とおく.Aの固有方程式は
y2 一 trace(A)y 十 det(A) = O
であるから,判別式は
(trace(A))2−4 det(A) = (an十a22)2−4(ana22−ai2a2i) = (an−a22)2十4ai2a2i JE O
となり,Aは相異なる固有値α,βをもつ.従って,補題3.6より,ある正則行列
9により
9一 Ag一圏
と変形できる.これより,ノ∈qMat2(C)]σL(2・c)に注意すると
f(A) = f(aii, ai2, a2i, a22) =: f(g一 Ag) = f(a, O, O, 6) == F(a, fl) = O
となり,ノ(α11,α12,α21,α22)≠0であったことに矛盾が生じた.ゆえにノ(X)=O が示されたので,φは単射である. 腫
系3.11GL(2,(C)不変式はtrace(X)およびdet(X)の多項式として一意的に表され る.すなわち,不変式環qMat2(C)]σL(2・c)はtrace, detを生成元とする2変数多項式環 である.
C[Mat2(〈C)]GL(2 C) = C[trace(X), det(X)]
【証明】 定理2.5よりS(x,y)==qe1,e2]が成り立つこと,前述の定理3.10
より
gA(traceX) =ei =x十y, gA(det X) = e2 == xy
をみたす同型
pA : C[Mat2(C)ICL(2・C) 一一〉 s(x,y)
の存在が示されたことから,系の主張が導かれる. 璽
系3.11により,不変二二はqtrace(X),det(X)]に一致し,斉次式で生成されることが示さ れた.これよりqMat2(C)]GL(2,c)が次数付きベクトル空間であることがわかる.
系3.12不変式環qMat2(C)]GL(2・c)のポアンカレ級数は次式で与えられる.
1p((c[Mat2(c)]G (2 C);t)=:at−ris?i 一:一iii5−t)(i−t2)
【証明】 定理3.10より,qMat2(C)]GL(2・c)とS(x,y)は次数まで込めて同型 である.従って,定理220(p.27)より
1
p(〈c[Mat2((c)IGL(2・C); t) = p(s(x, y); t) =:
(1 一 t)(1 一 t2)
が成り立つ, 璽
GL(2, C)の1次元多項式表現
定義3.13写像!:(7L(2,C)一→C*=C一{0}で
f(9ig2) = f(gi)f(g2) (gi,g2 E GL(2, C))
をみたすものをGL(2, C)の1次元表現という.
qMat2(C)]の0でない多項式!(X)が
f(AB)一f(A)f(B) (A,BEMat2(C)) (3.6)
をみたすとする.ここで!(E)=Oと仮定すると
f(X) 一= f(XE) 一 f(X)f(E) == O
となり,仮定に反するので,f(E)≠0が得られる.これよりg∈GL(2, C)に対して
f(g)f(g−i) 一 f(gg−i) = f(E) # O
となることから,!(g)∈C*を得る.従って,定義3.13より,ノ(X)はGL(2,C)の1次元表 現を引き起こす.このような!(X)をGL(2, C)の1次元多項式表現という.1次元多項式 表現∫(X)は
f(g−iXg) == f(g一 )f(X)f(g) = f(X)f(g−i)f(g) = f(Xg ig) 一 f(X)
よりGL(2, C)不変式になる.次に(]L(2,C)の1次元多項式表現をすべて決定することに
する.
補題3.14G(sx, ty)=G(s, t)C(x,y)をみたす0でないC(x, y)∈C[x, y]はG(x,y):
xM
凾獅ニ表される.【証明】 x,yの辞書式順序によるG(x, y)の最高次の項をexmyn,これより 低次の項の和をg(x,y)とすると
c(sx)m(ty)n 十 Q(sx, ty) == a(s, t)(cxmyn 十 (?(x, y))
となるので最高次の係数を比較してG(s,t)= sMtnが成り立つ. s,tは任意の 複素数であるから,C(x, y)=xMynが得られる. ■
定理3.15GL(2,C)の1次元多項式表現は(det g)nと表される
【証明】 ノ(X)∈qMat2(C)]を(?L(2,C)の1次元多項式表現とする.上述 のことからノ(X)∈qMat2(C)]σL(2・c)が成り立つ.ここで定理3.10の同型写像
φによるノ(X)の像をF(x,y)とすると
F(・x,・ty)一ノ(淵)== f([89][ll])
一f(圏)ノ([翻])== F(s,t)F(x,y)
が成り立つ.従って,補題3.14よりF(x,y) =:(xy)nとなるので
f(x) : 4)一 (F(x,y)) = gb一一i((xy)n) = det(x)n
が導かれる. ■
不変式環」=qMat2(C)]GL(2・c)の定数項がない多項式全体を」+とおく.」+はtraceと detで生成されたイデアル(trace, det)で
J+= (trace, det) = (itL.., ai」・ (trace)i(det)」) (ai2・ EC)
と表される.次に,」+の零点がべき零行列全体になることを証明する.
定義3.16あるn∈Nに対してAn = oとなるA∈Mat2(C)をべき零行列という.ま
た,べき零行列全体をNで表す.定理3.17A∈Mat2(C)に対して次は同値である.
(1)A∈N,すなわちAはべき零行列である.
(2)A2=0が成り立つ.
(3)f(A)=・ O(∀ノ∈J+)が成り立つ.
【証明】 (2)⇔(3)については
」+ = J・ trace十J・ det
であることと,Cayley−Hamiltonの定理に注意すると
f(A) ==O (Vf E J ) o trace(A) == det (A) ==O o A2 =o
より導かれる.次に(1)⇔(2)について示す.(1)e(2)はべき零行列の定義
(定義3.16)より明らかである.(1)⇒(2)については,
An .. o, An−i 7L O
をみたすnを選ぶ.n>2と仮定してよい. det A=Oに注意して, Cayley−
Hamiltonの等式
A2 一 trace(A)A = O の両辺にAn−2をかけると
A 一 tra£e(A)A 一i == 一trace(A)A ti = o
となるが,An−1≠0よりtrace(A)== Oを得る.これより A2 一 trace(A)A = A2 = O
が導かれる. 量
3.2 (7L(2,(C)の既約表現
補題3.18次の写像はGL(2,C)のC[x, y]への作用を定める.
CL(2, ¢) × C[x, y] ) (g, f) H p(g)f E C[x, y]
([2S ,!(・,・y))一掴ゆ+吻)
【証明】 定義1.6の条件(1)が成り立つこと,すなわち,次の写像が線形写像 であることは明らかである.
P(9):q:r,y]∋f(x,y)ト→ノ(ax十吻, bx十dy)∈i c[x, y]
条件(2)の成り立つことも次のように確かめられる.
p(E)f(x, y) = f(1 ・x十〇・ y,O・x十1 ・ y) = f(x, y)
条件(3)の成り立つことは次の計算からわかる.ただし
9・一
m!剖,92一[鴇],9・92一[町纏:警綴:]
とする.
(p(gi) (P(g2 )f) ) (x, y) : (p(g 2)f) (aix + ciy, bix + diy)
: f(a2(aix + ciy) + c2(bix + diy), b2(aix + ciy) + d2(bix + diy))
一ノ((・・a・+・b・…)・・+・(・・a2+輪@わ・+・b・d2)針慨+鯛
一((p(gig2)f) (x, y) 1
定義3.19ρ:G∋g→ρ(g)∈GL(V)が群Cからベクトル空間Vの正則な線形変換
のなす群GL(V)への群準同型であるとき,すなわち次の条件をみたすとき,(ρ, V)を Gのγ上の表現という.ただし,右辺の積はGL(V)における線形変換の合成である.P(gig2) =P(gi)P(92) (gi,g2 E G)
・単にρをCの表現ということがある.
・群Gがベクトル空間Vに作用しているとき,g∈GにVの正則な線形変換が対応
するが,この対応は,定義1.6の条件(3)より準同型となる.従ってGのV上の表現 が得られる.逆にGのV上の表現(ρ,V)に対して,写像(]×1/∋(9,V)ト→ρ(9)V∈V
はGのVへの作用となる.
定義3.20(ρ,V)は群aの表現であるとする..次の条件をみたすVの部分空間Wを 表現(ρ,V)の不変部分空間,または単に不変部分空間という.
gEG,wEW ==〉 p(g)wEW
このとき
σ∋9トー〉ρ(9)IW∈CL(Vレつ
からCのW上の表現(ρ,W)が得られる.これを部分表現という.
以下
P == c[x, y], IPk=IPIe(x, y)
とおく.定理1.9(p.10)より次が成り立つ.
P一㊥IPk
k=0補題3.18より(ρ,P)はGL(2,C)のア上の表現である.
補題3.211)kはPの不変部分空間である
【証明】9一團∈σ⑳胸)一Σ調→∈醐し・,
補題3.18より
ん
ρ(9)f(x,〃)一ノ(ax・+・eg, b・+dy)一Σ・i(・x+・eg) (bx・+・dy)k一 ∈IPIe
i=0
が成り立つ.従って,定義3.20より1?leはCPの不変部分空間である. ■
Pkの元は
h k−1
k−1 k ∬,∬ 〃, … ,∬〃 ,〃
のk+1個の単項式の1次結合で表される.従ってdim A=k一←1である.これより不変
部分空間IPkは有限次元部分表現(ρ, IPk)を誘導する,一方c・[x,・y]一P一㊥A k;0
とIPが不変部分空間IPkに直和分解される,このとき,表現(ρ, P)が部分表現(ρ, IPk)に 直和分解されるという.以上を定理として述べておく.
定理3.22GL(2,C)のC[x,yl上の表現(ρ,P)は次のように部分表現に直和分解さ
れる.
(ρ,P)一㊥(ρ, Pk)
k;O
定義3.23群CのV上の表現(ρ,V)において,0とV≠O以外に不変部分空間が
存在しないとき,(ρ,V)を群Gの既約表現という.
・(ρ,V)が既約表現のとき,単にρが既約であるということもある.
次に(ρ,IPIe)がGL(2,C)の既約表現であること,すなわち,定理3.22の直和分解が既約分 解であることを示すことにする.まず次の補題を示す,
補題3.241Ple⊃σを不変部分空間とする.
た
∫(x,雪)一Σ・、吻鳶一ゴ∈砿 ゴ=0
このとき,次が成り立つ.
αr≠o⇒吻た一「∈σ
【証明]h一
m89]・GL(2・C)・・le・f(・,y)∈σに作用させると
た た
ρ(ん)ノ(・,〃)一Σ・掴)ゴ(哲〃)鳶一LΣ…ゴ押吻ゐ一ゴ∈σ 」=o ゴ篇0
が得られ,t=s『1とすると
ρ(h)f(x,y)一紘轡・∈σ ←)
となる.ここでzのk次多項式F(x,y,勾を た
F(x,〃,・)一Σ・・吻允一ゴ・」
ゴ=0 と定めると
た
F(x,y,・2)一Σ・ゴ吻鳶一ゴ82ゴー8鳶ρ(h)ノ(x,・y)∈σ
ゴ=0 が成り立つ.次に
ゐ ん
F(x,y,・2)一Σ・・吻た一ゴ82ゴーΣ・ゴ(・,〃)・2ゴ (・、(x,y)∈Cμ,〃])
ゴ=0 ゴ=0
ゐ
π(の一H(z一(i+1)2)
・綱一
曹e二品亭)諜票、アー書噛ド(bi (x, y) E (C [x, y])とおく.このとき,任意の複素数Xo,yoに対して,ラグランジュの補間公式(定 理1.14)より
F(xo, yo, s2) = C (xo, yo, s2)
が成り立つ.これより
ae (xo, yo) = be(xe, yo) (1 = O, 1, ..., k)
を得る.Xo,yoは任意に選べるから定理1.15(p.12)より
ae(x, y) = be(x, y) (1 = O,1,..., k)
が得られる.従って
F(x, y, s2) = G(x, y, s2)
が示された.ここで
F綱一書F睾縞亭)・諜摯1)2
におけるs2「の係数を比較すると
噛…喜辮轟轟篇のs…CD係数)
i=o が得られる.
。t((¢圭、)、)(、、碧、)、の・・rの係数)
が複素数であることに注意されたv・・ 一JEi, ii e (*)で臨一
h蕩]
に置き換えると
F(x, y, (i + 1)2) = (i + 1)2kp(hi+i)f(x, y)
となることから,a。x yk一「はρ(hi+1)f(x, y)∈σの複素係数一次結合である.
従ってα.x「yk一「∈σである.特にar≠0のときは吻た一「∈σとなる. ■
定理3.25(p, 7)k)はGL(2,C)の既約表現である.
【証明】 σ⊆Pkを0でない不変部分空間とする.σが7Pkに一致すること
を示せばよい.仮定よりσは0でないノ(x,y)を含むゐ
ノ(・,〃)一Σ・・吻トゴ ゴ=O
とおくと,ある係数arは0でないので,補題3.24よりx yle一「∈Uが得られる.
r=kのときはxk∈Uとなり, r〈kのときは
・+一H,u一一H
とおくと
ρ(u+)x yk一「=ゴ(x+y)h一「
一・r(C♂)・k−r+(ヤ)・k一・一 y+…+(1=;)〃㎞)
一C6り・k+Cτり凸+…+(1=;)・・yk−r
一♂+(k−r)♂『1〃+…+x yk 「∈ひ
となることから,が∈σが得られる.さらに♂にρ(ゼ)を作用させると
桶川一書(1)が・u
となり,補題3.24より,IPkの基底
xiyk i∈σ (o≦i≦k)
がUに含まれるので,U・Pkが示された. ■
定義3.26(ρ1,Vl),(ρ2,V2)を群Gの2つの表現とする.次の条件をみたす線形同型T:
Vl→V2が存在するとき,(ρ1,Vl)と(ρ2,V2)は同値であるといい(ρ1,Vl)C (ρ2,V2),
ρ1 cv M,またはVl r V2と表す.
Tpi (g) 一 p2 (g)T (Vg E G)
補題3.27(ρ,V)をGL(2,C)の表現とする.このとき
p(ic) (g) = (det g)hp(g) (k E Z)
とおくと,次が成り立つ.
(1)(ρ(k),γ)もCL(2,C)のV上の表現である.
(2)ρが既約ならばρ㈹も既約である.
(3)k≠0ならρとρ㈹は同値でない。
【証明】 (1)定義3.19の条件をみたすことを確かめる.ρ㈹(g)はρ(g)の0 でない定数倍であるから,Vの正則な線形変換である.また
p(k)(gi)p(k)(g2) == (det gi)lep(gi)・(det g2)kp(g2)
= (det gig2)kp(gig2)
.. p(k)(gig2)
が成り立つことから,(p(k),V)はGL(2,C)のV上の表現である.
(2)σ⊆γを表現(ρ㈲,V)の0でない不変部分空間とする. u∈U, g∈
GL(2,C)に対して
1
p(k) (g)u E U p(g)u 一
(det g) le
となるので,σは表現(ρ,V)の0でない不変部分空間となるが,(ρ,V)は既約 であるからσ=Vが得られる.ゆえに(ρ(k),γ)も既約である.
(3) 2つの表現(ρ,γ)と(ρ㈹,V)が同値であると仮定すると,線形同型T:
V→Vが存在して,任意のg∈GL(2,C)に対して
Tp(g) = p(le)(g)T = (det g)kp(g)T
が成り立つ.従ってv∈VをTの固有値λに属する固有ベクトルとすると
Tp(g)v=(det g)icp(g)Tv :A(det g)lep(g)v
が成り立つ.これよりλ(det g)kはTの固有値となるが, k≠0より,λ(det g)k は(g∈(]L(2,C)を任意に選べることから)無限の値をとり得ることになり,矛
盾が生じる. ■
定理3.25と補題3.27より,(ρ(m),7)ll)はGL(2, C)の既約表現である. k≠」のとき,
dim 7)le≠dim 7)jより(ρ(m), Pk)と(ρ(e),P」)は同値でない.また,補題3.27より,m≠eの とき(ρ(m),1?k)と(ρ(e),Pk)も同値でない.従って
{(ρ(m)ア訓m∈z,k≧o}
は互いに同値でない(]L(2,C)の既約表現からなる集合である.逆に,次の定理3.28が成り
立つ.
定理3.28CL(2, C)の既約な有理表現は次の集合のいずれかの既約表現に同値である.
Irr(CL(2, 〈C)) = { (p(M), 7)ic) 1 m E Z, k SI O }
有理表現の定義は省略するが(cf.[1,§3.4.1D,本論文に現れる(7L(2, C)の表現がすべて有 理表現であることを注意しておく.定理3。28は有限次元ベクトル空間V上の一般線形群 CL(V)の既約な有理表現が, Vのあるテンソル積空間VX kの部分表現と1次元表現det のべきとのテンソル積表現に同値であるという定理(cf.[1,定理3.41})と, dim V=2とい う特殊事情から導かれるがその証明は割愛する
定義3.29GL(2, C)の表現(T, V)が次のように既約表現の直和に分解できるとき,完 全可約であるという.
(7, V) = ({D M.,h(p(M), cPle)
m,h
ここでMm,kは非負整数で,(ρ(m), Pk)の重複度という.
次の定理の証明も定理3.28と同様に割愛する(c£【1,定理3.39]).
定理3.30(]L(2,《C)の有理表現は完全可約である
以下,定理328と定理3.30を認めて議論を進めることにする.
既約分解の計算方法
定義3.31(7が群のとき,次の集合をGの中心という.
{gEGIgx == xg VxEG}