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3)本薬の臨床的位置付けについて

ドキュメント内 untitled (ページ 68-71)

機構は、本薬の臨床的位置付けについて、以下のように考える。

提出された試験成績から、本薬はイマチニブ抵抗性又は不耐容の

CML、及びイマチニブ

併用の有無を問わず化学療法歴のある再発又は難治性の

Ph+ ALL

に対する治療に有用性が 認められるものと判断した。

以下に疾患毎に機構の検討の詳細を示す。

(1) 

CML

について

現在の

CML-CP

の治療においてはイマチニブが第一選択薬として広く用いられるが、イ

マチニブ抵抗性の

CML-CP

として、イマチニブ投与開始

6〜18

カ月後に、

Major CyR

CCyR

が得られない症例が

15〜25%、また一旦寛解が得られた後に寛解が消失、又は進行する症

例が年率

4%で発生するとされている(In: Hematology 2007 American Society of Hematology Education Program Book)。さらに、イマチニブに対して忍容できない副作用が発現し、投

与継続が出来ないイマチニブ不耐容例も存在する。ELN によるコンセンサス会議では、イ マチニブ抵抗性又は不耐容の

CML-CP

に対しては、HSCT若しくは

IFNαの単独又は低用量

シタラビンとの併用療法が推奨されており、新薬の臨床試験への参加が可能な場合には、比 較考量すべきとされている(Blood 2006: 108; 1809-1820)ことを機構は確認した。また、イ マチニブ抵抗性又は不耐容の

CML-AP

及び

CML-BC

に対しては、標準治療は確立されてお らず

HSCT

が治療選択肢として挙げられていることを機構は確認した(In: Hematology 2007

American Society of Hematology Education Program Book, Blood 2006: 108; 1809-1820)。

  申請者は、イマチニブに抵抗性又は不耐容の

CML

における他の治療法と本薬の臨床的位 置付けの関係について、以下のように説明している。

当該疾患に対する既存の治療法としては

IFN、化学療法、HSCT

が挙げられるが、一次 治療におけるイマチニブと

IFN

の第Ⅲ相ランダム化比較試験(IRIS試験)では、イマチニ ブ抵抗性例に対して

IFN

へのクロスオーバーにより

Major CyR

が得られた症例はなかった と報告されている(N Engl J Med 2003; 348: 994-1004)。また、化学療法は寛解率が低く、

その持続期間も短い。HSCT はドナーが得られる症例のみが対象となり、移植関連毒性の ため適応となる患者層は比較的若年者に限られる。イマチニブ抵抗性又は不耐容の

CML

に対する本薬の臨床試験に関し、各病期での有効性と安全性が確認され、また、

CA180-017

試験において、イマチニブ抵抗性

CML-CP

に対して、本薬が高用量イマチニブ(800mg)

に比較し、

Major CyR

率が良好で

Major CyR

持続期間も長期であることが示唆されている。

イマチニブ不耐容性

CML

では、イマチニブ投与との因果関係の否定できない

Grade 3

以上 の有害事象で投与中止を必要とするイマチニブ不耐容例も登録され、イマチニブとの交叉 不耐容はほとんど見られなかった。

以上より、イマチニブに抵抗性又は不耐容の

CML

において、本薬は二次治療として選 択肢の一つとなり得ると考える。

 

機構は以下のように考える。 

CMLの治療において、イマチニブが第一選択薬として確立されていること、本薬の臨床

試験成績はイマチニブ抵抗性又は不耐容のCMLを対象としていたこと、本薬の臨床試験成 績でCML-CP、-AP、-BCの各病期において、一定の有効性及び安全性の結果が得られてい ることなどから、本薬はイマチニブ治療後の二次治療の一つとして期待出来ると考える。

CMLの二次治療におけるHSCTを含めた他の治療と比較した本薬の位置付けについて、機

構は以下のように考える。

NCCNガイドライン(v.1.2009版、http://www.nccn.org/professionals/physician_gls/PDF/cml.

pdf)においては、イマチニブ抵抗性又は不耐容のCML-CPでは本薬を含むイマチニブ以外

のTKI、イマチニブ増量、HSCT及び臨床試験が、また、CML-APでは本薬を含むTKI治療後 にHSCT、CML-BCでは本薬単独、又は本薬を含む化学療法後にHSCT、が併記されている。

機構は、イマチニブ抵抗性又は不耐容のCMLでは、HSCTが選択肢として挙げられてはいる ものの、ドナー等の問題でHSCTの適応がない患者、及びHSCT施行前の病勢コントロール を必要とする患者において、本薬は一定の位置付けを占めるものと考える。本薬はイマチニ ブ抵抗性又は不耐容のCML-CP、-AP、-BCに対する二次治療として期待でき、イマチニブ 治療後の二次治療における選択肢の一つとして位置付けられると考える。

(2)Ph+ ALLについて

Ph+ ALL

は白血病の中でも予後不良な疾患であり、未治療

Ph+ ALL

を対象として、イマ チニブと他の化学療法剤との併用療法や交替療法として、寛解導入療法、地固め療法、維 持療法、HSCT の様々な段階で組み込む治療等が各臨床試験グループにより行われてきて いる(Blood 2004; 103: 4396-407、J Clin Oncol 2006; 24: 460-6等)。

申請者は、イマチニブに抵抗性又は不耐容の

Ph+ ALL

における他の治療法と本薬の臨床 的位置付けの関係について、以下のように説明している。

Ph+ ALL

における現在のイマチニブの用法・用量は、600mg/日を初回用量としており、

イマチニブの第Ⅱ相試験は、初回用量

600mg/日から 800mg/日への増量を認めているが、

増量例に関する成績及び症例数は報告されておらず(Blood 2002; 100: 1965-71)、増量の有 用性は明らかとなっていない。また、イマチニブ

600mg/日投与に抵抗性の Ph+ ALL

患者 を対象として、イマチニブの

800mg/日への増量と本薬との比較試験は実施されていない。

しかしながら、本薬の海外第Ⅱ相試験(CA180-015試験)において、Ph+ ALL患者の

52%

はイマチニブ

800mg/日による前治療に抵抗性又は不耐容であり、 CHR

率は

16/46

例(34.8%)、

Major HR

率は

19/46

例(41.3%)、Major CyR率は

26/46

例(56.5%)であった。一方、再発 又は難治性

Ph+ ALL

の第Ⅱ相試験におけるイマチニブの開始用量

600 mg

での有効性は、

800 mg/日に増量した症例を含め CHR

8/43

例(18.6%)、Major CyR率

15/43

例(34.9%)

であった(イマチニブ米国添付文書より)。以上より、イマチニブ

600mg/日投与を含めた

前治療に不応であった

Ph+ ALL

患者に対し、本薬に治療を変更することは妥当と考える。

機構は、イマチニブによる治療歴がない

Ph+ ALL

患者でもイマチニブ以外の治療が行わ れていれば本薬の投与対象となるのか説明を求め、申請者は以下のように回答した。

Ph+ ALL

に対しては、イマチニブは寛解持続期間が短いことから、標準療法として位置

付けられていない。日本癌治療学会による抗がん剤適正使用のガイドラインでは、「イマチ

ニブは

Ph+ ALL

にも有効で寛解率を大幅に改善する可能性があるが現在は臨床試験中であ

る。」と記載されている。イマチニブは

Ph+ ALL

に対する標準療法とは位置付けられてお らず、現時点では

Ph+ ALL

を含め成人

ALL

に対する標準的治療法は化学療法であると考 えられている。したがって、本薬の投与対象は

Ph+ ALL

においては、治療歴としてイマチ ニブ投与が行われていることを問わず、化学療法による治療に対し抵抗性又は不耐容とな った症例であると考える。

機構は、以下のように考える。 

現在の未治療

Ph+ ALL

に対する治療としては、寛解導入療法、地固め療法、維持療法及 び

HSCT

の一連の治療において、使用レジメンとして標準的なものは未だ確立されておら ず 、 イ マ チ ニ ブ を 含 む 様 々 な 多 剤 併 用 化 学 療 法 が 報 告 さ れ て い る 状 況 に あ る (In:

Hematology 2007 American Society of Hematology Education Program Book)。

Ph+ ALLを対象とした本薬の海外第Ⅱ相試験(CA180-015試験)では、選択基準としてイ

マチニブ抵抗性又は不耐容例が設定されており、また、国内第Ⅰ/Ⅱ相試験(CA180-031試験)

では、前治療歴としては既存治療に抵抗性又は不耐容例と設定されていたが、登録症例は全 てイマチニブ治療歴を有していた。CA180-015試験において、イマチニブ抵抗性Ph+ ALLで イマチニブ抵抗性変異に関する検査で変異が検出されなかった症例は9/39例(23%)であっ た。

機構は、

Ph+ ALLでは①多剤併用化学療法が行われることから、再発又は難治例が必ずし

もイマチニブ抵抗性ではないこと、②イマチニブ併用の標準的レジメンは定まっていないこ と、③Ph+ ALLにおいてイマチニブ併用の有無を比較したランダム化第Ⅲ相比較試験成績は 得られていないこと、④本薬の臨床試験成績で一定の有効性及び安全性の結果が得られてい

ることから、本薬はイマチニブを組み込んだ前治療に限定しない化学療法歴を有する再発又 は難治性のPh+ ALLに用いられる薬剤としての位置付けを有するものと考える。ただし、本 薬の臨床試験成績におけるイマチニブ治療歴に関する情報は添付文書等を用いて、適切に医 療現場へ情報提供がなされるべきと考える。

ドキュメント内 untitled (ページ 68-71)