ジとなる。この分析の目的は,得点合計に占める主要な評価項目を特定することであ る。学校法人における建学の精神や方針に沿った形で教員評価制度の評価項目と評価基 準が設計できているかを把握することができる。基本的には担当授業回数,著書,論 文,学会発表,外部資金獲得等がこれにあたる。また得点合計に対する各評価項目の相 関について多変量解析を用いてみることで,高い得点合計になっている教員の特徴を統 計的に把握できるため,FD活動への応用に繋がる可能性を有している。
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が考えられるかを検討するフレームを紹介する。図表
18
で示す通り,検討フレームの 構造は上段が諸活動の領域,下段が処遇(金銭,非金銭)で構成し,教員のモチベーシ ョン向上に関わる全領域を網羅していることが求められる。下段については多くの法人 において大きな違いはないと考えられるが,上段の在り方は業務フローの各段階で区分 するなど自学の方針や重点施策と検討するフレームの間に整合性が取れているか確認し ながら設定することが望ましい。ひととおり施策が出揃った後,それぞれの施策の組成と展開方法について詳細化して いくことになる。
まとめに代えて
学校法人の人事担当者と話をする中で,教員評価制度が上手くいっていないという声 を聞くことがある。これについて筆者は評価結果をみて次の行動につなげる
C(測定・
評価)⇒A(改善)のプロセスが法人及び教員の一方,又は両方とも機能していない場 合に起こるもので,教員組織におけるガバナンスに起因するものであると考える。上記 プロセスの機能不全により,教員評価制度が運用を通じて何らかの問題解決や施策展開 に結び付けられず,法人及び教員がその恩恵を自らの実感としてもつことが無ければ,
図表18 教員評価を活用する施策検討フレームワーク例
出所:筆者作成
教員評価制度の構築と導入の実際 151
自己申告等の事務作業が単なるやらされ感として蓄積し,そのような声があちこちから 上がってくるようになる。少し極端な言い方をすると,上述したような
A(改善)に
繋げられない学校法人は,教員評価制度を導入すべきではないと考える。自己点検(情 報公開)のために形式的に制度を導入することは,法人も教員も単に仕事が増えて,お 互いを不幸にするだけである。多くの民間企業では人事評価を一般の社員にまで行うことで彼らを企業経営の
PDCA
サイクルに包含している。それが個々の従業員にとって幸か不幸かは別にして,強い現 場力を醸成し,企業の競争力に繋がっている点を否定することはできない。一方,学校 法人における教員組織については法人経営のPDCA
サイクルと教員組織及びその構成 員である個々の教員の諸活動のサイクルをどのように統合し,進めていくかというガバ ナンスの在り方と密接に関連している。今回,教員評価制度を構築〜導入する過程にお いて教員組織固有の問題に影響を受ける部分を論点として整理したが,これとは別にガ バナンスそのものの在り方に関する研究の重要性を痛感しており,今後の研究課題とし て位置付けたい。各大学で置かれている状況や抱えている課題が異なるため,構築される教員評価制度 そのもののみならずアプローチ方法も多様であって然るべきである。本論は,筆者のコ ンサルティング経験を踏まえ,教員評価制度の構築〜導入を進める上での論点について コンセプト及び事例を用いて整理を試みたものであるが,その一部を示したに過ぎな い。
今後は,教員評価制度の構築と運用に関わる者が一つひとつナレッジを積み重ねてい く中で,お互いに共有化が図られることが重要である。本論もその一助となることを切 に願い結びとする。
注
⑴ 当該数値は医歯系大学法人(39法人)を含んだ539法人の合計である。医歯系を除く場合,消費支出 に占める経費の上位3項目は,人件費比率:53%,教育研究経費比率:22%。減価償却費比率:12%
となり,医歯系大学法人を含む場合より人件費比率は4% 上昇する。
⑵ 年俸制を運用するためには必然的に業績評価体制の整備が付帯する。
⑶ 総合点算出型方式の評価項目数の目安は80項目〜120項目程度となる。
⑷ コレスポンディングオーサー(corresponding author)やラストオーサー(last author)の配点に関する 議論。これに付帯して不適切な研究成果発表行為の防止策についても議論がなされる(①著者として の資格を有しない者を著者として含めるといった不適切なオーサーシップ,②一つの論文で発表でき る研究を分割して発表する分割出版等)。
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