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6.今後の課題

本稿ではバブル経済の崩壊以降の企業の組織改革について,特に

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年代後半の代表 的な産業立法である「産活法」の適用会社について,その組織の再編,経営戦略,人事 制度にいついて整理・検討してきた。

組織の再編に関しては,「産活法」認定計画対象会社においては,組織再編に関する 法制度を活用することにより,各社の戦略に適合した組織を形成していることが明らか となった。そして,人事制度では役割基準,業績反映賞与など市場を意識した制度の導 入が見られた。

このようにバブル経済の崩壊以降の企業改革は「収益」という課題を達成するため に,組織や人事において「市場」=「儲かる」を基軸に改編が進められてきたと言えるの ではないであろうか。

今後の課題としては,本稿の目的で示したように「外部環境・市場の変化⇒産業政策

(特別措置法→組織改革に関する立法)→経営戦略→組織再編→業績管理→人事管理」

という改革の流れについて,これまでの研究を踏まえ,トータルな視点から再度整理・

検討することが残されている。

⑴ 石黒(2003)98〜99ページ

⑵ 石田(2009)16ページ

⑶ 産業立法である産業活力再生特別措置法においても,現物出資及び営業譲渡を行う場合,事業再構築 計画の認定を受けることによって,商法の特例が認められているが,制約があった。

⑷ 会社法では簡易組織再編の基準を2005年改正前商法の「5% 基準」から「20% 基準」に緩和した。ま た存続会社が特別支配会社である場合は,株主総会決議を不要とする「略式手続き」が創設されるな ど,改正が行われている。詳しくは神田(2016)362ページ参照のこと。

⑸ 通商産業省産業政策局編(1995)4〜5ページ

⑹ 純粋持株会社の創設に関しては一般に下記の3通りの方法があり,各課題も存在する。元木(2003)。

まず1つ目は,「抜け殻方式」である。これは,持株会社になろうとする既存の会社が,子会社(既 存,新たに設立)に対して現物出資し営業譲渡をする方法である。この方法では,現物出資に関して 商法により裁判所に検査役の選任を求める必要があり,時間と費用が要することになる。更に,財産 について個別に譲渡手続きを取る必要が出てくる。

2つ目は,「公開買付方式」である。この方式は,持株会社となる会社を新たに設立し,既存の会社の 株主から株式を公開買付等により取得する方式である。この方式では,公開買付に応じない株主が存 在したり,買付に多額の費用が必要になる場合がある。

3つ目は,「第三者割当増資方式」である。この方式は,持株会社となるべき会社を新たに設立し,こ の会社が既存の会社の株主に対して第三者割当増資を行い,株式の現物出資求める方式である。この 方式では増資割当に応じない株主が出る場合がある。

⑺ 当時の株式交換の手順は秋坂(2006)141ページ。

バブル経済崩壊後の企業法制の制定と企業改革 31

⑻ 当時の株式移転の手順は秋坂(2006)143ページ。

⑼ 秋坂(2006)146ページ

⑽ 中津・西浦・三宅・渡邊(2000)2ページ

⑾ 南保(2007)317〜318ページ

⑿ この意味合いは下記の通り。野川忍・土田道夫・水島郁子(2016)41ページより抜粋。

「2005年改正前商法では,会社分割による労働契約の承継ルールを,①承継営業に主として従事する 労働者(承継法211号),②承継営業に従として従事する労働者(同2号)のほかに,会社分割 の対象とし得ない③承継営業に全く従事しない労働者の3つに分けて整理されると解されてきた。し かし,会社法の制定により,会社分割の対象が「事業に関して有する権利義務の全部又は一部」とさ れたため,承継法第212号の「前号に掲げる労働者〔=主として従事する労働者〕を除」いて 承継対象とされる労働者には,改正前②承継営業(事業)に従として従事する労働者のみならず,③ 承継営業(事業)に全く従事しない労働者も含まれることとなった。」

⒀ 神田(2016)340ページ。また,本稿で取り上げた組織再編に関連する「会社法」の条文は下記の通 り。

⒁ 改正商法の附則にも労働関係の承継に関しては条文が置かれてはいた。

「(労働契約の取扱いに関する措置)

第五条 この法律による改正後の商法及び有限会社法の規定に基づく会社の分割に伴う労働契約の承 継に関しては,分割をする会社は,分割計画書又は分割契約書を本店に備え置くべき日までに,労働 者と協議するものとする。」

⒂ 詳しくは厚生労働省(2000)参照のこと。

2000512日衆議院労働委員会,2000523日参議院労働・社会政策委員会において「会社の 分割に伴う労働契約の承継等に関する法律案に対する附帯決議」が採択された。その内容は「合併・

営業譲渡をはじめ企業組織の再編に伴う労働者の保護に関する諸問題については,学識経験者を中心 とする検討の場を設け,速やかに結論を得た後,立法上の措置を含めその対応の在り方について十分 に検討を深めること」(衆議院),(参議院)となっており,この付帯決議を受け,20012月〜2002 8月「企業組織再編に伴う労働関係上の諸問題に関する研究会」(座長西村健一郎教授:当時)が設 置された。この研究会では,「営業譲渡の際の労働契約関係の承継について,法的措置を講ずることは 適当ではない」,「円滑に企業組織再編が行われるためには,企業が判例法理を含めた現行の法的枠組 みを踏まえ,労働関係に配慮しつつ対応するとともに,労使間で十分な情報提供,協議が行われるこ とが必要である」,「企業組織再編に当たって,企業が講ずべき措置,配慮すべき事項等に関する指針 を策定し,その周知を図ることが必要である」旨提言された。なおバブル経済崩壊以降の労働関係法 制の変更の概要は土田(2009)を参照のこと。

⒄ 経済産業省:コニカ「認定事再構築計画の公表」(2003325日)

http : //www.meti.go.jp/policy/jigyou_saisei/sankatsuhou/nintei/pdf/h15_b/51231.pdf

組織改革の形態 会社法の関係条文数

企業合併 合 併748条,吸 収 合 併:227号,749条〜752条,782条〜802条,新 設 合 併:228号,753条〜756条,803条〜816

株式交換,株式移転 株式交換:231号,767条〜771条,株式移転:232号,772条〜774 会社分割 吸収分割:229号,757条〜761条,新設分割:230号,762条〜766

バブル経済崩壊後の企業法制の制定と企業改革 32

⒅ 租税特別措置法801

⒆ コニカミノルタホールディングス株式会社「コニカミノルタグループ中期経営計画〈V-5プラン〉」

2005325

⒇ 日本経団連人事賃金センター(2006 b),産労総合研究所(2010),コニカミノルタ(2005)26〜27 ージ

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三菱ケミカルホールディングス「中期経営計画「APTSIS 10」策定について」(2008513日),塘

(2009)

労務行政研究所(2004)(2014),産労総合研究所(2007)

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2 合併 0.15% 0.10% 0.05%

(括弧書きの部分) (資本金が増加する場合の合併) 0.70% 0.35% 0.35%

3 分割による設立又は資本金の増加 0.70% 0.50% 0.20%

4号(売買) 不動産の所有権の取得 土地 2.0%(※2 : 1.5

%(租特72条)) 1.60% 0.40%

建物 2.00% 1.60% 0.40%

船舶の所有権の取得 2.80% 2.30% 0.50%

5

合併時 (不動産) 0.40% 0.20% 0.20%

(船舶) 0.40% 0.30% 0.10%

分割時 (不動産) 1.50% 0.40% 1.10%

(船舶) 2.80% 2.30% 0.50%

※1:事業再構築計画については,合併等の事業の構造の変更が伴うものに限る。また,会社の設立又 は増資の登記について,軽減税率が適用される資本金又は資本の増加分に3,000億円の上限を設 けている。

※2:売買による土地の所有権移転の登記については,租税特別措置法72条によって産活法よりも有 利な税率が設定されている。

バブル経済崩壊後の企業法制の制定と企業改革 33

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