.96‑130 : 'Poprculture  as  barbaric culture: the soαology of Pierre Bourdieu'. 

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十七・十八世紀イギリスの民衆文化とブレイク (お)﹃シリーズ世界史への問い民衆文化﹄︑柴田三千雄︑

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表象・文化歴史社会学と社会史﹂と題した﹃思想﹄の特集

号(一九九二年二月号)に掲載の論考︑とくに︑ロジェ・シヤ

ルチェ︑﹁表象としての世界﹂︑長谷川輝男︑﹁書物の社会史

稿

シヤルチエ編︑水林章・泉利明・露崎俊和共訳︑﹃書物から

読書へ﹄(みすず書房︑一九九二年)が刊行され︑ピl1l夕︑大津真作訳︑﹁フランス歴史学革命﹄(岩波書底︑一

九九二年)にはブルデュ!とシャルチエについての記述が

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(お)﹁行商本(チャップ・ブック)﹂の全体の輪郭については︑

小林章夫︑﹁チヤツプ・ブック近代イギリスの大衆文化﹄

(駿々堂︑一九八八年)があって︑行きとどいた内容の読み

易い概説となっているが︑小野二郎︑﹃紅茶を受皿でイギ

リス民衆芸術覚書﹂(品文社︑一九八一年)のなかの﹁ブロー

ドサイド物語﹂と﹁チャップ・ブックの伝統﹂の二篇の論考

も見逃せない︒この二つは﹃小野二郎著作集2

宙﹄(晶文社︑一九八六年)にも収録されている︒

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