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(3)車いすへ着座する

ドキュメント内 基本動作_2017.indb (ページ 33-36)

車いすへ着座するときは正確に座らなければな りません。車いすは一人ひとりにあわせてきちんと 適合されているはずですから、姿勢をきちんとし

等移乗用品選び利用基礎知識リフト等移乗用品編

なければ、関節の変形や床ずれなどの 2 次障害を 引き起こしかねません。また、車いすに着座して から、「よいしょっ !」と持ち上げて姿勢を直すのは まったくナンセンスです。せっかくリフトを使ってい るのですから、持ち上げるという力仕事は機械に まかせましょう。そのためにもきちんと着座する方 法を覚えておくことが大切です。

1車いすのキャスターを上げる

介護者は車いすの取っ手を持って、キャスター を上げます(図 44)。

座面が斜めになっていれば、下りたときに深く 着座することができます。

座面に下りるにつれて、キャスターを降ろしてい きます。

2前から膝を押す

介護者は下りる少し前になったら、前方から本 人の膝を背もたれ側に押しつけます(図 45)。

背中で背もたれを押して、車いすのキャスター を上げます。

これで着座すれば深く座れます。

3つり具の取っ手を上に引く

着座する少し前になったら、介護者はつり具の 背中についている取っ手を上に引き上げます。

お尻が後ろに引かれて深く座ることができます。

4ティルト・リクライニングをする

車いすにリクライニング機能やティルト機能(座

移乗は日常生活を再構築していく上で、とても大 切な動作であり、とにかく安全に、安心して、容 易にできなければなりません。「リハビリ」などと いって無理をすることなく、また、介護者がすべて を行うというような双方にとって不適切なことをせ ず、確実に移乗できる方法を探します。

誰に教わらなくてもできるなどと安易に考えるこ

となく、きちんと専門家の意見を聞き、方法を丁 寧に教えてもらうことが大切です。他人の方法が自 分にも合うとは限りません。一人ひとり方法は異な ると考えましょう。自分にあった方法をきちんと教 えてもらえなければ、そのときは相談する専門家 をかえることです。

面と背を同じ角度で傾けることができる機能)が ついているときはともに倒して降ろすと深く正確 に座れます。

執筆者

市川 洌(福祉技術研究所㈱ 代表取締役)

おわりに

HCR2012 市川先生追加 イラスト

[図44]車いすのキャスターを上げる

HCR2012 市川先生追加 イラスト

[図45]前から膝を押す

等移乗用品選び利用基礎知識リフト等移乗用品編

歩行器等 補助用品

杖・歩行器等補助用品の

選び方、利用のための

基礎知識

移動動作の中でも歩くという動作は、人間が獲得 した自然な動作です。

私たち人間は、約 12 ヶ月で歩けるようになりま す。平均すると私たちは1歳から80歳くらいまで歩 行を移動手段としていることになります。歩くという ことは人間として獲得した移動手段ですから、移動 するときに歩行するのは人間にとってあたり前だと いうことがいえます。

しかし、平成26年の厚生労働省による国民生活 基礎調査では、介護が必要になった原因の第1位が 脳血管疾患、第2位が認知症、第3位が高齢による 衰弱、第4位に骨折・転倒があげられ、介護度別に 見てみると、要支援1の場合は第3位に骨折・転倒、

要支援2の場合は第2位に骨折・転倒、要介護4の 場合は第3位に骨折・転倒が挙げられています(表 1)。また、高齢になると、筋力などによる活動性や、

バランス感覚、敏びんしょう捷性、注意力など複数の機能が 衰えることにより、転倒しやすくなってしまいます。

1999年6月4日に発表された国民生活センターの

「家庭内事故に関する調査報告書」によれば、「階 段に関する事故」の例として、「階段に滑り止めが なく滑ってしまった」、「スリッパが滑った」、「取り込 んだ洗濯物を抱えていた」、「階段が急勾配で足を 踏み外した」、「階段の滑り止めにつまずいた」など

が挙げられています。

「浴室に関する事故」の例では、「お湯で足が滑っ た」、「石鹸で足が滑った」、「バスマットに乗ったら 滑った」、「入り口の段差につまずいた」、「浴槽の枠 に手をかけたら滑った」、「混合栓から熱湯が出て きた」などが挙げられています。

「床・畳・敷居に関する事故」の例では、「床が濡 れていて滑った」、「フローリングで滑った」、「スリッ パで滑った」、「靴下を履いていて滑った」、「布団に つまずいた」、「カーペットに足がひっかかった」、「敷 居の段差でつまずいた」などが挙げられています。

「玄関に関する事故」 の例では、「つまずく」、「滑 る」、「踏み外す」、「段差からの転落」、など歩行時 の滑り、ふらつき、つまずきが原因によるものが多 くあり、転倒を予防する環境づくりと、移動方法の 検討が必要と思われます。

高齢者の中には「歩けなくなったらおしまい」という 方がいますし、「歩くことができるようになるためリハ ビリがしたい」という方も多くいます。この方々の気持 ちを考えると、転倒を予防するために車いすに乗って

「行動抑制」をするのではなく、危険になってきた歩 行を、「どのようなときに」「どのような場所で」「どのよ うな身体状態に対して」「どのような機器を用いて」支 援をしていくのかを考えていきたいと思います。

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