治療薬 対象疾患 バイオマーカー検査 検査の意義
グリベック
(イマチニブ)
CML
ザーコリ(クリゾチニブ)
非小細胞肺癌
ALK検査
添付文書
EML4-ALK融合遺伝子の発見
2007年自治医科大学の間野博行教授らが、肺腺がんの臨床検体から 新規の肺がん原因遺伝子を発見。
Nature
448, 561-566, 20072番染色体の特定領域が逆位で再結合した遺伝子。
ALK遺伝子は細胞増殖の際に利用される酵素の遺伝子。
逆位再結合によりつくられた融合蛋白は恒常的に増殖シグナルを 核に伝達して細胞が増殖、癌化する。
本融合遺伝子は非小細胞性肺がん患者のおよそ4~7%程度に 認められるとされている。
融合遺伝子の発生
EML4-ALK融合遺伝子のパターン
Nature 448, 561-566, 2007
EML4-ALK融合遺伝子陽性患者における ALK阻害剤の治療効果
海外第Ⅰ相試験
標的病変の最大腫瘍縮小率
EGFR
チロシンキナーゼ阻害剤イレッサ(ゲフィチニブ);アストラゼネカ タルセバ(エルロチニブ);中外製薬
肺がんの分子標的薬 (保険診療)
EGFR遺伝子変異陽性 EGFR遺伝子変異陰性
ALK融合遺伝子陽性
イレッサ
または
タルセバ
ザーコリ
ALK
阻害剤ザーコリ(クリゾチニブ);ファイザー
EGFR 遺伝子変異解析
ALK遺伝子検査の手引き
2011年12月1日付
日本肺癌学会ホームページ
にて開示
手引きに示された診断アルゴリズム
「一つの検査が陽性であっても、2つ 以上の方法により融合遺伝子の存在 を確認することが望まれる。」
検査方法の違い、特徴
それぞれの方法に一長一短あり
免疫染色結果の比較
当社採用5A4/iAEP の組み合わせ
検出法 →
抗体
→
ALK-IHC染色例(陽性)
IHC x1.25
H.E. x1.25
ALK-IHC染色例(陰性)
コントロールスライド
Negative Control x400
Positive Control x400
FISH法検出様式
Abbott社 Break apart rearrangement probeを採用
ALK遺伝子の切断領域両端を赤と緑の蛍光色素で標識。
正常な場合は赤と緑のシグナルが近接するため、黄色のシグナルが検出される。
転座が生じるとシグナルが分離し、赤と緑のシグナルが検出される。
脱パラ
組織FISH検体の処理
酵素処理
抗原賦活化(加熱)
コーティングスライド APS(アミノシラン)
プラチナ
PLL(ポリリジン)
MAS
組織FISH検体の処理
プローブ滴下
封入
ハイブリ
アボットジャパンALK-FISHプローブキット
陰性 陽性
ALK-FISH検出例
プローブキット添付文書の内容(抜粋)
検査所見
キットの判定基準に準拠した 結果を表記
報告書見本(ALK-FISH)
写真付き
代表的な間期核の写真と シグナルを表記します
「ALK融合遺伝子標本作製は、ALK阻害剤の投与の適応を判断することを目的と して、FISH法により遺伝子増幅標本作製を行った場合に、当該薬剤の投与方針の 決定までの間に1回を限度として算定する。」
中医協 総-3 資料(24.3.28)
検体品質管理マニュアル推奨条件
遺伝子関連検査を 病原体遺伝子検査 体細胞遺伝子検査 遺伝学的検査
(生殖細胞系列遺伝子検査)
に大別し、それぞれ 検体保存と運搬 検体取扱い
検体採取
を詳細に解説したマニュアル
検体品質管理マニュアル推奨条件(抜粋)
ホルマリン固定パラフィン包埋組織ブロック
推奨固定液 10%中性緩衝ホルマリン(核酸断片化の進行が遅延する)
固定時間の目安 手術材料 : 室温で18~36時間 生検材料 : 室温で3~6時間程度
参考情報 10%ホルマリンは室温で1時間に1mm程度浸透するとの報告あり。
薄切後10日間までRNAの質的劣化は認められないとの報告あり。
検体品質管理マニュアル推奨条件(抜粋)
胸水、腹水、心嚢液、膵液、気管支肺胞洗浄液(BALF)、尿(沈渣)、喀痰
採取後の保管 冷蔵(2~8℃)
処理時間 遺伝子発現定量 : 検体採取後直ち(2時間以内)にRNAを抽出。
遺伝子変異解析 : 高分子DNAが必要な場合 ⇒ 24時間以内 必要としない場合 ⇒ 3日以内にDNA抽出 長期保管方法 胸水、腹水、心嚢液、膵液、気管支肺胞洗浄液(BALF)
遠心分離(760G、室温、10分間)後、沈渣をPBSにて洗浄する。
再度遠心分離し上清廃棄、沈渣のみを超低温(-70℃)で保存。
尿(沈渣)
遠心分離(6,000G、室温、2分間)後、上清廃棄、沈渣のみ超低温で保存。
喀痰
超低温(-70℃)で保存。