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ドキュメント内 群論を用いたタイリング問題の判定 (ページ 73-85)

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三網

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図3.10:左:nが偶数のとき、右:nが奇数のとき

 このLi2,nを複数個、適宜nを調整して横に並べることにより、図3.8 の格子領域L12iC,nはΣでタイリング可能である。         □  補題3.5.1のタイリングと補題3.5.2のタイリングを組み合わせること で、n≡0,2,9,11(mod 12)のときR.はΣでタイリング可能である。

 次に、タイリングが不可能な場合を考える。次の定理3.5.3のように、

タイルタイプ集合Σのタイルの面積が全て3であることもタイリング問 題の判定に用いることが出来る。

補題3.5.3n≡1(mod 3)のとき、格子領域凡はタイルタイプ集合Σ でタイリング不可能。

証明 セルの面積が1なので、.R,,の面積Snは、

       n(n + 1)

       Sn=

       2

第3章 タイルホモトピー群 73 である。Σのタイルの面積は全て3であるので、Sn≠0(mod 3)であれ ばタイリング不可能だと判定できる。

 ここで、n≡1(mod 3)だとすると、 Sn≠0(mod 3)となるので補題

は示された。       □

 以上により、nE O, 2, 9, 11(mod 12)であるとき、 RnはΣでタイリン グ可能であり、n…1,4,7,10(mod 12)であるとき、 RnはΣでタイリン グ不可能であることが分かる。

 以下、残りのn…3,5, 6, 8(mod 12)のときについて考えていく。

 まず次の補題を用意する。

補題3.5.4図3.11に示すような、RnからR3を除いて得られる格子領 域(Rn−R3)は、 n≡3,5,6,8(mod 12)のときタイルタイプ集合Σ=

F』]によってタイリング可能・

,/声か

図3.11:格子領域(Rn 一 R3)

証明

i)n=5,6,8のとき、図3.12のタイリングにより、n=5,6,8のとき、

 定理は成り立つ。

ii)図3.13の格子領域P2は、図のようにタイリング可能である。

iii)次に、図3.14に示すような、 R12+mからRmを除いて得られる格子  領域(Ri2+m 一 Rm)(mは非負整数)のタイリングを考える。

1)mが奇数のとき、図3.15のようにR!lのタイリングを用いて、

 残りの部分にP2を複数個用いることでタイリング可能

第3章 タイルホモトピー群 74

図3.!2:n=5,6,8のときのタイリング

図3.13:タイリング可能な格子領域P2

II)mが偶数のとき、図3.16のようにR12のタイリングを用いて、

 残りの部分にP2を複数個用いることでタイリング可能

である。

 以上により、図3.!2のタイリングとiii)の複数個の(Ri2+m−Rm)のタ イリングを組み合わせることで、(Rn 一 R3)は、 n≡3,5,6,8(mod 12)

のとき、Σでタイリング可能である。       □

3.6 タイルホモトピー群による判定

 最後に、残されたn≡3,5,6,8(mod 12)の場合のRnについて考える。

 まず、第2章で述べたタイルホモロジー群を用いて判定することを考え る。タイルタイプ集合Σを用いてRl,R2(第2章で用いたRl,R2という記 号はこの章ではn=1,2のときの格子領域Rnと混同してしまうため、こ の記号で代替する)を、図3.17のように定めると、Rl=α1,2 一 ao,o,R2=

α2,一αo,oであり、領域Sに左下の頂点が含まれるセルは図3.18の左の図 の白い部分である。

第3章 タイルホモトピー一ge 75

γ

1

図3.14:格子領域(1〜12+m−R鵬)

kT r

臣」「

碑旭■   .  .−   .H

百  .∫

へ冒   扁﹁﹁

図3.15:mが奇数のとき

Pffrri 1.i ︸12ズ \鮮日日. 日 一2  .嶽鐸

図3.16:mが偶数のとき

…蟹」一 ネ=L円

R2= x豪丑藝=直周

 図3.17:Rl,R2の定め方

第3章 タイルホモトピー群 76

1礁憂

        磯

魏麟

 1   1

㌻麺難

図3ユ8:領域Sに左下の頂点が含まれるセル

 このとき、商群A/〈Rl,R2>ZZ3である。 A/〈Rl,R2>において、[α2,2]=

[α1,0]であるので、[αo,o],[α1,0],[α1,1]は.4/〈Rl,R2>の生成元である。

 .4/〈Rl, R2>においてΣのタイルは、

[[g] = [[EEII = [di] = [EF】]一円一F】]

       一 [ao,o] + [ai,o] + [ai,i] e (1)

であり、これはΣの元が全てA/〈Rl, R2>において[αo,o]+[al,o]+[α1,1]

であることを示している。つまり、B(Σ)/〈Rl, R2>={k([αo,o]+[α1,0]+

[α1,1])lk∈Z}であり、.4/〈Rl, R2>2Z3により、A/〈Rl,R2>をZ3と同

一視すると・B(£)/〈Rl,・R2>…

q(i)〉と表されるのでター・

ジー一ge・H(Z)・ca・H(Z)… Z3

^〈1)〉とな6・

 次に、補題3.5.4で見たように、格子領域(Rn−R3)はΣでタイリング 可能であるから、定理2.3.2によりタイルホモロジー群の中で(Rn−R3)

は消える。よって、

Rn = (Rn 一 R3)+ R3 = R3

第3章 タイルホモトピー群

である。さらに、格子領域R3は、 A/〈R1,R2>の中で

[R3] = 2[ao,o] +2[ai,o] +2[ai,i] e ( G) ) E ( (1) )

77

となる。よって、Rn=R3=0∈H(Σ)となってしまうことから、タイル ホモロジー群による計算ではR3のタイリング可能性が否定できないこと

が分かる。

 そこで次に、タイルホモトピー群による計算でタイリング可能性を判

定する。

 まず格子領域Rnを、格子領域(Rn−R3)と図3.19の格子領域R3に分 割し、このR3について考えていく。

      .上」

      一:1       ず

図3.19:格子領域R3と辺e1

 定理3.4.2の条件を満たす群Gが存在すれば、図3.19の辺e1∈△R3に 対して、W(∂R3(el))≠T∈π(Σ)が成り立つ。そこで、そのような群G を構成することを考える。まず、そのために用いる四元数体と半直積に ついて簡単に述べる。

定義3.6.1不定元i,」,kを考え、1,i,」, kを基底とするR上の1次結合の 集合IHI={α+玩+cブ+dk 1α,b, c, d∈R}について、乞,ゴ沸が

 i) i2 == 」2 == k2 = 一1,

ii)  ②ゴ = 一画ノi = k,   」ノk =  一h/ @= i,   ki = 一ik = 」

を満たすとして積を導入すると、体になる。このHを四元数体という。

 集合H一{0}は積に関して群になるが、一元数体Hの部分集合H;

{士1, ±i,土ブ,±k}もまた積に関して群となることが容易に確かめられる。

第3章 タイルホモトピー群      78

定義3.6.2群G1,G2に対して、次の写像gを考える。

       g:Gl × G2 一〉 G2       (α,ん)→ρ。(ん)

 任意のα,b∈Gi,h, h ∈G2に対して、この写像¢が次の3つを満たす とき、Giが(qにより左から)G2に作用しているという。

 i) ¥フαb(h) = 9クαOqb(ん)

ii) q.(hh ) = qa(h)qa(h

iii)Giの単位元eについて、ψ.(h)=h

 Giが(72にρで作用しているとき、直積集合G2×Glに

        (hi,ki)(h2, k2) = (hiqk,(h2), kik2)

という演算を定めると群になる(群になることの証明は参考文献同を参 照)。この群を、GiからG2への作用による半直積といい、 G2 ×(?iと表す。

定義3.6.3αで生成される位数3の巡回群〈α〉と六盗数体IHIの部分群H=

{士1,土i,±ブ,士k}に対して、〈α〉のHへの作用を次のように定める。

g。(土1)=±1,g。(±i)=±」, q。(士の=士k, g。(±k);±i(複号同順)

 また、α2の作用であるg。2は、q、を2回適用するということである。

このように定めたgは定義3.6.2の条件を満たす。

 このときの、〈a>とHとの半直積をしとする。半直積Lは定義通り考 えると、集合として〈α〉とHの直積集合だが、群の直積と区別がつきに くいので、ここでは(h,αn)∈H×〈α〉に対応する半直積の元をhαnで表 す。つまり、

      L= {ha lh E H, a  E 〈a>}

である。演算は、(h1αn)(h2αm)=hi9。n(h2)αn+m(hl, h2∈H)で定めら れる。

補題3.6.4上で定めた半直積しとHをさらに直積した群五×Hを考え

る。このとき、L×Hの部分群〈(一1,一1)〉は、正規部分群である。

第3章 タイルホモトピー群       79

証明 L内でも(一1)2=1なので、〈(一1,一1)〉の元は(!,1),(一1,一1)であ

る。L×Hの任意の元(hian,h2)(h1∈H, h2∈H)に対して、

 e (hian,h2)(一1, 一1) = (hia (一1),h2(一1)) = (hig.n(一1)a ,一h2)

       = (hi(一1)a ,一h2) = (一hia ,一h2)

 e (一1, 一1)(hia ,h2) == (一hia , 一h2)

となるので、(h1αn, h2)(一1,一1);(一1, 一1)(hiαn, h2)となる。また、明 らかに(hiαn,h2)(1,1)=(1,1)(hian, h2)であるので、

      (ん、a , h2)〈(一1,一!)〉一〈(一1,一1)〉(ん・αn,h2)

となり、補題は示された。       □  ここで、定理3.4.2の条件を満たす群σを、群五×Hをその正規部分

群〈(一1,一1)〉で割った群(]=L×H/〈(一1,一1)〉で定める。商群G=

L×H/〈(一1,一1)〉の中では、Gの任意の元(x,y)と←x,一y)は等しいこ とになる。

 群G=L×H/〈(一1,一1)〉の2元X,yをX=(α, i),Y=(ia,のとお き、次の命題を導く。

命題3.6.5群Gにおいて、

     {

      (xy)2x−2y−2 = x2y2 (x−iy−i)2 = e E G

       (3.12)

      (XY)3X 3Ym3 74 e E G が成り立つ。

証明式(3.12)を示すには、(xy)2=y2×2,(yx)2=X2y2,(XY)3≠

y3×3を示せばよい。

 まず、XX, y}〜X乳γXについて整理しておく。

 e XX = (a, i)(a,i) = (a2,一1)

 e YY = (ia, 」 )(ia, 」 ) == (iaia,一1) = (iq.(i)a2,一1) = (ka2,一1)

 ・XY=(α, i)(iα,の一(畝乞ブ)一(9。(i)α2, k)一(ブα2,た)

 ・yx一(iα,」)(α,の一(αα,ブの=(α2,一ん)

第3章 タイルホモトピー群       80

である。これを利用して、(XY)2,y『2×2,X2y2,(xy『)2を計算する。

(XY)2 一= (XY)(XY) 一 (o a2,k)(] a2,k) == (/ a2] a2,k2)

        一(ゴ9。・(ゴ)α4,一1)=伽,一1)一(一k・,一1)一(k・,1)

y2x2 一 (yy)(XX) 一 (ka2,一1)(a2,一1) 一 (ka ,1) =一 (ka,1)

X2Y2 = (XX)(YY) = (a2, 一1)(ka2, 一1) = (a2ka2, 1)

       = (ga2(k)a4, 1) = (/ a, 1)

(YX)2 一 (YX)(YX) 一 (ia2,一k)(ia2,一k) 一= (ia2ia2, k2)

        一(ゆ。・(のα4,一1)=(楓一1)一(一ゴ・,一1)一(」・,1)

よって、Gにおいて(XY)2=y 2×2,X2yF2=(YX)2が成り立つ。

次に、(xy)3,Y3×3を計算する。

(XY)3 一 (XY)2(XY) == (ka, 1)(] a2, k) 一 (ka/ a2, k)

       一(幅(ゴ)α3, k)一(kk,・k)一(κ2, k)一(一1淘

y3x3 = (YY)(YX)(XX) = (ka2, 一1)(ia2, 一k)(a2, 一1)

     == (ka2, 一1)(ia4, k) == (ka2ia4, 一k) = (kg.2 (i)a6, mk)

      一 (kk, 一k) 一 (一1, 一k) 一 (1, k)

 よって、(xy『)3≠Y3×3∈Gが成り立つ。      □ 補題3・6・6格子領域R・・タイ・レタイプ集合Σ 一 [Ti, T2]一F』]に対

して、

        W(OR3(ei)) 7C 1 E r(£) (ei G AR3)

が成り立つ。

証明Tl,T2の左下の頂点を始点とする辺をそれぞれeT、,eT2とすると、

       W(OTi (eT, )) = xyxyx−2y−2 = (xy)2.一2y−2

第3章 タイルホモトピー群

     W(∂T2(・。、))一X2y2X 1〃一1ガ1ガ1一吻2@一1ザ)2 であり、また

   W(OR3 (ei))=Xy・〃Xy・ X iX 1〃一ly一 y 1一伽)3∬%一3

81

である。命題3.6.5により、定理3.4.2の条件を満たす群Gが存在するの で主張は成り立つ。

定理3.6.7n≡3,5,6,8(mod 12)のとき、

集合Σ一[Edi]によってタイリング不可能である

D

格子領域Rnはタイルタイプ

       (3.14)

となる。補題3.6.6から、W(∂R3(e1))≠T∈π(Σ)であるので、式(3.14)

により

       Mi(OR.(ei)) 7C 1 E T(E])

となる。よって、定理3.3.9の対偶から、格子領域Rnはタイルタイプ集

合Σによってタイリング不可能である。       □

証明 図3.20のようなe1∈△R3∩△Rη,e2∈△(Rn−R3)に対して

      W(aR.(ei)) 一 W(OR3(ei))W(0(R. 一 R3)(e2))

が成り立つので、

   VV(OR.(ei)) 一 W(OR3(ei))W(0(R. 一 R3)(e2)) E T(X) (3.13)

である。

 補題3.5.4により格子領域(Rn−R3)はタイルタイプ集合Σでタイリン グ可能であるため、定理339より

         W(0(R.   R3)(e2)) == 1 E T(2)

である。よって、式(3.13)は

     W(∂R。(e1))==W(∂R3(e、))W(∂(丑バR3)(e2))

      = W(OR3(ei)) VV(0(R. 一 R3)(e2))

       一 W(OR3(ei)) 1        == W(OR3(ei)) E 7r(X)

第3章 タイルホモトピー群 82

/el

工一

n ≒

図3.20:RnをR3と(Rn−R3)に分割し、辺e1,e2をとる  この節の冒頭で行ったタイルホモロジー群H(Σ)による計算では、η≡

3,・5,・6,・8(m・d12)のとき・タイ・レタイプ集合Σ一[r,』]による格子領

域Rnのタイリング可能性を否定することは出来なかった。しかし、タイ ルホモトピー群π(Σ)による計算によって、タイリング可能性を否定する

ことが出来た。これはつまり、タイルホモトピー群π(Σ)の方が、タイリ ング可能であるための真に強い必要条件を与えているということである。

 実は、どんなタイルタイプ集合Σに対しても、常にタイルホモトピー 群π(Σ)はタイルホモロジー群H(Σ)と同等以上の必要条件を与えること が知られている。

83

謝辞

 本研究を進めるにあたり、大学院入学当初からの3年間にわたる手厚 い御指導をして頂いた、指導教員の濱中裕明准教授に心より御礼申し上 げます。毎週のゼミや修士論文執筆過程においてなかなか理解の進まな い私に懇切丁寧に御付き合い頂いたこと、そして研究以外の面でも教育 実習や教員採用試験の準備等をはじめとして、数学に関することだけに とどまらず、多岐にわたる知識や御助言を与えて下さったことに深く感 謝致します。特に3年生になってからは、毎日のように朝昼晩問わず声を 掛けて頂いたことで、修士論文執筆や修士論文中間発表会に対する不安 が拭い去られていたように思います。

 また、毎日のように院生室やコンピューター室へ足を運んで頂き、激 励・応援をして下さった小池敏司教授をはじめとして、学部・大学院の授 業・講義等様々な面で御世話になった数学教室の先生方に、深く感謝致

します。

 数学教室で出会った先輩・同輩・後輩の皆さんとは、数学について、数 学教育について、教員について等をはじめとする様々なテーマについて 深く話すことが出来ました。そのことで自分の未熟さを改めて確認する ことが出来たと共に、自分がどうあるべきかということについて考える きっかけとすることが出来たことに感謝致します。

 理数系教員養成特別プログラム受講生第1期生の皆さんとは、大学院 における教員免許の取得という共通の目的を持った仲間として大変有意 義な3年間を過ごせたと思います。大変な観察実習や教育実習等を乗り 越えられたのも、皆さんとの協力の賜物だと思っております。

 教員免許を大学院で取得する理数系教員養成特別プログラムを開講し、

私に受講することを許可して下さった兵庫教育大学大学院の職員・教員・

関係者の皆様にも大変感謝しております。

 そして遠く離れた地から私の人生や将来について案じて下さった友人、

知人の皆さんにも感謝致します。

 最後に、将来への不安を覚えながらも迷走する私に大学院への進学を 許可し、日々支えてくださった家族に心より御礼申し上げます。

       平成22年12月20日       藤井洋輔

ドキュメント内 群論を用いたタイリング問題の判定 (ページ 73-85)

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