Kを2次体,oKをKの整数環,aをKの分数イデアルとする. ω1,ω2∈Kがaの基底であると は,任意のα∈aが
α=aω1+bω2, a, b∈Z
と一意的に表されるときにいう. ω1,ω2がaの基底であることを,記号で a= [ω1, ω2]
と表す.
[補題 10.1]Kを2次体,oKをKの整数環,aをKの分数イデアルとする. このとき,ω1,ω2∈K がaの基底であるための必要十分条件は,次の2つの条件を満たすことである.
(i) a=Zω1+Zω2.
(ii) ω1,ω2はZ上1次独立である.
[証明]補題5.1と同様にして証明できる.
イデアルの基底は生成元である. 実際,aを2次体Kの分数イデアルとし,a= [ω1,ω2]とすると, a=Zω1+Zω2⊆oKω1+oKω2⊆a
より,
a=oKω1+oKω2= (ω1, ω2).
しかし,逆は必ずしも成立しない. 例えば, 1はoKの生成元であるが基底ではない.
aがoKのイデアルであれば,その基底はoKの元である.
oK自身はoKのイデアルであるが,oKの基底とはまさにKの整数底のことである.
[補題 10.2]2次体Kの任意の分数イデアルa6= (0)は, ある0でない有理整数を含む.
[証明]aをKの(0)でない分数イデアルとする. a∩oKはaに含まれるoK のイデアルであり, これが0でない有理整数を含むことをいえばよい. したがって,aがoKのイデアルである場合を証 明すれば十分である.
a6= (0)より,aは0でない元αをもつ. a⊆oKよりα∈oK,したがってασ∈oKであるから, NKα=αασ∈a.
一方,α∈oK,α6= 0より,NKαは0でない有理整数である.
[補題 10.3]Kを2次体, aをKの分数イデアル, a0をaに含まれる最小正の有理整数とする.
このとき,任意のb∈Zに対して,
b∈a⇐⇒bはa0のZにおける倍数 が成り立つ.
[証明](⇒) 有理整数における除法の原理より,あるq, r∈Zが存在して, b=a0q+r, 0≤r < a0.
b,a0q∈aより,
r=b−a0q∈a.
a0の最小性より,r= 0. すなわち,bはa0の倍数である.
(⇐) bはa0のZにおける倍数だから,あるx∈Zが存在して,b=a0x. 有理整数はすべてoK の元だから,b=a0x∈a.
[定理 10.4]Kを2次体,aをKの(0)でない分数イデアルとする. このとき,aに含まれる最小 正の有理整数a0が存在して,Z∩a=a0Zが成り立つ. したがって特に,Z∩aはZの(0)でないイ デアルである.
[証明]補題10.2より,あるa∈Z,a6= 0が存在して,a∈a. このとき, −a∈aでもある. ±aの 一方は正だから,aは正の有理整数を含む. 自然数の整列性により,aに含まれる最小正の有理整数 a0が存在する.
補題10.3より,
x∈Z∩a⇐⇒x∈Zかつx∈a
⇐⇒xはa0のZにおける倍数
⇐⇒x∈a0Z. ゆえに,Z∩a=a0Z.
[例 10.1]Kを2次体,oKをKの整数環,a∈Z,a >0とする. このとき, (a) =aoKに含まれ る最小正の有理整数はaである. 定理10.4より,aoK∩Z=aZ. したがって, 2つの有理整数a, b について,bがoKにおけるaの倍数ならば,bはZにおけるaの倍数である.
aがaoKに含まれる最小正の有理整数であることは次のようにして示される. aoK に含まれる 正の有理整数bを任意にとるると,あるx∈oKが存在して,b=ax. すると,x=b/a∈Q. よって, x∈Q∩oK=Z. さらに,a >0,b >0よりx >0. ゆえに,a≤ax=bとなる.
[補題 10.5]Kを2次体, oKをKの整数環, 1, ωをKの標準的整数底,a6= (0)をKの分数イ デアルとする. このとき,
Ia={c∈Z|b+cω∈a(∃b∈Z)}
はZの(0)でないイデアルである. さらに,c0をIaの生成元, すなわちIa =c0Zであるとすれば, 任意のb,c∈Zに対して,
b+cω∈a=⇒c0|b, c0|c
が成り立つ. 特に,aに含まれるすべての有理整数はc0の倍数である.
[証明]IaはZの部分集合である. また, 0 + 0·ω= 0∈aより0∈Iaであるから,Iaは空集合で ない.
c,c0∈Ia,r∈Zを任意にとる. あるb,b0 ∈Zが存在して,b+cω, b0+c0ω∈a. このとき, (b−b0) + (c−c0)ω= (b+cω)−(b0+c0ω)∈a,
(rb) + (rc)ω=r(b+cω)∈a.
ゆえに,b−b0,rb∈Ia. したがって,IaはZのイデアルである. a6= (0)だから,補題10.2よりaに 含まれる有理整数aが存在する. ω∈oKより,aω∈a. ゆえに,a∈Ia. したがって,Ia6= (0).
Zは単項イデアル整域なので, Ia はただ1つの元から生成される. c0をIa の生成元とする.
Ia6= (0)だから,c06= 0である.
b,c∈Zとし, b+cω∈aとする. c∈Ia=c0Zだから,c0|cとなる.
さて,K=Q(√
m)と表す. ただし,m6= 0, 1は平方因子を含まない有理整数である.
m≡1 (mod 4)のとき, ω= (1 +√
m)/2だから, a3(b+cω)ω= 1−m
4 c+ (b+c)ω.
よって, (b+c)∈Ia=c0Z. ゆえに,c0|(b+c). 先にc0|cを示したから,c0|b.
m≡2, 3 (mod 4)のとき,ω=√
mだから,
a3(b+cω)ω=cm+bω.
よって,b∈Ia=c0Z. ゆえに,c0|b.
特に,c= 0の場合を考えれば,aに含まれるすべての有理整数がc0で割れることがわかる.
[定理 10.6]Kを2次体,oKをKの整数環, 1,ωをKの標準的整数底,a6= (0)をoKのイデア ルとする. さらに,a0をaに含まれる最小正の有理整数, c0を補題10.5におけるZのイデアルIa
の生成元のうち正であるものとする. このとき,b+c0ω∈aであるような任意のb∈Zに対して, a= [a0, b+c0ω]
が成り立つ. また,b+c0ω∈aであるようなb∈Zは必ず存在する.
a0, b+c0ωをaの標準的基底という.
[証明]定理10.4より,aに含まれる最小正の有理整数a0が存在して,Z∩a=a0Zとなる. Iaを 補題10.5におけるZのイデアルとすると, ある正の有理整数c0によってIa =c0Zと表せる. ま た,Iaの定義より,あるb0∈Zが存在して,b0+c0ω∈aとなる.
b∈Z, b+c0ω∈aとすると,Za0+Z(b+c0ω)⊆aである.
逆に, α∈aとすると, a ⊆oK = [1, ω]より, α=u+vω, u, v ∈Zと表せる. Iaの定義より v∈Ia=c0Zだから,あるy∈Zが存在して,v=c0y. よって,
α−y(b+c0ω) = (u+vω)−(by+vω) =u−by∈Z. 一方,α−y(b+c0ω)∈aでもあるから,
α−y(b+c0ω)∈Z∩a=a0Z. したがって,a⊆Za0+Z(b+c0ω)もいえる.
oK = [1,ω],a06= 0, c06= 0より, 任意のx,y∈Zに対して, xa0+y(b+c0ω) = 0
=⇒xa0+yb=c0y= 0
=⇒x=y= 0.
よって,a0,b+c0ωはZ上1次独立である.
したがって,補題10.1より,a= [a0, b+c0ω]が成り立つ.
[定理 10.7]Kを2次体,oKをKの整数環,a6= (0)をoKのイデアルとする. また,a0,b0+c0ω をaの標準的基底とする. このとき,任意のb∈Zに対して,
b+c0ω∈a⇐⇒b≡b0(moda0) が成り立つ.
[証明](⇒) b+c0ω∈aであるとする. 除法の原理により,あるq,r,q0,r0∈Zが存在して, b=a0q+r, 0≤r < a0,
b0=a0q0+r0, 0≤r0< a0. このとき,
r−r0=b−b0−a0(q−q0)
= (b+c0ω)−(b0+c0ω)−a0(q−q0)∈a.
ゆえに,|r−r0|=±(r−r0)∈aとなる. 0≤ |r−r0|< a0であるから,a0の最小性より,r=r0と なる. したがって,b≡b0(moda0).
(⇐) b≡b0(moda0)とすると, あるs∈Zが存在して,b=b0+a0s. このとき, b+c0ω=a0s+ (b0+c0ω)∈a.
となる.
[定理 10.8]Kを2次体,oKをKの整数環, 1,ωをKの標準的整数底,a,b,c∈Z,a >0,c >0 とする. このとき,
a=Za+Z(b+cω) がoKのイデアルならば,
Z∩a=aZ, Ia=cZ であり,a,b+cωはaの標準的基底である. また,
NK(b+cω)∈aZ が成り立つ.
[証明]aをoKのイデアルとする. 任意のr∈Z∩aに対して,あるs,t∈Zが存在して, r=sa+t(b+cω) = (sa+tb) +ctω.
oK= [1, ω]だから,
r=sa+tb, ct= 0.
c 6= 0より, t = 0. よって, r = sa ∈ aZ. ゆえに, Z∩a ⊆ aZ. 逆の包含関係は明らかだから, Z∩a=aZとなる.
また,b+cω∈aよりc∈Iaだから,cZ⊆Ia. 逆に,α∈aを任意にとると,あるx,y∈Zが存在 して,
α=xa+y(b+cω) = (xa+yb) +cyω.
この表し方はαに対して一意的である. ゆえに,Ia⊆cZ. したがって,Ia=cZ. 定理10.6より,a,b+cωはaの標準的基底である.
さらに,b+cω∈a, (b+cω)σ∈oKより,
NK(b+cω) = (b+cω)(b+cω)σ∈Z∩a=aZ となる.
OKのイデアルaが
a= [a, b+cω], a, b, c,∈Z, a >0, c >0 と表されているとき,定理10.8より,a,b+cωは必ずaの標準的基底になる.
[定理 10.9]Kを代数体,a6= (0)をKの分数イデアルとする. このとき, あるω1,ω2∈Kが存 在して,a= [ω1,ω2]となる.
[証明]aは分数イデアルだから,あるc∈oK,c6= 0が存在して, caはoKのイデアルになる. 定 理10.6より,あるα1,α2∈oKが存在して,cα= [α1,α2]が成り立つ. ω1=α1/c,ω2=α2/cとお くと,a=Zω1+Zω2となる. また,任意のx,y∈Zに対して,
xω1+yω2= 0 =⇒ 1
c(xα1+yα2) = 0
=⇒xα1+yα2= 0
=⇒x=y= 0.
よって,ω1,ω2はZ上1次独立である. ゆえに,補題10.1より,a= [ω1,ω2].
[定理 10.10]Kを2次体,aをKの分数イデアルとする. このとき,あるc∈Z,c >0が存在し て,ca⊆oKとなる.
[証明]定理10.9より, aは基底ω1, ω2 ∈Kをもつ. ω1, ω2は代数的数だから, あるc1,c2∈Z, c >0が存在して,c1ω1,c2ω2は代数的整数となる. このとき,c=c1c2とおくと,c∈Z,c >0かつ
ca=c1c2(ω1, ω2)
= (c1c2ω1, c1c2ω2)
⊆K∩Z=oK.
[定理 10.11]Kを2次体, a6= (0)をKの分数イデアルとし, a= [ω1, ω2]であるとする. この とき,任意のγ∈K,γ6= 0に対して,γa= [γω1,γω2]となる.
[証明]γa=γ(Zω1+Zω2) =Zγω1+Zγω2. また,任意のx,y∈Zに対して, xγω1+yγω2= 0 =⇒γ(xω1+yω2) = 0
=⇒xω1+yω2= 0
=⇒x=y= 0.
ゆえに,補題10.1より,γa= [γω1,γω2].
[定理 10.12]Kを2次体,oKをKの整数環,aをKの分数イデアル,ω1,ω2をaの基底とする.
また,p,q,r, s∈Zとし,ps−qr=±1を満たすとする. このとき, µ1=pω1+qω2,
µ2=rω1+sω2
とおけば,µ1,µ2もまたaの基底である.
[証明]定理5.4と同様にして証明できる.
[定理 10.13]Kを2次体,oKをKの整数環,aをKの分数イデアルとする. ω1,ω2,µ1,µ2∈K, p,q,r,s∈Zとし,
µ1=pω1+qω2, µ2=rω1+sω2
を満たすとする. このとき, a= [ω1, ω2] = [µ1, µ2]ならばps−qr=±1が成り立つ.
[証明]定理5.7と同様にして証明できる.
Kを2次体,a6= (0)をKの分数イデアルとし,ω1,ω2をaの基底とするとき,
d(a) =dK(ω1, ω2) =
¯¯¯¯
¯¯
ω1 ω2 ωσ1 ωσ2
¯¯¯¯
¯¯
2
をaの判別式という.
oKのイデアルとしての基底とはまさにKの整数底のことなので,d(oK)とKの判別式dKとは 同一のものである.
[定理 10.14]d(a)の値はaの基底の選び方によらない.
[証明]定理6.4と同様にして証明できる.
11 イデアルのノルム
[定理 11.1]Kを2次体,oK をKの整数環, aをKの分数イデアルとする. このとき, aσ={ασ |α∈a}
もまたKの分数イデアルである. aσをaの共役イデアルという.
aがoKのイデアルならば,aσもoKのイデアルである.
[証明]0 = 0σ ∈aσより,aσは空集合でない.
α, β∈a,x∈oKを任意にとる. α−β∈aより,
ασ−βσ= (α−β)σ∈aσ. また,xσ∈oK よりxσα∈aだから,
xασ= (xσα)∈aσ.
さらに,aは分数イデアルだから, あるc∈oK, c6= 0が存在して,任意のα∈aに対してcα∈oK
となる. よって, 任意のα∈aに対して,
cσασ= (cα)σ ∈oK, cσ∈oK. ここで,cσはαに依存しない. ゆえに,aσはKの分数イデアルである.
aがoK のイデアルならば, a⊆oKより, 任意のα∈aに対して, ασ ∈oKとなる. したがって, aσ⊆oK.
[定理 11.2]Kを2次体とし,a,bをKの分数イデアルとする.
(i) (a+b)σ=aσ+bσ. (ii) (ab)σ=aσbσ.
[証明](i) 任意のα∈a,β ∈bに対して
(α+β)σ=ασ+βσ が成り立つことから明らか.
(ii) 任意の有限和P
iαiβi,αi ∈a,βi∈bに対して ÃX
i
αiβi
!σ
=X
i
ασiβiσ が成り立つことから明らか.
[定理 11.3]Kを2次体とし,α1,α2,. . .,αs∈Kとする. このとき, (α1, α2, . . . , αs)σ = (ασ1, ασ2, . . . , αsσ) が成り立つ.
[証明]任意のx1,x2,. . ., xs∈oKに対して, Ã s
X
i=1
xiαi
!σ
= Xs i=1
xσiασi = Xs i=1
xiασi. これより,求める等式が成り立つことは明らかである.
[定理 11.4]Kを2次体, oKをKの整数環, aをKの分数イデアル,aσをaの共役イデアルと する. このとき, あるu∈Q, u >0がただ1つ存在して,
aaσ= (u) が成り立つ. aがoK のイデアルならば,u∈Zである.
[証明]定理10.10より,あるv∈Z,v >0が存在して,vaはoKのイデアルになる. α,βをvaの 基底とすれば,
va= (α, β), α, β∈oK. 定理11.3より,
vaσ= (va)σ= (ασ, βσ).
よって,
v2aaσ= (αασ, αβσ, ασβ, ββσ).
a=αασ,b=αβσ+ασβ,c=ββσとおくと,a,b,c∈Zである. g= gcd(a, b, c)とおくと,g >0 であり,
g=ax+by+cz, x, y, z∈Z と表せる. よって,g∈v2aaσとなり, (g)⊆v2aaσがいえる. 逆に,
αασ=a=g· a g ∈(g), ββσ=a=g· b
g ∈(g).
さらに,
TrK
αβσ
g = αβσ g +ασβ
g = b g ∈Z, NK
αβσ g =αβσ
g · ασβ g =ac
g2 ∈Z. よって,αβσ/g,ασβ/g∈oK. ゆえに,
αβσ=g·αβσ g ∈(g), ασβ=g·ασβ
g ∈(g).
したがって,v2aaσ⊆(g)もいえる.
以上より,v2aaσ= (g)が成り立つ. u=g/v2とおくと,u∈Q,u >0,aaσ = (u)となる.
aがoKのイデアルであるときは,上の議論をv= 1の場合に行えばよいから,u=g∈Zとなる.
u,u0∈Q,u >0,u0>0とし,
aaσ= (u) = (u0)
であるとすると, あるε∈oKが存在して,u=u0εとなる. ところが,ε∈Q∩o×K ={±1}である からε=±1であり, u >0,u0 >0よりε= 1. したがって,u=u0.
2次体Kの分数イデアルa6= (0)に対して,定理11.4におけるuをaのノルムといい, Naで表 す. Naは常に正の有理数である. aが整数環oKのイデアルならば,Naは有理整数である.
[定理 11.5]Kを2次体, α∈K, α6= 0とする. このとき, 単項分数イデアル(α) =αoKにつ いて,
N(α) =|NKα| が成り立つ.
[証明]イデアルのノルムの定義と定理11.3より,
(N(α)) = (α)(α)σ= (α)(ασ) = (αασ) = (NKα).
ゆえに,あるε∈o×Kが存在して,
N(α) =NKα·ε.
N(α),NKα∈Qより,ε∈Q∩o×K={±1}. イデアルのノルムは常に正だから, N(α) =|N(α)|=|NKα||ε|=|NKα|.
[例 11.1]Kを2次体,a∈Qとするとき,NKa=a2より, N(a) =|NKa|=a2.
[定理 11.6]Kを2次体,oK をKの整数環, a, bをKの(0)でない分数イデアルとする. この とき,
N(ab) =NaNb が成り立つ.
[証明]イデアルのノルムの定義と定理11.2より,
(N(ab)) = (ab)(ab)σ=abaσbσ
=aaσbbσ= (Na)(Nb)
= (NaNb).
よって,あるε∈o×Kが存在して,
N(ab) =NaNb·ε.
N(ab),Na,Nb∈Zであるから,ε∈Q∩o×K ={±1}. また, N(ab),Na, Nbはすべて正であるか ら,ε= 1. したがって,求める等式が得られる.
[定理 11.7]Kを2次体,a6= (0)をKの分数イデアル,γ6= 0をKの元とする. このとき, N(γa) =NKγ·Na
が成り立つ.
[証明]定理11.2,定理11.3を用いて計算すると,
N(γa) = (γa)(γa)σ = (γ)a((γ)a)σ= (γ)a(γ)σaσ
= (γ)a(γσ)aσ = (γ)(γσ)aaσ= (γγσ)aaσ=γγσaaσ
=NKγ·Na.
[定理 11.8]Kを2次体,a6= (0)をKの分数イデアル,aσをaの共役イデアル,a−1をaの逆イ デアル,Naをaのノルムとする. このとき,
b= 1 Naaσ とおくと,ab=oK,a−1=bが成り立つ.
[証明]イデアルのノルムの定義より,
aaσ= (Na).
両辺に1/Naを掛けることにより, ab=oKが得られる. さらに,定理9.7より,a−1=b.
[定理 11.9]Kを2次体,oKをKの整数環,a6= (0)をKの分数イデアル,a−1をaの逆イデア ルとする. このとき,
Na−1= (Na)−1 が成り立つ.
[証明]定理11.8よりaa−1=oKであるから,
NaNa−1=N(aa−1) =NoK = 1.
これより,求める等式が得られる.