LCC/DDH
M- CHAT
Modified Checklist for Autism in Toddlers
• http://www.ncnp.go.jp/nimh/jidou/research/mchat.pdf
• 定型発達の部分と自閉症特性の23問
• 保護者がチェックする
• 1歳6か月~3歳で使用可能
• 1歳6か月で行う場合には2か月後にフォロー
• 1回だけなら2歳時に
• 2,7,9,13,14,15が重要項目
自閉症スペクトラム障害(1)
• 自閉症スペクトラム障害
社会性や対人関係の障害(コミュニケーションも)
こだわり(常同行動や感覚過敏・鈍麻を含む)
• これらは知的にも症状の上でも強弱などを含め て連続性(スペクトラム)がある
• 一般人口での頻度は1~2%とされている
• 男子が3~6倍多い。家族歴は5~10%??
自閉症スペクトラム障害(2)
• Kannerの自閉症
→1943 Leo Kanner
→多くは言葉の遅れ、知的障害と考えられた
→しかし療育的対応によって変化が
• 高機能自閉症
→1944 Hans Asperger
→言葉の遅れはないかあっても軽度
→しばしば二次障害で発見される
→Social Skills Trainingが重要
続いている誤解
• 言葉が出ないのは難聴でなければ知的障害
→知的障害は治らない
• 自閉症も言葉が出なければ知的障害
→それらは治らない
• だから自閉症は治らない
→療育は知的障害と一緒
• 自閉症療育は変化してきた
→集団療育だけではなく個別療育も
自閉症のブラックイメージに
医療も保健も教育も社会も そして保護者も
染まっているかもしれない
早期発見=早期対応ではない
• 1歳6か月児健診の問診票を変えることが ブームになっている
→自閉症の早期発見を目指して
• しかし発見しても受け皿がなければ
→早期発見=早期絶望になりかねない
• 自閉症の療育はまだ十分に知られていない
→社会資源も少ない
自閉症へのこれまでの多くの対応
• 診察をして病歴を聴取する
→しばしば子どもの観察は不十分
• 脳波、MRI、血液検査など
→器質的疾患を考えて検査する
• 診断する
→治療的対応がないと考えれば様子見も・・
• どうすればよいかが知りたい保護者には
→しばしばno idea
自閉症にこう対応してみたら・・
• まずは診断をするより何が困難かを考える
→必要があれば検査もする
• 診断名ではなく実際の生活上の問題を把握
→将来的な目標も聴取する
→無発語=知的障害とは限らない
• 実際の問題点に合わせて対応方法を伝える
→改善状況を見ながら課題設定を変える
→場合によっては療育の専門家の手を借りる
1歳ころからASDで見られる症状
• 視線が合わない
• 声を出さない
• 表情の変化が乏しい
• 模倣(動作や音声)をしない
• 人より物に興味がある
• 見立て遊びをしない
• クレーン現象
• さわられる、抱っこされるのを嫌がる
だから ASD? ではなくできることを考えよう
疑わしければ介入を
• まずは聴力の確認
• 子どもの行動を観察する
• 保護者の気持ちを確認する
→「つながり感」の有無
• 1歳でも介入はできる
→対人関係性をどうやって作るか
→反応を引き出すための取り組み
→そこから療育的な対応につながっていく
外来ではこんなトレーニングを話している
• 第1段階
→目合わせ、指差し、タッチ
• 第2段階
→共同注視、見立て
• 第3段階
→トイレ、食事、着替え、お手伝い
• 第4段階
→手や顔を洗う、鼻をかむ、靴を履く
• 文章で話しかける
3歳ころの健診
• 走る、跳ぶ、クレヨンを持つ
→粗大運動はほぼ確立し、微細運動も発達
• 排泄は昼間がほぼOK
→排便不可は要注意、夜尿は50%
• 名前、年齢が言える
→二語文も90%でOK、しかし時制はまだ
→永続記憶のメカニズムはまだ不十分
• 精神発達遅滞、自閉症は100%診断?
• 虐待にも要注意
3歳では発達が社会的変化
• 家族以外の人間とのつながりができる
→子ども同士の関係や知らない人への対応
• 言語によってコミュニケーションを図る
• してはいけないこと、ほめられることがわかる
• 自我の意識が出てくる
• 社会的欲求(外出、新しいおもちゃなど)が出 る
• 好き嫌いがはっきりし、主張するようになる
3歳ではジャンプができるように・・
片足バランスができる子も・・
スプーンを親指ではさむ
発達指数( Developmental Quotient) が低いことは、その時点の問題
• 新版K式2001、遠城寺式、津守・稲毛式
→発達検査ではしばしばDQが低い
→それは将来も低いということではない 何もしなければ低いかもしれないが・・
• DQで見ているのはコミュニケーションと生活 習慣・動作
→それが変わればDQは上がる?
• しかし将来も低いと断定されることも・・
3歳児健診と発達障害
• Kanner型の自閉症は見逃せない
→言語面も非言語面も評価しやすい
→療育の遅れは発達の遅れに直結する
• 高機能自閉症
→対人関係、話し方から一部が診断可能
→大多数は診断できない:ちょっと変わっている
• ADHD
→多動・衝動型の一部が診断可能:割り込み
• 学習障害:基本的に診断不可能:鏡像現象
4-5歳ころの健診
• 肥満と低身長には要注意
• 視聴覚のチェックが重要
→乱視、近視、浸出性中耳炎、アレルギー
• 発達障害への対応
→友達遊び、集団行動、嗜癖 高機能自閉症
ADHDなどの疑いが可能
• 永久歯萌出を控えている
→「う歯」には治療を、歯磨き確認を
健診のフォローアップ
• 健診で発達障害が疑われた
↓
• 専門医あるいは療育センターを紹介する
→専門医は少なく、予約が取れない
→療育センターは個別療育に慣れていない 発達障害にも慣れていない
↓
• そこで難民が発生する
もし障害と 診断されても
できることは
あるはず
障害の可能性や診断だけで 終わることは
児童虐待の
リスクを増やす
レッテルを貼ることは
• それまでわが子に感じていた距離感が遠くなる
→可愛いだけだったのに障害?
• 問題によっては受容が困難
→外見からはわからない発達の問題
• 問題によっては対応する社会資源が少ない
→たとえば自閉症など発達障害
• レッテルを貼ることは乳幼児健診の仕事ではな い
→緊急性がない限り、次につなぐ
行う側にとっては one of them
受ける側にとっては
only one
「様子をみましょう」は 犯罪になりうる
• 治療・療育には適した時期がある
• 症状が今一つ明らかではない時にこれが出る
• 医療では主訴があって受診し、解消されなけれ ば再受診するか、よそへ行く
• 健診では主訴がないことが多いので、
この言葉で安心し、時期を失することになる
• 健診では期間の限定・フォロー体制が必要
• 「なぜもっと早く」と言われないために
Door Knob Comment
• 帰りがけに不安そうな母親
→聞こうか聞くまいか迷っている
→言葉に出しにくいことが実は一番心配
• そのまま帰しては笑顔は残らない
→基本は笑顔で帰すのがプロ
• 病気や障害の疑いを告げたとき
→最低限、スタッフをつけて話を十分に!
お母さんなんだから がんばって
お母さんすごいですね
気をつけたいこと
• 「がんばって」とは言わない
→がんばらない、自然な育児を目指そう
• 「今していること」はとりあえず受け入れる
→生命の危険が無い限り
→多様な価値観、生活観がある
→まず理解する、理解しようとすること
• 「これからどうするか」は一気に話さない
→受け止めてもらう、理解してもらうことが大 切
→一度に理解できるのは3つまで