第 4 章 磁気分離実験
4.3 磁気分離実験方法及び実験条件
4.3.3 実験結果
磁気分離実験後、MZL が SUS430 磁性線フィルタの細線に引き付けられていることが以 下の図にある様に見てとれる。
図 4-13 SUS430磁性線フィルタにMZL微粒子が付いている様子
MZL は、細線近傍に高磁気勾配が働いていることから、このように細線に堆積していき 磁気分離によって懸濁液からMZLだけを回収することができる。
続いて、磁気分離実験による結果を記載する。
図 4-14 流速0.5 m/sとMZL回収率依存性
図 4-15 流速0.3 m/sとMZL回収率依存性
使用したMZLの質量磁化は、11.7~12.7 emu/g程度であり、15時間大気中で200~600 ℃ アニールしたものである。図 4-14及び図 4-15はそれぞれ、流速0.5 m/sと0.3 m/sでMZL を含んだ懸濁液を磁気分離した後のMZL回収率を示している。
図 4-14 を見てみると、As grown の状態で MZL の磁気分離を行うと最終的な回収率は
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78.8%であった。一方、アニール後での回収率は200 ℃で90.4%、300 ℃で94.3%、400 ℃
で95%、500 ℃で96.7%、600 ℃で99%であった。これより200 ℃アニール処理で15%以
上を、600 ℃アニール処理で26%以上の回収率向上を達成した。同じように図 4-15では、
As grownの状態で81.8%、200 ℃で98.9%、300 ℃以上で99%を超え15%以上の回収率増 加を達成し、どちらもアニール温度が上昇すると共に回収率が向上していった。これは、ア ニールによりMZLの結晶化度が高まり、粒子の強度を増したからだと考えられる。また、
流速0.3 m/sの方が流速0.5 m/sよりも回収率が良いのは、式(4.3)にある様に分散媒の流速
が早いほど磁気力𝐹𝑚に対抗するドラッグ力𝐹𝑑が大きくなるためである。
次に、磁気分離後に漏れ出たMZLの質量磁化測定を行った。
0 2 4 6 8 10 12
0 0.5 1 1.5 2
Mass magnetization (emu/g)
Applied field (T)
図 4-16 磁気分離で破過したMZLの質量磁化測定
図 4-16は、磁気分離で破過したMZLの質量磁化測定の結果である。1 Tで10.3 emu/g、
2 Tで10.8 emu/gであり、磁気分離するのに十分な値をもっていることがわかった。この
ことから、作製時に均一に磁性が付与されなかったMZLが破過した訳ではないことが認識 できた。以上より、わずかに破過したMZLの原因としては、粒径が小さくなり磁気分離可 能限界流速の範囲外に属してしまったためだと考えられる。なお、磁気分離可能な粒径サイ ズは、図 4-2に記載した磁気分離理論式より導いた流速0.3 m/sで1.22 μm 以上のサイズな ので、漏出した粒径はこのサイズよりも小さいと考えられる。この点は、流速をさらに遅く することで向上するが、本研究では流速0.3 m/sでMZLを200 ℃以上のアニールすること で実用するにあたり十分な性能を持っているため、この条件をもって磁気分離を行うこと を提案する。