価値と対価のアンバランス化
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「モノ」を超えた価値を提供しないと、お客様はふり向かず、対価もいただけない
「モノ」づくりの
コスト お客様への
提供価値 「モノ」づくりの
コスト お客様への 提供価値
利益
損失
新しい時代に、従来と異なる価値をどう提供していくかが課題
20世紀 21世紀初頭
コモディティ
⽇本のコスト 欧⽶のコスト
⽇本のコスト 新興国コスト
「モノ」づくりの
コスト お客様への 提供価値
モノの価値 新興国コスト
コトの価値
利益
⽇本企業 欧⽶企業
ICT × Things でのモノづくりの進化仮説
Before IoT:ハードを作り、ソフトをそれに合わせ込みハードの多品種展開
After IoT:ソフトPFにハードを合わせ込むことで、強みを⽣かしたサービス展開
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市場 PFにあたるソフト ハードでの成功者・成功者候補
PC Windows Intel
スマートフォン iOS, Android Set: Apple, Samsung CPU: ARM
SoC: Qualcomm
監視カメラ ONVIF AXIS (パナソニック⾸位陥落)
⾃動⾞(安全部品) Autosar(Vector社実装) FreeScale (進⾏中)
産業機器 Industrie4.0, IIC Siemens, GE(仕込まれ中)
・ソフト開発に⼈⼿がかかる中、そのバリエーションを揃えニーズの多様性対応
・売り⼦となるSI業者が、そのハードを担ぎたくなる環境を提供
・「稼働実績時間=信頼性」を看破し、いち早く実⾞にリリース
ソフトPFの成功要因(ステークホルダーのモチベーションをくすぐる環境づくり)
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オープンソース利用でのエコシステム戦略
・貢献中⼼タイプの会社は、「損して得取る」を実践
・利⽤中⼼タイプはコスト削減の⾯で当初は有利。しかし、OSS側が進化するたびに後追いで 追従するコストが⼤きな負担になってくる
トップランナー型 まき餌型
先行他社価値希釈型
開発費削減型 貢献中心タイプ
利用タイプ分類 事例
B2B相手先指定型 利用中心タイプ
従来:ハードアーキテクチャを規定→ソフトウェア開発効率を上げる、安く仕上げる(垂直型)
今後:ソフトアーキテクチャを規定→ハードウェアの画⼀化促進(⽔平型)
役割ごとに多数派ソフトが⽀配し、全体でアプリやハードの洗練を促しエコシステムを作る しかし、縦割り収支管理の日本の企業構造が、垂直統合型の
IoT
から水平分業型のIoT
への転換を阻害。これを克服できるかが鍵色んな種類のソフト屋さん
(欧米との開発スタイルの違い)ソフトのKPI 開発者 プロセス リーダ 儲けの源泉 組込みソフト
(⽇本) コスト
ハード合せ込み ⾃社 ウォーターフォール 要件定義 デバイスが特徴の多品種 ハードウェアの販売
組込みソフト
(欧⽶) 価値づくり
エコシステムづくり ⾃社 アジャイル プログラマ PFで場を作り、そこに合 わせたハードや他ビジネス クラウド提供・運⽤
(欧⽶・標準品) 価値づくり
エコシステムづくり ⾃社 アジャイル プログラマ PFで場を作り、その運⽤
や他ビジネス 業務アプリ運⽤
(⽇本・ユーザ企業) コスト
業務フロー 他社 ウォーターフォール 要求出し コストセンターとしての安 価な開発・運⽤投資 ソリューション提供
(⽇本・ベンダー企業) コスト
提案⼒・コネ ⾃社 ウォーターフォール 要件分析 多種多様件名請負
ソフトのKPIは、⽇本ではコスト(マイナスをいかに0に近づけるか)、欧⽶では価値づくり
(プラスをいかに⼤きくするか)が主流
⽇本では、毎回、細かなすり合わせでソフト屋の⼯数は消耗(フロー型ソフト開発)
欧⽶では、標準品にソフト資産が毎年蓄積し競争⼒が強化、盤⽯化(ストック型ソフト開発)
IoTでグローバルに成功するには、欧⽶⾵の価値づくりに舵が切れるかが勝負
ソフトウェア技術・技術者の評価 (1)
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国別のソフトウェア業界の見え方(梶本の経験からの主観)
国 特徴
アメリカ ソフト技術が国家のエンジン。⾃らプログラムを書き、世にサービスを仕掛ける⼈材が評価され、給与も⾼い。
アーキテクチャ構築でPh.Dも取得可能。
中国・インド オフショア開発でソフト開発会社に外資流⼊。他産業より給与が⾼く⼤学でも情報系は⼈気が⾼い。
マネージメント系の評価が⾼く、プロセス重視。若⼿も実開発よりマネージャ指向が強い。
⽇本 プログラムを書くことへのリスペクトが少なく新3K(きつい、帰れない、給料が安い)と称され、情報系の⼤学の⼈気 は低迷。⼤学でも実装ではPh.Dの取得は難しく、⼀段低く⾒られる。
自然科学と情報学、受容における日米の差(仮説)
⾃然科学 情報学(特にソフトウェア)
研究⾏為 物質の物理特性に基づく事象・現象の発⾒
事象・現象を説明する理論の構築と検証 ⼈⼯物としてのシステム構築による課題解決 評価視点 客観的に他⼈が追加検証できること
従来のものとの⽐較が可能であること 課題解決の有効性
数学としての真理追求のジャンルもある
⽶国での評価
原理や物質の探索、説明理論構築、実⽤化研究な ど、R&Dのフェーズは幅広いジャンルにおいて、⽇⽶で の評価には⼤差なし
基本は他との⽐較・検証が可能である点で評価
技術体系の構築、アーキテクチャ・プロトコル・UXの設計・実 装を⼤きく評価
⽇本での評価 過去事例との⽐較可能なもの(認識率の向上等)、経
緯が数値で出せるもの(統計学的なアプローチが有効な ジャンル)など結果が数値化・グラフ化されるものを評価の 傾向(⾃然科学同様の評価観)
ソフトウェア技術・技術者の評価 (2)
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1989年 Tim Berners-Lee⽒がURI/HTML/HTTPによるWorld Wide Webを発案 1990年 NeXT上でHTTPサーバを実装(世界初のWWWサーバ)
1996年 University of Southamptonが名誉博⼠号授与 以降、欧⽶の⼤学が⽴て続けに名誉博⼠号授与
2004年 イギリス王室から勲章授与(Sirの名乗り)
2009年 アメリカ科学アカデミー会員 2002年 ⽇本国際賞授与
ソフトウェアの世界では⾮連続(⽐較不能)なアーキテクチャの設計・実装が社会⾰命を起こす。
しかし、「アーキテクチャ」や「実装」を研究活動としてリスペクトしにくい⾵⼟が、
(1)⼤学での研究価値と企業が期待する内容のギャップ
(2)⼤学・企業内活動を問わず優秀なソフト技術者の正当な評価につながらない
(ソフトは誰でも作れるという間違った価値観、⼯数⽀払の悪弊)
と⾔う、⽇本の現在の状況を⽣み出しているのではないか(仮説)
2014/10/29 Web25周年記念講演を⾏うTim⽒
しかし、⽇本のアカデミアからの博⼠号授与は無し?
日本製造業が持つマネージメント課題
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20世紀型⽇本製造業 新興企業・欧⽶企業 戦略案検討 ・⽬に⾒えるモノ(ハード)起点
・事前に市場での確実性を徹底調査
・論理でわかる価値を追求
ボトムアップ的な積み上げ式検討
・ソフト起点
・市場の有効性/市場創造は検討
・感性⾯でウケるかにも⼗分に価値を置く トップダウン的な仮説作成的検討
評価視点 ・過去からの改善点・⽐較数値
・短期的/直接的な投資と回収
・まるごと囲い込みビジネスモデル
・⾰新性、提案性
・⻑期的/間接的な投資と回収
・オープンエコシステムビジネスモデル 意志決定 トップに権限集中(打率10割)
「俺にわかる案を持って来んかい!」型 トップダウン的な意志決定
現場にエンパワーメント(トライに価値)
『おもろそうやな、やってみなはれ!』型 ボトムアップ的な意志決定
時代変化に現場は敏感。課題は現場から遠いトップの価値観をいかに変えるか
製造業の成長とビジネスモデルの変遷(仮説)
時間 市場規模
黎明期 乱⽴期 転換期 安定期
・⼀社がトライアルで 新規市場開発
・市場の⽀持を集め ゆるやかに成⻑
・デバイスで特徴づけ
・市場の成⻑を⾒て 他社が参⼊
・互いに相互互換の ない垂直統合な 製品群で囲い込み 競争
・デバイスが各社個別 に深さ⽅向に進化
・やがて市場に飽和感
・アプリ流通を意識した プラットフォーマの参⼊
など市場特性を知る プレーヤによるソフトPF の寡占化
・アプリの広がりによる
⽔平⽅向の進化等
・市場の指⽰を得て 市場全体は拡⼤
・エコシステムが完成
・オープンな世界でも 運⽤ノウハウやPFの 恣意的な進化など
⾒えない参⼊障壁 が構築されPFの 主導権を握る会社 は安定
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IoT 時代に攻めの IT 戦略に変身するには
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1) ことづくりファースト、ソフトウェアセカンド、ハードウェアラスト:(戦略)
ソフトウェアによる「ことづくり」とエコシステム作り起点の戦略を取れるか 2) オープンイノベーション:(プロセス)
エコシステムづくりのために、損して得取れの社内プロセスを実⾏できるか 3) ストック型ソフトウェア開発:(戦術)
エコシステムを強化するため、ソフトにノウハウ資産蓄積を継続できるか 4) コーディング重視・運用重視:(人事・技術)
コーディング、テストを⼯数単価で評価していないか
PF戦略、課題即応で優秀なコーディング経験者重⽤しているか
クラウドでは運⽤し、顧客対峙しながら新規機能開発が重要(DevOps) 5) 現場へのエンパワーメント:(意思決定)
旧来の価値観のトップマネージメントが居座っていないか
当社綱領に明記される「ことづくり」
(当社資料)