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考 察

ドキュメント内 Microsoft Word doc (ページ 62-66)

本章ではブランド・パーソナリティの効果に関する研究を概観した。本節では消費

者側での効果、企業側での効果についての議論をまとめ、それぞれの研究傾向と本領 域における課題を提示する。

1.消費者側での効果

ブランド・パーソナリティが消費者側に与える効果は①象徴的価値、②自己表現価 値、③リレーションシップ・リレーションシップ・パートナーとしての価値がある。初 期の研究における象徴的価値の概念は、機能的価値と区別される+

α

の何かの価値と して定義されたが(

Levy,1959; Grubb and Grathwohl,1967)

、その後、

Park, et al.(1986)

Midgley,(1983)

によって、情緒的価値(経験的価値)、象徴的価値に細かく 分類される。象徴的価値はさらに、自己表現価値、リレーションシップ・パートナー としての価値として分類することができる(

Keller, 1993; D.Aaker, 1996; Founier, 1998)

ブランドの購入によって自己イメージを表現しようとする価値が「自己表現価値」

であり 、消費者は自己表現価値によって自己イメージを維持・向上・強化することが できる(

Levy, 1959 ; Grubb and Grathwohl,1967; Dolich, 1969 ; Sirgy, 1982; Batra et al.,1993; Keller, 1993 ; D. Aaker, 1996 ; Graeff, 1996; Fournier, 1998; J. Aaker,

1999)

。また、ブランドは社会的・象徴的意味を持っているので、ブランドを購買する

ことによって他人に自己イメージをさりげなくアピールすることができる。消費者が 現実的、または理想的自己イメージと類似したブランドを選好する傾向を「自己適合 性」といい、自己適合性の働くメカニズムは自尊動機(

Self-Esteem

)(または、自己 高揚動機)と、自己一致性動機(

Self-Consistency

)で説明することができる。

一方、リレーションシップリレーションシップ・パートナーとしての価値は、ブラ ンドそのものを人間として捉え、消費者が人間同士の関係のように、 ブランドとの友 好 な 関 係 を 形 成 し よ う と す る こ と を 意 味 す る

(Blackston,1993; D.Aaker, 1996;

Fournier, 1998 ; Aaker et al.,2004; Sweeney and Brandon,2006; Sweeney and

Bao,2009)

。消費者とブランドの間で友好的な関係性が形成されれば、長期に渡る安定

的なロイヤルディを獲得することが期待される。

ブランド・パーソナリティにおける象徴的価値、自己表現価値は古く

1950

年代から 注目されてきたが、リレーションシップ・パートナーとしての価値は、

1990

年代、リ レーションシップ・マーケティングの発展と共に注目され始めた。ゆえに、ブランド・

パーソナリティにおけるリレーションシップ・パートナーとしての価値の効果に関す る研究はまだ数が少なく、初期の段階であるといえよう。リレーションシップ・パー トナーとしての価値に関する研究はこれから期待される分野である。

2.企業側での効果

本稿ではブランド・パーソナリティが企業側に与える効果を①自己適合性における 効果(自己イメージによる効果、多要素を媒介とした適合性効果)、②自己イメージと ブランド・パーソナリティ効果(自己イメージの媒介としてのブランド・パーソナリ ティ、自己イメージとユーザー・イメージ比較による効果)③ブランド・パーソナリ ティの直接効果(効果中心、先行要因中心)の3つに分けて考察した。

初期のブランド・パーソナリティ研究は、ブランドを自己表現手段として利用する

「自己表現価値」研究に由来する。自己表現価値において重要な要素は自己イメージ である。そのために、どのような自己イメージがポジティブな消費者行動に結びつく かを明らかにする研究が主に行われた。それが、自己適合性効果研究である(参考資

P.136

)。その後、他の要素を考慮した自己適合性効果に関する研究が蓄積された。

例えば先行研究として、広告メッセージを媒介要因としての自己適合性効果に関する

研究や(

Greaf,1996

)、ブランド・リレーションシップを媒介とする自己適合性効果に

関する研究が見られる(

Kressmann et al.,2006

)。そのような自己適合性関連の研究 は近年、個人が自分の好きなブランドを自己イメージの一部として捉えることを示す

「 自 己 イ メ ー ジ に お け る ブ ラ ン ド ・ エ ン ゲ ー ジ メ ン ト (

Brand Engagement in

Self-Concept

BESC

)」に発展し、消費者とブランドのより密接な関係性の形成過程

の解明に迫っている(参考資料

P. 137

参照)。

1997

年、

J.Aaker

BPS

以降、客観的にブランド・パーソナリティを測定するツ

ールが備え、その尺度を用いて直接ブランド・パーソナリティを測定し、その効果を 検証する動きが見られた。自己適合性研究においては、ブランド・パーソナリティを 自己イメージの先行要因として捉え、ブランド・パーソナリティの消費者行動への効 果を検証する研究が行われた(

J.Aaker,1999,2004;

松下

2002a, 2004)

。 参考資料

P.138

に研究の概要を掲載している。また、初期のブランド・パーソナリティの研究で

はブランド・パーソナリティの測定において、ユーザー・イメージ測定という間接的 な測定を行ったのだが、

J.Aaker(1997)

以降、ブランド・パーソナリティを測定するた

めの直接的な尺度が開発され、それらを用いてユーザー・イメージとブランド・パー ソナリティの概念や効果を比較する動きが現れた(

Lannon,1993; D.Aaker,1996;

Patterson; 1999; Plummer, 2000; Helgeson and SuPhellen,2004; Assarut,2007;

Parker, 2009)

。参考資料

P.139

でそれらの研究概要をまとめた。

Assarut(2007), Helgeson and SuPhellen (2004), Parker(2009)

の研究から、ユーザ ー・イメージとブランド・パーソナリティの概念が独立的な関係であることが指摘さ れた。今までの研究では自己適合性理論のコンテクストでブランド・パーソナリティ を捉えてきたが、その後、自己イメージとは独立したブランド・パーソナリティの直 接的効果を検証する研究が行われた(

Kim et al.,2001;

後藤

,2006;

白井

,2006a;

白井

, 2006b Freling and Forbes ,2005 ; Beldona and Wysong ,2007; Brakus et

al. ,2009 ;

)。ブランド・パーソナリティの直接的効果を検証した研究は、効果中心の

研究と先行要因中心の研究に分類することができる。以上のブランド・パーソナリテ ィによる企業側の効果のまとめを参考資料

P.140-141

で示す。

以上の内容から、① 自己表現価値は消費者、企業双方にベネフィットをもたらすこと、

②リレーションシップ・パートナーとしての価値も同様に、ベネフィットをもたらすこと が確認された。自己表現価値とリレーションシップ・パートナーとしての価値は象徴的 価値を構成する要素であるので、③ブランド・パーソナリティは象徴的価値提供によ って、消費者側、企業側、双方においてベネフィットを与えることが考えられる。

では、ブランド・パーソナリティは象徴的価値のみに効果を与えるのだろうか。白 井

(2006a, 2006b)

、後藤

(2006)

は製品カテゴリーーにおける研究によって、ブランド・

パーソナリティは属性強調型製品においても効果があることを検証した。

既存の自己適合性研究では、主に象徴的価値の強い製品における影響を検証したが、

J.Akaer

BPS

によって、象徴的製品だけではなく、機能的製品までその応用範囲が

広がった。それはブランド・パーソナリティの形成要因に起因すると考えられる。ブ ランド・パーソナリティを形成する要因には、自己イメージ、使用者のイメージも含 まれるが、その他のマーケティング変数も含まれている。それらの人間以外の要因に よって、ブランド・パーソナリティの範囲が機能的製品にまで広がったのではないか と筆者は考える。

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