教員評価制度を導入する前に,プロジェクトで検討した教員評価表(評価項目と評価 基準)について過去の実績データを用い,得点の出方に関する試算及びその結果につい
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て分析を実施して,その実用性を検証しておくことが不可欠である。
試算については,全教員について,過去の実績データを用いて評価項目毎に得点を算 定し,得点合計まで導く。全教員の得点合計を導くということは,教員の序列つまりラ ンキングが明らかになるということである。このランキングの状況をみて,学長や各学 部長の印象と相違がないか事前に確認することもできる。勿論,過去の実績データの取 得には限界があることに加えて特記事項の得点化もなされていない状況であるため,仮 の試算結果となることは言うまでもない。但し,得点合計に占める割合が高い評価項目 については過去の実績データ(担当授業回数,著書,論文,学会発表,外部資金獲得 等)を,多くの大学で持っていることから実際に運用して出てくる結果と大きな差は開 かないと考える。
分析については,大きく(1)全体傾向,(2)職位・学部別の個人別得点合計分布
(学部×得点合計の散布図),(3)職位・群別の個人別得点合計分布(年齢×得点合計の 散布図),(4)得点合計の各評価要素寄与度に関する分析は必須であると考える。尚,
以下に示す各分析の事例は全てイメージであり(ダミーデータを用いて筆者作成),特 定の大学の実態に基づくものではない。
まず(1)全体傾向の分析結果については図表
14
のようなイメージでまとめる。この図表14 分析の事例①
出所:筆者作成
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分析では全職位をあわせて得点合計の分布を棒グラフで示す。棒グラフの内訳は,大き く文系群・理系群(大学によっては他に医歯群,芸術群,体育群他も設定できる)と し,それらの学部群がどの得点合計階層にどれだけ分布しているのかを視覚的に明らか にする。学部群の間で合計得点の分布状況に一定の傾向が認められる場合,その背景を 把握しておく必要がある。
(2)職位・学部別の個人別得点合計分布(学部×得点合計の散布図)については,図 表
15
のようなイメージでまとめる。これは単純に横軸に学部,縦軸に得点合計を取り,各教員の得点合計をプロットしたものである。学部別に対象となる教員の得点合計の分 布(高低)を視覚的に一覧できるため状況を理解しやすい。
教員評価制度の運用を続けていくと,数年間の得点合計の平均点を同様のグラフにし た場合,例えば
700
点以上の教員を大学への貢献が大きいハイパフォーマーとしてリテ ンション(離職防止)を主眼に置いた手厚い複合施策で対応していくといった教員人材 ポートフォリオとしての活用も考えられる。(3)職位・群別の個人別得点合計分布(年齢×得点合計の散布図)の分析結果につい ては図表
16
のようなイメージでまとめる。基本的には職位毎に,年齢の軸に対して得 点合計をプロットする。同じ形で,勤続年数を軸に作成しても多くの示唆を得ることが できる。図表16
では→(矢印)で傾向を示しているが,大学によっては講師・准教授 については年齢と得点合計が同期して上昇し,教授になると緩やかな低下傾向が見られ る場合がある。このような分布傾向から,図表15
と同様に,同じ職位においても対象 者を複数の集団にグルーピングした上で,その集団に適した個別の施策を検討できる。(4)得点合計の各評価要素寄与度に関する分析については,図表
17
のようなイメー図表15 分析の事例②
出所:筆者作成
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ジとなる。この分析の目的は,得点合計に占める主要な評価項目を特定することであ る。学校法人における建学の精神や方針に沿った形で教員評価制度の評価項目と評価基 準が設計できているかを把握することができる。基本的には担当授業回数,著書,論 文,学会発表,外部資金獲得等がこれにあたる。また得点合計に対する各評価項目の相 関について多変量解析を用いてみることで,高い得点合計になっている教員の特徴を統 計的に把握できるため,FD活動への応用に繋がる可能性を有している。