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3.住民訴訟の状況

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 市町村に対して住民訴訟が提起される件数(以下「提起件数」とい う)はどのように推移しているのだろうか。この点について、データ をみてみると、07 / 08 年度以降の年度当たりの平均の提起件数は 減少傾向にある(図表 2)。

 また、請求事項(延べ)は減少傾向であったが、14 / 15 年度に おいては若干増加している(図表 3)。これは、1 件の訴訟において 複数の請求事項による訴えを行う事例が増えていることによるもので ある。

 それでは、なぜ、提起件数が減少しているのであろうか。この点に ついて、訴訟の結果に関するデータをみてみると、まず、住民訴訟の 判決の件数(単年度平均)は、07 / 08 年度以降は減少傾向にあり、

14 / 15 年度に若干増加している(図表 4)。

 次に、結果の構成比の推移をみると、次のことが分かる。①直近 の 14 / 15 年度では、請求却下 11.7%、請求棄却 75.9%であり、

原告が全部または一部勝訴している割合(以下「勝訴率」という)は 12・4%にすぎない②近年は請求却下の割合は減少しているものの、

請求棄却の割合が増加しており、原告勝訴の増加に結び付いていない

③ 09 / 11 年度以降、勝訴率が(もともと低い上に)さらに低下し ている──(図表 5)。

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ID地方自治論とガバナンス

 このように近年の勝訴率の低さが、提起件数の減少の一つの要因に なっているのではないかと推量される。

 次に、どのような請求理由の訴えの場合に勝訴率が高いのであろう か。この点について過去 9 年間のデータをみてみると次のことが分

図表3 請求事項(延べ:年度平均)の件数の推移

図表4 訴訟の結果(単年度平均)の推移

図表5 訴訟の結果 構成比の推移

1803.indb 53 18.3.28 11:30:14 AM

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かる。①訴えの結果全体(874 件)の中で、4 号請求に係る訴訟が最 も大きい割合を占めている(71.9%)②次いで 3 号請求(12.1%)、

1 号請求(9.2%)、2 号請求(6.9%)となっている──(図表 6)。

 訴えの内容として、4 号訴訟は、団体が有している損害賠償請求権 等の行使を団体等に対して求める請求であり、団体の財産の棄損を回 復させるという住民訴訟の代表的な機能を果たす訴訟であることや、

関係法人に対する違法な補助金の支出など、事実関係を特定し易やすい特 徴を有していること等が、当該請求に係る提起件数が多い理由として 考えられる。

 次いで提起件数が多い 3 号請求は、公課の賦課徴収や財産管理を

出典:図表3〜5すべて筆者作成

図表3 請求事項(延べ:年度平均)の件数の推移

図表4 訴訟の結果(単年度平均)の推移

図表5 訴訟の結果 構成比の推移

出典:図表6、7とも筆者作成

図表6 請求理由別 訴えの結果の件数

(2007〜2015年度)

図表7 請求理由別 訴えの結果の構成比

(2007〜2015年度)

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怠っている事実など、団体の財務会計上の行為の不作為を対象とする 請求である。当該請求についても、団体の財産の適正な管理という趣 旨が明確であり、不作為の事実を比較的特定し易いこと等が、件数が 多い理由として挙げられる。

 次に請求理由別の訴えの結果の構成比をみてみると次のことが分か る。①全体の勝訴率は 12.4%であり低い状況である②最も勝訴率が 高いのは 4 号請求に係る訴訟である(13.6%)③次いで、3 号請求

(10.3%)、1 号請求(9.2%)、2 号請求(6.9%)の順になっている

──(図表 7)。

 これらのデータから勘案すると、①住民訴訟において勝訴を得るこ とは、帰納法的に考えれば確率は約 12%であり、決して容易なこと ではない②請求理由別の勝訴率を勘案すると、4 号請求の形を取り、

損害賠償請求権または不当利得返還請求権の対象となる事実を特定す る形で請求を行うことが合理的──等の結論を得ることができる。

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