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FPGA の I/O ピ ン数がデザ イ ンで必要な ピ ン数 よ り も は る かに多い場合な ど、FPGA の I/O バン ク

が 1 つ以上未使用の ま ま と な る こ と があ り ます。 こ の よ う な と き は、 そのバン ク に関連す る VCCO ピ ン を未接続の ま ま にす る 方が、PCB レ イ ア ウ ト の制約が緩和 さ れ る 場合があ り ます (電源お よ び グ ラ ン ド プ レーン に ビ ア ア ンチパ ッ ド に よ る ク リ ア ラ ン ス が少な く な る 、 ピ ン付近での入出力信 号パス の障害物が少な く な る 、 プ レーン層 と し て使用 し ていた銅箔をほかのプ レーン レ ッ ト に使用 で き る な ど)。

未使用の I/O バン ク の VCCOピ ン を フ ロ ー ト 状態に し てお く と 、 こ れ ら の ピ ンやバン ク 内の I/O ピ ンに対す る ESD 保護の レベル も 緩和で き ます。BGA ピ ン配置の内側の列では、 はんだボールを未 接続で も ESD イ ベン ト が発生す る 可能性は低いため、 リ ス ク はそれほ ど高 く あ り ません。 し か し 、 QFP パ ッ ケージの周囲に露出 し た ピ ンでは ESD イ ベン ト が発生す る 可能性があ り ます。 こ の よ う なパ ッ ケージでは、未使用 I/O バン ク の VCCOピ ン を隣接す る I/O バン ク の VCCOに接続 し て く だ さ い。

シ ミ ュ レーシ ョ ン方法

PDS の特性を予測す る ためのシ ミ ュ レーシ ョ ン方法には、非常にシ ンプルな も のか ら 複雑な も の ま で さ ま ざ ま です。 正確なシ ミ ュ レーシ ョ ン結果を得 る には、 非常に高度なシ ミ ュ レー タ で長時間の シ ミ ュ レーシ ョ ン を行 う 必要があ り ます。

最 も シ ンプルなシ ミ ュ レーシ ョ ン方法の 1 つに、 基本的な RLC を一括 し て扱 う シ ミ ュ レーシ ョ ン があ り ます。 こ の方法では PDS の分布定数モデル と し ては考慮 さ れ ま せんが、 大 き な反共振が起

こ ら ない よ う にデカ ッ プ リ ン グキ ャ パシ タ の選択 と 検証を行 う 用途には役立ち ます。

RLC を一括 し て扱 う シ ミ ュ レ ーシ ョ ン は、SPICE な ど の回路シ ミ ュ レ ー タ を用いて行 う 方法 と 、

MathCAD や Microsoft Excel な ど の数学系ツールを用いて行 う 方法があ り ます。Istvan Novak 氏

は、RLC を一括 し て扱 う イ ン ピーダ ン ス計算を行 う ための無料 Excel ス プ レ ッ ド シー ト をは じ め、

PDS シ ミ ュ レーシ ョ ンに役立つ各種ツールを以下の Web サ イ ト で公開 し てい ます。

http://www.electrical-integrity.com

表2-4 に も 示す よ う に、EDA ツールベン ダーか ら も PDS のデザ イ ン と シ ミ ュ レーシ ョ ン用の ツー ルが提供 さ れてい ます。 こ れ ら のツールは、 簡単な も のか ら 複雑な も の ま で さ ま ざ ま な種類があ り ます。

表 2-4 : PDS のデザイ ン と シ ミ ュ レーシ ョ ンのための EDA ツール

ツール ベン ダー Web サイ ト

ADS Agilent http://www.agilent.com

SiwaveHFSS Ansoft http://www.ansoft.com

Specctraquest Power Integrity Cadence http://www.cadence.com

PDS の計測

PDS が適切か ど う かは、 計測に よ っ て判断で き ま す。PDS の ノ イ ズ計測は非常に特殊な作業であ り 、 多 く の特別な手法が開発 さ れてい ます。 こ こ では、 ノ イ ズの大 き さ と スペ ク ト ラ ムの計測につ いて説明 し ます。

ノ イ ズ量の計測

ノ イ ズの計測は、 現実に即 し た テ ス ト パ タ ーン を実行中のデザ イ ン に対 し て、 広帯域のオシ ロ ス

コ ープ (3GHz以上のオ シ ロ ス コ ープ と 1.5GHzのプ ロ ーブ ま たは同軸ケーブルに よ る 直接接続)

を用いて行 う 必要があ り ます。 測定点はデバ イ ス の電源ピ ンか、High ま たは Low に駆動 し た未使 用の I/O ピ ン と し ます (こ れを スパ イ ホール計測 と 呼びます)。

VCCINT と VCCAUXは PCB の裏面にあ る ビ アでのみ計測可能です。VCCO も こ の方法で計測で き ますが、 同一のバン ク の未使用 I/O ピ ン で静的 (ロ ジ ッ ク レベルの固定 さ れた) 信号を計測 し た方 が正確な結果が得 ら れます。

PCB の裏面で ノ イ ズ を計測す る 際は、 計測点 と FPGA の間のパ ス にあ る ビ アの寄生要素を考慮す る 必要があ り ます。 一般に、 こ のパ ス で発生す る 電圧降下は ノ イ ズ と 反対方向であ る ため、 オシ ロ ス コ ープでの計測では考慮 さ れません。

PCB 裏面の ビ アの計測には潜在的な問題 も あ り ます。 それは、 デカ ッ プ リ ン グ キ ャ パシ タ がデバ イ ス直下に実装 さ れてい る こ と が多 く 、 その場合、 キ ャ パシ タ の ラ ン ド が PCB 表面の ト レース で VCCお よ び GND ビ アに直接接続 さ れてい る と い う 点です。 こ れ ら のキ ャ パシ タ は、 高周波 AC 電 流のシ ョ ー ト 回路 と し て作用す る ため、 計測が難 し く な り ます。 こ の よ う な キ ャ パシ タ を計測サ イ ト か ら 取 り 除 き 、 計測時にシ ョ ー ト し ない よ う に し て く だ さ い (その他のキ ャ パシ タ は、 実際のシ ス テ ムの動作を反映す る ために残 し ます)。

VCCOの ノ イ ズ を計測す る 際は、 ロ ジ ッ ク 1 ま たは ロ ジ ッ ク 0 を駆動す る よ う に設定 し た I/O ピ ン を測定点 と で き ます。通常、 こ の 「ス パ イ ホール」 にはバン ク 内のほかの信号 と 同 じ I/O 規格を使 用 し て く だ さ い。 静的な ロ ジ ッ ク 0 を 計測す る と 、 ビ ク テ ィ ム 側に発生 し た ク ロ ス ト ー ク (ビ ア フ ィ ール ド 、PCB 配線、 パ ッ ケージ配線) を観察で き ます。 静的な ロ ジ ッ ク 1 を計測 し て も 同 じ ク ロ ス ト ー ク 成分を見 る こ と がで き ますが、 それ以外に I/O バン ク の VCCOネ ッ ト に存在す る ノ イ ズ も 観察で き ます。 静的 ロ ジ ッ ク 1 で計測 し た ノ イ ズか ら 静的 ロ ジ ッ ク 0 で計測 し た ノ イ ズ を (時間 の一貫性を維持 し た ま ま) 差 し 引 く と 、 ダ イ におけ る VCCOの ノ イ ズがわか り ます。 正確な結果を 得 る には、 静的 ロ ジ ッ ク 0 と 静的 ロ ジ ッ ク 1 の ノ イ ズ を同 じ I/O で計測す る 必要があ り ます。 つま り 、両 ロ ジ ッ ク 状態の時間領域の波形情報を保存 し てお き 、MATLAB Excel な ど の算術計算ツー ルで後処理を行い、2 つの波形の減算を実行 し ます。

Speed 2000、PowerSI、PowerDC、 OptimizePI

Sigrity http://www.sigrity.com

Hyperlynx PI Mentor http://www.mentor.com

表 2-4 : PDS のデザイ ン と シ ミ ュ レーシ ョ ンのための EDA ツール (続き)

ツール ベン ダー Web サイ ト

PDS の計測

オシ ロ ス コ ープでの計測方法

オシ ロ ス コ ープで電源シ ス テ ムの ノ イ ズ を測定す る には基本的に 2 つの方法があ り ますが、 こ れ ら はそれぞれ目的が異な り ます。1 つは可能性のあ る すべての ノ イ ズ イ ベン ト を調べ る 方法で、 も う 1 つは個々の ノ イ ズ源を調べ る のに役立つ方法です。

• オシ ロ ス コ ープ を無限残光モー ド に設定 し 、 長時間 (数秒~数分) の ノ イ ズ をすべて測定 し ま す。 デザ イ ンに複数のモー ド があ り 、 使用す る リ ソ ース の種類や量が異な る 場合は、 オシ ロ ス コ ープで ノ イ ズ を計測中に こ れ ら すべてのモー ド で動作 さ せ、 それぞれの状態での ノ イ ズ を測 定す る 必要があ り ます。

• オシ ロ ス コ ープ を アベレージ モー ド に設定 し 、既知のア グ レ ッ サイ ベン ト で ト リ ガ し ます。 こ れに よ り ア グ レ ッ サ イ ベン ト と 相関のあ る ノ イ ズ量がかか り ます (ア グ レ ッ サに対 し て非同期 の イ ベン ト はすべて平均化処理に よ っ て除去 さ れます)。

電源シ ス テ ムの ノ イ ズは、 局所的な ノ イ ズ現象の影響を除去す る ため、FPGA のい く つかの位置で 測定 し て く だ さ い。

サンプルデザ イ ンの VCCOピ ンの ノ イ ズ を アベレージモー ド で計測 し た結果を図2-9 に示 し ます。

こ の例では、I/O バス イ ン タ ーフ ェ イ ス の ク ロ ッ ク を ト リ ガ と し て、250Mb/sで 1-0-1-0 パ タ ーン を送出 し てい ます。

X-Ref Target - Figure 2-9

図 2-9 : 複数の I/O によ っ て 250Mb/sでパ タ ーン を送出 し 、 VCCO電源を アベ レージモー ド で計測 し た結果

ug393_c2_09_091809

同 じ デザ イ ンで さ ら に多 く の種類の I/O パ タ ーン を送出 し 、 無限残光モー ド で ノ イ ズ を計測 し た結 果を図2-10 に示 し ます。 無限残光モー ド では、 プ ラ イ マ リ ア グ レ ッ サ と の相関の有無にかかわ ら ず長時間にわた る すべての ノ イ ズ イ ベン ト が計測 さ れ る ため、電源シ ス テ ムのすべての逸脱が表示

さ れます。

図2-9 と図2-10 に示 し た計測結果は、Peak-to-Peak の ノ イ ズ を表 し てい ます。 こ の ノ イ ズが仕様 の許容電圧範囲 (デー タ シー ト に記載 さ れた VCC ±5%) を超えてい る 場合、デカ ッ プ リ ン グ ネ ッ

ト ワー ク が不適切であ る か、PCB レ イ ア ウ ト に問題があ る こ と にな り ます。

ノ イ ズ スペ ク ト ラ ムの計測

デカ ッ プ リ ン グネ ッ ト ワー ク を改善す る には、 ノ イ ズの量を計測す る だけでは不十分です。 ノ イ ズ が発生す る 周波数を特定す る には、 ノ イ ズの電源スペ ク ト ラ ム を計測す る 必要があ り ます。 こ れは、

スペ ク ト ラ ム アナ ラ イ ザ、 ま たは広帯域のオシ ロ ス コ ープ と 数学手法の FFT の組み合わせに よ っ て行い ます。

FFT 数値演算関数を オシ ロ ス コ ープに組み込む こ と も で き ますが、 多 く の場合、 こ れ ら の関数では 十分な分解能が得 ら れず、 ノ イ ズ スペ ク ト ラ ム を明確に把握で き ません。 も う 1 つの方法 と し て、

オシ ロ ス コ ープで時間領域のデー タ を長時間にわた っ て収集 し 、MATLAB な ど FFT をサポー ト し た ソ フ ト ウ ェ アで後処理を行い周波数領域に変換す る 方法 も あ り ます。 こ の方法には、 ユーザーの 目的に合わせて自由に分解能を設定で き る と い う 利点があ り ます。 こ れ ら の数学的方法を利用で き ない場合は、 時間領域の波形を観測 し て ノ イ ズ個々の周期性を推定 し 、 ノ イ ズの周波数成分を近似 的に求め る こ と がで き ます。

スペ ク ト ラ ムアナ ラ イ ザは、 入力 さ れた電圧信号の周波数を示す周波数領域用の測定器です。 こ れ を使用す る と 、PDS の不適切な周波数帯域を正確に特定で き ます。

X-Ref Target - Figure 2-10

図 2-10 : 同 じ 電源を無限残光モー ド で計測 し た結果

ug393_c2_10_091809

PDS の計測

あ る 特定の周波数で ノ イ ズが過剰な場合、その周波数ではデバ イ ス の過渡電流条件に対 し て PDS イ ン ピーダ ン ス が高すぎ る こ と を示 し てい ます。 こ の情報を利用 し て、PDS がその周波数での過渡 電流に適切に対応す る よ う にデザ イ ン を変更で き ます。 具体的には、 実効周波数が ノ イ ズの周波数 に近いキ ャ パシ タ を追加す る か、 ま たは ク リ テ ィ カルな周波数におけ る PDS の イ ン ピーダ ン ス を 小 さ く し ます。

ノ イ ズ スペ ク ト ラ ムの計測 も 、Peak-to-Peak の ノ イ ズ計測 と 同様、 デバ イ ス の直下で静的な High

ま たは Low に駆動す る よ う 設定 さ れてい る I/O で行い ます。 スペ ク ト ラ ム アナ ラ イ ザでは、 ア ク

テ ィ ブプ ロ ーブではな く 50のケーブルで計測デー タ を取 り 込みます。

• 計測ケーブルを接続す る 方法 と し ては、 同軸 コ ネ ク タ をデバ イ ス近 く の電源プ レーン と グ ラ ン ド プ レーンに接続す る と い う 方法が考え ら れます。 し か し 実際に こ の方法を利用で き る こ と は ほ と ん ど あ り ません。

• そ こ で も う 1 つの方法 と し て、デバ イ ス近 く のデカ ッ プ リ ン グ キ ャ パシ タ を 1 つ取 り 除 き 、 そ の ラ ン ド に計測ケーブルを接続 し ます。 ケーブルの芯線 と シール ド はキ ャ パシ タ の ラ ン ド に直 接はんだ付け し ます。 あ る いは、プ ロ ーブ ス テーシ ョ ン を用いて 50の RF プ ロ ーブでデカ ッ プ リ ン グ キ ャ パシ タ の ラ ン ド に触れ る と い う 方法 も あ り ます。

スペ ク ト ラ ムアナ ラ イ ザの フ ロ ン ト エン ド 回路は敏感なため、保護のために DC ブ ロ ッ キ ン グキ ャ パシ タ ま たはア ッ テネー タ (減衰器) を直列に挿入 し ます。 こ れに よ り 、 スペ ク ト ラ ム アナ ラ イ ズ がデバ イ ス の電源電圧か ら 保護 さ れます。

図2-11 は、 複数の I/O か ら 100MHzでパ タ ーン を送出 し た場合の VCCO電源におけ る ノ イ ズ を ス ペ ク ト ラ ムアナ ラ イ ザで測定 し た も のです。

X-Ref Target - Figure 2-11

図 2-11 : スペ ク ト ラ ム アナ ラ イザによ る VCCOの計測画面

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