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5 個人情報保護法の監督機関

ドキュメント内 personal report 2303caa (ページ 190-195)

(1)監督機関をめぐる議論の過程

盧武鉉政権下で提出された議員法案では、個人情報保護の適用対象などについては争いがあったも のの、監督機構については、調査・諮問機能を超えた是正勧告、告発などの執行及び準司法機能を有 すべきであるという点では共通していた13

また、李明博政権下で提出された、すべての議員法案も、その監督機構は、調査、諮問機能にとどまらず、

是正勧告、告発などの執行及び準司法機能を持つ独立した行政庁としての委員会を提示した14。それに もかかわらず、当初提出された政府案だけは、国務総理所属に置かれる審議委員会の形式を提示して、

その審議委員会では主要な事案を審議するだけで、各部処(省庁)が執行を担当し、行政安全部がそ れを総括するというものであった。

独立監督機構を置くことについては、行政安全部は、別途の機構を設置することに伴う費用の増大 は「小さい政府」を標榜する現政権の政策と相反すること、情報化と個人情報保護業務の連携の必要性、

各部処の個人情報保護政策と衝突・重複するおそれ、個人情報保護政策の執行力の脆弱と意思決定の 遅延のおそれなどを理由に、否定的であり、自らが担当すべきであるという意見であった15。しかし、

法案審査の過程で、野党、国家人権委員会、市民団体などの問題提起を受けて、個人情報保護委員会 を大統領所属に格上げするとともに、委員会の機能に議決機能を追加すること、委員の選出を国会・

大法院・大統領が各々 5 人ずつ推薦すること、さらに、個人情報保護委員会に常任委員と事務局16を 新設することなど、その独立性を高める規定を追加することで、野党などと妥結するに至った。

13 もっとも、そもそも個人情報保護機構が公共部門と公共民間部門をすべて管掌すべきか否か、その機構の権限が諮問(勧告)、調停 の役割に限定されるべきか、それとも制定された個人情報保護法のように執行機能などを有する強力な権限を付与すべきかについ ては、その当時も議論があった。김일환、前掲論文、99 頁。

14 김일환、前掲論文、104 頁。

15 김일환、前掲論文、107 頁。

16 個人情報保護委員会の業務を支援するための事務局は、主務官庁の行政安全部からの派遣される公務員と、別途に専門知識を有し ている人材を契約職公務員として採用することで運営することになるものと予想される。2011 年 3 月 25 日に行った金浹謙・個人 情報紛争調停委員会委員長へのインタビューでの発言。

これらの案を比較すれば、表 8 のとおりである。

表 8 監督機関の法案別比較

区分 李惠薰議員案 卞在一議員案 政府案 個人情報保護法

名称 個人情報委員会 個人情報保護委員会 個人情報保護委

員会 個人情報保護委

員会

所属 国務総理 大統領 国務総理 大統領

性格 政策樹立・執行 政策樹立・執行 政策審議 政 策 審 議・ 議 決 及び執行

構成 9 名 ( 常任 1) 9 名 ( 常 任 1) ※ 国会 3、大統領 3、

法院 3 15 名 15 名 ( 常 任 1)

※ 国 会 5、 大 統 領 5、法院 5 任期 3 年 任期 3 年 任期 2 年 任期 3 年

機構 事務処設置 事務処設置 ― 事務局設置

김상광「개인정보보호법 제정 쟁점 토론자료」『“정보인권의 법적보장과 그 구체화”공동학 술세미나』국가인권위원회인권정책과、2010 年、125 頁

(2)個人情報保護委員会 (a) 個人情報保護委員会の機能

個人情報保護委員会、行政安全部、中央行政機関の三者の主要な機能は、次のとおりである。

まず、個人情報保護委員会は、個人情報保護政策の審議・議決が主たる機能であり、具体的には、

①個人情報保護基本計画・施行計画の審議・議決、②公共機関の目的外利用・提供の審議・議決、

③中央行政機関・自治団体に対する是正勧告、④国会に対する年次報告書の提出、⑤影響評価結果・

改善勧告などの審議・議決などである(詳細は後述)。

これに対して、行政安全部は、個人情報保護業務の総括・調整が主要な機能であり、具体的には、

①基本計画の樹立・施行、②標準個人情報保護指針の制定、③個人情報処理方針作成指針の制定・勧告、

④個人情報流出通知の運営、⑤法違反行為の調査、是正勧告・命令、過料の賦課、⑥個人情報ファ イル登録の受付け及び現況の公開、⑦自主規制の促進及び支援施策、⑧個人情報影響評価の管理運 営などである。

そして、中央行政機関の主たる機能は、その所管分野及び個別法の個人情報保護業務の遂行であ り、具体的には、①所管分野の個人情報保護の施行計画の樹立、②法違反行為の調査、是正勧告・命令、

過料の賦課などである17

17 행정안전부『개인정보 침해사례 및 개인정보보호법[]소개 2010.11.23』25 頁。

www.csokorea.org/news/download.asp?idx=4232

したがって、「個人情報保護委員会の性格は、諮問機構と行政機構の両者の性格を有している。同 委員会は、各中央行政機関を統合調整して、各中央行政機関はその所属機関に対して監督するという、

いわば『分散統合型』の構造ということができる。同委員会は、司法府と立法府に対しては三権分 立の原則から強制はできないが、是正勧告はできる18」ものである。

(b) 個人情報保護委員会の構成

個人情報保護委員会は、委員長 1 名、常任委員 1 名を含む 15 名以内の委員で構成するが、大統領、

国会、大法院長19がそれぞれ選出・指名する 5 名ずつの委員を大統領が任命または委嘱することになっ ている(7 条 2 項、4 項 1 号)。委員長は、委員の中から公務員でないものを大統領が委嘱する(3 項)。

委員になる資格を有する者は、①個人情報保護と関連した市民社会団体または消費者団体から推 薦を受けた者、②個人情報処理者で構成された事業者団体から推薦を受けた者、③その他、個人情 報に関する学識と経験が豊富な者のいずれかでなければならない(4 項 2 号)。

委員長と委員の任期は 3 年であり、1 回に限って再任することができる(5 項)。

(c) 個人情報保護委員会と個人情報紛争調停委員会の分離

個人情報保護委員会と個人情報紛争調停委員会とを分離したが、両者の関係が不明であるとして、

個人情報紛争調停委員会を個人情報保護委員会に統合するか、その傘下の委員会として構成すべき であるとの意見もある。

(d) 独立性の保障

「[ 個人情報 ] 保護委員会は、その権限に属する業務を独立して遂行する」(7 条 1 項後段)と定め てはいるが、独立的な活動を具体的に保障する規定はない20

18 2011 年 3 月 25 日の行政安全部個人情報保護課のキム・サングァン (김상광) 書記官へのインタビューでの発言。個人情報保護法は、

その 64 条 4 項で、「保護委員会は、中央行政機関、地方自治団体、国会、裁判所、憲法裁判所、中央選挙管理委員会が、この法律 に違反したときには、当該機関の長に、第 1 項各号に該当する措置 [ 個人情報侵害行為の中止・個人情報処理の一時的停止・その 他個人情報保護のために必要な措置……筆者注 ] を勧告することができる。この場合、勧告を受けた機関は、特別の事由がない限り、

これを尊重しなければならない」と規定している。

19 国家機関のうちで最も民主的正当性の弱い大法院長がいかなる制限もなしに委員を 5 名指名することに対しては、否定的な意見も ある。

20 この点は、すでに国家人権委員会から改善すべきとの意見が表明されている。すなわち、国家人権委員会は、国会行政安全委員長に、

政府が発議した個人情報保護法律案は、個人情報保護機構が十分に機能を遂行するのに必要な独立性の要素が不備であり、この法 案を中心とした立法は望ましくないという意見を表明した。また、ハンナラ党の李惠薰議員が代表発議した個人情報保護法律案と 民主党の卞在一議員が代表発議した個人情報保護法律案についても、委員の免責特権関連規定と委員任命過程での国会の関与を高 める方案、組織・予算上の独立性を高める方案を積極的に補完する必要があると明らかにした。特に政府案に対しては、「3 個の法 案のうち政府が発議した案は個人情報保護機構が有さなければならない核心的機能である調査機能がなく独立性要件を深刻に欠如 している」し、「また、委員が全員非常任委員で専門性が劣るおそれもある」と厳しく指摘していた。国家人権委員会常任委員会、

前掲決定 (2009.12.24) 12 ~ 13 頁。

(e) 委員会の業務と権限

個人情報保護委員会が審議・議決する事項は、①基本計画及び施行計画、②個人情報保護と関連 した政策、制度及び法令の改善に関する事項、③個人情報の処理に関する公共機関間の意見調整に 関する事項、④個人情報保護に関する法令の解釈・運用に関する事項、⑤個人情報を目的外の用途 に利用しまたは第三者に提供しなければ他の法律で定める所管業務を遂行できないとして、個人情 報保護委員会に個人情報の利用・提供の審議・議決を求める事項、⑥行政安全部長官が影響評価結 果に対して意見を提示しようとするときに必要とされる事前の審議・議決を求める事項、⑦個人情 報保護に影響を及ぼす内容の法令や条例に対して行政安全部長官が関係機関に意見を提示しようと するときに必要とされる事前の審議・議決を求める事項、⑧中央行政機関、地方自治団体、国会、

裁判所、憲法裁判所、中央選挙管理委員会が個人情報保護法に違反したときに、当該機関の長に、

個人情報侵害行為の中止、個人情報処理の一時的停止その他の必要な措置をとるように勧告する事 項、⑨行政安全部長官が行う改善勧告、是正措置命令、告発・懲戒勧告、過料の賦課の処理結果の 公表についての事項、⑩個人情報保護施策の樹立及び施行に関する年次報告書の作成・提出に関す る事項、⑪個人情報保護と関連して大統領または個人情報保護委員会委員長または委員 2 名以上が 会議に付した事項、⑫その他、法令によって個人情報保護委員会が審議・議決する事項である(8 条 1 項)。

そして、以上の事項を審議・議決するために必要な場合には、関係公務員、個人情報保護の専門家・

社会団体、関連事業者に対して意見を聞き、関係機関等に対して資料などの提出を要求することが できる(2 項)。

(f)EU 基準による独立性の検討

個人情報保護法の制定において、EU の独立的個人情報保護機構の設立という基準を満たすか否か は、一つの大きな課題であった。そこで、「前 EU 適合性評価審査官に内部検討を受けた結果、この 法案の推進体系[監督体系]がEUの監督機構独立性評価基準に適合しており『模範的な個人情報法制』

であるとの評価を受けた」(2010 年 9 月)し、外交通商部が「法案は、韓 -EU・FTA の基本趣旨に 違背せず、通商摩擦の可能性はないことを公文で確認した」21。EU 基準による推進体系独立性の検 討の主要な項目及びその結果は、次の表 9 のとおりである。

21 행정안전부『개인정보보호법심사참고자료』(2010.12)31 頁。

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