6.2 順圧 S-Model による AOI の予測実験
6.2.7 AO パターンによる予報精度の違い
前節では、期間平均したAOIを用いて予報精度を議論したが、年によって予報 結果に大きなバラツキがあること、また、平均する日数が56日とあまり適切でな かったこと、といった問題点が挙げられる。
そこで本節では、年ごとに予報精度を議論するのではなく、AOのパターンご と、つまり、AOがプラスの年とマイナスの年に分けて、それぞれの年で予報精度 がどう異なるのかを検証した結果を示す。また、平均するAOIの日数も、7日間 や14日間など、いろいろ変えて実験してみた。なお、対象とした年は、1988/89 年冬、1992/93年冬、2006/07年冬(いずれもAOプラスの年)と、2000/01年冬、
2002/03年冬、2005/06年冬(いずれもAOマイナスの年)の計6事例である。
図32は、7日平均したAOIの予報成績である。これを見ると、AOマイナスおよ びプラスの年どちらも、直線に非常に近いところに値がプロットされており、よく 予報できていたといえる。相関係数の値を見ても、両者の年に目立った差はない。
図33は、14日平均したAOIの予報成績である。図32と比べてややバラツキが 大きくなっているが、それでも直線に近い場所にプロットされている。詳しく見 ると、白抜きで示したAOプラスの年は、コントロールランおよびアンサンブル 平均ともに相関係数が0.7以上となっているが、AOマイナスの年におけるコント ロールランの相関係数がやや低くなっていることが分かる。
図34は、28日平均したAOIの予報成績である。先ほどまでと比べて、明瞭な 違いが見られるようになった。詳しく見ると、AOプラスの年は、依然として相関 係数が0.7以上と高い値を保っているが、AOマイナスの年は、コントロールラン
が約0、アンサンブル平均が0.3強と、かなり低い値となっている。図を見ても、
AOマイナスのほうは値が大きくばらついていることが分かる。
さらに、図35は、56日平均したAOIの予報成績である。平均日数をここまで 長くすると、AOプラスの年の予報結果も悪くなってくるが、それでも相関係数は 0.3以上あることが分かる。一方、AOマイナスの年については、先ほどと同様、
実況と予報の相関がほとんどない。
以上の結果をまとめたものが、表1である。表中の値は実況と予報の相関係数 であり、上2段がAOマイナスの年の予報結果、下2段がAOプラスの年の予報結 果となる。また、それぞれの年において、上段にコントロールラン、下段にアン サンブル平均の結果を載せてある。表の最上段に書かれている数字は、平均した AOIの日数である。これを見ると、7日平均の予報においては、どちらの年も相関 係数が高く、予報精度がよかったことがいえる。14日平均の予報に対する相関係 数も高い値を保っているが、AOマイナスの年については、21日平均の予報から 急激に低くなった。その後、56日平均の予報まで低い値をとり続けており、予報 精度が悪かったことを示している。一方、AOプラスの年については、AOマイナ スの冬に急激に予報精度が悪くなった21日平均の予報に対しても相関係数は0.8 近くあり、42日平均の予報に対しても0.6以上という高い値を示していた。コン トロールランとアンサンブル平均の違いを見てみると、AOプラスの年は明瞭な違 いは認められなかったが、AOマイナスの年は、ほぼすべての事例に対して、アン サンブル平均のほうが高い相関係数をとっていた。このことはつまり、AOプラス の年はアンサンブル予報の効果は出ていないが、AOマイナスの年はアンサンブル
予報の効果が出ていたということを意味する。