第 4 章
考察
4.2 AR物体のみ(有彩色)条件
件は周辺刺激の妨害を受ける不一致条件だけでなく一致条件でも日にちの単純主効果が認め られたことから,複合現実の条件で考察を行った理由だけでなく違う理由も考えられる.本 実験では注意の特性に影響を与える要素として,一致条件と不一致条件の違いであるフラン カー課題によるものと実物体とAR物体というオブジェクトの違いによる2点が挙げられ る.しかし中心AR’ - 周辺AR’条件は有彩色であり,他の条件とは色が異なるという点も 注意の特性に影響を与えたと考えられる.そのため一日目は有彩色の顕著性が高いオブジェ クト自体に注意が向き,オブジェクト内部の不等号記号の情報にアクセスしにくかったため,
一致条件と不一致条件共に日にちの効果が出たと考えられる.しかし本研究では色の違いを 検討するために用意した条件はこの条件のみのため,AR物体の色相を操作することで色の 違いが複合現実環境での注意特性に与える影響を検討することは今後の課題である.
第 5 章
まとめ
本研究ではHMDを使用して複合現実環境を構築し,実物体とAR物体に対する情報選 択の注意特性を検討した.実験方法として周辺刺激を無視しながら目標刺激を同定すること が求められるフランカー課題を用いて実験を行った.
実験結果から条件間に有意差はみられなかった.しかし複合現実の条件内で一日目と二日 目のセッションの違いによる効果がみられた.一日目には実物体に注意を向ける際に周辺刺 激であるAR物体からの妨害を受けるため反応時間は遅くなるが,二日目にはその妨害が減 少することで一日目と比べて反応時間が速くなることが示唆された.この理由として実物体 とAR物体には照明光による反射特性や陰影が異なることが考えられる.またAR物体の み(有彩色)の条件においても日にちの違いによる効果がみられた.複合現実の条件内での 日にちの効果とは異なり,一致条件の反応時間にも日にちの効果がみられたため,有彩色の 顕著性が高いオブジェクト自体に注意が向き,オブジェクト内部の不等号記号の情報にアク セスしにくかったと考えられる.
今回の研究結果から複合現実環境での注意特性を用いた適切な物体呈示手法としてユー ザーの複合現実での経験に応じた呈示手法を行う必要があると言える.例えば初めて複合現 実を体験する場合には実物体に注目させたくても,AR物体による妨害を受けやすいため,
AR物体の視認性を低くしたデザインにする必要などが挙げられる.
謝辞
本研究, 論文を作成するにあたり, 多くのご支援と熱心なご指導を賜りました繁桝 博昭先 生と客員研究員の蔵冨恵さんに深謝いたします. また, 本論文の副査を務めていただいた篠 森 敬三先生, 中原 潔先生及びアドバイスをいただいた門田 宏先生に感謝いたします. また, 実験を行うにあたって快く被験者を引き受けて頂いた研究室のメンバー及び先輩,同輩,後 輩に感謝いたします. ありがとうございました.
参考文献
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