2011年、外部資金による世界銀行職員採用プログラムの調整を 図るため、新たにドナー支援職員採用プログラム(DFSP)が設け られました。DFSPは、ジュニア・プロフェッショナルとミッド キャリア・レベルの採用に資金を提供し、有期雇用職員のみを対 象としています。2012年度は、同プログラムを通じて7名のジュ ニア・プロフェッショナル・オフィサー(JPO)が採用されまし た。同プログラム開始から2012年度末までの間に、合計12名 のJPOが採用されました。
4.4 PHRDの支援により世界銀行が管理する その他のプログラム
2013年度、PHRDは世界銀行が管理するその他のプログラムに 合計6,950万ドルを移転しました。内5,000万ドルは日本社会 開発基金(JSDF)緊急対応枠向けでした。具体的な内訳について は囲み8をご参照ください。詳細については、PHRDのウェブサ イト(www.worldbank.org/phrd)で閲覧できます。
4.5 グローバル・ディベロップメント・
ネットワーク
グローバル・ディベロップメント・ネットワーク(GDN)は、国 際開発賞を支援しています。国際開発賞は、経済学や社会科学の 研究者の研究能力を向上させ、途上国で社会から取り残されてい る人々に恩恵をもたらす革新的な社会開発プロジェクトに資金を 提供するために設けられました。
日本政府は、同ネットワークを通じて、開発分野の目覚しい研究 に対するリサーチ部門日本国際開発賞(ORD)と、最も革新的な 開発プロジェクトに対するプロジェクト部門日本国際開発賞
(MIDP)という2つの賞を支援しています。
リサーチ部門日本国際開発賞(ORD)
この賞は、貧しい国でも、質の高い研究を公共政策に適用するこ とにより、開発見通しを向上させることができるという認識に基 づいています。また、こうした国で開発を促進するためには、地 方や地域間で長期にわたり、社会科学者や研究者が相互に連携し 合うことが必要であるという考えもその根底にあります。
この賞の対象となるのは、途上国の若手研究者で、目覚ましい成 果が期待され、開発課題に資する政策を提案するような研究に資 金を提供します。
受賞者は、政策へとつながるような研究プロポーザルを支援する ための助成金を、グラントとして受領します。グラント実施期間 中、専門家による技術的なメンタリングが提供され、受賞者であ る社会科学者の研究能力の構築が図られます。また、政策アウト リーチの強化や発信手段開発のために、研究に関する情報交換の 研修も行われます。通常、このプログラムには100カ国近くの途 上国や新興国の研究者から応募があります。
囲み8
2012年度の他のプログラムへの資金移転
・ 森林炭素パートナーシップ基金準備ファンド
(400万ドル)
・ 国際農業研究協議グループ(400万ドル)
・ 国際エイズ・ワクチン・イニシアティブ 仙台ベクトル
(200万ドル)
・ 貧困層支援協議グループ(30万ドル)
・ ドナー支援職員採用プログラム(102万ドル)
・ 教育のためのグローバル・パートナーシップ基金
(240万ドル)
・ 東京開発ラーニングセンター(300万ドル)
・ 太平洋自然災害リスク・マルチドナー・イニシアティブ
(280万ドル)
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日 本 開 発 政 策 ・ 人 材 育 成 基 金 年 次 報 告 2 0 1 2
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PHRDが支援するその他のプログラム
プロジェクト部門日本国際開発賞(MIDP)
この賞は、途上国や経済移行国で、社会から取り残されている人々 や不利な立場に置かれている人々に影響を与える社会的革新性の あるプロジェクトに資金を提供するものです。様々なテーマにお ける革新的な社会開発プロジェクトの中から受賞者が選ばれま す。また、強力な社会的影響力があり、他の途上国でも同様に実 施可能なプロジェクトであることが条件です。プロジェクト代表 者は広報の研修にも参加し、広報スキルを磨く事ができます。こ の賞では、研究に注目を集めることにより受賞者の認知度を高め ます。それにより新たな資金が集まり、キャリアのさらなる前進 に役立ちます。
GDNの実績
最近発表されたGDNの報告書「国際開発賞の10年間の歩み」は、
途上国の個々の研究者の能力強化を後押ししたとして、同賞の貢 献を大きく取り上げています。同報告書によると、国際開発賞は、
研究者のネットワークの強化や、国際的な研究活動に触れる機会 を与える事で、研究者が専門領域における知識を向上させる事に 寄与したとしています。また同賞は、研究者の認知度向上、キャ リアアップ、及び将来の研究活動のための資金アクセスの機会も もたらしました。
国際開発賞は、研究者の個人的栄誉に留まらず、MIDP賞の受賞 機関をはじめ複数の機関による開発活動拡大に役立ちました。
GDNの同報告書は、同賞が研究者の参加拡大と途上国の研究能 力構築を促し、GDNの魅力を高めたと指摘しています。「国際開 発賞の最も有意義な特色は、受け入れる地理的範囲の広さ、包括 性、イノベーション、持続可能性、そして再現可能性です」(同報 告書)2
2 開発インテリジェンスの形成と将来の構築:国際開発賞の10年間の歩み(GDN、2012年)
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日 本 開 発 政 策 ・ 人 材 育 成 基 金 年 次 報 告 2 0 1 2
5.1 PHRD活動の進捗状況と 成果のモニタリング
PHRD技術協力プログラムは、適切かつ測定可能な開発成果指標 を通じた短・中期的な開発インパクトを想定して策定されまし た。日本政府と譲許性資金・グローバル・パートナーシップ総局 は、信託基金の支援を受けた活動について、成果に重点を置いて 報告を行います。PHRDプログラムの有効性の評価は、外部評価 によって行われます。内2回は既に実施済みで、第3回評価は 2015年度に予定されています。
一方、グラントモニタリング報告(GRM)及び実施完了メモラン ダム(ICM)は、短期的な成果と中間結果を把握するものです。
GRMではグラント実施の進捗状況が測定されます。具体的には、
ポートフォリオのモニタリングや、特定のグラントについて成果 が上がっている理由や期待通りの成果が上がっていない理由の分 析を行い、それに基づいてPHRD事務局が意見を示すことや改善 策を提案します。プロジェクトが完了すると、タスクチームが、
業績、結果、教訓に関する総合的な最終報告書を作成します。
実施状況・完了報告に加え、四半期ごとに未監査財務諸表が作成 されます。これにより世界銀行とドナーは、拠出によるコミット メントのレベル、実行資金への割当とその実行状況を把握するこ とができます。また、独立した外部監査人を使って各会計年度の 終了時に財務諸表の監査報告書を作成し、その結果が日本政府と 共有されます。
JJ/WBGSPは、世界銀行研究所(WBI)による管理の下、追跡 調査を行い、奨学生の学位取得件数、出身国に帰国した奨学生の 数とその後の雇用やキャリア・アップなどを報告しています。追 跡調査では教訓も明らかにされます。