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EGR による熱効率向上効果の解析

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第 6 章  均一予混合圧縮着火機関に関する実験結果および考察

6.3  HCCI 機関における EGR の効果

6.3.3  EGR による熱効率向上効果の解析

単気筒機関の燃焼期は、1サイクル 4 行程中の1行程であるに対し、4 気筒 機関の場合は、1 サイクル中のすべての行程において燃焼期があるので、排気 温度の変動が小さく、時間平均排気温度の計測精度は、単気筒機関よりも多気 筒機関の方が高い。また、時間平均冷却水温度の計測精度も同様である。した がって、排気損失および冷却損失の算定結果は多気筒機関の信頼性が高い。す なわち、図 6-17(b)に示す多気筒機関の場合の結果から判断すれば、EGR による 冷却損失と排気損失の変化は小さいものと考えるのが妥当である。図 6-14 およ び図 6-16 に示した THC 排出率の減少、換言すれば燃焼効率の向上が、正味熱効 率の向上要因として推定される。以下、これに関する解析結果について述べる。 

 

Figure 6-18 Correlation between thermal efficiency increment and EGR ratio in DME/NG HCCI engines (TIN=60[°C])

図 6-18 は、正味熱効率の増分Δηeと EGR 比の相関を示す。Δηeは、EGR 比 XEGRの場合と EGR なしの場合の正味熱効率の差を表し、図 6-17 の各負荷におい て算定した。単気筒 HCCI 機関および多気筒 HCCI 機関のいずれにおいても、EGR 比の増加とともにΔηeは増加している。特に、EGR 比が 0.5 の場合は、いずれ の負荷においても、おおよそ 4%の正味熱効率の改善が得られる。 

 

Figure 6-19 Correlation between THC decrement and EGR ratio in DME/NG HCCI engine (TIN=60[°C])

 

図 6-19 は、THC 排出率の低減率-Δηloss-THCと EGR 比の相関を示す。ηloss-THC の算定には、式(2-15)を用いた。EGR によって THC 排出率は減少するので、Δ

ηloss-THCはは負の値になるから、-Δηloss-THCは正の値である。実測値同士の差を

取るため、算定値のバラツキは避けがたいにも拘わらず、EGR 比が 0.5 の場合、

いずれの負荷においても、おおよそ 4%の THC の低減が得られており、EGR 比の 増加に基づく正味熱効率の増加率とほぼ一致している。 

EGR による THC 排出率の低減要因は次のように考えられる。THC は燃焼室の中 で比較的温度が低いライナ壁面とピストンに挟まれたクレビスにおいて生成さ れる。HCCI 機関では、ガソリン機関と同様で、燃料予混合気が圧縮過程中にク レビス内に押し込まれ、膨張行程中にクレビス内から燃焼室に放出されるため、

ディーゼル機関より THC 排出量が顕著に多くなるのは当然の帰着である。EGR を導入した場合、CO2 や H2O が増えるため、圧縮行程のポリトロープ指数 (Polytropic index)が小さくなる。したがって、筒内圧縮圧力が下がり、クレ ビス内に押し込まれる燃料予混合気は減少するから THC 排出率が低減されるも のと推定される。 

 

(a) Single cylinder (Pme=0.26[MPa]) (b) Multi cylinder (Pme=0.33[MPa])

Figure 6-20 Change in cumulative heat release due to EGR in DME/NG HCCI engines (TIN=60[°C])

THC 排出率の低減は、燃料の未燃焼率の低減と等価であり、未燃焼率は(1−

燃焼効率)として評価できる。図 6-17(b)で示したように、冷却損失の EGR に よる変化はないものとして、熱発生率の積分値を式(2-16)により算定し、見掛

けの燃焼効率を式(2-17)を用いて近似的に算定した。図 6-20(a)および(b)は、

熱発生率の積分値をクランク角度の関数として示した。(a)は単気筒機関の場合、

(b)は多気筒機関の場合で、縦軸の Q/Qfuel[%]は、熱発生率積分値 Q を充填され た燃料の低位発熱量 Qfuelで除した値である。図から分かるように、見掛けの燃 焼効率 Qmax/Qfuelは EGR 比に依存しており、EGR 比の増加によって増加する傾向 が見られる。 

Figure 6-21 Correlation between thermal efficiency and combustion efficiency increments due to EGR in DME/NG HCCI engines (TIN=60[°C])

 

図 6-21 は EGR による正味熱効率の増分Δηeと見掛けの燃焼効率の増分ΔηC との相関を示す。単気筒および多気筒の両機関において、見掛けの燃焼効率の 増加にほぼ比例して正味熱効率が増加している。すなわち、DME/天然ガス HCCI 機関における EGR による正味熱効率の向上は、THC 排出率の低減に基づく燃焼

効率の改善が主たる要因である。   

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