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6%

100-150 万円

9%

250-300 万円

3%

グ ラ フ 11 合併・ 解散を 考え て いる

寺院の年収

  ただし年収ゼロの寺院では約

る一方、 58%が兼務として維持すると述べ 34%が合併解散をすると述べている(グラフ

が五〇万円以下となると 12)。これ ている(グラフ 76%の寺院は兼務として維持すると述べ 上の寺院が兼務の現状を維持しようとしていることがわかる。 13)。このことから年収が低い場合でも、半数以

2―6.まとめ

  これまでアンケート結果に基づき過疎地における正住寺院と兼務寺院の現状について考察を進め、特に寺院の経済的な側面に着目をして分析を試みた。過疎地域の寺院といっても寺院年収や檀家数などは様々であるが、多くの寺院は今後檀家が減少すると予想をしており、将来の寺院運営に対して不安を感じているとみることができる。また兼務寺院については、正住寺院と比較して檀家数においても、年収においても小規模であるが、多くの場合、兼務の継続をしようとしていることが理解される。(石田一裕)

正住寺院 にする

3%

兼務寺院 として維

持する 76%

合併・解 散する

18%

その他 3%

グ ラ フ13 年収0-50万円の兼務寺院の今後

第3章  聞き取り調査から見えた過疎の状況

第3章   聞き取り調査から見えた過疎の状況

3―1.寺院に対する影響

  ここでは聞き取り調査から見えた過疎化がもたらす寺院への影響を取り上げる。(1)檀家数の減少について、(2)遠方檀家にまつわる諸問題、(3)墓地に関する問題、(4)寺院の経済状態の悪化、寺院組織の弱体化、(5)過疎地域におけるその他の問題、(6)まとめ、について現状と今後の課題を見ていきたい。

(1)檀家数の減少について

  寺院レベルにおいて檀家数の増減変化は、寺院運営ならびに教線維持における直接的かつ最大の関心事の一つといえる。檀家数の減少はそのまま寺院運営の圧迫につながりうるし、檀家数の増加はそれ自体が教線拡大となりうる。檀家数の減少への危機意識は全国各地の寺院それぞれの重要な課題であるが、過疎地域にある寺院における状況はより深刻である。

  過疎地域における寺院への聞き取り調査では、「地域の過疎化によって檀家数が減った」「他地域に檀家が移ってしまい離檀してしまった」といった檀家数減少に関する様々な声が聞こえてきた。また「過疎地域における寺院へのアンケート調査」(以下、アンケート調査)においても、これまでの二〇年の間に約六割の 過疎地域寺院で檀家数が減少しているという回答を得た。  ここでは聞き取り調査から見えた、過疎地域寺院におけるこれまでの檀家数の変化、その要因、そして今後檀家数がどのように変化していくのかその展望を考察していきたい。①これまでの檀家数変化  前述のとおり、聞き取り調査に伺った過疎地域寺院では「檀家数が減った」との声がほとんどの寺院から聞こえてきたが、実際にはどの程度減少しているのか、聞き取り調査した新潟教区佐渡組・石見教区・熊本教区第三組(天草地方)を例としてあげる。現在の檀家数と、参考値ではあるがこれまでの二〇年間の檀家数減少率を記した表一を参照されたい。  表1を見ると、最近二〇年間での檀家減少率

本教区第三組(天草地方)は減少率が高い傾向が見られる。 見て取れる。また地域的には新潟教区佐渡組は減少率が低く、熊 最近二〇年間ではあまり減少していない寺院も少なくないことが な減少をしている寺院がある一方、減少率一桁台あるいは0%の 20%を超える大幅   ここに挙げた佐渡・石見・天草の三地域はともに過疎地域に指定されており、最近二〇年間の人口減少も激しい地域である。地

第3章  聞き取り調査から見えた過疎の状況

表1(聞き取り調査寺院より抜粋)

教区 組名 寺院名 檀家数 アンケート回答

20 年増減変化 20 年間減少率※ 1

新潟 佐渡組 A 寺 350 変化なし 0%

新潟 佐渡組 B 寺 41 変化なし 0%

新潟 佐渡組 D 寺 80 11-20 減少 16%

新潟 佐渡組 E 寺 55 1-10 減少 8%

石見 邇摩組 A 寺 100 21-30 減少 20%

石見 邇摩組 B 寺 60 21-30 減少 29%

石見 邇摩組 C 寺 30 11-20 減少 33%

石見 江津組 E 寺 100 1-10 減少 5%

石見 浜田組 F 寺 10 変化なし 0%

石見 江津組 G 寺 90 1-10 減少 5%

石見 大田組 H 寺 35 11-20 減少 30%

石見 江津組 I 寺 68 1-10 減少 7%

石見 浜田組 J 寺 100 1-10 減少 5%

石見 邇摩組 K 寺 50 1-10 減少 9%

石見 大田組 L 寺 330 1-10 減少 1%

熊本 第三 D 寺 600 51-100 減少 11%

熊本 第三 E 寺 150 31-50 減少 21%

熊本 第三 F 寺 170 11-20 減少 8%

熊本 第三 H 寺 150 31-50 減少 21%

熊本 第三 I 寺 350 51-100 減少 18%

熊本 第三 J 寺 300 100 以上減少 33%※ 2

熊本 第三 K 寺 1800 100 以上減少 28%※ 2

※ 1 20 年間減少率試算方法

アンケート調査にて「最近 20 年で、増加減少を合わせて檀家の戸数の変化はどのくらいですか」に回答さ れた減少数の数値の平均値を 20 年間の減少数とみなし、減少率を産出した。

例)新潟教区佐渡組 D 寺 現在の檀家数:80

アンケート回答:11-20 減少 平均値:15 減少

減少率:15/(80+15) × 100=16%

※ 2 例外

熊本教区第三組 J 寺・K 寺はアンケート回答 100 以上減少のため、聞き取り調査時の減少数から試算

第3章  聞き取り調査から見えた過疎の状況 域の人口減少が進んでいく中、檀家数の減少とはどのような関係性があるのかを探るべく、まずは佐渡市・石見地方(大田市・江津市)・天草地方(天草市・上天草市)の人口・世帯数の推移をグラフ化した上で、最近二〇年間の人口減少率、世帯数減少率を提示しよう(グラフは昭和三五年~平成二二年国勢調査より作成)。

22,000 23,000 24,000 25,000 26,000

40,000 60,000 80,000 100,000 120,000

佐渡市

人口総数 世帯数 (世帯)

9000 9500 10000 10500 11000 11500

20,000 25,000 30,000 35,000 40,000 45,000

江津市

人口総数 世帯数 (世帯)

30000 32000 34000 36000 38000

60,000 80,000 100,000 120,000 140,000 160,000 180,000

天草市

人口総数 世帯数 (世帯)

10,000 10,500 11,000 11,500 12,000

20,000 25,000 30,000 35,000 40,000 45,000 50,000

大田市

人口総数 世帯数 (世帯)

第3章  聞き取り調査から見えた過疎の状況   各グラフを見てわかるように、佐渡・石見・天草地方は過疎地域特有の推移で人口が減少しており、昭和三五年から昭和四五年までに団塊の世代等の転出により人口が急激に減少したのち、昭和六〇年頃まで緩やかに減少あるいは第二次ベビーブームにより増加した地域もあるが、平成に入ってからまた減少幅が大きくなるという同じような推移を示している。  一方世帯数の推移に目を移すと、全国的に平成一二年頃までは増加あるいはほぼ横ばいの推移であったが、グラフでも挙げた各地域ともに平成一二年頃を頂点として世帯数が減少を始めていることが読み取れよう(ただし、一部例外の地域もあり、代表例として挙げられるのが石見地方である。この地方では豪雪等により孤立した集落が一週間以上音信不通になったことを教訓に、昭和四〇年頃より自治体による積極的な集落移転が行われ、またダム建設にともなう挙家離村などもあり、人口とともに世帯数も減少した経緯がある)。

  また平成二年からの二〇年間の人口減少率はそれぞれ佐渡市 19・6%、大田市

17・8%、江津市

19・1%、天草市

上天草市 20・5%、

市5・2%となっている。 5%、大田市2・3%、江津市4・2%、天草市4・3%、上天草 22・0%、同じく二〇年間の世帯数減少率は佐渡市3・

  それでは平成二年からの二〇年間の人口減少率と最近二〇年間の檀家減少率を比較してみよう。二〇年間の人口減少率とほぼ同

8,000 9,000 10,000 11,000 12,000

20,000 25,000 30,000 35,000 40,000 45,000 50,000 55,000

上天草市

人口総数 世帯数 (世帯)

じ割合あるいはそれ以上の割合で檀家数が減少している寺院も散見するが、人口減少率よりも檀家減少率が低い寺院がほとんどである。また人口減少はグラフのとおり昭和三五年からの五〇年間では各地で大きく減少しているが、檀家数に関して言えば、「人口減少に比べれば檀家数はあまり減少していない」と語る寺院もあるように、聞き取り調査では昭和年間に大きく檀家が減少したと語る寺院はそれほど多くはなかった。これまでのところ、必ずしも人口減少に檀家数減少が直結しているとはいえないと推察される(もちろん、産業の急激な変化により昭和四〇年頃から檀家が激減した時期がある寺院も存在し、たとえば天草のJ寺はかつての炭鉱付近に立地した寺院のため、炭鉱閉山とともに縁が切れた檀家が多いとのことである)。

  次に世帯数の推移と檀家数の推移を見ていきたい。平成一二年頃までの世帯数の増加、横ばいについては、聞き取り調査では「分家等による新規檀家の増加と離檀がほぼ同数」と語る寺院もあり、檀家数は増加とまではいかなくとも、横ばいであったとする寺院も見受けられた。表一にある檀家減少率0%や一桁台の寺院の多くは新檀と離檀がほぼ同じとも回答しており、上記の一例と思われる。

  一方、平成一二年を頂点とした世帯数減少に関しては、「ここ一〇年での檀家数減少が激しい」との声があるように、最近一〇年間での檀家数減少を不安視する寺院もあり、世帯数の減少がそ のまま檀家数減少につながっているように思われる。平成一二年~二二年の一〇年間はちょうど大正末生まれ、昭和一桁世代が八〇歳を越え、世帯主であろう男性の全国平均寿命を上回る時期に当たっており、これらの世代が減少していく時期に重なっている。この大正末生まれ、昭和一桁世代の後継者は、いわゆる団塊の世代等の昭和二〇年代の方が多いが、聞き取り調査では後継者と同居している世帯は少なく、後継者が遠方にいる、あるいはどこにいるかわからないと回答する寺院が多かった。そのため大正末世代、昭和一桁世代が亡くなると、その世帯はなくなってしまい、さらに寺院としては遠方に住む後継者との縁が薄れてしまい、結果寺檀関係が途絶えてしまうこともある。つまり高齢者単独世帯が減少すると、檀家数減少に直結してしまうことになるのである。  これを裏付けるかのごとく、聞き取り調査では「檀家が一人亡くなれば、檀家が一軒減る」との声があがるように、単身世帯の高齢者が亡くなる、あるいは高齢者夫婦の一方が亡くなることが、そのまま檀家数減少に直結してしまうという事例が数多く聞こえてきた。この事例は、①後継者がいないあるいは嫁いだ娘しかいないため、絶家となってしまう②後継者が遠方にいるため、寺檀関係が途絶えてしまう、といった二パターンに大きく分けられる。特に②についてはさまざまなケースがあり、高齢者夫婦の一方が亡くなると、単身の親を遠方に住む後継者が引き取り、その後音

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