効率 HHV(LHV)%
千住実測
(夏・冬平均) 都市ガス改質
65.2 ( 60.9 ) % 63.7 ( 59.4 ) %
将来予測
78.3 ( 73.2 ) % 76.8 ( 71.8 ) %
表1.1.6-2に、都市ガス水蒸気改質方式のオンサイト型水素ステーションの将来のエネルギ
ー効率の予測を示す(表1.1.6-1と表1.1.6-2とでは、千住の実測値が異なることに注意)。
表 1.1.6-2に示す通り、将来的のオンサイト型商用水素ステーションでは現在よりも 10ポイ
ント以上の効率向上が見込まれる(詳細は、1.1.6.6項を参照のこと)。
表1.1.6-2 将来の商用水素ステーションにおけるエネルギー効率予測
1.1.6.1 ステーションエネルギー効率の定義及び前提
一般にエネルギーの評価範囲には、自動車のLCA(Life Cycle Assessment)の観点において、
図1.1.6.1-1に示すように
・「Well to Wheel」(一次エネルギー採掘~車両走行による消費まで)
・「Well to Tank」(一次エネルギー採掘~車両タンクへの給油まで)
・「Tank to Wheel」(車両タンクへの給油後~車両走行まで)
といった区分がある。
本項で定義する水素ステーションのエネルギー効率とは、上記 3 区分とは別に水素ステー
ション(Station)における原燃料からの水素製造・圧縮~車両(FCV=燃料電池自動車)の
水素タンク(Tank)への水素充填までの範囲「Station to Tank」(JHFC1においては「Charge Tank to Fuel Tank (CT to FT)」と呼称していた)を対象とする。
水素ステーションのエネルギー効率 η の定義を式1.1.6.1-1に、エネルギーフローの定義を 図1.1.6.1-2に示す。
ステーションのエネルギー効率 ηの定義式
) ルギー(
投入された全エネ
素製造・圧縮・充填に 水素ステーションで水
) ルギー量(
た水素ガスの保有エネ 車両タンクに充填され
=
n
0 e
E
EH
×100 [%]…………式 1.1.6.1-1 図1.1.6.1-1 自動車LCA(Life Cycle Assessment)の評価範囲と
Station to Tank(CT to FT)の関係 Well
水素ステーション Station
車両タンク
Tank Wheel
一次エネルギー 採掘・精製・輸送
水素ステーションでの
水素製造・圧縮 車両への水素充填 車両走行
Well to Wheel
(一次エネルギー採掘⇒車両走行)
Well to Tank
(一次エネルギー採掘⇒車両タンク)
Tank to Wheel
(車両タンク⇒車両走行)
Station to Tank
(水素ステーション⇒車両タンク)
図1.1.6.1-2に示すように、E0は水素製造の原料となる原燃料のエネルギー、enは水素製造・
圧縮・制御等に必要な電力(Σenは e1~enの和)、EHは車両タンクに充填された水素の持つ エネルギーとなり、実際の計算時にはEHを水素1kgあたりの持つエネルギーを基準とした。
なお、電力(単位[kWh])は全て換算係数:3.6 [MJ/kWh]を用いて熱量単位[MJ]に換算して 計算を行っている。また原燃料のエネルギーは、原燃料が高圧ガスの場合、その原燃料の発 熱量と圧力エネルギーの和とした。すなわちオフサイト型水素ステーションの場合、原燃料 は高圧水素となるため、水素の発熱量と圧力エネルギーの和となる。車両(FCV)へ充填された 高圧水素についても同様であり、圧力エネルギーは以下のように計算される。
水素ガス1molあたりの圧力エネルギー (Epf)の定義を式1.1.6.1-2に示す。
Epf = R × tf × ln(pf / p0)[J/mol at pf] …………式 1.1.6.1-2
R 気体定数 (8.31510 [Jmol-1K-1])
tf 水素ガスの温度(絶対温度) (298.15 [K]) p0 標準大気圧(絶対圧力) (101.325 [kPa]) pf 水素ガスの圧力(絶対圧力) ([kPa])
ここで水素ガスの圧力とは、原燃料としてステーションの蓄圧器に充填された際の 圧力、もしくは車両(FCV)の水素タンクに充填された際の圧力を指す。
EH : 車両(FCV)の水素タンクに充填された高圧水素の持つエネルギー
(例:水素充填量あたりの発熱量+35MPa(70MPa)の圧力エネルギー)
図1.1.6.1-2 ステーションにおけるエネルギーフローの定義
E0 : 水素製造に使用された原燃料の持つエネルギー
(例:水素製造における都市ガス使用量あたりの発熱量)
en : 水素製造・圧縮・充填に使用された電力
(例:圧縮機の消費電力)
Station Tank
車両(FCV)の水素タンク 水素ステーション
E
0e
1e
2e
n22
E H
式1.1.6.1-2の利用の具定的な例として、35MPa・70MPa・大気圧のそれぞれの場合につき、
水素ガス1 kg当たりの保有エネルギー(25℃基準)を表1.1.6.1-1に示した。
表1.1.6.1-1の水素ガスの保有エネルギーは、低位発熱量(LHV=Lower Heating Value;真発 熱量)ベース、高位発熱量(HHV=Higher Heating Value;総発熱量)ベースについてそれぞ れ求めてある。
表1.1.6.1-2に各種原燃料の発熱量を定義した。本報告における数値は基本的には平成17年
度末にJHFC総合効率検討特別委員会より公表された発熱量(「JHFC総合効率検討結果」報 告書 平成18年3月)を用いることとした(但し、都市ガスについてはガス会社により平成 18年に熱量変更が行われているため、各ガス会社公称値を使用した)。JHFC1での効率測定 データに使われた原燃料の発熱量の値と異なっている場合があるため、本報告書の結果と
JHFC1で公表された効率の結果とでは差異が出る可能性があることに留意されたい。
水素ガス 1 kg 当たりの保有エネルギー
単位 低位発熱量ベース
(LHV)
高位発熱量ベース (HHV)
MJ/kg 120 142
大気圧 MJ/Nm3 10.8 12.8
MJ/kg 127 149
35 MPa
(ゲージ圧) MJ/Nm3 11.4 13.4
MJ/kg 128 150
70 MPa
(ゲージ圧) MJ/Nm3 11.5 13.5
表1.1.6.1-2 エネルギー効率算定用発熱量・CO2排出係数一覧
※脱硫ガソリンは、ガソリンの値を採用した
表1.1.6.1-1 水素ガスの保有エネルギー(25℃)
注:水素の単位換算係数: 0.0899 [kg/Nm3]
都市ガス13A
(関東・関西) 0.817 [kg/Nm3] 45.0 [MJ/Nm3] 40.5 [MJ/Nm3] 55.1 [MJ/kg] 49.6 [MJ/kg] 2.29 [kg-Nm3/kg]
都市ガス13A
(中部) 0.847 [kg/Nm3] 46.0 [MJ/Nm3] 41.4 [MJ/Nm3] 54.3 [MJ/kg] 48.9 [MJ/kg] 2.36 [kg-Nm3/kg]
メタノール 0.796 [kg/L] 18.1 [MJ/L] 15.8 [MJ/L] 22.7 [MJ/kg] 19.8 [MJ/kg] 1.37 [kg-CO2/kg]
ナフサ 0.723 [kg/L] 33.6 [MJ/L] 31.9 [MJ/L] 46.5 [MJ/kg] 44.1 [MJ/kg] 3.09 [kg-CO2/kg]
脱硫ガソリン※ 0.733 [kg/L] 34.6 [MJ/L] 32.9 [MJ/L] 47.2 [MJ/kg] 44.9 [MJ/kg] 3.17 [kg-CO2/kg]
単位換算係数 高位発熱量 HHV
低位発熱量 LHV
高位発熱量 HHV
(単位換算)
低位発熱量 LHV
(単位換算)
CO2排出係数
水素製造に係るCO2排出量については、水素製造に要した原燃料及び電力について計算を 実施した。原燃料のCO2排出係数は、発熱量と同様に平成17年 JHFC総合効率検討特別委員 会において定義された値を使用した。但し、都市ガスについては、一部で熱量変更が行われ ているため、ガス会社 3 社(東京ガス・東邦ガス・大阪ガス)が現在公表している値を地域 ごとにそれぞれ採用した(表1.1.6.1-2及び表1.1.6.1-3参照)
また、JHFC1 における各水素ステーションのエネルギー効率については、電力消費による
CO2排出量が計算されていなかったため、本報告では電力会社 3 社(東京電力・中部電力・
関西電力)の CO2排出係数の公表値の平均値を採用し計算に加えた。なお、電力会社の CO2
排出係数は「地球温暖化対策の推進に関する法律」により炭素クレジットによる調整が認め られているが、実排出量の観点から本報告では炭素クレジット反映前の値を採用した(表
1.1.6.1-3参照 電力とガスで排出係数の単位が異なることに留意のこと)。
企業名 備考
東京ガス株式会社 2.29 [kg-CO2/Nm3] 関東地区 大阪ガス株式会社 2.29 [kg-CO2/Nm3] 関西地区 東邦ガス株式会社 2.36 [kg-CO2/Nm3] 中部地区 ガス3社平均値 2 .3 1 [kg-CO2/Nm3]
東京電力株式会社 0.384(0.324) [kg-CO2/kWh] 2009年度実績 ()内数字は炭素クレジット反映後 関西電力株式会社 0.355(0.299) [kg-CO2/kWh] 2008年度実績 ()内数字は炭素クレジット反映後 中部電力株式会社 0.474(0.417) [kg-CO2/kWh] 2009年度実績 ()内数字は炭素クレジット反映後 電力3社平均値 0 .4 0 4 (0.347) [kg-CO2/kWh]
CO2排出係数
ガス 会社
電力 会社
このCO2排出係数を基に、「各原燃料のCO2排出係数×原燃料投入量」と「電力のCO2排出 原係数×電力消費量」の和が水素製造に必要なCO2排出量となる。
なお、本項で取り扱ったCO2排出量のうち、電力については電力会社3社の公表値の平均 値を用いているため、JHFC2 で実施されている総合効率検討結果とは異なる場合があること に留意されたい。
表1.1.6.1-3 電力・ガス会社CO2排出係数一覧(2010年11月現在 各社公表値)
1.1.6.2 各水素ステーションのエネルギー効率詳細 (1) 横浜・旭水素ステーション
図1.1.6.2-1に横浜・旭水素ステーションのフロー・投入エネルギー、表1.1.6.2-1に水素
1kgあたりの供給に必要なエネルギー(70MPa供給時)・CO2排出量を示す。
水素製造装置 ナフサ
圧縮機 蓄圧器 ディスペンサ
70MPa系
高圧圧縮機
ディスペンサ
蓄圧器
プレクール 35MPa
70MPa 低圧圧縮機4.15kWh
高圧圧縮機2.29kWh
水素温度:-10℃
横浜・旭水素ステーション(ナフサ改質方式) 2010年7月測定
※1:ユーティリティ電力等は水素製造装置に含む
電力 1.12 kWh 電力
2.20 kWh
電力 6.44kWh ナフサ
4.31 kg
190 MJ(LHV)
200 MJ(HHV)
水素 1.0 kg [ 11.1 Nm3]供給時
電力(共用ユーティリティ、制御等)
0.68kWh
上記数値から算出されるステーションエネルギー効率: 56.2 %(LHV) / 63.1%(HHV)
上記の70MPa充填時の投入エネルギーの数値から、高圧圧縮機及びプレクール設備の消
費電力を除いて再計算したものが35MPa充填時の効率となる。表1.1.6.2-2に水素1kgあた りの供給に必要なエネルギー(35MPa供給時)・CO2排出量を示す。
投入エネルギー原単位 投入エネルギー
の種類
投入エネルギー
原単位 LHV HHV
CO2 排出量 ナフサ 4.31 kg 190 MJ 200 MJ 13.3 kg
電力 10.5 kWh 37.6 MJ 4.24 kg
注:充填水素ガスが保有するエネルギー(発熱量+圧力): 128MJ/kg(LHV) 150MJ/kg(HHV)
(高圧水素ガスの条件:温度25℃ 圧力70MPa)
図1.1.6.2-1 横浜・旭水素ステーション(ナフサ水蒸気改質方式)のフローと投入エ
ネルギー
表1.1.6.2-1 横浜・旭水素ステーション(70MPa供給時)における 水素1kgあたりの供給に必要なエネルギー
上記数値から算出されるステーションエネルギー効率: 58.9 %(LHV) / 66.0 %(HHV) 投入エネルギー原単位
投入エネルギー の種類
投入エネルギー
原単位 LHV HHV
CO2 排出量 ナフサ 4.31 kg 190 MJ 200 MJ 13.3 kg
電力 7.04 kWh 25.3 MJ 2.84 kg
注:充填水素ガスが保有するエネルギー(発熱量+圧力): 127MJ/kg(LHV) 149MJ/kg(HHV)
(高圧水素ガスの条件:温度25℃ 圧力35MPa)
表1.1.6.2-2 横浜・旭水素ステーション(35MPa供給時)における 水素1kgあたりの供給に必要なエネルギー
(2) 横浜・大黒水素ステーション
図1.1.6.2-2に横浜・大黒水素ステーションのフロー・投入エネルギー、表1.1.6.2-3に水
素1kgあたりの供給に必要なエネルギー(70MPa供給時)・CO2排出量を示す。
水素製造装置 脱硫ガソリン※1
圧縮機 蓄圧器 ディスペンサ
70MPa系
高圧圧縮機 ディスペンサ
35MPa
70MPa
水素 1.0 kg [ 11.1 Nm3]供給時
低圧圧縮機2.75kWh 高圧圧縮機1.79kWh
横浜・大黒水素ステーション(脱硫ガソリン改質方式)
圧縮機直接充填方式
※1:脱硫ガソリンの発熱量は、ガソリンの値を採用
注1:大黒ステーションは建設後の改質装置の改修により 熱バランスが大きく変化しており、
本資料では水素製造に係る投入エネルギーは 2005年度公表値としている
※2:ユーティリティ電力等は水素製造装置に含む
電力※2 3.28 kWh
電力 4.54 kWh 脱硫ガソリン
4.57 kg
205MJ(LHV)
216 MJ(HHV)
水素製造:2005年測定 圧縮:2009年9月測定
上記数値から算出されたステーションエネルギー効率: 54.9 %(LHV) / 61.4%(HHV)
上記の70MPa充填時の投入エネルギーの数値から、高圧圧縮機及びプレクール設備の消
費電力を除いて再計算したものが35MPa充填時の効率となる。表1.1.6.2-4に水素1kgあた りの供給に必要なエネルギー(35MPa供給時)・CO2排出量を示す。
投入エネルギー原単位 投入エネルギー
の種類
投入エネルギー
原単位 LHV HHV
CO2 排出量 脱硫ガソリン 4.57 kg 205 MJ 216 MJ 14.5 kg
電力 7.82 kWh 28.2 MJ 3.16 kg
図1.1.6.2-2 横浜・大黒水素ステーション(脱硫ガソリン水蒸気改質方式)のフローと
投入エネルギー
注:充填水素ガスが保有するエネルギー(発熱量+圧力): 128MJ/kg(LHV) 150MJ/kg(HHV)
(高圧水素ガスの条件:温度25℃ 圧力70MPa)
表1.1.6.2-3 横浜・大黒水素ステーション(70MPa供給時)における
水素1kgあたりの供給に必要なエネルギー