(表 1) 白木班による多施設前方視的分娩様式による HCV-RNA陽性妊婦の母子感染率6)
経腟分娩児 帝王切開分娩児
P< 0.05 17/100(17.0%)
0/21(0%)
(表 2) HCV-RNA陽性妊婦の分娩様式別にみた母子感染率5)
経腟分娩児 帝王切開分娩児
5/36(13.9%)
0/14(0.0%)
母体 HCV-RNA陽性
5/13(38.5%)
0/8(0.0%)
母体 HCV-RNA高値
HCV-RNA最高値群:2.5×106コピー /ml(リアルタイム PCR法 で約 6.4LogIU/ml)以上
る(注:106コピー!ml(リアルタイム PCR 法では約 6.0LogIU!ml)以上とする報告が多い.ただし 高値でも非感染例が少なくない).
4)血中 HCV-RNA 量高値例において予定帝切は経腟分娩・緊急帝切に比して HCV 母子感染率を 明らかに低くする可能性がある3)〜6).ただし,帝王切開が母子に与える危険性と感染児の自然経過とを勘 案すると必ずしもその適応とは考えられない.
5)母乳哺育,妊婦の輸血歴,肝疾患歴,妊娠中の異常,HCV の genotype と母子感染率とは関連が ない.
2.HCV RNA「検出」妊婦からの出生児の管理 1)母乳は原則として禁止しない.
2)出生後 3〜4 カ月に AST,ALT,HCV-RNA 定量を検査する.HCV-RNA「検出」の場合は生後 6 カ月以降半年ごとに AST,ALT,HCV-RNA 定量,HCV 抗体を検査し,感染持続の有無を確認する.
HCV-RNA「検出せず」化例でも乳児期に再度陽性化することもあるので,数回の検査を行うとともに,
HCV 抗体(母親からの移行抗体)が陰性化することを確認する.母子感染例の約 30% は 3 歳頃までに 血中 HCV-RNA が自然に消失するので,原則として 3 歳までは治療を行わない.
3.HCV 抗体陽性かつ HCV-RNA「検出せず」の妊婦からの出生児の管理
1)HCV-RNA「検出」妊婦からの出生児に準ずるが,出生〜生後 1 年までの検査は省略し,生後 18 カ月以降に HCV 抗体を検査し,これが陰性であることを確認する.
白木斑の上記管理指導指針では「帝王切開が母子に与える危険性と感染児の自然経過とを勘案すると 必ずしもその適応とは考えられない」としているが,異なる意見も存在する7).表に示すように,帝王切 開は母子感染に関して予防的に働いている可能性がある.
これらのことより,以下に示すような HCV 母子感染ならびに帝王切開分娩に関する情報を提供し,分 娩様式に関しては患者家族の意思を尊重すべきとの意見7)があり,本ガイドラインでもその意見を採用し た.
1)HCV-RNA「検出」でしかも RNA 量高値の妊婦では予定帝王切開により母子感染を減少させる可 能性がある.
2)もし母子感染したとしても,母子感染児の 3 割は 3 歳ごろまでに陰転化し,陽性児にはインター フェロン療法で半数は HCV を排除できる.
3)HCV が臨床で問題となるのは数十年後であるので,母子感染したとしても今後治療法が開発され る可能性がある.
4)帝王切開分娩,経腟分娩にはおのおの長所と短所があり,いずれが優れているとは言いがたい面が 多々あるが本邦分娩の約 20% 弱は帝王切開術で安全に行われている.
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1)厚生労働科学研究補助金「肝炎等克服緊急対策研究事業」C 型肝炎ウイルス等の母子感染防止に関す る研究班:C 型肝炎ウイルス(HCV)キャリア妊婦とその出生児の管理指導指針(平成 16 年 12 月)日本小児科学会雑誌 2005;109:78―79(ガイドライン)http:!!www.vhfj.or.jp!06.qand a!pdfdir!HCV̲guideline̲050531.pdf
2)NIH Consensus Conference Statement: Management of Hepatitis C: 2002 (III) http:!!
consensus.nih.gov!2002!2002HepatitisC2002116html.htm
3)Paccagnini S, Principi N, Massironi E, et al.: Perinatal transmission and manifestation of hepatitis C virus infection in a high risk population. Pediatric Infectious Disease Journal 1995; 14: 195―199 (II)
4)Gibb DM, Goodall RL, Dunn DT, Healy M, Neave P, Cafferkey M, Butler K: Mother-to-child transmission of hepatitis C virus : evidence for preventable peripartum transmission. . Lancet 2000; 356: 904―907 (II)
5)Okamoto M, Nagata I, Murakami J, et al. : Prospective reevaluation of risk factors in mother-to-child transmission of hepatitis C virus: High virus load, vaginal delivery, and negative anti-NS4 antibody. J Infect Dis 2000; 182: 1511―1514 (II)
6)厚生労働科研「C 型肝炎ウイルス等の母子感染防止に関する研究(主任研究者:白木和夫)」 平成 14〜16 年度総合研究報告書.2005 年 3 月(III)
7)厚生労働科研「C 型肝炎ウイルス等の母子感染防止に関する研究(主任研究者:大戸斉)」 平成 17 年度総括分担研究報告書.2006 年 3 月(III)