[定理 8.1]Kを2次体,oKをKの整数環,α∈oK とする. このとき,αが単数ならば, Kにお けるαの共役ασも単数である.
[証明]αを単数とすると,あるα0∈oKが存在してαα0 = 1. このとき,ασ,α0σ ∈oK,ασα0σ = 1.
ゆえに,ασは単数である.
[定理 8.2]Kを2次体,oKを整数環,α,β ∈oKとする. このとき,oKにおいてαがβで割り 切れるならば,ZにおいてNKαはNKβで割り切れる.
[証明]oKにおいてαがβで割り切れるとすると,あるγ∈oKが存在してα=βγ. ノルムをと ると,
NKα=NK(βγ) =NKβNKγ.
α,β,γ∈oKより,NKα, NKβ,NKγ∈Z. ゆえに, ZにおいてNKαはNKβで割り切れる.
[定理 8.3]Kを2次体,oKをKの整数環,ε∈Kとする. このとき,εが単数であるための必要 十分条件は,ε∈oKかつ|NKε|= 1となることである.
[証明](条件の必要性) εを単数とすると,ε∈oK であり,あるε0 ∈oKが存在してεε0 = 1. 定 理8.2より,Zにおいて1 =NK1はNKεで割り切れる. ゆえに,NKε=±1.
(条件の十分性) ε∈oKかつ|NKε|= 1とすると, εσ ∈oKかつεεσ =±1. よって, ε0 =±εσ とおくと,ε0∈oK,εε0 = 1.
[注意 8.1]整数環の元でなくてもノルムの値が1になるものは存在する. 例えば,K=Q(√
−15), α= (1 +√
−15)/4とおくと, α6∈oKかつNKα= 1.
定理8.3より, 2次体Kの単数群o×Kは
o×K ={ε∈oK | |NKε|= 1}
と表せる. さらに,Kが虚2次体のとき, 0でない元のノルムの値は常に正なので, |NKε|= 1のと ころはNKε= 1と書き換えられる.
[定理 8.4]Kを虚2次体とする.
(i) K=Q(√
−1)のとき,Kのすべての単数は±1,±√
−1.
(ii) K=Q(√
−3)のとき,Kのすべての単数は±1,±(1−√
−3)/2,±(1 +√
−3)/2.
(iii) それ以外のとき, Kの単数は±1のみ.
[証明]εをKの単数とする. Kは虚2次体なので, ある平方因子を含まない有理整数m >0が 存在してK=Q(√
−m). よって,
ε=a+b√
−m, a, b∈Q と表される. また,定理8.3の後に述べたことから,NKε= 1である.
b= 0のとき,ε=a∈Q. よって,
1 =NKε=NKa=a2=ε2. ゆえに,
ε=±1. (12)
b6= 0のとき,t=−TrKεとおくと, εは2次方程式 X2+tX+ 1 = 0 の解であるから,
ε=−t±√ t2−4
2 .
ε∈oKより,t∈Z. また,ε=a+b√
−m6∈Rより上の方程式の判別式t2−4は負なので, (t−2)(t+ 2) =t2−4<0.
よって,
−2< t <2.
t∈Zであるから,t= 0, ±1. ゆえに, ε=±√
−1, ±(1−√
−3)/2, ±(1 +√
−3)/2. (13)
したがって,Kの単数となりうるCの元は(12), (13)がすべてである. K=Q(√
−1)のとき,K は±1,±√
−1のみを含む. K=Q(√
−3)のとき,Kは±1,±(1−√
−3)/2,±(1 +√
−3)/2のみを 含む. それ以外のとき,Kは±1のみを含む.
[補題 8.5]任意のθ∈Rと任意のn∈Z,n >0に対して,あるx,y∈Zが存在して,
|yθ−x|< 1
n, 1≤y≤n が成り立つ.
[証明]y= 0, 1,. . .,nとすると,n+ 1個のyθが得られる. x=byθcとおくと, 0≤yθ−x <1.
よって,yθ−xは次のn個の区間のいずれかに入る.
· 0, 1
n
¶ ,
·1 n, 2
n
¶ , . . . ,
·n−1 n , 1
¶
yθ−xはn+ 1個あるので,部屋割り論法により,少なくとも2つは同一の区間に入る. それらを y1θ−x1, y2θ−x2とし,y2< y1であるすると,
|(y1−y2)θ−(x1−x2)|
=|(y1θ−x1)−(y2θ−x2)|< 1 n であるから,x0=x1−x2,y0=y1−y2とおけば, x0,y0 ∈Zかつ
|y0θ−x0|< 1
n, 1≤y0 ≤n となる.
[補題 8.6]Kを実2次体,oKをKの整数環,dKをKの判別式とする. このとき,任意のn∈Z, n >0に対して,あるα∈oK,α6= 0が存在して,
|α|< 1
n, |NKα|<1 +p dK
が成り立つ.
[証明]1,ωをKの標準的整数底とする. 補題8.5においてθ=−ωとおくと,あるx, y∈Zが 存在して
|yω+x|< 1
n, 1≤y≤n.
α=x+yωとおくと,|α|<1/n. また,y6= 0より,α6= 0.
一方,ω−ωσ=√
dKより
ασ=x+yωσ
= (x+yω)−y(ω−ωσ)
=α+yp dK
なので,
|ασ| ≤ |α|+yp dK < 1
n +np dK.
したがって,NKα=αασより,
|NKα|=|α||ασ|
< 1 n
µ1 n+np
dK
¶
= 1 n2 +p
dK
<1 +p dK.
[定理 8.7]Kを実2次体とする. このとき,Kの単数で±1とは異なるものが存在する.
[証明]Kを実2次体,oKをKの整数環,dKをKの判別式とする. 補題8.6より,任意のn∈Z, n >0に対して,あるα∈oK,α6= 0が存在して,
|α|< 1
n, |NKα|<1 +p
dK. (14)
そこで,まずn1= 1に対して, (14)を満たすαをα1とおく. 次に,n2>1/|α1|なるn2に対して, (14)を満たすαをα2とおくと,
|α2|< 1 n2
<|α1|. 同様の操作を続けると,d=b1 +√
dKc+ 1とおくとき,
|α1|>|α2|>· · ·>|αd3|>0
なるoK の元α1,α2,. . .,αd3 が定まる. 各αiのノルムの絶対値はdより小さいので, 有理整数c で|NKαi|=cとなるαiがd2個より多く存在するようなものが1≤c < dの範囲に存在する.
そこで,|NKαi|=cを満たすαiのすべてをβ1,β2,. . .,βd0 (d0 > d2)とおく. ただし,
|β1|>|β2|>· · ·>|βd0|
が成り立つように番号を振る. 1, ωをKの標準的整数底とし,各i= 1, 2,. . .,d0に対して βi=ri+siω, ri, si ∈Z
とおく. c < dより|Z/cZ×Z/cZ|< d2であるから,部屋割り論法により,ある番号i < jが存在 して
ri≡rj(modc), si≡sj (modc).
ri−rj =cr,si−sj =csとおくと,
βi−βj =c(r+sω).
両辺をβjで割ると,
βiβ−j1−1 =c(r+sω)βj−1.
ゆえに,ε= 1 +c(r+sω)βj−1とおくと,
βiβj−1=ε.
|NKβi|=|NKβj|なので,
|NKε|=|NK(βiβj−1)|=|NKβiNKβj−1|
=|NKβi||NKβj−1|=|NKβi||NKβj|−1
= 1.
また,
βjβjσ=NKβj=±c より
cβj−1=±βσj ∈oK
であるから,ε∈oK. したがって,εはKの単数である.
|βi|>|βj|より,
|ε|=|βi||βj|−1>1.
ゆえに,ε6=±1.
[定理 8.8]Kを実2次体とする. このとき,ε >1を満たすKの単数εが存在する. しかも, そ の中に最小のものε0が存在する. ε0をKの基本単数という.
[証明]定理8.7より,Kの単数εが存在して,ε6=±1. このとき, 次の4通りが考えられる.
(i) ε >1.
(ii) 0< ε <1.
(iii) −1< ε <0.
(iv) ε <−1.
(i)の場合, すべきことはない. (ii)の場合,εの代わりにε−1をとればよい. (iii)の場合, εの代わ りに−εをとればよい. (iv)の場合, εの代わりに−ε−1をとればよい. 以上より,定理の前半が証 明された.
さて,ε >1をKの単数, 1,ωをKの標準的整数底とする. これらの取り方はKにのみ依存す ることに注意せよ. Kの単数はoKの元なので,a+bω,a,b∈ZをKの単数とし,
1< a+bω≤ε (15)
とする. NK(a+bω) =±1より,
−1< a+bωσ<1. (16)
(15), (16)より,
0< b(ω−ωσ)<1 +ε.
dKをKの判別式とすると,ω−ωσ=√
dK >0より, 0< b < 1 +ε
√dK
. (17)
また,ω >0,ωσ<0だから, (15), (16)より,
εωσ≤aωσ+bωωσ≤ωσ,
−ω < aω+bωωσ< ω.
よって,
−(ω+ωσ)< a(ω−ωσ)< ω−εωσ. ω−ωσ =√
dK>0より,
−ω+ωσ
√dK < a < ω−εωσ
√dK . (18)
a,b∈Zであるから, (17), (18)より, (15)を満たす単数a+bωは有限個しかない. したがって,そ の中に最小のものが存在する. それをε0とすれば,ε0は1より大きいKの単数のうちで最小のも のである.
[定理 8.9]Kを実2次体,ε0をKの基本単数とする. このとき,すべての単数は
±εn0, n∈Z の形で表される. 特に,実2次体の単数は無限にある.
[証明]Kの単数εを任意にとる.
ε >0のとき,ε0>1より, あるn∈Zが存在して εn0 ≤ε < εn+10 . もし仮にε6=εn0 とすると,
1< εε−0n< ε0.
εε−0nもまたKの単数であるから, これはε0の最小性に反する. ゆえに, ε=εn0 でなければなら ない.
ε <0のとき,−ε >0なので,あるn∈Zが存在して−ε=εn0. よって,ε=−εn0. 最後の主張は,ε0>1より
1< ε0< ε20<· · · であることからわかる.
[定理 8.10]Kを実2次体,ε0をKの基本単数,ηをKの単数とする. このとき,すべての単数が
±ηn, n∈Z
の形で表されるための必要十分条件は,η=±ε0,±ε−01となることである.
[証明](条件の必要性) まず,η >0のときを考える. 仮定より,あるn1∈Zが存在してε0=±ηn1 となるが,ε0>0よりε0=ηn1. また,定理8.9より,あるn2∈Zが存在してη=±εn02. これに前 式を代入すると, ε0=εn01n2. ゆえに,n1n2= 1. したがって,n1=±1となり,η =ε0またはε−01. 同様の議論により, η <0のとき,η=−ε0または−ε−01.
(条件の十分性) 定理8.9より明らかである.
9 代数体のイデアル
Kを代数体,oKをKの整数環とする.
Kの部分集合aが次の3つの条件を満たすとき,aをKの分数イデアルあるいは単にKのイデ アルという.
(i) aは加法に関してKの部分群である.
(ii) 任意のx∈oK,α∈aに対して,xα∈a.
(iii) あるc∈oK,c6= 0が存在して,任意のα∈aに対して,cα∈oK. 条件(i), (ii)より,Kの分数イデアルaはoK 加群である.
Kの分数イデアルaがa⊆oKを満たすとき,aをoKのイデアルあるいはKの整イデアルとい う. 一般に,Kの部分集合aについて,a⊆oKであることと条件(iii)においてc= 1が取れること とは同値である. したがって,oKのイデアルとは,oKの部分集合aで条件(i), (ii)を満たすものの ことである.
aをKの分数イデアルとすると,a∩oKは整数環oKの部分集合であり,かつ条件(i), (ii)を満た す. よって,a∩oKはoK のイデアルである. また,oKの任意の元xに対して,xa={xα|α∈a} はKの分数イデアルである. 条件(ii)より,xa⊆a. 特に,条件(iii)より,あるc∈oK,c6= 0が存 在して,caはaに含まれるoKのイデアルになる.
[注意 9.1]代数体K自身は,条件(i), (ii)を満たすのでoK加群であるが, 条件(iii)を満たさな いので分数イデアルにはならない.
α1,α2, . . .,αn∈Kに対して,
oKα1+oKα2+· · ·+oKαn ={x1α1+x2α2+· · ·+xnαn |xi ∈oK}
はKの分数イデアルである. これをα1,α2,. . .,αnから生成されるイデアルといい, (α1, α2, . . . , αn)
という記号で表す. また,α1,α2, . . .,αnをイデアル(α1, α2, . . . , αn)の生成元という. また,ただ 1つの元α∈Kから生成されるイデアル
(α) =oKα={xα|x∈oK} を単項イデアルという.
生成元がすべてoKの元であれば,生成されるイデアルはoKのイデアルになる. 逆に,生成元の 中にoKの元でないものが1つでも含まれていれば,生成されるイデアルはoKに含まれないので, oKのイデアルではない.
0だけからなる集合{0}は, 0から生成されるoK の単項イデアルである. すなわち,{0}= (0).
これを零イデアルという. 任意の分数イデアルは零イデアルを含む.
また,oK自身は, 1から生成されるoKの単項イデアルである. すなわち,oK= (1).
[定理 9.1]Kを代数体, (α), (β)をそれぞれα,β ∈Kを生成元とする単項分数イデアルとする.
また,o×KをKの単数群とする. このとき,
(α) = (β)⇐⇒α=βε(∃ε∈o×K) が成り立つ. 特に,
(α) =oK ⇐⇒α∈o×K である.
[証明](⇒) (α) = (β)とする. β ∈(α) =αoKより, あるε∈oK が存在して, β =αε. 一方, α∈(β) =βoKより,あるε0∈oKが存在して,α=βε0. ゆえに,α=αεε0. よって,α(εε0−1) = 0.
これより, α= 0またはεε0 = 1となる. α = 0の場合は, β = 0となるので, α=β ·1である.
εε0 = 1の場合は,ε∈o×Kである.
(⇐) γ ∈(α) =αoKとすると,あるγ0 ∈oK が存在して, γ=αγ0. 一方, α=βεであるから, γ =βεγ0 ∈βoK = (β). よって, (α)⊆(β)である. β =αε−1を用いれば, 逆の包含関係も同様に して示せる.
後半の主張は,oK = (1)であることから, 前半の主張をβ= 1の場合に適用することにより得ら れる:
(α) =oK⇐⇒(α) = (1)⇐⇒α=ε(∃ε∈o×K)⇐⇒α∈o×K.
[定理 9.2]Kを代数体とし,a, bをKの分数イデアルとする.
(i) a∩bはKの分数イデアルである.
(ii) a+b={α+β |α∈a, β∈b}はKの分数イデアルである. これをa, bの和という.
(iii) ab={P
iαiβi (有限和)|αi ∈a, βi ∈b} はKの分数イデアルである. これをa, bの積と いう.
[証明]a,bがoK 加群のとき,a∩b, a+b,abがoK 加群であることはすぐに確かめられる. 以 下,イデアルの定義の条件(iii)が成り立つことを確かめる.
a,bはKの分数イデアルだから,イデアルの定義の条件(iii)が成り立つ. すなわち,あるc1∈oK, c16= 0が存在して, 任意のα∈aに対して, c1α∈oK. 同様に, あるc2 ∈oK, c2 6= 0が存在して, 任意のβ ∈bに対して, c2β∈oK.
(i) a∩b⊆aだから, 任意のα∈a∩bに対して,c1α∈oK. (ii) 任意のα∈a,β∈bに対して,
c1c2(α+β) =c2(c1α) +c1(c2β)∈oK. ここで,c1c26= 0であり,c1c2はα,βには依存しない.
(iii) 任意のP
iαiβi∈abに対して, c1c2
X
i
αiβi=X
i
(c1αi)(c2βi)∈oK. ここで,c1c26= 0であり,c1c2はabの元には依存しない.
[例 9.1]Kを2次体,oK をKの整数環, aをKの分数イデアル,γ∈Kとする. このとき, (γ)a=γa
が成り立つ. 実際,P
i(γxi)αi,xi∈oK,αi ∈aをaの任意の元とすると, X
i
(γxi)αi=γ ÃX
i
xiαi
!
∈γa.
ゆえに, (γ)a⊆γa. 逆に,γα, α∈aをγaの任意の元とすると, 明らかにγα∈(γ)aである. ゆえ に,γa⊆(γ)a.
[定理 9.3]Kを代数体,α1, α2,. . ., αr,β1,β2,. . .,βs∈Kとし, a= (α1, α2, . . . , αr), b= (β1, β2, . . . , βs) とおく.
(i) a+b= (α1,α2,. . .,αr, β1,β2,. . .,βs).
(ii) ab= (α1β1,α1β2,. . .,α1βs, . . .,αrβ1, αrβ2,. . ., αrβs).
[証明](i) a+b=oKα1+· · ·+oKαr+oKβ1+· · ·+oKβr. (ii) c= (α1β1,α1β2,. . .,α1βs,. . .,αrβ1,αrβ2, . . .,αrβs)とおく.
P
iξiηi,ξi∈a,ηi∈bをabの任意の元とする. 各ξi, ηiは
ξi=x(i)1 α1+x(i)2 α2+· · ·x(i)r αr, x(i)j ∈oK, ηi=y1(i)β1+y(i)2 β2+· · ·ys(i)βs, yk(i)∈oK
と表せるから,
X
i
ξiηi=X
i
X
j,k
x(i)j yk(i)αjβk
∈c.
ゆえに,ab⊆c. 逆に,
c=X
i,j
oKαiβj⊆ab.
したがって,ab=c.
Kの任意の分数イデアルa,bに対して,
a∩b⊆a⊆a+b, (a∩b)(a+b)⊆ab
が成り立つことはすぐにわかる. また,a,bがともにoKのイデアルであるとき, ab⊆a∩b
が成り立つ.
[注意 9.2]整数環のイデアルではない分数イデアルa,bに対してはab⊆a∩bが一般には成立 しない. 例えば, K=Q,oK =Zのとき,
1 2Z· 1
4Z= 1 8Z ) 1
4Z= 1 2Z∩1
4Z となる.
代数体Kの整数環oKのイデアルa,bが互いに素であるとは,a+b=oK が成り立つときにい う. a, bが互いに素であることを, 記号(a,b) = 1で表す. a, bが互いに素になるための必要十分 条件は,あるα∈a, β ∈bが存在して1 =α+βが成り立つことである.
[定理 9.4]Kを代数体,oKをKの整数環,a,bをoKのイデアルとし, (a,b) = 1であるとする.
このとき,ab=a∩bが成り立つ.
[証明]ab⊆a∩bは明らかなので,逆の包含関係を示す.
1∈oK =a+bより,
1 =α+β, α∈a, β∈b と表せる. よって,任意のγ∈a∩bに対して,
γ=γ(α+β) =αγ+γβ∈ab.
ゆえに,a∩b⊆ab.
[定理 9.5]Kを代数体,a,b,cをKの分数イデアルとする.
(i) a+b=b+a.
(ii) ab=ba.
(iii) (ab)c=a(bc).
(iv) (a+b)c=ab+ac.
[証明](i) αi+βi,αi∈a,βi ∈bをa+bの任意の元とすると, αi+βi=βi+αi∈b+a.
ゆえに,a+b⊆b+a. 逆の包含関係も同様にして示せる.
(ii) P
iαiβi,αi∈a,βi∈bをabの任意の元とすると, X
i
αiβi=X
i
βiαi∈ba.
ゆえに,ab⊆ba. 逆の包含関係も同様にして示せる.
(iii) P
iξiγi,ξi∈ab,γi∈cを(ab)cの任意の元とする. 各ξiは ξi=
ri
X
j=1
α(i)j βj(i), αj(i)∈a, βj(i)∈b のように表せるから,
X
i
ξiγi=X
i
Xri
j=1
α(i)j βj(i)
γi=X
i
Xri
j=1
α(i)j (βj(i)γi)
∈a(bc).
ゆえに, (ab)c⊆a(bc). 逆の包含関係も同様にして示せる.
(iv) P
iξiγi,ξi∈a+b,γi∈cを(a+b)cの任意の元とする. 各ξiは ξi=αi+βi, αi∈a, βi∈b