既存の避難計算手法による階段避難の予測計算の結果を示す。
(1)ルートBによる通常避難可能者の階段避難の予測計算
建築基準法施行令(以下、「令」という)第 129 条の 2 に基づく全館避難安全検証法(平成 12 年建 設省告示(以下、「告示」という)第 1442 号)による全館避難時間の計算手法によって、通常避難可 能者の階段避難における避難時間の予測計算を行い、その結果を 3~6 ページ後に示す。計算の条件は 以下とする。ただし、一部の条件は告示通りではなく、実情に近い条件に変更している。
なお、令第 129 条に基づく階避難安全検証法(告示第 1441 号)による階避難時間の各階の結果も下 表に示す。
【条件】
避難階:2 階
避難対象階:2~54 階 在館者人数:下表参照 歩行距離:1~2 ページ後参照 火災階:22 階
A floor
:2500 ㎡(22 階の 1 階分)地上への出口の幅
B d
:実態に近い特別避難階段 A および B からの避難階への出口(W0.85×2)全館避難安全検証法では、避難開始時間(避難を開始するまでの時間)および歩行時間、扉通過時 間の合計が全館避難時間とし、不利側の値となっている。本ガイドラインでは避難が始まってからの 時間を算出している。p.51 の扉通過時間 203.29 分→3 時間 23 分 18 秒は、5.1節の簡易計算ツール における ELV 比率 0%の全館避難時間 3 時間 33 分 51 秒に近い値となっている。
表 5.3.1 階段による階避難時間予測の条件と結果
49
図5.3.1(1)1階平面図
図5.3.1(2)2階平面図
50
図5.3.1(3)基準階平面図
51
図5.3.2(1)全館避難時間の計算条件と結果(その1)
52
図5.3.2(2)全館避難時間の計算条件と結果(その2)
53
図5.3.2(3)全館避難時間の計算条件と結果(その3)
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各廊下への扉の避難対象人 数 23 人のうち、全てが特別 避難階段 A から避難。
各廊下への扉の避難対象人 数 23 人のうち、4.5 人が特 別避難階段 A から、18.5 人 が乗用 EV から避難。
各廊下への扉の避難対象人 数 23 人のうち、全てが特別 避難階段 B から避難。
各廊下への扉の避難対象人 数 23 人のうち、4.5 人が特 別避難階段 B から、18.5 人 が乗用 EV から避難。
(2)新・建築防災計画指針の避難計算による非出火階の滞留面積の予測
新・建築防災計画指針(以下、指針という)における避難計算の手法によって、EV避難時の非出 火階の滞留面積の検討結果を示す。
【条件】
・避難対象人数は通常避難可能者 184 人、要支援者 4 人。
・事務室からの避難は扉幅案分により、各廊下への扉につき 184 人÷8=23 人が避難することとする。
・通常避難可能者のうちEV避難は 40%で 74 人、階段避難は 60%で 110 人とする。各廊下への扉の避 難対象者がどこからどれだけ避難するかは図中の赤色吹き出しに示す。
・図中に青字で、歩行距離を示す。
各廊下や付室兼非常用EVロビー、前室の設計面積は図中に緑線で囲った部分となり、値は緑字で 示す。図面左側は図面右側の点対称の値と同じとなるので記載していない。
特別避難階段 A および B への避難については各設計面積 7 ㎡および 23 ㎡に対して、最大必要滞留 面積の約 3 ㎡より、充分大きくなっている。
また、EVホールの必要滞留面積はEV避難する避難対象人数 74 人が全て滞留するとしても 74[人]
×0.3[㎡/人]=22.2 ㎡となり。EVホールの設計面積の 45 ㎡は必要滞留面積より充分大きくなって いる。
図5.3.2 滞留性状の予測結果
55
5.4 避難シミュレーションによるEV避難時の避難者行動特性
本節では、マルチエージェントモデルを利用して、モデルビルにおける通常避難可能者と歩行困難 者(車いす利用者を想定)が混在した場合の避難シミュレーションを行った。
(1)前提条件
・南北の事務室に通常避難可能者
46
人(青色)、歩行困難者(車いす利用者・白色)2人づつ配置し た。(簡易、詳細計算と同人数)・通常避難可能者は最寄の一時避難エリア(前室もしくは非常用EVロビー)を経由して避難階段か ら避難する。
・歩行困難者は最寄の一時避難エリア(非常用EVロビー)まで避難する。
・歩行困難者は一時避難エリアに到達後、避難救助のため待機するものとした。
・通常避難可能者の歩行速度は
1.2m/s
、車いすの歩行速度は0.6m/s
とした注1)
。7
・通常避難可能者と車いす利用者は同時に避難を開始する
(2)計算結果
マルチエージェントモデルの結果を図 5.4.1に示す。通常避難可能者は避難開始後
34
秒で全員が 一時避難エリアに到達した。また、歩行困難者は避難開始後39
秒で一時避難エリアに到達した。本 モデルビルでは、廊下幅が2000mm
と十分に広いため、車いす利用者がいる場合でも、車いす利用 者を通常避難可能者が追い越すように避難することができた。注
1)
土屋伸一,他:車椅子使用者が混在する群集の流動特性に関する研究,日本建築学会環境系論文 集,第571
号,pp1-7,2003年9
月56
0sec 10sec
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40sec
図5.4.1 マルチエージェントモデルの結果(0s~40s)