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COMSOL Multiphysics によるシミュレーション

ドキュメント内 修 士 学 位 論 文 (ページ 68-72)

第 4 章 磁気分離実験

4.2 磁気分離速度

4.2.3 COMSOL Multiphysics によるシミュレーション

本研究では、粒子の捕獲を考察するにあたり、マルチフィジックスのシミュレーションソ フトであるCOMSOL Multiphysicsを用いて磁気分離実験での解析も行った。粒子軌跡モデル を適用した。はじめに、超電導マグネット内の磁性細線の疑似的なモデルを COMSOL Multiphysics上で作製した。

図 4-3 COMSOLで作製した磁性細フィルタのモデル

磁性細線には SUS430 を用い磁気分離実験と同様のものを扱った。次節でも述べるが、

SUS430磁性細線の仕様は、目開き150 μm、線径100 μmであり、それを丸めてキャニスタ

と呼ばれる筒の中に充填して磁性線フィルタとして用い磁気分離を行う。図 4-3に示して いるのは、超電導マグネットのボア内中心の一部分であり、磁性細線を簡易的に 3 つ並べ たモデルを作製した。媒質は水としていて、磁気分離の全体の模式図は図 4-12に示してい るので参照してもらいたい。

本節では、均一磁場 2 T をかけ2 次元モデルにより磁束密度分布及び粒子軌跡モデルと 流速におけるシミュレーションを行った。

表 4-1 シミュレーションで使用した物性値

MZLの半径 1~10 [μm]

MZLの密度 2.01 [g/cm3]

水の流速 0.1~0.5 [m/s]

磁性細線SUS430の磁化 図 4-1に準じる

初期磁束密度 2 [T]

磁束密度2Tの時のMZL比透磁率 1.01616664

MZLの磁化 12.8 [emu/g]

第4章 磁気分離実験 66

シミュレーション結果

以下に、媒質である水の流速0.1~0.5 m/sとMZLの粒径を0.1,0.3,0.5 μmと変えた時のシ ミュレーション結果を載せる。

図 4-4 流速0.5 m/sでMZL流径0.1~10 μmの際の粒子追跡モデル及び流速分布

図 4-5 流速0.3 m/sでMZL流径0.1~10 μmの際の粒子追跡モデル及び流速分布

第4章 磁気分離実験 68

図 4-6 流速0.1 m/sでMZL流径0.1~10 μmの際の粒子追跡モデル及び流速分布

図 4-7 MZL粒径1~10 μmにおける磁気分離回収可能範囲

図 4-4,図 4-5,図 4-6のそれぞれ上部4つは、直径100 μmの磁性細線に、印加磁場2 T を𝑋 軸正方向に与えたときの磁束密度分布とMZLが左から右に流れた時の粒子軌跡を表し ている。一様である2 Tの磁場が磁性細線近傍に働き、鉛直線方向に強い磁場が生じ、MZL が磁性細線の鉛直線方向にトラップされるのがわかる。それぞれの図の下部に示している のは、流速分布である。直径100 μm磁性細線3本に水が𝑋 軸正方向に流れた場合の流速の 変化を表しているのを、𝑋 軸正方向に与えたときの磁界である。磁性細線にせき止められ

た水の流れは緩やかになる一方で、磁性細線の目開きの間では速度が速まっている。これよ り、磁性細線の𝑌 軸上の磁性細線近傍は磁性吸着剤に対して、磁気力及び粘性抵抗力によ る斥力を与えると考察できる。そのため、磁性細線を数本で考える場合、一度細線近傍に流 された吸着剤が再び磁性細線に吸着されることは難しいと思われる。しかし、実際に磁性細 線はメッシュ状になっており、幾つもの磁性細線がそれぞれの近傍に存在するため、互いの 磁気力や流速変化の影響が存在すると考えられる。そのため、より実際の実験に近づけるた めには磁性細線同士の影響を考慮してシミュレーションを行う必要があるが、本研究では 計算をより簡便にするためにより簡便な方法で取り組んだ。

続いて、流速を変化させたときのMZLの粒子軌跡の違いについて述べる。粒子は、流速 が緩やかになるにつれ磁性細線へと引き寄せられる数が多いことが読み取れる。これは、式 (2.5)にもあるように、ドラック力が小さくなることで磁気力による働きが大きくなるため だと考えられる。次に、粒径を変化させたときの粒子軌跡の違いについて述べる。どの流速 速度でも同じことが言えるが、粒径が大きいほど磁性線を通り過ぎずに、磁性線に引き寄せ られる粒子数が多いことがわかる。これは、前節で説明した通りであり、理論式とシミュレ ーション結果が一致することが確認できた。また、それぞれのシミュレーション結果を元に、

図 4-7に磁気分離回収可能範囲をまとめた。これより、粒径5 μmにおいては流速0.1 m/s 以下であれば、96%以上の高い回収率であることがわかった。また、粒径10 μmで流速0.3 m/s以下であれば、粒子は漏れることなく全て回収された。反対に言えば、流速0.3 m/sの 際では粒径10 μm 以下より小さいほど漏れる量が多くなるため、粒径サイズの維持が重要 であることが確認できた。

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