重篤な有害事象
本項に記載した重篤な有害事象に関する叙述と、他項における安全性に関する表との間に 軽微な相違が認められる場合がある。この相違は、二つのデータベース(すなわち、本項の 叙述については安全性データベース、他項の安全性に関する表については臨床試験データベー ス)に異なる目的で収集されたデータを基にそれぞれ作成されているためであり、また、デー タが収集された時期も異なるためである。ただし、これらに本質的に重要な相違は含まれず、
重篤な有害事象の全体的な臨床上の意義や理解に影響を及ぼすものではないとみなす。
治験薬と関連があると判断された重篤な有害事象について簡単に叙述する。
2.7.6. 個々の試験のまとめ
Feb 15 2016 14:38:25
2.7.6 - p. 577
治療番号: 176
症例ID: Z0000519A
投与群: VI 3群
重篤な事象: COPD
43
歳の女性被験者。COPD
治療のため本治験に組み入れられた。被験者は新規吸入用散剤 により治験薬を2008
年8
月8
日から2008
年9
月3
日まで吸入投与した。被験者は
VI 3µg
群に無作為割付けされた。関連のある医学的リスク因子はみられなかった。
2008
年9
月6
日(治験薬の投与開始から30
日後、最終投与から3
日後)、被験者は重度 のCOPD
増悪(グレード3
)を発現し入院した。2008
年9
月8
日の血液pH
は7.478
(正常範 囲:7.35
~7.45
)であった。また、呼吸困難、白色喀痰および持続性咳嗽もみられた。バイタ ルサインは心拍数110
回/分、血圧110/70mmHg
、呼吸数28
回/分で、吸気量低下、喘鳴 および鎖骨上陥凹が認められた。被験者は単語で話し、呼吸困難を伴っていた。硫酸サルブ タモール、ヒドロコルチゾンおよび酸素による治療が行われ、被験者は治験から脱落した。治療後、被験者は文章で話せるようになった。喘鳴は減少したが、鎖骨上陥凹は依然として 存在していた。全血球数は分葉核球優位の白血球増加症(
12.3
)を示していた。当初、胸部X
線で、ベースライン時と有意な差はない過剰含気が認められた。被験者の状態は軽快し、呼 吸数は16
~20
回/分、呼吸困難、チアノーゼおよび鎖骨上陥凹は消失した。依然としてわず かな喘鳴があり、白色~黄色の喀痰を伴う軽度の咳嗽がみられた。この事象は2008
年9
月15
日に回復した。治験責任医師により、COPD
増悪が治験薬により引き起こされたと考えら れる合理的な可能性があると判断された。治験薬投与中にもかかわらず肺機能検査値が(ベー スラインを下回る値まで)低下していたことから、治験責任医師はCOPD
増悪は治験薬によ る可能性があると判定した。このCOPD
増悪は低下する肺機能の終末像であった。治験責任医師からの報告内容:
被験者は
2008
年9
月7
日午後12
時頃に呼吸困難のため の緊急救 命室(ER
)を受診した。前回の来院は2008
年9
月4
日の第7
回来院であった。呼吸音は正 常で、咳嗽はなかった。治験薬の投与は2008
年9
月3
日で終了していたため、被験者は常用 していたCOPD
治療薬(サルブタモールMDI
)を使用するよう指示された。ER
受診の前日(
2008
年9
月6
日)、白色喀痰を伴う持続性咳嗽(COPD
症状スコアに基づく重症度3
)が みられた。発熱や呼吸困難はなかった。2008
年9
月7
日午前8
時頃、呼吸困難が出現し、サ ルブタモールMDI
でも軽減されなかったため、被験者は直ちにER
を受診した。当初、ER
にてバイタルサインは、心拍数110
回/分、血圧110/70mmHg
、呼吸数28
回/分の吸気量 低下、喘鳴および鎖骨上陥凹がみられた。被験者は単語で話し、呼吸困難を伴っていた。サ3
行われた。これらの処置の約
2
時間後、被験者は文章で話せるようになった。喘鳴は減少し たが、鎖骨上陥凹は依然として存在していた。全血球数は分葉核球優位の白血球増加症(12.3
) を示していた。当初、胸部X
線で、ベースライン時と有意な差はない過剰含気が認められた。その後、被験者は入院した。入院中、被験者は酸素吸入器を使用し(鼻カニューレで
2
~3L/
分)、
4
時間毎のサルブタモール噴霧が開始された。同時に、6
時間毎のヒドロコルチゾン100mg
の静脈内投与が開始された。入院初日、被験者の状態は軽快し、呼吸数は16
~20
回/分、呼吸困難、チアノーゼおよび鎖骨上陥凹は消失したが、依然としてわずかな喘鳴がみら れた。サルブタモール噴霧は
6
時間毎に1
回に減量された。白色~黄色の喀痰を伴う軽度の 咳嗽(COPD
症状スコアに基づく重症度1
)がみられた。治験依頼者の見解:
本事象は治験対象の
COPD
に起因している可能性があり、治験薬によるものではないと考 える。2.7.6. 個々の試験のまとめ
Feb 15 2016 14:38:25
2.7.6 - p. 579
重篤な事象: 高カリウム血症
62
歳の男性被験者。COPD
治療のために本治験に組み入れられた。被験者は新規吸入用散 剤により治験薬を2008
年8
月14
日から2008
年9
月10
日まで吸入投与した。治験薬の投与 は、治験実施計画書の規定により2008
年9
月10
日に中止された。被験者は腎疾患の既往はなく、その他の関連する病歴もなかった。ベースライン時のカリ ウム、尿素およびクレアチニンは正常範囲内で、血液検体に溶血の徴候はみられなかった。
2008
年9
月10
日、臨床検査結果より、カリウムが8.5mmol/L
(正常範囲:3.5
~5.3
)、尿 素窒素が11.4mmol/L
(正常範囲:2.5
~9.0
)、クレアチニンが365 µ mol/L
(正常範囲:44
~124
) であった。血液検体に溶血の徴候はみられなかった。心電図は正常で、ベースラインからの 変化はみられなかった。2008
年9
月12
日(治験薬の投与開始から29
日後、最終投与から2
日後)、被験者は重度 の高カリウム血症(グレード3
)を発現した。この事象は臨床的に重要なもの(または治療 を要するもの)であった。腎疾患の症状はなかった。被験者は腎臓専門医を受診するよう指 示された。2008
年9
月17
日、カリウムが3.9mmol/L
、クレアチニンが66 µ mol//L
、尿素が6.0mmol/L
で正常範囲内であった。この事象は2008
年9
月17
日に回復した。治験責任医師により、高 カリウム血症は治験薬により引き起こされたと考えられる合理的な可能性があると判断され た。その根拠は治験薬の投与期間中にカリウム、尿素およびクレアチニンに変化がみられた ためであった。治験責任医師からの報告内容:
9
月15
日にFAX
で入手した臨床検査結果は、カリウムが8.5mmol/L
、尿素窒素が11.4mmol/L
、 クレアチニンが365μmol/L
であった。被験者に診断のために再検査を受けるよう指示した。正常範囲は、尿素窒素が
2.5
~9.0
、クレアチニンが44
~124
、カリウムが3.5
~5.3
である。臨 床検査値が報告されたのは2008
年9
月15
日、検査を実施したのは2008
年9
月10
日であっ た。ベースライン値はすべて正常で、関連のある病歴や併用薬はなかった。治験依頼者の見解:
治験薬はβ2作動薬であり、
β2
作動薬の全身作用として低カリウム血症が知られていること から、高カリウム血症は治験薬によるものではないと考える。表
B2C111045-1
すべての有害事象(治療期間)(ITT
)n (%)
事象名: MedDRA/J Ver.11.1 評価期間:治療期間
Source: B2C111045 CSR Table 8.02 Population: Intent-to-Treat
すべての有害事象 System Organ Class
Preferred Term
プラセボ群 (N=101)
VI 3群 (N=99)
VI 6.25群 (N=101)
VI 12.5群 (N=101)
VI 25群 (N=101)
VI 50群 (N=99) 有害事象発現例数 36 (36%) 24 (24%) 32 (32%) 24 (24%) 33 (33%) 28 (28%) 神経系障害 13 (13%) 8 (8%) 7 (7%) 3 (3%) 7 (7%) 7 (7%) 頭痛 10 (10%) 6 (6%) 5 (5%) 3 (3%) 3 (3%) 7 (7%)
副鼻腔炎に伴う頭痛 2 (2%) 0 0 0 1 (<1%) 0
浮動性めまい 0 1 (1%) 0 0 1 (<1%) 0
振戦 0 1 (1%) 1 (<1%) 0 0 0
片側頭痛 0 0 1 (<1%) 0 0 0
感覚鈍麻 0 0 0 0 1 (<1%) 0
片頭痛 0 1 (1%) 0 0 0 0
傾眠 1 (<1%) 0 0 0 0 0
血管迷走神経性失神 0 1 (1%) 0 0 0 0
緊張性頭痛 0 0 0 0 1 (<1%) 0
感染症および寄生虫症 8 (8%) 3 (3%) 11 (11%) 5 (5%) 7 (7%) 5 (5%) 鼻咽頭炎 3 (3%) 2 (2%) 5 (5%) 0 1 (<1%) 0
副鼻腔炎 1 (<1%) 0 0 1 (<1%) 0 2 (2%)
尿路感染 1 (<1%) 0 1 (<1%) 1 (<1%) 0 1 (1%)
上気道感染 1 (<1%) 0 1 (<1%) 0 0 1 (1%)
蜂巣炎 0 0 1 (<1%) 1 (<1%) 0 0
耳感染 0 0 0 0 2 (2%) 0
せつ 1 (<1%) 0 1 (<1%) 0 0 0
ウイルス性胃腸炎 1 (<1%) 0 1 (<1%) 0 0 0
2.7.6. 個々の試験のまとめ
Feb 15 2016 14:38:25
2.7.6 - p. 581
n (%)
事象名: MedDRA/J Ver.11.1 評価期間:治療期間
Source: B2C111045 CSR Table 8.02 Population: Intent-to-Treat
ボレリア感染 0 0 0 0 1 (<1%) 0
気管支炎 0 0 0 0 1 (<1%) 0
憩室炎 0 0 0 0 0 1 (1%)
インフルエンザ 0 0 0 0 0 1 (1%)
喉頭炎 0 1 (1%) 0 0 0 0
限局性感染 1 (<1%) 0 0 0 0 0
口腔カンジダ症 0 0 0 1 (<1%) 0 0
中耳炎 0 0 0 0 1 (<1%) 0
咽頭炎 0 0 1 (<1%) 0 0 0
肺炎 0 0 0 1 (<1%) 0 0
鼻炎 0 0 0 0 0 1 (1%)
皮膚感染 0 0 0 0 1 (<1%) 0
外陰腟真菌感染 1 (<1%) 0 0 0 0 0
胃腸障害 8 (8%) 4 (4%) 6 (6%) 3 (3%) 7 (7%) 4 (4%) 悪心 4 (4%) 1 (1%) 3 (3%) 2 (2%) 2 (2%) 1 (1%) 下痢 1 (<1%) 2 (2%) 1 (<1%) 1 (<1%) 3 (3%) 0 嘔吐 1 (<1%) 0 1 (<1%) 0 1 (<1%) 1 (1%)
便秘 0 1 (1%) 0 0 1 (<1%) 1 (1%)
上腹部痛 1 (<1%) 0 0 0 1 (<1%) 0
胃不快感 0 1 (1%) 1 (<1%) 0 0 0
腹痛 0 1 (1%) 0 0 0 0
2.7.6. 個々の試験のまとめ
2.7.6 - p. 582
表
B2C111045-1
すべての有害事象(治療期間)(ITT
)n (%)
事象名: MedDRA/J Ver.11.1 評価期間:治療期間
Source: B2C111045 CSR Table 8.02 Population: Intent-to-Treat
すべての有害事象 System Organ Class
Preferred Term
プラセボ群 (N=101)
VI 3群 (N=99)
VI 6.25群 (N=101)
VI 12.5群 (N=101)
VI 25群 (N=101)
VI 50群 (N=99)
口内乾燥 0 0 0 0 0 1 (1%)
消化不良 1 (<1%) 0 0 0 0 0
鼓腸 0 1 (1%) 0 0 0 0
胃炎 0 0 1 (<1%) 0 0 0
歯肉炎 0 0 0 0 1 (<1%) 0
腹腔内血腫 1 (<1%) 0 0 0 0 0
口唇水疱 0 0 0 0 0 1 (1%)
嚥下痛 1 (<1%) 0 0 0 0 0
食道食物嵌入 0 0 0 0 1 (<1%) 0
歯痛 0 0 1 (<1%) 0 0 0
呼吸器、胸郭および縦隔障害 7 (7%) 4 (4%) 7 (7%) 4 (4%) 5 (5%) 5 (5%) 咳嗽 1 (<1%) 1 (1%) 2 (2%) 0 1 (<1%) 2 (2%)
鼻閉 3 (3%) 0 2 (2%) 0 0 0
口腔咽頭痛 0 0 3 (3%) 0 0 1 (1%)
呼吸困難 2 (2%) 0 0 0 1 (<1%) 0
後鼻漏 0 1 (1%) 0 1 (<1%) 1 (<1%) 0
慢性閉塞性肺疾患 0 1 (1%) 0 1 (<1%) 0 0
発声障害 1 (<1%) 0 0 0 0 1 (1%)
鼻出血 0 0 0 1 (<1%) 0 1 (1%)
アレルギー性鼻炎 0 0 1 (<1%) 1 (<1%) 0 0
鼻漏 1 (<1%) 0 0 0 1 (<1%) 0
2.7.6. 個々の試験のまとめ
Feb 15 2016 14:38:25
2.7.6 - p. 583
n (%)
事象名: MedDRA/J Ver.11.1 評価期間:治療期間
Source: B2C111045 CSR Table 8.02 Population: Intent-to-Treat
副鼻腔うっ血 0 0 1 (<1%) 0 1 (<1%) 0
咽喉乾燥 0 1 (1%) 0 0 0 0
季節性鼻炎 0 1 (1%) 0 0 0 0
咽喉刺激感 0 1 (1%) 0 0 0 0
臨床検査 8 (8%) 2 (2%) 2 (2%) 5 (5%) 4 (4%) 3 (3%) 血中カリウム増加 3 (3%) 0 1 (<1%) 2 (2%) 2 (2%) 2 (2%) 血中ブドウ糖増加 3 (3%) 0 1 (<1%) 3 (3%) 1 (<1%) 0 アラニン・アミノトランスフェラーゼ
増加 0 1 (1%) 0 1 (<1%) 0 0
血中ブドウ糖異常 1 (<1%) 0 0 0 1 (<1%) 0
血圧上昇 1 (<1%) 0 0 1 (<1%) 0 0
尿中血陽性 1 (<1%) 0 0 1 (<1%) 0 0
アスパラギン酸アミノトランスフェ
ラーゼ増加 0 0 0 1 (<1%) 0 0
血中クレアチンホスホキナーゼ増加 0 0 0 0 1 (<1%) 0
血中カリウム減少 0 0 0 0 0 1 (1%)
心電図異常P波 0 0 1 (<1%) 0 0 0
心電図PR短縮 0 0 1 (<1%) 0 0 0
心電図異常 0 1 (1%) 0 0 0 0
γ-グルタミルトランスフェラーゼ
増加 1 (<1%) 0 0 0 0 0
ヘモグロビン減少 1 (<1%) 0 0 0 0 0
2.7.6. 個々の試験のまとめ
2.7.6 - p. 584
表
B2C111045-1
すべての有害事象(治療期間)(ITT
)n (%)
事象名: MedDRA/J Ver.11.1 評価期間:治療期間
Source: B2C111045 CSR Table 8.02 Population: Intent-to-Treat
すべての有害事象 System Organ Class
Preferred Term
プラセボ群 (N=101)
VI 3群 (N=99)
VI 6.25群 (N=101)
VI 12.5群 (N=101)
VI 25群 (N=101)
VI 50群 (N=99) 筋骨格系および結合組織障害 3 (3%) 4 (4%) 3 (3%) 3 (3%) 4 (4%) 4 (4%) 背部痛 2 (2%) 1 (1%) 1 (<1%) 0 2 (2%) 2 (2%) 筋痙縮 0 1 (1%) 1 (<1%) 1 (<1%) 1 (<1%) 0
筋肉痛 0 0 0 0 2 (2%) 1 (1%)
関節痛 0 0 0 1 (<1%) 0 1 (1%)
筋骨格系胸痛 0 1 (1%) 1 (<1%) 0 0 0
四肢痛 0 1 (1%) 0 1 (<1%) 0 0
関節硬直 1 (<1%) 0 0 0 0 0
心臓障害 3 (3%) 1 (1%) 5 (5%) 2 (2%) 2 (2%) 5 (5%)
心室性期外収縮 2 (2%) 0 1 (<1%) 0 0 3 (3%)
第一度房室ブロック 1 (<1%) 0 1 (<1%) 0 1 (<1%) 0
洞性徐脈 0 1 (1%) 1 (<1%) 0 0 1 (1%)
心房細動 0 0 0 2 (2%) 0 0
右脚ブロック 0 0 1 (<1%) 0 0 1 (1%)
動悸 1 (<1%) 0 1 (<1%) 0 0 0
狭心症 0 0 0 0 1 (<1%) 0
徐脈 0 0 0 0 0 1 (1%)
脚ブロック 0 0 1 (<1%) 0 0 0
心筋梗塞 0 0 1 (<1%) 0 0 0
洞性不整脈 0 0 1 (<1%) 0 0 0
洞性頻脈 0 0 0 0 0 1 (1%)
2.7.6. 個々の試験のまとめ
Feb 15 2016 14:38:25