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(残晶)
(仮像)
一・一・・一一一・・一一一・一一一一一N一一
構造』)は、まず原岩の結晶や岩片が、しみこんできた先駆的なマグマによって取り 囲まれる。その結果少しずつ鉱物の成分が置き換えられて仮像が形成される場合と、
少しずつ結晶にしみこんで溶かし込み、融食形を形成していく場合とを想定できる。
仮像が形成された場合には、その仮像がさらにマグマの影響を受けて隠微晶質な構造 になっていく。また、融食形ができた場合には、結晶の溶融同化作用が進行すると元 の結晶は小さくなり、やがてかろうじて形のわかる山回となってやはり隠微晶質に なっていく。このようにしてマグマによる「取り込み・同化作用」が終了すると、次 にマグマが固結していく際の「再結晶作用」につながる。再結晶の段階になると結晶 が成長し、同時成長の部分では微文象構造が形成されたりする。このような段階を経 て、結晶が成長したものが「等粒状組織」を示す岩石、つまり花闇岩類である。固結 条件によって様々な形態の火成岩が存在するが、多様な種類の火成岩類は、このよう にして形成されたものと考えられる。その様子を示した模式図が、図5−5左側の『マ グマが取り込んでいく様子』である。
花樹岩類は日本の火成岩の中で大きな容量を占めているが、純粋に地下から上昇し てくるマグマの結晶分化作用によってのみ形成されたとするには余りに大きすぎる。
ここに示したように、マグマが周囲の岩石を取り込みながら同化し、再結晶してやが て花金山霊へと変化していく「花簡岩化作用」によってできたと考えると、火成岩の 占めるスペースがこれだけ多いことが説明できる。大きな目でとらえると、地殻内の 物質が循環していることを示す一つの証でもある。
【5−3火成岩の教科内容論的意義】
①火成岩の教科内容論的な位置づけ
教科内容論の研究過程として、①基本的概念(学問的原理・合理性) ②素材の教 材化の過程 ③順序性・他との整合性④教材としての内容のバランス ⑤体系化 があげられる。教科の内容を組み立てていく上で、そのスタートは基本的な概念であ る。本研究では火成岩の形成過程について解明し、それをもとに教材としての体系化
を考えた。
今回の研究を通じて火成岩の位置づけは、地殻内部の物質循環という大きな系にお いても重要であることがわかった。地球内部のマグマの活動から火成岩が形成される
/
火成岩
(花蕊岩)
→ 風化・浸食・堆積
地球内部のマグ
マの活動
×
花商調化作用(マグマによる取り込み)
,
堆積岩 礫・砂・泥
図5−6地殻内部の物質循環
わけであるが、その火成岩はできて終わりではない。風化・侵食・堆積などの様々な 作用を経て、堆積岩になるなど形を変えていく。そしてさらに、今まで述べてきたよ うなマグマが周囲の岩石を取り込みながら同化・再結晶していく「花歯岩化作用」で 再び火成岩へと変化し、地殻内部の物質の循環に大きくかかわっている(図5−6)。
つまり、身近に目にすることのできる 物質循環の手がかり として、火成岩があげ られる。こめ意味からも、火成岩を地球を学ぶ上での教材にしていくことは、重要で あると考える。
しかしながら現状の地学教育においては、『火成岩→風化・侵食・堆積作用→堆積 岩』の流れのみが一方通行的に取り上げられており、 『堆積岩→花蓋二化作用(マグ マによる取り込み同化・再結晶)→花忍岩の形劇の側については考えられていな い。また、火成岩の形成については結晶分化作用のみを扱うことになっている。そこ で、これからの岩石学習においては、岩石はそれぞれ相互に関係し合い、循環してい くことについても扱っていくべきと考える。「生きている地球」を教える上で、とて もいい教材である。
一方、文部省から発行されている、中学校『観点別学習状況評価のための参考資料
(理科)』を見てみると、その第2分野の4つの評価の観点すべてに「生物とそれを 取り巻く自然の事物・現象」という表現が出ている。「それを取り巻く自然の事物・
現象」は地学で扱う事物・現象のことであり、その意味でまさに地学の内容は自然そ のものであるといえよう。したがって、中学校における理科教育の中で、自然に対す る理解を深めるためにも、地学領域の学問的原理に基づく体系化をより一層進めるこ との必要性を感じる。そのためには地学領域の教科内容論的な研究が大切であり、火 成岩に関する本研究もその一環として位置づけたい。
②火成岩学習
火成岩を学習する際に重要になることを、これまでの火成岩の研究を通して知り得 たことを基本にしてまとめてみる。
まず、火成岩の露頭に立ったときの視点であるが、火成岩の露頭は堆積岩の露頭と はかなり性質を異にしている。火成岩の露頭観察で大切なのは、火成岩を構成する組 織や鉱物の種類だけでなく、それらが 周囲とどんな関係を持っているか というこ
とを知ろうとすることである。どこにどのような貫入の関係があるのか、ある岩石を 追っていくとどんな事実があるのかといった現実の露頭から「何が観察できるか」が 大切である。そこから従来とは違った新しいことやものの考え方が見い出されること
もあり、これは『科学的な思考』を評価する具体的な場面の一つでもある。
次に、顕微鏡観察や岩石の標本・写真等を生徒に見せるときであるが、この場合も 露頭を読みとるのと同じように、火成岩に「どんな歴史があるのか」など、その岩石 の物語ることを読み取る目を育てる教育が大切と思う。
火成岩を調べることは、まず、岩石と岩石の相互関係を知り、それを構成している 鉱物や元になったマグマの性質などを知ることである。このことは、とりもなおさず 地球の歴史の一端を学ぶことであり、未来を推察する大きな手がかりになることであ
る。
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③中学校で火成岩を学ぶ意義
理科の学習領域には、物理・化学・生物・地学の4領域がある。現学習指導要領で は、高等学校の理科はこのうち2領域を選択すれば可能なカリキュラムとなつおり、
実際問題として、地学を学習する機i会はきわめて少ない(猿田・梅埜,1994による と、地学を必修にしている高等学校は5.8%、選択できる学校を合わせても32%にすぎ ない)と言ってよい。したがって、実質的に地球に関することを学習するのは義務教 育までであり、多くの国民にとって、中学校における地学教育が最終的な場になるこ
とを強く認識したい。そういう重要な教育の場で、たとえば火成岩のうちの深成岩が
「ゆっくり」冷え固まることをあつかう。この「ゆっくり」という感覚が人間の日常 生活の「ゆっくり」だと生徒はとらえてしまう。人間のタイムスパンで考えるからや
むを得ないと思う。しかし実際は、Skaergaard貫入岩体などの研究(LR.Wager・
WA.Deer,1936)により、深成岩類が全部固まるまでの時間については数万年かかる のであり、こういつた地学的な時間の存在に接することは自然を知る意味からも意義 深い。これは、宇宙の距離の表現(「光年」等)とあわせて地学的な感覚、「人間を 超えるもの」として大切である。
また、花歯岩をはじめとする火成岩類は、日本列島に広く分布している。こういつ た身近にある火成岩の造岩鉱物を知り、それらが風化して砂や泥、土壌が形成される
ことを知っていくことから、地域の自然がどのようにつくられていったのかを考える 力を育てられる。人間の存在は小さいので、自然というと多くの人は「生物的な自 然」の方に意識がいきがちであるが、地球こそ自然そのものである。火成岩には地球
を創り上げたスケールの大きさがある。そして、偏光顕微鏡を通して接するとわか る、組織や造岩鉱物の美しさもある。中学校時代、感性の豊かな思春期の時代だから こそ、このような壮大なもの・美しいものなど様々な自然の姿に接し、それを通して 生徒が自ら自然について考える場をつくることが理科教師の大切な務めと考える。
6 まとめ
本研究では、これまで「花醐閃緑岩類」で一括されていた千種花尚岩類に多様性 があること、暗色包有物は安山岩質の火成岩起源であること、花醐岩類をはじめと する調査地域の火成岩類は、 マグマによる取り込みによる同化・再結晶によって 形成された ことを明らかにした。このことをもとに、.岩石学習では地殻内部の物 質循環として火成岩を扱うべきであるという、教科内容論的意義について考察し た。今まで、火成岩の関与する循環は取り上げられていなかったが、「生きている 地球」を教える教材としても循環として扱うことが適切と思う。そして今回の研究 を、地学教育における今後の活用への一助としていきたい。