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CRPA 技術を用いたマルチパスによって発生する誤差の低減実験概要

第 5 章 CRPA 技術によるマルチパス誤差低減実験

5.1 CRPA 技術を用いたマルチパスによって発生する誤差の低減実験概要

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41 このように疑似距離はマルチパスによって数mから数十mの誤差が生じる。

次に搬送波位相による測距がマルチパスから受ける影響について示す。まず初めに波を 合成する式を(5.4)に示す。ここでは振幅をA、振幅比を𝛼、位相遅れを∆𝜑,で表している。

𝐴sin𝜑 + 𝛼𝐴sin(𝜑 + ∆𝜑)

= 𝐴sin𝜑 + 𝛼𝐴sin(𝜑)cos(𝛥𝜑) + 𝛼𝐴cos(𝜑)sin(𝛥𝜑)

= (1 + 𝛼cos(𝛥𝜑))𝐴sin𝜑 + 𝛼𝐴cos(𝜑)sin(𝛥𝜑) (5.4)

次に反射波と合成することによる振幅の変化を表した反射係数を𝛼𝑐、反射波と合成するこ とによる位相変化(搬送波位相におけるマルチパスによって発生する誤差)を∆𝜑𝑐とした式 は次のようになる。

𝛼𝑐𝐴 sin(𝜑 + ∆𝜑𝑐) = 𝛼𝑐cos ∆𝜑𝑐𝐴 sin(𝜑) + 𝛼𝑐sin ∆𝜑𝑐𝐴 cos(𝜑) (5.5)

式(5.4)と(5.5)を比較することで𝛼𝑐と∆𝜑𝑐 を求める。

1 + 𝛼cos(Δ𝜑) = 𝛼𝑐cos ∆𝜑𝑐 (5.6)

𝛼𝑐= cos ∆𝜑𝑐

1 + 𝛼cos(Δ𝜑) (5.6)′

𝛼sin(Δ𝜑) = 𝛼𝑐sin ∆𝜑𝑐 (5.7)

式(5.6),(5.7)より∆𝜑𝑐を求めることが出来る。

∆𝜑𝑐= arctan {sin∆𝜑/ (1

𝛼+ cos∆𝜑)} (5.8)

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図5.2 マルチパスによって発生する測距誤差(搬送波位相の場合)

式(5.8)から求めることが出来るように、搬送波位相は振幅比が 1 という条件でも最大で

4.8cm程度の誤差しか発生しない(図5.2)。マルチパスが図5.1と同じ振幅比の場合、信号

遅延がπ/2であっても(マルチパスによって発生する誤差が最大になる遅延)発生する誤差

は 0.8cm 程度であることが式(5.8)から分かる。これらから、式(5.3)の𝑚は非常に小さく、

メートル単位の誤差を発生させる𝑚𝑃𝑅と比較すると無視出来ることが分かる。以上から、マ ルチパスが測距に与える影響を確認する方法として、疑似距離と搬送波位相で求める距離 の差分を利用する方法を採用できると考えられる。

次にマルチパスを低減させる原理について説明する。アレーアンテナを用いてアンテナ 受信パターンを衛星に向けることで信号強度を強め、メインローブ以外の方向から受信す るマルチパスの受信強度を低下させる。これによってマルチパスの振幅比を低下させ、マル チパスの影響を低減させる(図5.3)。

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図5.3 マルチパスの振幅比の違いによって発生する測距誤差の違い

これがCRPA 技術によってマルチパスによって発生する疑似距離の誤差を低減させる原理 である。以上を踏まえて次の実験を行う。

実験ではまずハードウェアバイアスを較正するため、マルチパスの存在しない環境でデ ータを受信し、先に示した方法でハードウェアバイアスの較正パラメータを得る。

次にアレーアンテナをマルチパスの発生が予想される環境に移動させ、データを受信し た。当時の衛星配置環境とデータを受信した場所を図5.4および図5.5に示す。また、比 較用のデータとして、測量に使用される単一アンテナ(Septentrio社 PolaNt-x

Model:AT1675-540S)を使用してデータを取得する。飛来する信号が4階建ての建物や、

格納庫によって反射し、マルチパスの発生が予測される。またマルチパス環境の写真を図

5.6、図5.7に示す。加えてマルチパスの無い環境として、ハードウェアバイアス較正用デ

ータと比較用のデータを取得した環境の写真を図5.8から図5.11に示す。

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図5.4 データ取得時の衛星配置と衛星軌道

図5.5 データ取得地点周辺地図

(●:データ取得点、●;ハードウェアバイアス較正用データ及びマルチパス無しデータ取得点)

格納庫

(2階建て相当)

4階建て

3階建て

① ②

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図5.6 図5.5の①から見たマルチパス環境

図5.7 図5.5の②から見たマルチパス環境

アンテナ

アンテナ

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図5.8 北から見たマルチパス無し環境

図5.9 南から見たマルチパス無し環境

アンテナ

アンテナ

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図5.10 西から見たマルチパス無し環境

図5.11 東から見たマルチパス無し環境

アンテナ

アンテナ

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