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Brand Engagement in Self-Concept ( BESC )効果

ドキュメント内 Microsoft Word doc (ページ 44-62)

最近の研究では自己適合性を超えた「自己イメージにおけるブランド・エンゲージ メント(

Brand Engagement in Self-Concept

;以降、

BESC

と称する)」の概念が提 案され、それによる消費者効果を検証する研究が行われた(

Sprott et al., 2009

)。

Sprott et al.

によると、今までのブランド研究においては、特定ブランドと自己イメ

ージの間の関係性に焦点を当てた研究が主だったが、自己スキーマが説明するように、

消費者の自己イメージは様々な要因によって形成され、状況によって異なる自己イメ ージが活性化される。ブランドにおいても、ブランド使用やブランド愛用の状況で自 己スキーマが活性化される消費者もいる反面、ブランド使用やブランド愛着の状況で 自己スキーマが活性化されない消費者がいるかもしれない。つまり、消費者はブラン

ドにおける「ブランド・スキーマ」を持っているかもしれないというのが

Sprott et al.

の考え方である。そこで

Sprott et al.

は、個人が自分の好きなブランドを自己イメー ジの一部として捉える傾向を「自己イメージにおけるブランド・エンゲージメント

Brand Engagement in Self-Concept

BESC

)」と定義し、その度合いによる消費 行動への影響を実証で研究した。

BESC

の消費行動への影響を検証するに先立ち、

Sprott et al.

は個人の

BESC

レベ ルを測定するための尺度を開発した。それは以下の通りである。

)

私は好きなブランドとの強い絆を持っている。

)

私にとって好きなブランドは自分の一部である。

)

私が使用するブランドと自分の間には人間のようなつながりがあると感じる 時がある。

)

私の自己イメージの一部は、大事な「あのブランド」によって定義づけられる。

)

私と一番好きなブランドの間で、まるで人間のような親密なつながりがあると 感じる。

)

私の人生において、自分を大事なブランドと同一視することができる。

)

私が選好するブランドと自分自身に対する見方には関係性がある。

)

私の大好きなブランドは自分が誰かを表す重要な印である。

出所: Sprott et al.(2009), P.93

この尺度によって個人の

BESC

レベルを測定した後、

BESC

レベルによる消費行動 への影響を検証する実験を行った。具体的には、消費プロセス(記憶、注目、選好、

ロイヤルディ)における

BESC

の影響力を5つの実験で検証した。その結果、高い

BESC

レベルは①記憶の中の自己ーブランド連想、②所有ブランドの名前の想起、③ 偶発的ブランド露出におけるブランド注目度、④ブランド・ロゴの露出によるブラン ド選好度、⑤好きなブランドに対する支払い価値、⑥ロイヤルディ10にポジティブな影 響を与えることは明らかになった。

10 原文では「新製品発売まで時間がかかっても喜んで待つ意向」と書かれてあったが、本稿で は「ロイヤルディ」という表現を使用する。

第2項 ブ ラ ン ド ・ パ ー ソ ナ リ テ ィ と 自 己 適 合 性 の 効 果

初期の研究においてブランド・パーソナリティは、自己適合性(自己イメージとブ ランド・イメージの比較)、またはブランドの典型的ユーザー・イメージ測定という間 接的な方法で推測されていた。 しかし、

J.Aaker(1997)

のブランド・パーソナリティ 尺度(

BPS

)以降、客観的にブランド・パーソナリティを測定するツールが増え、そ の尺度を用いて直接ブランド・パーソナリティを測定し、その効果を検証する動きが 顕著に見られるようになった。本項ではその動きを①自己イメージの先行要因として のブランド・パーソナリティ、②ユーザー・イメージとブランド・パーソナリティの 比較2つに分類し、それぞれに関する研究成果をレビューする。

1.自己イメージの先行要因としてのブランド・パーソナリティ

自己イメージ研究にあっては、ブランド・パーソナリティを自己イメージの先行要 因として捉え、ブランド・パーソナリティの消費者行動への効果を検証した研究が

90

年代後半から

2000

年代前半まで行われた。その中で

J.Aaker(1999, 2004)

と松下

(2002a, 2004)

の研究を紹介する。

(1)

J.Aaker(1999)

:ブランド・パーソナリティをスキーマの手がかりへ

J.Aaker

は自己スキーマ理論に影響され、自己に影響を与える状況的手がかりとし

てのブランド・パーソナリティの役割を検証した。

J.Aaker

は人々の自己イメージは 社会的環境に影響されるので、消費者は異なる環境の下で異なる行動を取ると主張し

た。

J.Aaker

は「自己」という概念を環境順応的概念であると考えた。つまり、自己

はパーソナリティとシチュエーションの両方から影響を受けていると考えた。消費者 の態度、行動に影響を与えるものが、パーソナリティ、もしくはシチュエーションな のかを解明するために、消費者態度における「自己適合性(パーソナリティ)」、「状況 適合性(シチュエーション)」の影響力を検証した。自己適合性とは、消費者が自己イ メージに類似した製品購買に好意を感じるとことを意味し、状況適合性とは、周囲か らの認定を得たり、ポジティブな関係を形成しようと周囲の環境や状況に合わせて行 動を取ろうとする傾向を意味する。また、

J.Aaker

は自己適合性と状況適合性に影響

を与える媒介変数として「自己モニタリング(

Self-monitoring

)」の働きに注目した。

自己モニタリング水準が低い人の場合、自分の信念、態度、自己イメージに基づいて 行動を取ろうとするが、自己モニタリング水準が高い人の場合、状況に合わせて異な る自分を演出する。つまり、自己モニタリング水準はの低い人は、状況適合性より自 己適合性に影響されやすく、自己モニタリングの水準が高い人は、自己適合性より状 況適合性に影響されやすい。

以上の内容を踏まえ、

J.Aaker

は研究仮説を立てた。

)

低い自己モニタリングの下では、ブランド選好度における自己イメージが、状況 的手がかりより大きな影響を与える。

)

高い自己モニタリングの下では、ブランド選好度における状況的手がかりが、自 己イメージより大きな影響を与える。

)

状況的手がかりが少ない場合、低い自己モニタリングの下で、ブランド選好度に ける自己イメージが大きな影響を与える。一方、状況的手がかりが多い場合、高 い自己モニタリングの下で、ブランド選好度において状況的手がかりが大きな影 響を与える。

実験の結果、3つの仮説はすべて支持された。自己は順応的であるという前提で、

ブランド・パーソナリティから得られる消費者のブランド選好度は①自己イメージ、

②状況的手がかりとの適合・不適合に影響される。つまり、低い自己モニタリングの 下で、(特に、状況的な手がかりが少ない場合)、ブランドと自分を同一に認知する自 己適合性が高くなり、一方、高い自己モニタリングの下では、状況に自分を合わせよ うとする状況適合性が顕著に現れることが明らかになった。

J.Aaker

の研究は、自己イメージや自己適合性理論コンテクストの上でブランド・

パーソナリティの効果を検討した試みである。特に、自己スキーマが作用するための

「状況的手がかり」にブランド・パーソナリティ連想を取り入れることで、自己適合 性の変数としてのブランド・パーソナリティの役割を明らかにしたのである。

(2)松下

(2002a, 2004)

松下も

J.Aaker

と同様に、自己スキーマが作用するための手がかりとしてのブラン

ド・パーソナリティの役割に注目した。松下

(2002a)

は、ブランドの象徴的価値の効果 を説明するための理論的モデルを開発し、そのモデルがもたらす具体的な消費行動へ の影響を

2004

年の研究で検証した。

松下

(2002a)

は、ブランドの象徴的価値が消費者の態度に与える影響を「適合モデル」

ではなく、「他属性モデル」に基づき考察した。多属性態度モデルによれば、 製品に 対する態度は、その製品がある属性を有しているという信念の強さと、その属性の評 価によって形成される。その中で信念の強さは、ブランドの象徴的便益に当てはまる。

ブランドの象徴的便益を捉えるためには、「(ポーターのように)都会的でおしゃれな 自分の姿」などの抽象的な象徴的便益の内容と、その便益をもたらす対象が不可欠で ある。前者は、消費者自身の価値観を表す自己イメージであり、後者は、ブランド要 素(ブランドネームやロゴなど)、使用状況、使用者イメージ、製品属性などの具体的 な知識内容である。

ただし、このような便益は、対象から直接的にもたらされるのではない。消費者は、

ブランドに対して「誠実」、「刺激」などの「ブランド・パーソナリティ」(

Aaker, 1997

) を知覚しているため、そのブランドに対して象徴的便益を感じるのである。つまり、

上記の2つの要素(象徴的便益内容としての自己イメージ、ベネフィットの対象であ るブランド要素、市場状況など)に加え、ブランド・パーソナリティという要素が、

象徴的便益の概念規定に不可欠である。総括していえば、ブランドの象徴的便益は、

多次元的な「ブランド・スキーマ」の一部であり、ブランドに関する知識と、消費者 の自己に関する知識がブランド・パーソナリティを媒介として結合しているというこ とになる

(

松下

2004)

松下

(2002a)

は、他属性評価モデルに基づき、ブランドの象徴的便益が態度形成に与

える影響の大きさは、ブランド・パーソナリティ・スキーマを構成する2つのリンケ ージによって捉えられると指摘した。その二つのリンケージとは、①「象徴的便益」

と「ブランド・パーソナリティ」の認知的リンケージ、②「ブランド・パーソナリテ ィ」と「ブランド要素」との認知的リンケージである。(図

3-7

参照)

ドキュメント内 Microsoft Word doc (ページ 44-62)

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