3. 諸外国における HACCP 手法の導入状況等の調査
3.2 各国における HACCP 手法の運用実態の調査
3.2.1 EU
3.2 各国におけるHACCP手法の運用実態の調査
順を適用することで、安全な食品の提供を確保するというアウトカムを達成することを主 旨としている。従って、安全な食品の提供が確保される限りにおいて、各国の状況や食品 の特性、リスクに応じて、そのプロセスや方法、厳格性等の運用は加盟国に委ねられてい る(Performance based)。
なお、各加盟国でのHACCPの導入状況や直面している困難およびこれを踏まえたEC としての将来の政策の方向性について、2009 年 5 月末に報告書を取りまとめる予定であ る。
(4) 除外規定の有無と状況
EC規則852/2004第4条1項に規定されている「一次生産及び特定の関連活動(primary
production and those associated operations)」以外の明示的な除外規定はない96。ただし、
小規模事業者を中心に、「柔軟性」(Flexibility)により、HACCP要件の簡略化(表 3-4)、
HACCP原則に関する柔軟性(表 3-5)が認められている。
「一次生産及び特定の関連活動」の定義97については以下のとおりである。なお、根拠 条項等はいずれもEC規則852/2004のものである。
「一次生産」とは、一次産品の生産、使用又は栽培のことであり、収穫、搾乳、動物の 飼育(と畜を除く)が含まれる。また、野生の産物の狩猟、漁獲及び収穫も、一次生産に 含まれる(第3条17項)。
「一次産品」とは、土地耕作、家畜飼養、狩猟、漁獲による生産物を含む、一次生産の 生産物のことである(第2条1項⒝)98。
また、一次生産の「関連活動」とは、以下の行為をいう。
・生産の場での一次産品の輸送、貯蔵、取扱99
・一般食品衛生規則の目的を達成するために必要な、生きた動物の輸送
・植物起源製品、水産物、野生の産物に関しては、生産の場から事業所への輸送99 この規定に基づく一次生産の「関連活動」の具体例として、以下の行為が挙げられる。
・野菜の洗浄、野菜の葉の除去、果実の選別
・穀物の乾燥
・水産物の締め、放血、分割、内臓の除去、ひれの切り離し、冷蔵、包装、輸送のため のコンテナへの搬入
96 2007年3月に、EC企業・産業総局(DG CI)が規制当局の負荷軽減を目的の一つとする規制の戦略的見直しの
一環として、EC規則852/2004を改正し、従業員10人未満の小規模事業者をHACCPに基づく手順の義務化対 象から除外することを加盟国に提案した。しかし、この提案は加盟国からの反対により廃案となった。
97 樋口修「EUの食品安全法制―輸入食品規制を中心として―」, レファレンス平成20年10月号, 国立国会図書 館, 2008.10
98 生肉は、と畜(と畜は、一次生産でも、一次生産の関連活動でもない)の後で得られるものであるため、一次産 品ではないと解されている。
99 ただし、当該一次産品の形質を実質的に変更しない場合に限る。
(5) 効果的なHACCP導入・実施のための取組
EC DG SANCOへのヒアリングによれば、HACCP導入・実施を図るためには、一定
の時間を要するものの、教育訓練・研修とコミュニケーションが最も効果的であるとの認 識であった。そこには、HACCP 原則の意義となすべきことの意味合いの理解を促進し、
誤解の排除を図ることが重要であるとの認識がある。
EC DG SANCOでは、2006年から”Better Training for Safer Food”政策100として、EU 全体で効果的かつ整合的な規制の運用を図るために、加盟国の規制当局の職員を対象とし た7つの教育訓練・研修コースを実施している。EUではその輸入要件に関する理解の促 進を図るために、教育訓練・研修コースを第三国からの参加者にも公開しており、一部は 第三国を対象としている101。
100 http://ec.europa.eu/food/training_strategy/index_en.htm
101 7つのコースのうち、5つがEU加盟国向け、2つが第三国向けとなっている。
3.2.2 イギリス