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我が国の火山岩灰質土壌,堆積岩質土壌およびハワイ諸島のラテライトの化学分析・実験的研 究(分別溶解実験)及び主成分分析を行うことで以下の事が判明した.

(1)    主成分元素(アルカリ,アルカリ土類元素,Si)の風化挙動は,それら元素を多く含む長石等 の一次鉱物の溶解度,溶解速度に依存し,比較的移動が起こり易いと考えられるが,交換性 陽イオンの大きい 2:1 型粘土鉱物(イライト,スメクタイト等)を含む赤黄色土においては,粘土 鉱物への吸着・イオン交換等によって移動が抑制されていることが考えられる.また,ローム層 においては粘土鉱物以外の要因(リン酸イオンの卓越等)によって同様に移動が抑制されるこ とが考えられた.

(2)    微量元素,重金属元素の移動も主にそれら元素を含む鉱物の溶解度,溶解速度に依存す ると考えられるが,火山岩質土壌や酸性堆積岩質土壌のような酸性条件下においてこれら元 素の移動があまり起こっていなかったことは,粘土鉱物や二次生成物中への吸着・固定が主 たる要因であると考えられ,これは主に 2:1 型粘土鉱物とのイオン交換反応や水酸化鉄への 吸着であると考えられる.また,元素(例えばCo やPb)によってはXRD 分析からは確認出来 ない微量鉱物(Mn酸化物,アパタイト等)によって挙動が大きく支配されていると考えられた.

(3)    火山岩質土壌と堆積岩質土壌において,希土類元素の移動に関しては特に大きな相違が 見られた.希土類元素の移動は主に土壌中に含まれる粘土鉱物及び二次生成物の種類に 大きく依存する.これは,希土類元素と粘土鉱物,二次生成物とのイオン交換,吸着,固定が 起こる際に,希土類元素のイオン半径と粘土鉱物及び二次生成物(非晶質物質等)が持つ電 荷の種類に依存しているためであると考えられる.また,重金属元素同様,微量鉱物による希 土類元素の支配も非常に強く起こっており,これは主成分分析,分別溶解実験を行うことで確 認することが出来た.

(4)    黒ボク土,ローム土,褐色森林土といった火山岩質土壌において,源岩の相違によって挙動 が異なる元素が存在した.重金属元素の挙動傾向は,玄武岩質土壌においては移動抑制要 因として主に粘土鉱物とのイオン交換反応,水酸化鉄への吸着等が考えられ,安山岩質土壌 においては重鉱物生成時に結晶内部に多く取り込まれていると考えられる.一方,希土類元 素に関しては玄武岩質土壌においてMn酸化物が最も大きな支配要因であると考えられるが,

安山岩質土壌においては非晶質物質による支配が大きい.安山岩質土壌における非晶質物 質による支配は特に粘土鉱物の多いローム層において強くみられ,Ce といった軽希土類元 素においてその傾向が大きい.

(5)    堆積岩質土壌における酸性土壌とアルカリ性土壌の相違としては,重金属元素,希土類元

素の微量鉱物による支配であると考えられる.この微量鉱物による支配は特にアルカリ性土壌 において大きく,これは,アルカリ性条件化でのみ存在しうる鉱物による支配によるものだと考 えられる.

以上のことから,火山岩質土壌,堆積岩質土壌およびラテライトでの元素挙動を考えた場合,大 部分の元素移動は一次鉱物の溶解度,溶解速度および溶脱後の粘土鉱物等への吸着・固定によ って支配されていると考えられるが,元素種により主な支配要因が異なるといえる.特に希土類元 素においては土壌中の粘土鉱物,二次生成物の種類及び微量鉱物の有無によって移動が大きく 支配されていると考えられる.

従って,重金属元素による土壌浄化(不溶化)を考えた場合,重金属元素は2:1型粘土鉱物,水 酸化鉄,Mn 酸化物を多く含んだ土壌,すなわち堆積岩質土壌(特にアルカリ性土壌)において鉱 物固定による不溶化は火山岩質土壌に比べより効果的であると考えられる.一方,放射性廃棄物 地層処分を行った際に考えられる Am,Cm といった放射性核種の移行について考えた場合,

Am,Cmの化学的類似元素として考えられている軽希土類元素の移動傾向から考えると,2:1型粘 土鉱物,Mn酸化物,リン酸塩鉱物の多い土壌でより移動は抑制されると考えられる.Mn酸化物に 関しては酸性土壌,アルカリ性土壌,両土壌中に含まれていると考えられるため,酸性土壌,アル カリ性土壌どちらの土壌種においても放射性核種の遅延効果起こると考えられるが,2:1型粘土鉱 物,リン酸塩鉱物の存在による移行抑制を考慮に入れると,イライト,バーミキュライトといった粘土 鉱物を多く含有する土壌(例えば堆積岩起源の赤黄色土)の方がこれら粘土鉱物をあまり多く含ま ない土壌(例えば火山岩質起源の黒ボク土,ローム土,褐色森林土)や結晶質岩(例えば花崗岩)よ り核種移行に対する遅延効果が大きいと考えられ,また堆積岩質土壌においてもリン酸塩鉱物の 溶解度の高さより,アルカリ性堆積岩質土壌においてより効果的であると考えられる.

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