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50  -end

ドキュメント内 橋野 哲 (ページ 47-56)

50  Z

0

Equivalent circuit of FRD

L

s

C

s

MSL test fixture Short

E

i

Z

0

44

測定対象には 4.3.2 と同様にファースト・リカバリ・ダイオード(FRD : FFPF30U60S, Fairchild Semiconductor products)を用いている。図4.9(a),(b)に50  のMSL冶具の間にFRDを接続した場合のTDR測定基板,および等価回路図を

示す。4.3.2と同様にFRDの等価回路は直列に接続されたインダクタンスとキャ

パシタンスで表される。MSL冶具の左側から0.25 Vのステップ電圧を入射し,

右側をインピーダンス50 で終端している。50 のMSL冶具の途中をオープン にしてFRDのアノード,カソード端子を接続している。また各端子の外部リー ド線は,実回路での実装状態を考慮して3 mm程度を残して切断している。なお

図 4.9(a)では MSL 冶具裏面のグランド層が見えているが,このグランド層は次

節のインダクタンス成分とキャパシタンス成分の分離測定で使用する箇所であ り,ここでのインダクタンス測定には影響がないので説明は割愛する。

図4.10(c)(d)にTDR測定波形を示す。(a)は横軸レンジを5 ns/divに設定してい

る。図より2 ns付近に直列インダクタンスの反射波形が観測できる。インダク タンス反射の後から30 nsまで直列キャパシタンスの反射が続いている。(d)は横 軸レンジを0.5 ns/divに設定した場合の反射波形である。図より3 ns付近までの 時間内ではインダクタンス Lsの反射が支配的であることが分かる。よって

の方法を用いたTDR測定と同様に0.25 Vのステップ電圧が印加された初期(今 回の測定では3 ns付近まで)では測定対象の等価回路は図4.11のように直列イ ンダクタンスLsのみで表すことができる。

45

(a) 5ns/1divとした場合の測定電圧波形

(b) 0.5ns/1divとした場合の測定電圧波形

図4.10 FRDの両端に50のMSL冶具を接続した場合の反射電圧波形

図4.11 0.25Vのステップ電圧が印加された初期段階での等価回路

0.5

0 0.1 0.2 0.3 0.4

0 5 10 15 20 25 30

Time (ns)

Reflection waveform Voltage [V]

Reflection of series capacitance Reflection of

series inductance

0.0 0.5 1.0 1.5 2.0 2.5 3.0

Time (ns) 0.5

0 0.1 0.2 0.3 0.4

Reflection waveform Voltage [V]

Enlarged view of reflection

of series inductance

50  -end

50  Z

0

Equivalent circuit of FRD

L

s

MSL test fixture Short

E

i

Z

0

46

図4.11の等価回路を用いてFRDの寄生インダクタンスLsのTDR測定を行う。

図4.11に示すように左端から大きさEi (=0.25 V)のパルス波を挿入する。伝送線 路のインピーダンスZ0が電源インピーダンスと同じであれば伝送線路Z0上では 反射が起きず大きさ Ei の波がそのまま伝搬する。波が不連続点に到達した時 点でインダクタンスLによる反射が生じる。点Aの電圧VAは次式にしたがって 時間変化する。

𝑉𝐴 = 𝐸𝑖(1 + 𝑒𝑡) 𝜏 =𝐿𝑅𝑠 = 2𝑍𝐿𝑠

0 (4.2) ここでは反射波が入射波の電圧レベルに収束するまでの時間の時定数である。

点Aで反射した波は電源端へと伝搬し,電源端の電圧Viは図4.12上段に示され る波形となる。また反射波 earVAの電圧変化から入射波 eiを引いた波形であ り図4.12中段となる。VA, ei, earの関係よりearは次式で表される。

𝑒𝑎𝑟 = 𝑉𝐴− 𝑒𝑖 = 𝐸𝑖𝑒𝑡 (4.3) earを時刻0から∞まで積分すると次式を得る。

∫ 𝑒0 𝑎𝑟𝑑𝑡 = ∫ 𝐸0 𝑖𝑒𝑡𝑑𝑡 = 𝐸𝑖𝜏 (4.4)

(4.4)式に(4.2)式を代入することでインダクタンスLsを得る。

𝐿𝑠 = 2𝑍𝐸0

i ∫ 𝑒0 𝑎𝑟𝑑𝑡 (4.5) ここで積分開始時刻0は図4.12に示したようにLsによる反射が開始した点であ

る。図4.12下段に(4.5)式に従ったLsの積分値の時間変化示す。図よりFRD内部

の寄生インダクタンスLsは5.88 nHと測定される。図4.7で示した短絡終端との 比較から測定された5.98 nHと同等の値が得られており,測定対象の前後にMSL 冶具を接続する方法でも妥当な測定結果が得られることがわかる。

47

図4.12 FRDの両端に50のMSL冶具を接続した場合のFRDの直列寄生イン

ダクタンスの測定電圧波形およびインダクタンス測定結果

Reflected waveform in

point A, e

ar

[V]

Start time of the integral = 0ns Voltage

waveform in observe point,

V

i

[V]

Time [ns]

0.5 ns 0

0.2 0.1 0.3 0.4

0 0.2 0.1

-0.1 -0.2

-2 2 0 4 6 8

5.88 [nH]

0.5

Integral of e

ar

scaled by

2𝑍𝐸0

𝑖

,

[nH]

48

4.3.4 キャパシタンス成分の測定

図 4.13に特性インピーダンス Z0の伝送線の終端に FRD のアノード端子と一 体成型されているヒートスプレッダを接続した場合の測定装置と等価回路を示 す。FFPF30U60S はヒートスプレッダが樹脂で覆われた TO-220F パッケージで あるので,図 4.13(a)の右拡大図に示すようにパッケージの上端を切削してヒー トスプレッダ部を露出させている。TO-220FパッケージはMSL裏面の銅板にネ ジで固定した。このように測定回路を構成することで図 4.13(b)の等価回路に示 されるように,アノードとMSL裏面の銅板との間に形成される浮遊キャパシタ ンスを測定することができる。このキャパシタンスはFRDの背面にヒートシン クを接続した場合にアノードとヒートシンク間に形成される浮遊キャパシタン

(a) 測定基板とMSL冶具とFRD接続点の拡大図

(b) 等価回路

図4.13 FRDと銅板間に形成される浮遊キャパシタンスを測定する測定基板

と等価回路 Test fixture (50 )

MSL’s ground layer MSL and FRD’s heat spreader are soldered Source terminated in 50 

PointB 50 

e

i

e

br

E

i

Z

0

C

49

スに相当する。インダクタンス測定と同様にMSLの左側から大きさEiのパルス 波を挿入する。入射波が不連続点に到達した時点でキャパシタンス Cp による 反射が生じる。点Bの電圧VBは次式にしたがって時間変化する。

𝑉𝐵 = 2𝐸𝑖(1 − 𝑒𝑡) 𝜏 = 𝑍0𝐶 (4.6) 点Bで反射した波は電源端へと伝搬し,電源端の電圧Viは図4.14上段に示され る波形となる。また反射波 ebrVBの電圧変化から入射波 eiを引いた波形であ り図4.14中段となる。VB, ei, ebrの関係よりebrは次式で表される。

𝑒𝑏𝑟= 𝑉𝐵− 𝑒𝑖 = 𝐸𝑖(1 − 2𝑒𝑡) (4.7)

ebrを時刻0から∞まで積分すると次式を得る。

∫ 𝑒0 𝑏𝑟𝑑𝑡 = − ∫ 𝐸0 𝑖(1 − 2𝑒𝑡)𝑑𝑡 = 𝐸𝑖− 2𝐸𝑖𝜏 (4.8)

(4.8)式に(4.6)式を代入することでキャパシタンスCpを得る。

𝐶𝑝 = 2𝑍1

0𝐸i∫ (𝐸0 𝑖−𝑒𝑏𝑟)𝑑𝑡 (4.9) ここで積分開始時刻は図 4.14 に示したように Cp による反射が開始した点であ る。図 4.14 下段に(4.9)式に従った Cpの積分値の時間変化を示す。図より FRD の浮遊キャパシタンスCpは9.14 pFと測定される。

図4.15にFFPF30U60S 内部ヒートスプレッダの寸法図を示す。図の寸法より

ヒートスプレッダとMSL冶具裏面の銅板との間に形成されるキャパシタンス値 は下記の式より7.22 pFと計算される。

𝐶𝑝 = 𝜀𝑟𝜀0(𝑤1∙𝑤2𝑑1 +𝑤1∙𝑤3𝑑2 ) (4.10)

ここでrはFFPF30U60Sパッケージのエポキシ樹脂の比誘電率でありここでは4

(一般的にエポキシ樹脂の比誘電率は 3.5~5)と仮定した。rは真空誘電率であ る。上記の計算結果よりTDR測定法により測定された9.14 pFの値は妥当な数 字と考えられる。

50

図4.14 50のMSL冶具の終端にFRDを接続した場合にFRDと銅板間に形成

される浮遊キャパシタンスの測定電圧波形およびキャパシタンス測定結果

図4.15 FRDの内部構造

Start time of the integral = 0ns Voltage

waveform in observe point,

V

i

[V]

Reflected waveform in

point B, e

br

[V]

Time [ns]

0.5 ns 0

0.2 0.3

0 0.30 0.15

-0.15 -0.30

-4 0 4 8 12

9.14 [pF]

Integral of E

i

- e

br

scaled by

2𝐸1

𝑖𝑍0

, [nH]

0.1

w3 w2

d1 d2

w1

d1 = 1.2 mm, d2 = 0.4 mm

w1 = 8.8 mm, w2 = 5 mm, w3 = 7.6 mm

51

4.4 微小な寄生成分の TDR 測定と課題

パワーエレクトロニクス回路のスイッチング周波数の高周波数化に伴いスイ ッチングスピードの高速化が進んでいる。これに伴い数nHレベルの寄生インダ クタンス成分が電圧オーバーシュートや電流共振などの回路動作への影響の原 因となっている[43]ため,微小な寄生インダクタンス成分を測定する手法が必要 となる。本節ではTDR測定を用いて微小な寄生インダクタンス成分を測定する 際の課題と,この課題を解決するための提案手法について述べる。

4.4.1 チップコンデンサの寄生インダクタンス成分の 測定と課題

図4.16に1 Fのチップセラミックコンデンサを測定対象とした場合の測定装 置とTDR測定波形を示す。図4.16(a)(b)はMSL冶具の終端にコンデンサを接続 した場合の測定基板と測定結果であり,図4.16 (c)(d)はMSL冶具の間にコンデ ンサを挿入した場合の測定基板と測定結果である。図4.16 (b)の測定結果より,

コンデンサを測定対象とした場合と短絡終端した場合の測定波形には図 4.7 と 同様に差が生じているがコンデンサに直列に寄生するインダクタンス成分が微 小なため差が小さい。MSL冶具の終端に測定対象を接続する一般的なTDR測定 方法では微小なインダクタンス成分を測定しようとした場合,横軸(時間軸)

の分解能が必要となることを示している。しかし,短絡終端と測定対象接続の 両方の波形を取得する方法では,終端の仕方によって反射点がずれる可能性が あるため時間軸のずれが小さくなる微小なインダクタンス成分を測定する場合 には,測定誤差が相対的に大きくなる。一方,図4.16 (d)の測定結果では時間軸 の分解能は 3 倍程度向上していることが分かる。また測定対象を接続した状態 の測定のみの波形を取得すればよいので,時間軸のずれを気にする必要がない。

しかし,インダクタンス成分が微小な場合は図4.16 (d)の波形からわかるように 縦軸の分解能が低下することが分かる。

52

(a) チップコンデンサを終端に接続した場合の測定基板

(b) チップコンデンサを終端に接続した場合の測定電圧波形

(c) チップコンデンサの両端にMSL冶具を接続した場合の測定基板

(d) チップコンデンサの両端にMSL冶具を接続した場合の測定電圧波形

図4.16 チップセラミックコンデンサの寄生インダクタンス測定

DUT

ドキュメント内 橋野 哲 (ページ 47-56)

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