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5 Doppler shift (Â)

ドキュメント内 九州大学学術情報リポジトリ (ページ 38-48)

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アルゴンイオンーエチレン衝突で、生成するBalmer-ß発光の Doppler線形の衝突エネルギー依存性(450)

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Doppler shift (Â)

図5-31 アルゴンイオンーアセチレン衝突で、生成するBahner-ß発光の Doppler線形の衝突エネルギー依存性(450)

九vectは変わらない ん・は小さくなる

Pαcitedはかなり小さくなる

つまり、速い成分( Pdirect X P H* )と遅い成分( Pacited )の関係は衝突エネルギーを低くすると、

九vut・PH• (速い成分) > P acited (遅い成分)

となる。 その衝突エネルギー依存性の模式図を図5-32に示す。 黒塗りの部分は速い成分 を、白抜きの部分は遅い成分を表している。 遅い成分は衝突エネルギーの低下とともに減 少していき、速い成分の分布の最も強いピークの位置は衝突エネルギーの低下とともに遷 移波長側(長波長側)にシフトしていく。 それぞれの成分が因子32 に示したような衝突エネ ルギ-依存性をしているために、見かけ上、遅い成分のピーク位置が変化しているようにみ える。

2.5keV

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図5-32 Doppler線形のピーク位置の変化

企アルゴンイオンと水素原子の直接衝突 ム親分子の励起状態経由

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Collision energy (keV)

図5-33 Balmer-a発光の偏光度の衝突エネルギー依存性 (a)アセチレン(b)エチレン(c)エタン

3

5-3-4

Balmer-a発光の角度分布[31]

図5-33 に観測角 900でアルゴンイオンーアセチレン-エチレン・エタン衝突で、生成した Balmer-a 発光の偏光度の衝突エネルギー依存性を示す。 得られた偏光度はほとんど衝突 エネルギー依存性はなく、いずれの分子も約-3%程度の偏光度である。 誤差は発光強度の 弱い順で大きくなる。

ビーム(励起ベクトル)に対して 900方向と他の角度で観測した発光の強度は偏光度と次の 関係がある[32]。

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p

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(5 -5)

ここでPは偏光度である。 この関係式から、観測角 450の Bahner-a 発光の強度1

(

45

1.015x 1

(

9

、観測角 00の強度1

(

00

)

は 1.03x1

(

90

となる。 現在のところ、観測された分布 を説明することはできない。 これらを説明するためのモデル計算が必要である。

5-4本章のまとめ

アルゴンイオン-アセチレン・エチレン・エタン衝突で、 生成する励起水素原子(n=3,4)の Bahner-a,ß 発光をイオンビームに対して 900, 450, 00の方向から高分解能で観測し、その Doppler線形の解析から生成した励起水素原子(n=3,4)の生成機構を考察写した。

900方向で、観測したBa1mer-a,ß発光のDoppler 線形の解析から、生成した励起水素原子 (n=3,4)の並進運動エネルギー分布を求めた。 並進運動エネルギー分布は約10 eVにピー クを持つ遅い成分と衝突エネルギーに依存した速い成分のこ成分からなる。 速い成分は衝 突エネルギー2. 5keVで約100 eVという非常に大きな並進運動エネルギーを持ち、これまで このような大きな並進運動エネルギーを持つフラグメントの生成は全く報告されていない。

遅い成分は親分子の励起状態経由、速い成分は弾性衝突のようなモデルで生成機構を説 明した。

00方向で、観測したBahner-a発光のDoppler線形から、大きな並進運動エネルギーを持つ 励起水素原子が前方(アルゴンイオンの入射方向)のみならず後方にも生成していることが わかった。

450方向で観測したBahner-a発光のDoppler線形の衝突エネルギー依存性を、遅い成分と 速い成分の衝突エネルギー依存性の違いで説明した。

偏光度からBa1mer-a発光の角度分布を求めた。

文献

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総括

本研究では、従来の光電子増倍管を用いた検出系の代わりにCCDカメラを用いた検出系 を試作し、高感度かつ高分解能測定を実現した。 これまで、困難であった微弱発光を効率よ く測定し、これまでの測定では報告されていない現象・知見を見出した。 また、電子一分子 衝突について当研究室で開発発展されたDoppler発光分光法を、イオン一分子衝突に初め て適用した。 測定した高分解能発光スペクトルの解析から 、電子一炭化水素分子衝突、ア ルゴ、ンイオンー炭化水素分子衝突によるフラグメントの生成機構を研究した。 以下に本研 究の成果と問題点について述べる。

(1) 電子-CJI2n(n=1,2,3)衝突によるCH(A2�)の生成過程

電子-アセチレン・エチレン・エタン衝突で生成するCH(A2�-X2I1)発光スペクトルを高分解 能で測定し、そのシミュレーションから CH(A2�)の振動・回転分布を求めた。 これまで、低衝 突エネルギー領域では発光強度が弱いために長時間積算 が必要で、測定条件を一定に保 つことが困難で、あった。 本研究ではCCD カメラを用いることで測定時間を短縮し、これまで 報告されていなかったCH(A2�)の振動・回転分布に衝突エネルギー依存性を見出した。 得 られた振動・回転分布の衝突エネルギー依存性を初期励起状態の分子構造(電子状態、幾 何構造)と関連付けて説明した。 また、振動状態別発光および生成断面積を求めた。

炭化水素分子のような多原子分子の高励起状態のポテンシャルエネルギー曲面に関す る情報は、ほとんどないために詳細な解離過程の議論ができない。 今後、多原子分子の高 励起状態に対する計算と実験の両方のアプローチが必要である。 また、電子衝突では初 期励起状態を指定することができず、終生成物と衝突エネルギーから推定している。 光励 起のようなstate-tかstateを指定した実験、つまり、コインシデンス測定が電子一分子衝突によ る解離過程を明ら かにするために必要である[1]。 こ のような目的で当研究室の古屋ら [2]は、

現在、コインシデンス装置を開発しており、今後、超励起状態の解離過程についてより詳細 な議論が可能になるであろう。

(2) Ar+-CJI2n(n=lム3)衝突によるCH(A2�)の生成過程

アルゴンイオン-アセチレン・エチレン・エタン衝突で生成するCH(A2�-X2I1)発光スペクト ルを高分解能で測定し、そのシミュレーションからCH(A2�)の振動・回転分布を求めた。 イオ ン一分子衝突で生成する解離フラグメントの発光スペクトル法による研究はこれまで数多く 報告されているが、しかしその大部分は低分解能で振動分布のみを測定しており、高分解 能で回転分布まで測定した例は少ない。 本研究はイオン一分子衝突で生成するCH(A2�) の振動・回転分布を初めて測定した。 その結果 を電子衝突の結果と比較することによりアル ゴンイオンーアセチレン・エチレン・エタン衝突で生成するCH(A2�)状態の生成機構を考察し た。

アルゴンイオン衝突で生成するCH(A2�)の振動・回転分布は、50eV以上の電子衝突の結

果と同様な分布をしており、これは両者の中間励起状態が同じ励起イオン状態であるためと 結論した。

熱エネルギー領域のイオン一分子反応はかなり研究されているが、本研究のエネルギー 領域では実験的にも、理論的にも十分とは言えない。 近年、シンクロト口ン放射光を用いた 高励起状態のダイナミクスの研究が盛んに行われ始め、高励起状態に関する情報が蓄積さ れつつある。 しかし、イオン衝突による高励起状態の研究は、本質的に光励起とは異なる 情報を含んでおり、光とはのアローチとして実験おび理論の両面から多くの究が望ま れる。 光励起では量子状態を選択した実験が行われており、イオン励起の場合では困難な非 常に正確な情報を提供している。 今後、一段階高いレベルでイオン一分子衝突を理解するため に、レーザー等を併用した実験が必要になってくるで、あろう。

(3) Ar+ーC:JI2n(n=1,2,3)衝突による励起水素原子の生成過程

アルゴンイオンーアセチレン・エチレン・エタン衝突で生成する励起水素原子炉=3,4)の Balmer-a,ß発光をイオンビームに対して 900, 450, 00の方向から高分解能で測定し、その Doppler 線形の解析から励起水素原子(n=3,4)の生成機構を考察した。 この高分解能測定 に基づく解離フラグメントのDoppler分光法は、電子一分子衝突系で当研究室で開発発展さ れた手法で、これまで、電子衝突以外の系に適用されたことはなく、本研究が初めてイオン一 分子衝突に適用し、成功した。 これまでに全く報告されていない非常に大きな並進運動エネ ルギーを持つ励起水素原子の生成を見出し、その生成機構を弾性衝突のようなモデルで説 明した。

衝突により生成した励起水素原子の空間分布が等方的と仮定して、イオンビームに対し て900方向で測定したDoppler線形から並進運動エネルギーを求めた。 しかし、実際の空間 分布は等方的ではなく、これはあくまで近似である。 全ての角度で測定した発光の強度分 布CDoppl er線形)を考慮して、並進運動エネルギー分布を数値計算することが必要である。

文献

[1] T.Odagiri, N.Uemura, K.Koyama, M.Ukai, N.Ko uchi and Y.Hatano, J.Phys.B 28, LA65 (199 5); J.Phys.B 29, 1 829 (1996).

[2]古屋謙治,古藤江理,上回猛,松尾明洋,早河裕文,小川禎一郎,分子構造総合討論 会講演要旨集,458 (1996).

謝辞

本研究を行うにあたり、始終厳格かつ適切な御指導を賜りました小川禎一郎教慢に深く感 謝します。 本論文を作成するにあたり、貴重な御意見を戴いた西村幸雄教綬(機能物質科 学研究所)と栃原浩教授(工学研究科)に厚く御礼申し上げます。 未熟な筆者を直接指導し てくれた中島慶治講師に御礼申し上げます。 スペクトルシミュレーションプログ、ラムならびに 貴重な御意見を戴いた辻正治助教授(機能物質科学研究所)に御礼申し上げます。

古屋謙治助手と米蔵誠哲博士(現理化学研究所)には、研究を含め多岐にわたり多くの 助言、叱責および激励を戴きました。 井上高教助手と佐蕗美紀技官には、研究を含めいろ いろな面で御世話になりました。

本論文の原稿を細部にわたり丁寧に読み、誤りをチェックしてくれた足立理恵さんに御礼 申し上げます。 分子計測学講座の諸先輩や後輩には、研究のみならずその他でも大変お 世話になりました。 最後に、両親と日頃励ましを戴いている琉球大学理学部教授宮城雄清 先生に深く感謝します。

本研究の一部は平成7年度および平成8年度笹川科学研究助成と日本学術振興会特別 研究員奨励費の援助を受けて行われました。 ここに謝意を表します。

平成8年12月 j度慶次学

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