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37 第5章 ケーススタディ

ドキュメント内 避難誘導計画シナリオ_ (ページ 45-50)

EV避難のイメージをより具体的に示すために、いくつかの項目に対してケースステディを行った。

5.1では、階段とEVの利用者数の割合について、最適な条件を探るための検討を行なった。4バ ンク合計30台の乗用EVのうち、避難に使用する台数を4台及び6台と想定し、階段とEVの利用 者割合を変化させて、避難時間が最短となる条件と全館避難時間の短縮効果を表計算ソフトによる簡 易計算ツールで確認した。

5.2では、簡易計算手法で想定したものと同じ条件で、より精緻なシミュレーションを行い、簡易 計算との比較を行なった。

5.3では、避難安全検証法と新・建築防災計画指針による避難計算を行い、避難性状を予測した。

5.4には、火災階についてのみ避難シミュレーションを行い、動線の交錯や滞留の程度を見た。

5.5には、公設消防隊の具体的な行動を記述し、5.6には、煙性状のシミュレーション結果を示 した。

5.1 階段避難とEV避難の利用比率の検討

避難用乗用EVおよび非常用EVと階段を併用した避難誘導計画は、階段のみを使用する避難誘導 計画に比べて格段に複雑である。従って、建物の構造(階段・EV運行可能台数)や避難誘導体制を 前提とした、適切な避難誘導計画を立案することが重要である。

本節では、モデルビルに対して、簡易検討ツールにより最適な避難計画(階段避難とEV避難の比 率)を推定することを目的とする。

(1)前提条件

(1.1)モデルビルの概要

階 数 : 地上55階/地下3階

延床面積 :

18万㎡

基準階床面積 : 2,500㎡

基準階事務室 : 1,500㎡

特別避難階段 : 2か所

非常用昇降機 : 3台(内、20 人乗の2台使用)

乗用昇降機 : 30台(24 人乗/4バンク)

在館者密度 :

0.125人/㎡ (オフィス)

0.5~0.7人/㎡(商業)

歩行困難者割合 : 在館者の2%

図5.1.1 モデルビルの断面模式図

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(1.2)簡易計算の方法

垂直避難時間のみ計算し、水平避難時間は考慮していない。

∙ 避難ブロックごとの避難開始の場合、待機時間内に水平避難を完了する。

∙ 一般的に水平避難時間は垂直避難時間に対して十分に短い。

階段(特別避難階段)による避難時間の計算は、下記式により概算する。

避難時間 = 避難先頭者が避難階階段出口に到達する時間 + 避難人数/出口流出速度

避難用乗用EVによる避難時間の計算は、下記式により概算する。

避難時間 = 避難用乗用EV1往復平均時間 ×(避難人数/EV1往復輸送人数)

歩行困難者の非常用EVによる避難時間は、下記式により概算する。

避難時間 = 非常用EV1往復平均時間 ×(避難人数/EV1往復輸送人数)

主要な計算条件は下記の通り

避難用乗用EV 定格速度 :180m/分(低層)、240m/分(中層)、360/540m/分(高層)

加速度 :0.9m/s2

避難時 健常者定員 :19 人(24 人乗×乗込率 80%) ※EV 運行員除く 非常用EVの定格速度 定格速度 :240m/分

加速度 :0.9m/s2

避難時 車いす定員 :3人(20 人乗/6≒1人/㎡) ※EV 運行員除く 階段避難(階段内) 歩行速度 :36m/分

(避難階) 出口流出速度 :55 人/分(流動係数 31.88 人/m/分×有効開口 0.85m

×2箇所)

次ページに簡易検討ツールの例を示す。(モデルケースの検討は巻末に収録)

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図5.1.2 簡易検討ツールの例

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(2)設定条件

(2.1)避難順序

避難順序は 第2章(3)図2.3による。

①出火階および出火ブロックの出火階より上の階

② 出火ブロックのより上層の避難ブロック(高層ブロックから順番に下層へ)

③ 出火ブロックの出火階より下の階

④ 出火ブロックのより下層の避難ブロック(高層ブロックから順番に下層へ)

(2.2)階段利用とEV利用の比率

全館避難時間が最短となる階段避難/EV避難の比率を推定するため、階段避難とEV避難 の割合を 10%刻みで変更して全館避難時間を計算する。

(2.3)避難用乗用EVおよび非常用EVの運行台数

避難用乗用EVおよび非常用EVの運行台数はビル側管理員による有人運行を前提とする ことから、乗用4台及び6台、非常用2台とした。これは、EV運行員(自衛消防隊員)の 対応可能人数を考慮した結果である。

非常用EV1台は公設消防隊の消火活動専用とする。

(3)簡易検討ツール(付.1)によるEV避難割合の検討

簡易検討ツールによりEV避難の割合を 10%刻みで 0%~100%に設定し、全館避難時間を 算出した。全館避難時間が最小となる設定を「EV避難の最適な割合」とする。

検討結果を表5.1.1、表5.1.2に、簡易計算シートは付録に示す。

なお、歩行困難者(非常用EVによる)の避難時間は別枠とした。

避難用乗用EV4台運行の場合、EV避難比率 60%で全館避難時間が最小となった。

階段利用のみの全館避難時間:3時間34分 が 1時間52分 に短縮された。

避難用乗用EV6台運行の場合、EV避難比率 80%で全館避難時間が最小となった。

階段利用のみの全館避難時間:3時間34分 が 1時間27分 に短縮された。

歩行困難者の避難時間は2時間9分であり、避難用乗用EVを運行する場合の通常避難可能 者の全館避難時間より長い。歩行困難者の一部を避難用乗用EV避難に振り分けることで全 体の避難時間が短縮される可能性がある。

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表5.1.1 避難用乗用EV4台運行の場合の全館避難時間(垂直避難時間)

表5.1.2 避難用乗用EV6台運行の場合の全館避難時間(垂直避難時間)

避難用乗用EV運行:4台

ELV 比率 0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

避難時間 3:33:51 3:16:30 2:59:52 2:42:31 2:25:53 2:09:13 1:51:54 1:55:56 2:11:33 2:27:10 2:41:37 階段避難 3:33:51 3:16:30 2:59:52 2:42:31 2:25:53 2:09:13 1:51:54 1:35:14 1:17:55 1:01:15 0:52:29 EV避難 0:19:40 0:35:17 0:50:53 1:06:12 1:21:49 1:37:26 1:55:56 2:11:33 2:27:10 2:41:37

非常EV

(歩行困難 者)

2:09:28 2:09:28 2:09:28 2:09:28 2:09:28 2:09:28 2:09:28 2:09:28 2:09:28 2:09:28 2:09:28

避難用乗用EV運行:6台

ELV 比率 0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

避難時間 3:33:51 3:16:30 2:59:52 2:42:31 2:25:53 2:09:13 1:51:54 1:35:14 1:27:

01

1:37:

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1:46:

41 階段避難 3:33:51 3:16:30 2:59:52 2:42:31 2:25:53 2:09:13 1:51:54 1:35:14 1:17:55 1:01:15 0:52:29 EV避難 0:14:28 0:24:52 0:35:17 0:45:41 0:54:56 1:06:12 1:16:37 1:27:

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1:37:

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1:46:

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非常EV

(歩行困難 者)

2:09:28 2:09:28 2:09:28 2:09:28 2:09:28 2:09:28 2:09:28 2:09:28 2:09:28 2:09:28 2:09:28

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