zn/<a・,_,am>ニzn/〈b1,_,bm>
証明 行列ATはAに列基本変形を次々と行った行列である。そこで、
T・Tl…Tp(T1,_,Tpは基本行列)とし、 AにTlからTiまでを順に右 からかけた行列を、
ATi …Ti 一 (aii),..., a,S(S))
と表すことにする。
このとき、(aii),_,a卿)=(aii−1),_,a鏡一1))Tiより、(alの,...,a幻)は、
(aii−1),...,a鋤1))の縦ベクトルを並び替えたものか、1つの縦ベクトルの 符号を変えたもの、または補題2.5.2のように1つの縦ベクトルにほかの ベクトルのスカラー倍を加えたものである。
よって、補題2.5.2の式(2.11)より、
〈ai 一1),_,・Sri)〉==〈ai ),...,・鋤
であるから、
〈ai,・一.,a.〉 =〈aSi),...,afi(i)〉
一 〈ai2),..., aA )〉
一〈aiP),...,ashP)〉 = 〈bi,…,bm>
である。以上より、zn/〈al,… , a.〉=zn/〈b1,_,bm>が示せた。 □
補題2.5.4整数n次正則行列で、行列式が土1であるものをAとする。
このとき、次の写像!は同型である。
f:zn 一〉 zn
x H一〉 f(x) = Ax (x E Z )
第2章 タイルホモロジー群 32 証明 !が準同型であることは明らかなので、!が全単射であることを示 す。写像が全単射であることと、写像に対して逆写像があることは同値 であることから、!の逆写像があることを確かめる。、4−1が整数n次正則 行列であれば、次の写像gが定まる。
g:Zn 一〉 zn
x H g(x) == A−ix (x E z )
実際、n次単位行列をEn、 Aの行列式をdetA、 Aの余因子行列をAと
すると、
AA 一 (det A)En であることから、
1 ..
AA = En (det A)
となるので、
l r A−1=
(det A)
となる。
detA =士1であり、Aは整数n次行列であるから、( 1det A)Aは整数n次 正則行列である。よって、!には逆写像!一1=・ gが存在するので!は全単 射である。
以上から、!は同型であることが示された。 □ 補題2.5.5a1,...,amをそれぞれznの元とする。このとき、同型な写像 f:Zπ一→Zηによって定まる、次の写像は同型である。
f : z /〈ai , . . . , a.〉 一 Z /〈f(ai), . . . , f(a.)〉
[X] H [f(X)]
証明 まず、
[x] = [y] ==〉 x−y E (al,...,am>
一〉 f(x) 一 f(y) E 〈f(ai),...,f(a.)〉
一〉 [f(x)] 一 [f(y)] E Z /〈f(ai),...,f(a,n)〉
であるから、この写像はWell−Definedである。
また、!が同型であることから、この写像は明らかに準同型であり、全 射である。
第2章 タイルホモロジー群 33
よって、この写像が単射であること、つまり!の核が{[0]}であること がいえれば、この写像が同型であるといえる。!の核の任意の元国につ
いて、
f([x]) 一 [o] } [f(x)] == [o]
一〉 f(x) E 〈f(ai),...,f(a.)〉 (2.12)
=〉 xE 〈ai,..., a.〉 (2.13)
=〉 [x] = [O] ( Zn/〈al,...,a.〉
であることから、fの核は{[0】}である。式(2.12)から式(2.13)への変形 は、f一1を用いている。
以上より、この写像が同型であることは示された。 □ 補題2.5.3から補題2.5.5までを用いて次の定理を導く。
定理2.5.6m個のznの元(縦ベクトル)を並べたn行m列の整数行列
A=(a1,_,am),B=(b1,...,bm)について、整数基本行列のnc S, Tを 用いて
B = SAT
が成り立つとき、群zn/<a1,...,am>とzn/〈b1,...,bm>は同型である。
証明 0=ATとおき、0=(c1,...,Cm)とすると、 Tは基本行列の積な ので、補題2.5.3より
Zn/〈ab...,am> == Zn/〈cl,...,cm>
が成り立つ。
次に、整数基本行列の行列式は±1なので、それらの積であるθも行列 式は土1であり、補題2.5.4よりSは、
f:zn 一一〉 zn
xH sx (x E zn, sx E zn)
である同型写像!を導く。
さらに、補題2.5.5より、この!によって定まる写像
f , zn/〈c,, . . . , c.〉 一 zn/〈f(ci), . . . , f(c.)〉
[X] H [f(X)] =一 [SX]
第2章 タイルホモロジー群 34
は同型である。ここでB=SCより、
bj 一 f(ci) (1 SiS m, 1 S 2」 〈一 m,iE Z, 2 E Z)
なので、以上をまとめて
zn/〈a1,_,。m>一Z・/〈C15_,。m> 工Z・/〈b、,_,bm>
[x]N[x] 4[sx]
であるから、上の写像は同型である。 〔コ これらのこと及び定理2.4.2の単因子論から、次の定理を得る。
定理2.5.7n行m列の整数行列A=(a1,...,am)について、 Aの単因子
がbl,_, brならば、
Z /〈ai , . . . , a.〉 or Z/biZ × ・ ・ × Z/ brZ × IZ一).S一:〈. EZIX Z
n−r個 が成り立つ。
証明 定理2.4.2により、整数基本行列の積S,T(θはn行n列、 Tはm
7imi」iJ) :}rHivN cs sAT = ( i5
b.
理2.5.6より
Z /〈ai,...,a.〉 = Zn/〈bi,...,b,〉
が成り立つ。ただし、
b,X /O O I lb,
i・ 1 1 o
bi = 1 1 1,b2 = 1 1 1 一,br =
ol XO
s〕一・定
0⁝0砺0⁝0
第2章 タイルホモロジー群 35
である。
Z・ ・) 」Eを縦に並べたベター
i1)と表すとき・これ対応する
z・/〈b・,…,b・〉の元を
m1]と一のとき・z・/〈b・,…,br>の2元
[1],[1]に一次一
[Z :. ] == [11 / = (11. ) 一 (// 1) E 〈bi b >
klbl
⇔じ)お
6
Zl E wl (mod bl)
Zr iii IVr (MOd br)
O
Zr十1 = Wr十1
Zn = Wn であるので、
zi (mod bi)
z /〈ai,...,a.>D
m1 i]HIZr (.M,i.O,dbr)1Ez/bizx xZ/b ZxZ−z ltirtafE一一Z一 i.ma×Z
垢
第2章 タイルホモロジー群 の写像は同型である。
36
D
2.6 タイルホモロジー群の計算
例2.3.4ではタイルタイプ集合Σ;1=コ】Rのタイルを用いてRl,R2を
定めた。
このように、タイルタイプ集合Σ=[Ti,...,剛に対して、次のような R1,R2(∈B(Σ))を定められるときのタイルホモロジー群の一般的な計算 について述べる。すなわち、Rl,R2とは整数p, q, r, sを用いて
Ri = ap,q 一 ao,o R2 = ar,s ao,o
(ただし・(1)と(りは1次七一η≠・)とする)
(2.14)
と表されるようなB(Σ)の元である。
以後この節では、B(Σ)が式(2.14)のようなRl,R2を含むことを仮定
する。
開﹁
:,
o s xx
飼A ロβ
/
図2.2:平行四辺形OABC
このとき、図2.2のように点O、A、 B、 Cを定め、境界を含めた平行 四辺形OABCから、辺AB、辺BC及び頂点A、 B、 Cを除いた領域を、
Sと定義する。さらに、セルαi、,ゴ、,.嚇α扁nを、各セルの左下の格子点が
Sに含まれるようなセルとする。また、群Kを
K =((:),(g)>CZ2
第2章 タイルホモロジー群 37 とおく。また例2.3.4における表記と同様に、R1,R2及びそれらを平行移 動させたもので生成されるAの部分群を〈Rl,R2>Tと表す。
補題2.6.1群A/〈Rl,R2>Tは、[ai1,ゴ、],_,[αi。,ゴn]で生成される。つまり、
商群A/〈R1,R2>Tの任意の元[α]は[α]=Σ;L1副α吻」(kt∈Z)と表さ れる。
証明 Rl,R2の定義により[ai+p,ゴ+q]=[α嗣=回+瑠+。]であるので、
面一の船医潤につ・・て・ @一¢)・Kであれば
[ai,」]=[α乞 ,ノ] (2.15)
である。格子領域にあるどのセルについても、図2.2におけるAOベクト
ルとGOベクトルの平行移動を用いてS内のセルへと移動させることが
できるので、[α嗣は[ai、,ゴ、],_,[α砺,ゴ。]のいずれかと等しいことが分かる。
つまり、[α]は必ず[αi、,ゴ、],_,[αi。 ,jn]を用いて表すことができる。よって、
A/<Rl,R2>Tは、[αi、,」、],_,[ai。,ゴ。]で生成される □
Aの元α一臥緬に対して・ 早j一(S・i)・Kと鰍・の和を
[Vt(t=1,...,n)と表す。このCtはai、,ゴtのセルを、 Kの元に沿って平行
移動したセルの係数の和である。よって、このとき
la] = Xl [ail,o 1] + + Xn [ain,j n]
となる。このXl,..,Xnを用いて、次の補題を得る。
補題2.6.2Aの元α=Σ勾砺%に対して、上のように定めたZl,...,Xn を考えると、[α];[0】∈A/<Rl, R2>Tであれば、ω1;一一・=Xn=0(i=
1,...,n)である。
証明 [α]=[0]ならばα∈〈Ri,R2>Tであり、αはRl, R2及びそれを平行 移動した元の1次結合で表される。Ri,R2の定義より、 Rl,R2及びそれ
を平行移動したものは、明らかにω1=…=Xn=0を満たすので、αに
おいてもXl=…=Xn=0を満たす。 □
補題2.6.3.4/〈R1,R2>Tの元は一意的にkl[αi、,ゴ、1+…+kn[ai。 ,ゴ。]と表さ れる。
第2章 タイルホモロジー群 38
証明 A/〈R1,R2>Tの元は、補題2.6.1によりkl[%ゴ、]+…+副%,ゴ。1と 表される。このように表された2元について、
kl[aii,ji] + + kn [ai. ,」.]一kl[・・、,ゴ、]+…+藍[・in,ゴ。]
とすると
(k一kl)[α、、,ゴ、1+…+(k。 一 kA)[α縣]一[0]∈A/〈R・,R・>T
となる。
補題2.6.2により、k1−kS=0,_,砺一紘=0であるので、 k1=
昧_,砺=監である。 □
定理2.6.4群.4/〈Rl,R2>Tは、次の写像によりznと同型である。
A/〈li{li, R2>T D S., xt[ai,,」,] e (1.1) E Z
証明 上で定まるzn→A/〈R1,R2>Tの写像は明らかに準同型である。ま た、補題2.6.1により全射であり、補題2.6.3により単射であることが分 かる。 □ 定理2.6.4により、A/〈Rl,R2>T ny znである。また、式(2.15)により、
群Kの元で互いに平行移動されるようなΣの元T,T「に対して、[T]=
[T ]∈A/〈Rl,R2>Tである。 B(Σ)/〈Rl,R2>Tはすべてのタイルで生成さ れるA/〈Rl,R2>Tの部分群であるが、実際には[T]=[T ]の関係から、有 限個のタイルで生成されることが分かる。すると、
H(£) E1i! (A/〈Ri, R,>T)/(B(2)/〈Ri, R2>T)
により、H(Σ)はzn/〈a1,_,am>の形で表されることとなり、B(Σ)が式
(2.14)のようなRl,R2を含む場合には、定理2,5.7によってタイルホモロ ジー群を単因子の計算で決定することができる。
上記の方法による、タイルホモロジー群の具体的な計算例をあげる。
例2・6・5タイルタイプ難一 m[∵よって符号付きタイリング
可能であるための格子領域Rの条件を求める。
第2章 タイルホモロジー群
R1_ lae・o I 2:0_
R2 =
2
o
・!・煽二日11ヨ
I I
I I I L . _一一一一 .一 一
・」 :ll田
・ 1一日
図2.3:R,, R2の定め方
39
Σのタイルを用いて、図2.3のようにR1,R2を定める。このとき、Ri=
α2p一αo,o、 R2=αo,2一αo,oであり、領域Sは図2.4の白い部分となる。ま た、S内に左下の格子点を含むセルはα0,0,α1ρ,αO,1, al,1となる。
群.4/〈Rl,R2>Tにおいて、補題2.6.1の式(2.15)により
[ai+2,」・] = [ai ・]
[ai, ・,+2] = [ai,,」v]
であり,A/〈Rl,R2>Tの任意の元[α]は
[ctz] == ki[ao,o] + k2[ai,o] + k3[ao,i] + k4[ai,i]
と表される。このとき、定理2.6.4より次のことが成り立つ。
A/〈Ri, R2>. r一 一 z4
(2.16)
(2.17)
(2.18)
これを図で表すと、A/〈Rl, R2>Tにおいては、[α]は図2.4のαo,o,α1,0,αo,1,α1,1
の部分のセルの和で代表されるということである。
図2.4:αはこの図の白い部分のみで代表される
[ヨの置き方は、場所を櫨に入れな1ナれば図2.5の8通りである.
第2章 タイルホモロジー群 40
EgVEF G
ロコ『[ヨ』
図2.5:タイルの置き方
菰。・
raZ,
国﹈﹃
9}o:Lauo,o
﹄ ﹄
図2.6:セルαo,oを含むタイルの置き方
第2章 タイルホモロジー群 41 そこで、この8通りの置き方でセルαo,oを含む、図2.6のようなタイル
を考える。
このとき、図2.6のタイルをA/〈Rl,R2>Tの元として考えると、式(2.16)、
(2.17)により、これらは.4/〈Rl, R2>Tの中ですべて、2[αo,o]+[α1,0]+[αo,1]
と表される。つまり、この8通りのタイルはすべて.4/〈Rl, R2>Tの中では 等しいといえるので、次の式が成り立つ。
閏一円一固一門
一トー円一圃一「司・A/〈一
よって、置く向きは1種類だけ考えればよいことがわかる。つまり、
ao.I
@I
@,ESi I ,ao111,aln■ の4つについて考えれば、タイ ルタイプ集合Σのすべての元について、対応するA/〈Rl,R2>Tの元を考えたことになる。これらは、.4/〈Rl, R2>Tの中では
in] .一 2[a,,,] +[ai,o] +[ao・i] e(1)
FL ] 一一 [ao,o] +2[ai,o] +[ai,i] e()
臼一圃咽祠一/〕
岬]一鞭祠一①
第2章 タイルホモロジー群 42
であるので、式(2.18)の同型によりA/〈Rl,R2>TをZ4と同一視すれば、B(£)/〈R,,・R・〉・…
q①,(1川!〕〉
と表される。以上により、タイルホモロジー群H(Σ)は、
H(Z) == A/B(£) = (A/〈R,, R,〉.) /(B(Z)/〈Ri, R2>T)
畝〔i〕,〔州,①〉
として計算することができる。
θ一概1〕,T一(1糧
を用いて、
s〔■〕T一儲1〕
というように、単因子の行列に基本変形できる。
このことから、定理2.5.7より、
H(:) ;i Z/Z × Z/Z × Z/4Z ×Z
2Z/4Z×Z
である。
) ei , g」ZN ti i」 iJ OER 6N 2E S 2i, 6 ti i」 [J
ユ ユ
ー︻﹇1
(2.19)
第2章 タイルホモロジー群 43 ここで、式(2.19)の同型を与える写像について整理する。つまり、格
子領域Rについて、[珂==XO,O[α0,0]+X1,0[α1,0]+XO,1[αO,1]+Xl,1[α1,1]∈
.4/〈Rl,R2>Tのとき、 R∈H(Σ)に対応する元を各群において考える。
・(A/〈R1,R2>T)/(B(Σ)/<Rl,R2>T)において対応する元は、@o,o[αo,o]+
Xl,O[α1,0]十XO,1[aO,1]十C1,1[α1,1D十B(Σ)/〈Rl,R2>Tである。
・蝋〔i川}),〔i)〉一一・
cx/;?)+〈c/)・O・OC/)〉
である。
・一一一 ヨゼ∵蕗∫㌦〕
である。
つまり、H(Σ)ny Z/4Z×Zの対応で、上記のRに対応するZ/4Z×Zの
元は、(一2xo,o−xl,o+ωo,1(mod 4),xo,o−xl,o 一 xo,1+ω1,1)である。
これより次のことがいえる。
定理2.6.6値が0または1であるs,tに対し、格子領域Rの中の、乞≡8
(mod 2)》≡t(mod 2)となるセルαi,ゴの数をx。,tとおくと、 Rがタイル タイプ集合Σ一
m[乱で符号付タイリングされるため噸+分条
件は、
{
2xo,o 十 3xl,o 十 xo,1 E O (mod 4)
カ、っ (2.20)
XO,O 十 Xl,1 = Xl,O 十 XO,1
である。特に式(2.20)は、Σでタイリングされるための必要条件である。