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BSO シンチレーターの APD 読み出しにおける測定

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第 6 章 宇宙線を用いたノイズレベルの測定

6.3 ノイズの測定

6.3.1 BSO シンチレーターの APD 読み出しにおける測定

本実験では、1cm×1cm APD5mm×5mm APDそれぞれ5個のサンプルを用いて 測定した。BSOシンチレーターにAPDとプリアンプを取り付けた状態でノイズレベルを 測定するため、テストパルスを送ってデータを収集した。テストパルスを用いて得られた 波形1イベントのデータの例を図6.3に示す。

図6.3: テストパルス1イベントのデータ

図中に示した線はこの波形から波高を得るためにフィットを行ったものである。波形を 時間tの関数で表すには式6.1のf(t)を用いた。ここでnはシェーパーの回路構成で決 まり、n=5に固定した。at0τはそれぞれ波高、パルスのスタート時刻、時定数を表 し、この3つがフィットで得るパラメーターである。なお、FADCのペデスタルはゼロで はないため、フィットの際はペデスタルを定数のパラメーターとしてf(t)に加えた関数を 用いた。

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6章 宇宙線を用いたノイズレベルの測定

f(t) = a

nnen(t−t0

τ )nexp(t−t0

τ ) (6.1)

1cm×1cm APD1個を用いて収集した500イベントの波高aの分布を図6.4に示す。波 高分布はガウス分布に従っており、この分布をフィットした結果、ノイズレベルσは4.722 FADCカウントとなった。このようにして5mm×5mm APDと1cm×1cm APDの複 数の個体について測定を繰り返した結果を図6.5に示す。

図6.4: 5mm×5mm APDを用いて、V50の逆バイアスを印可した際のテストパルス500 イベントの波高分布

測定の結果、5mm×5mm APDのノイズレベルは4.7 FADCカウント、1cm×1cm APDのノイズレベルは8.1 FADCカウントで、試験したAPDのサンプル間で顕著な個体 差は認められなかった。

6章 宇宙線を用いたノイズレベルの測定

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図6.5: ノイズレベル測定結果

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6章 宇宙線を用いたノイズレベルの測定

 次に宇宙線を用いて得られた結果を示す。波形1イベントのデータの例は図6.8である。

テストパルスを用いた測定と同様に、FADCのペデスタルを定数として信号波形を式(6.1) でフィットした。波高aの500イベント分の分布を図6.7に示す。

図6.6: 宇宙線1イベントのデータ

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図6.7: 5mm×5mm APDを用いて、V50の逆バイアスを印可した際の宇宙線500イベン トの波高分布

一般的に、物質中の荷電粒子が通過する際のエネルギー分布は高い方にテールを持つラ ンダウ分布になるため、それに対応してLogarithmic Gaussian(6.2)で波高分布をフィッ トした。

f(t) = N (−x)σ0

exp(−1 2

1

σ0 ln( −x

−µeσ20)) (6.2) ここで

= σ

a +µy=a√

2 ln 2、σ0= ln(y+√ 1 +y2)

2 ln 2 (6.3)

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6章 宇宙線を用いたノイズレベルの測定

また、フィッティングパラメーターは次の4つである。

N:規格化定数 µ:平均値

σ:標準偏差

a:非対称度

ここで、パラメーターµの値がBSOシンチレーターの波高hとなり、図6.7に示した 測定では99.03 FADCカウントとなった。

この測定を5mm×5mm APDと1cm×1cm APDについて繰り返した結果を図6.8に 示す。

6章 宇宙線を用いたノイズレベルの測定

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図 6.8: 波高測定結果

測定の結果、5mm×5mm APDの波高は100 FADCカウント、1cm×1cm APDの波

高は200 FADCカウントとなった。ノイズレベルと波高の測定結果を見ると、主にデバイ

スの静電容量によって決まるノイズレベルよりも、量子効率および増幅率が寄与する波高 の方がAPDの各サンプルごとの個体差は大きめにでているが、5個の平均値を基準とし て±5%以内に分布している。

E.N.E.は、σhを用いて式(6.4)で求めることができる。ここで∆Eは宇宙線のµ粒 子が結中を通過する際のエネルギー損失である。

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E.N.E= ∆E×σ

h (6.4)

本実験では、断面が2.2cm×2.2cm、長さ18cmのBSOシンチレーターを用いたので、

エネルギー損失∆Eは19MeVである。よってAPDをBSOシンチレーターの読み出しに 用いた場合、E.N.E.は5mm×5mm APDでは0.89MeV、1cm×1cm APDでは0.77MeV となった。ここで5mm×5mm APD1cm×1cm APDと比べ、受光部の面積が約1/4 であるにも関わらず、結果として得られるE.N.E.の差が比較的小さいのは、デバイスの端 子間容量が5mm×5mm APDは約80pFであるのに対して1cm×1cm APDは約270pF と大きいため、シェーパーの時定数を30nsと短くしていることと関連して、容量に比例 してノイズが大きくなることに原因がある。

 等しい受光面積で比較するため、5mm×5mm APDを4個つけた場合、得られる波高 は4倍、ノイズレベルは2倍になると考えると、E.N.E=0.45MeVと見積もることができ る。したがってコストの増加が許容される範囲ならば、受光面の合計が同じ1cm×1cm APD1個を5mm×5mm APD4個のアレイで置換し、それらの信号出力を独立に読み出 せる複数のプリアンプを内蔵したカスタム集積回路(ASIC)と組み合わせることが性能改 善をもたらすことを示唆している。

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