先に綾部市の代表的な政策を列挙したが、ここでは綾部市の農山村へ移住してきた5家族へのインタ ビュー調査(表6、表7)により、綾部市が展開している移住、定住政策が内的妥当性をもっているのか、
すなわちアウトカムともいうべき行政が期待する直接的な政策の効果の有無を考察していきたい。
すでに表4で示したように、
綾部市が取り組んでいる政策を 列挙したが、ここで重要な役割 を担っている定住促進を目的と した多くの空き家関連施策と実 際の移住要因との因果関係を分 析すると、明示的な政策の効果 は観察されないという結果を得 た。今回の調査で明らかになったこととして、「移住前に綾部市の政策を調べたか」という質問3に関し て、一様に事前に政策をみていないという回答を得た点である。したがって、地方自治体が取り組んで いる政策は、移住のきっかけづくりとしては、存外効果が小さく、社会的なインパクトをもたらしてい るとはいえない可能性がある。
一方で、質問1と質問2から明らかなように、すべての回答者に共通している重要な結果として、移 住を決定する大きな要因が「人とのつながり」に関連している回答であるという事実である。このことは、
様々な政策が実施されてはいるものの、中山間地域の農山村という限定的な条件下における移住は、必 ずしも政策と移住要因の因果関係が観察されないことを示唆すると考える。調査結果からみる重要な示 唆として、農山村への移住では、むしろ「人とのつながり」が最も重要な要因であるということである。「移 住にあたり、行政とのかかわりはどの程度まであったのか」という質問6に関しては、実際に定住サポー ト総合窓口を皆、利用していたので、綾部市のワンストップサービスの取り組みは評価されるべきと考 える。ただし、相談内容は空き家物件の紹介等に限定されており、真に移住者が移住後に最も影響を与 えるであろう「人づきあい」という情報のハブという意味での機能は少ないと考えられる。この点に関し ては、行政の中立性・公平性の観点より、元来、リアルで属人的な情報の提供には不向きな側面がある ことより、理解ができる点であろう。したがって、実際に移住した先輩移住者の生の声や移住者同士の 交流の場を通じた生活情報のハブとなる場の存在が重要であるという示唆を得ることができたと考え る。また、移住者に近年、謳われる田園回帰志向があるかというと、今回の調査結果では、それほどそ
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が移住している事実が指摘されているが,その要因分析を明らかにするために実際に移住された複数(5 家族)の家族にインタビュー調査を実施した.
表 5 定住者実績と定住者の年齢層
(出所)綾部市提供資料より筆者作成
7.インタビュー調査とその考察
先に綾部市の代表的な政策を列挙したが,ここでは綾部市の農山村へ移住してきた 5 家族へのインタ ビュー調査(表 6,表 7)により,綾部市が展開している移住,定住政策が内的妥当性をもっているのか,
すなわちアウトカムともいうべき行政が期待する直接的な政策の効果の有無を考察していきたい.
表 6 インタビュー対象者の居住地区と年齢層
すでに表 4 で示したように,
綾部市が取り組んでいる政策 を列挙したが,ここで重要な 役割を担っている定住促進を 目的とした多くの空き家関連
(出所)筆者作成
施策と実際の移住要因との因果関係を分析すると,明示的な政策の効果は観察されないという結果を得 た.今回の調査で明らかになったこととして,「移住前に綾部市の政策を調べたか」という質問 3 に関 して,一様に事前に政策をみていないという回答を得た点である.したがって,地方自治体が取り組ん でいる政策は,移住のきっかけづくりとしては,存外効果が小さく,社会的なインパクトをもたらして いるとはいえない可能性がある.
一方で,質問 1 と質問 2 から明らかなように,すべての回答者に共通している重要な結果として,移 住を決定する大きな要因が「人とのつながり」に関連している回答であるという事実である.このこと は,様々な政策が実施されてはいるものの,中山間地域の農山村という限定的な条件下における移住は,
必ずしも政策と移住要因の因果関係が観察されないことを示唆すると考える.調査結果からみる重要な 示唆として,農山村への移住では,むしろ「人とのつながり」が最も重要な要因であるということであ る.「移住にあたり,行政とのかかわりはどの程度まであったのか」という質問 6 に関しては,実際に 定住サポート総合窓口を皆,利用していたので,綾部市のワンストップサービスの取り組みは評価され るべきと考える.ただし,相談内容は空き家物件の紹介等に限定されており,真に移住者が移住後に最 も影響を与えるであろう「人づきあい」という情報のハブという意味での機能は少ないと考えられる.
この点に関しては,行政の中立性・公平性の観点より,元来,リアルで属人的な情報の提供には不向き な側面があることより,理解ができる点であろう.したがって,実際に移住した先輩移住者の生の声や 移住者同士の交流の場を通じた生活情報のハブとなる場の存在が重要であるという示唆を得ることがで きたと考える.また,移住者に近年,謳われる田園回帰志向があるかというと,今回の調査結果では,
年齢区分 2008年 2009年 2010年 2011年 2012年 2013年 2014年 2015年 2016年 2017年 2018年 計 割合
0~9歳 11人 6人 4人 11人 8人 7人 13人 2人 15人 21人 1人 99人 18.2%
10~19歳 6人 2人 2人 2人 1人 2人 2人 7人 5人 4人 2人 35人 6.4%
20~29歳 3人 0人 3人 8人 6人 1人 8人 2人 1人 4人 3人 39人 7.2%
30~39歳 15人 10人 12人 15人 16人 12人 14人 15人 21人 20人 8人 158人 29.1%
40~49歳 5人 4人 6人 9人 6人 4人 7人 9人 10人 18人 2人 80人 14.7%
50~59歳 3人 2人 6人 10人 5人 2人 1人 5人 5人 4人 9人 52人 9.6%
60~69歳 6人 8人 2人 11人 4人 8人 7人 5人 4人 6人 3人 64人 11.8%
70~歳 0人 1人 0人 0人 1人 6人 0人 0人 5人 2人 1人 16人 2.9%
計 49人 33人 35人 66人 47人 42人 52人 45人 66人 79人 29人 543人
平均年齢 30歳 39歳 35歳 36歳 35歳 40歳 30歳 37歳 33歳 31歳 31歳 35.4歳
表5 定住者実績と定住者の年齢層
(出所)綾部市提供資料より筆者作成
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が移住している事実が指摘されているが,その要因分析を明らかにするために実際に移住された複数(5 家族)の家族にインタビュー調査を実施した.
表 5 定住者実績と定住者の年齢層
(出所)綾部市提供資料より筆者作成
7.インタビュー調査とその考察
先に綾部市の代表的な政策を列挙したが,ここでは綾部市の農山村へ移住してきた 5 家族へのインタ ビュー調査(表 6,表 7)により,綾部市が展開している移住,定住政策が内的妥当性をもっているのか,
すなわちアウトカムともいうべき行政が期待する直接的な政策の効果の有無を考察していきたい.
表 6 インタビュー対象者の居住地区と年齢層
すでに表 4 で示したように,
綾部市が取り組んでいる政策 を列挙したが,ここで重要な 役割を担っている定住促進を 目的とした多くの空き家関連
(出所)筆者作成
施策と実際の移住要因との因果関係を分析すると,明示的な政策の効果は観察されないという結果を得 た.今回の調査で明らかになったこととして,「移住前に綾部市の政策を調べたか」という質問 3 に関 して,一様に事前に政策をみていないという回答を得た点である.したがって,地方自治体が取り組ん でいる政策は,移住のきっかけづくりとしては,存外効果が小さく,社会的なインパクトをもたらして いるとはいえない可能性がある.
一方で,質問 1 と質問 2 から明らかなように,すべての回答者に共通している重要な結果として,移 住を決定する大きな要因が「人とのつながり」に関連している回答であるという事実である.このこと は,様々な政策が実施されてはいるものの,中山間地域の農山村という限定的な条件下における移住は,
必ずしも政策と移住要因の因果関係が観察されないことを示唆すると考える.調査結果からみる重要な 示唆として,農山村への移住では,むしろ「人とのつながり」が最も重要な要因であるということであ る.「移住にあたり,行政とのかかわりはどの程度まであったのか」という質問 6 に関しては,実際に 定住サポート総合窓口を皆,利用していたので,綾部市のワンストップサービスの取り組みは評価され るべきと考える.ただし,相談内容は空き家物件の紹介等に限定されており,真に移住者が移住後に最 も影響を与えるであろう「人づきあい」という情報のハブという意味での機能は少ないと考えられる.
この点に関しては,行政の中立性・公平性の観点より,元来,リアルで属人的な情報の提供には不向き な側面があることより,理解ができる点であろう.したがって,実際に移住した先輩移住者の生の声や 移住者同士の交流の場を通じた生活情報のハブとなる場の存在が重要であるという示唆を得ることがで きたと考える.また,移住者に近年,謳われる田園回帰志向があるかというと,今回の調査結果では,
年齢区分 2008年 2009年 2010年 2011年 2012年 2013年 2014年 2015年 2016年 2017年 2018年 計 割合
0~9歳 11人 6人 4人 11人 8人 7人 13人 2人 15人 21人 1人 99人 18.2%
10~19歳 6人 2人 2人 2人 1人 2人 2人 7人 5人 4人 2人 35人 6.4%
20~29歳 3人 0人 3人 8人 6人 1人 8人 2人 1人 4人 3人 39人 7.2%
30~39歳 15人 10人 12人 15人 16人 12人 14人 15人 21人 20人 8人 158人 29.1%
40~49歳 5人 4人 6人 9人 6人 4人 7人 9人 10人 18人 2人 80人 14.7%
50~59歳 3人 2人 6人 10人 5人 2人 1人 5人 5人 4人 9人 52人 9.6%
60~69歳 6人 8人 2人 11人 4人 8人 7人 5人 4人 6人 3人 64人 11.8%
70~歳 0人 1人 0人 0人 1人 6人 0人 0人 5人 2人 1人 16人 2.9%
計 49人 33人 35人 66人 47人 42人 52人 45人 66人 79人 29人 543人
平均年齢 30歳 39歳 35歳 36歳 35歳 40歳 30歳 37歳 33歳 31歳 31歳 35.4歳
表6 インタビュー対象者の居住地区と年齢層
(出所)筆者作成
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