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約2年~9年

3.3.2 ASME OM コード・ケース

ASMEでは、規格の正式改訂を待たずに緊急に規定を作成する必要がある場合や特別な条件下で の代替要件を設定する必要がある場合等、迅速な対応とするために暫定的な処置としてコード・ケ ースを作成発行している。OMコード・ケースは、2003年6月時点で14件作成されており、更に 2件追加されることが検討されている。表3.2にOMコード・ケースの一覧を示す。

3.4 NRCの容認状況

NRCは、10CFR50.55a「コード及びスタンダード」の(b)(3)項において、ASME OMコードの適 用に関する容認要件を規定している。現在容認されているASME OMコードのバージョンは、1995 年版から2000年アデンダである。なお、認可取得者がASME OMコードを適用する際には制限及 び修正が要求される。以下に主な制限を示す(表3.3を参照)。

• 電動弁(MOV)の試験に関して、コード・ケース OMN-1「特定の電気MOVアセンブ リの供用前及びISTに関する代替規則」を適用する場合、次の条件に従うこと。

各弁の診断試験の妥当性を、OMN-1の施行開始から5年あるいは3燃料交換停止の いずれか長い期間以内に評価及び調整しなければならない。

高いリスクを持つMOVの試験間隔を四半期以上の拡大する場合、拡大に伴う炉心損 傷頻度の増加が小さいこと及び委員会の安全目標政策声明書に準拠していることを 示さなければならない。

• 強制力のある付録II「チェック弁の状態監視プログラム」を適用する場合、次の条件に

従うこと。

フロー試験時あるいは検査時(非介入あるいは分解検査)に弁の開閉機能が利用でき る状態にしなければならない。

試験及び関連する検査(examination)の最初の間隔は、2 燃料サイクルあるいは 3 年のいずれか長い方を超えないほうがよい。この間隔のいかなる拡大においても、最 大で10 年を超えることなく、拡大毎に1燃料サイクルを超えないほうがよい。試験 間隔の短縮及び拡大を検討する際には、既存の傾向及び評価データを使用しなければ ならない。

• Tech. Spec.あるいは認可取得者の管理文書を変更することで、ISTD「軽水炉の動的レ ストレイント(スナバ)の供用前及び供用中検査と試験」を適用してもよい。供用前及 びISI(examination)は、IWA-2213に示されているVT-3目視検査(examination)

により行わなければならない。

• 手動弁の動作試験は、状態の悪化により試験頻度の増加が必要でない場合、5 年間隔よ りもむしろ2年間隔で行わなければならない。

NRCは、2004年1月7日付で、10CFR50.55aの改定案のコメントを求めて公表した。この改定 案では、容認するASME OMコードのバージョンを1995年版から2003年アデンダまでに変更す ることが提案されている。

一方、3.3.2節に示したようにASME OMコード・ケースは14件作成されている。これらのコー ド・ケースのNRCによる容認状況は、Regulatory Guide 1.192「容認されているASME OMコー ド・ケース」及びRegulatory Guide 1.193「容認されていないASMEコード・ケース」に示され ている。各コード・ケースのNRCによる容認状況を表3.2に示す。

なお、2003年7月8日に10CFR50.55a「規格及び基準」が改定され、従来の脚注での参照から 本文での参照に変更され、参照するRegulatory Guideの発効日及びRevisionに関する情報が追加 された。今後は、Regulatory Guideの定期的な改定後、速やかに改定したRegulatory Guideを参 照するための10CFR50.55aの改定が行われる。

3.5 ASME OM規格の改訂動向及び今後の課題

ASME OM委員会では、パフォーマンスと同様にリスクを規格に取り入れることに勢力を注いで

いる。これは、公衆の安全を防護し、利用者の必要性に準拠することを意図している。短期的な目 標は、既存のOM規格及び安全上の重要度が低いポンプ及び弁の取扱いに関するリスク情報に基づ

くISTコードを、ASME OM Code ISTE(ドラフト)として統合することである。長期的な目標は、

ISTEを改定し、次世代炉での利用を可能にすることである。なお、組織体制の動向としては、OM 規格小委員会の下に様々なタイプの EDG(コードの開発段階であり、詳細は不明)の IST 要件を 扱うSGが設立された。これらの機器は、これまでのOM規格では対象外となっていた。

3.5.1 ASME OM規格の開発状況

2003年1月及び6月に開催されたASME OM委員会において、既存のOM規格及び安全上の重 要度が低い(LSS)ポンプ及び弁の取扱いに関するリスク情報に基づくIST規格としてASME OM Code ISTEを開発することの議論が開始された。現在、委員会によるドラフト版ISTEのレビュー が行われている。

ISTEは、リスク情報に基づく ISTプログラムを選択したものに対する強制力を有する要件とす る計画である。このISTEは、機器分類要件及びOMN-1の高レベルのIST要件を用いたOMN-3

手法及びOM規格付録II(チェック弁の状態監視)を組み合わせるよう作成されている。

提案されているISTE は、既存のリスク情報に基づくコード・ケースとは大幅に異なる技術が取 り込まれている。具体的には、PRAから導出したFV重要度及びRAW重要度(表3.4参照)の結 果と専門家パネルによる判断により、対象となる機器を安全重要度「高」(HSSC)及び安全重要度

「低」(LSSC)に分類し、各々に対する供用前試験及びIST(手法及び頻度)を決定する。また、試 験プログラムは、定期的に見直すことが提案されており、これらを達成するための手法として、パ フォーマンス・モニタリング、フィードバック・プロセス及び是正措置が示されている。また、空 気式及び油圧式作動弁と電動弁(MOV)を組み合わせて作動弁の一つのカテゴリーにし、電磁弁と 同様に扱う。また、加圧器逃し弁(PORV)とチェック弁を組み合わせて自動作動弁の一つのカテ ゴリーにし、破裂ディスクと同様に扱うことが提案されている。これにより対象となる機器は、縦 軸シャフト型を含む遠心ポンプ、容積式ポンプ、MOV、空気式作動弁(AOV)、油圧式作動弁(HOV)、 電磁弁、PORV、チェック弁、安全及び逃し弁(SRV)及び破砕ディスクとなっている。

MOV に対するパフォーマンス・ベース及びチェック弁の状態監視から得られた考え方を組み合 わせてHSSCポンプ及び作動弁に関する試験ストラテジィを策定することが提案されている。これ により、機器の監視及び傾向分析のパラメータの選定あるいは機器グループの根拠に対してフレキ シビリティが認められるとしている。LSSC 機器の試験ストラテジィは、頻度ベースの非診断的な 動作試験とし、動作試験は、パフォーマンス・モニタリング及び機器信頼性維持するための要件で 補足されるとしている。

安全重要度分類の判断基準として、FV>0.005、RAW>2の場合にHSCCとすることが提案され ている。また、ISTプログラムの変更によるリスクの増加の許容値としては、リスク情報に基づく 一般的な基準を示したReg.Guide 1.174の判断基準が採用されている(図3.4参照)

3.5.2 ASME OMコード・ケースの開発状況

2004年2月時点で、14件のコード・ケースと2件のコード・ケース案が作成されている。各コ ード・ケースの開発状況について以下に示す。

OMN-1:特定の電気MOVアセンブリの供用前及びISTに関する代替規則

OMN-1は、 BNCS によって1995年11月に初めて承認され、ASME OMaコード 1996 年ア デンダで組み込まれた。その後、数度に亘って再確認され、現行のOMコードに組み込まれている。

1980年代初め、原子力産業界は、MOV に関する問題を解決する作業を開始した。NRC は、多数 の懸念及び警告を発し、電力会社が開発した一連のMOV プログラムを発行した。規制文書として は、IE Bulletin 85-03「不適切なスイッチ設定によるトランジェント中のMOVの共通原因故障」、

Generic Letter 89-01「安全関連MOVの試験及びサーベイランス」及びGeneric Letter 96-05「安 全関連MOVの設計基準能力の定期的な確認」が挙げられる。

1990年代初め、ASME OM-8 ワーキンググループは、産業と共にOM 規格を最新のものにする

ためにOMN-1を開発した。これは、OM規格で扱う必要があった技術及び試験ストラテジィの開

発によって実行された。OMN-1は、各MOVあるいはMOVグループの試験ストラテジィ及び頻度 の決定において工学的評価を用いることを奨励した。試験頻度は、MOV の設計、能力マージン及 び劣化率に基づいている。OMN-1は、リスク情報に基づく技術の使用を承認した最初のASMEコ ードであった。

NRCは、OM規格の1995年版(2000年アデンダを含む)のISTCのストローク‐時間試験要件 の代わりに条件付きで OMN-1 を容認できることを発見した。OMN-1 の適用を選択した認可取得 者は、2003年1月に公表されたRegulatory Guide 1.192「ASME OMコード・ケースの適用可能 性」に記述された全ての条項及び全ての条件を適用しなければならない。

ASMEのMOVに関するSGは、現在、OMN-1をそのままISTCの付録として組み込むより改 定する方向で検討を開始している。この改定では、OMN-1 を付録として格上げする際の投票にお いて出された技術的コメントを扱っている。また、OMN-1 をより利用しやすいように改定すると したSGの見解も反映している。OMN-1の改定内容は以下の通りである。

• 安全停止に必要となる動的なMOVを対象に含める。

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