最小値
大 分 県 水 試 事 業 報 告
今後の問題点
1.石原の効果について
今年度の結果から石原は砂原に比べて初期着底稚 貝密度が高いことが示唆されたが、石原であればど こでも(地盤高等)、何でも(粒度組成等)良いと 言うことではないと考えられるため、今後は本石原 において何が初期稚貝着底に効いているのかを調べ る必要がある。
2.1mm - 10mm 稚貝について
新規に石原が造成されたこと、小型のコアを使用 したことで着底後の稚貝を採集できなかった。2010 年度以降は石原が造成されて時間も経過しているた め、コアを大型化して着底後のアサリの動向(成長、
生残等)を調べる必要がある。
3.防風網区について
本調査において、防風網区と網無し区に大きな違 いは認められなかった。この原因として、防風網区 に砂が目詰まりしてしまったためと考えられるた め、次年度以降は目合いや網の設置方法を変える必 要がある。
文 献
1) 柿野 純.アサリ漁業をとりまく近年の動向.水 産工学1992;29(1):31‐39.
2) 江頭潤一.アサリ資源回復計画推進事業 資源 供給漁場造成効果調査.平成 19 年度大分県農林水 産研究センター水産試験場事業報告 2009;200 ‐ 202.
3) 平川千修,林 亨次,江頭潤一.アサリ資源回復 計画推進事業 放流技術開発研究.平成 19 年度大 分 県 農 林 水 産 研 究 セ ン タ ー 水 産 試 験 場 事 業 報 告 2009;215-217.
4) 棚橋茂昭.アサリ幼生の着底場選択性と三河湾 における分布量.水産工学1992;29(1):55‐59.
230 大 分 県 水 試 事 業 報 告
資源評価調査委託事業
(1)資源関連調査
(水研委託)
福田祐一・三代和樹
事業の目的
我が国の 200 海里漁業水域設定に伴い当該水域に おける漁業資源を科学的根拠に基づいて評価し、漁 業資源の維持培養及び高度利用の推進に資するため、
必要な基礎資料を収集することを目的に、水産庁の 委託調査として実施している。
事業の方法
マダイ、トラフグ、ヒラメ、カレイ類について、
次の方法により漁獲データを収集し、これらのデー タを水産庁瀬戸内海区水産研究所に送付した。
1 水揚げ調査(マダイ、トラフグ、ヒラメ)
大分県漁協姫島支店及びくにさき支店富来地区か ら毎月の漁獲量データを入手した。
2 市場調査(ヒラメ)
大分県漁協国見支店、姫島支店、安岐市場、別府 市場の4カ所でヒラメの全長を測定した。
3 標本船日誌調査(ヒラメ)
ヒラメを対象に、大分県漁協杵築支店と日出支店 所属の小型底びき網漁船計 5 隻に操業日誌の記帳を 依頼し、漁獲実態を調査した。
4 沿岸資源動向調査(カレイ類、シャコ)
標本船調査、農林水産統計等のデータをもとに、
周防灘の資源動向を検討した。
事業の結果
得られたデータから、2009 年の概要は次のとおり である。
1 水揚げ調査(マダイ、トラフグ、ヒラメ)
2009年の調査結果を表1~3に、漁獲量の推移を 図1~3に示した。前年と比較すると、マダイは18%
の減、トラフグは 79%の大幅な贈、ヒラメは 22%の 減であった。
2 市場調査(ヒラメ)
全長測定の結果を、表4及び図4に示した。なお、
測定日数は市場によって異なる。
3 標本船日誌調査(ヒラメ、カレイ類)
標本船 5 隻によるヒラメの月別の単位努力量当た り漁獲量(CPUE)を表5及び図5に、またCPUEの 年推移を図 6 に示した。CPUE は例年と同じく冬季 と春季に大きく、夏季に小さい傾向が見られた。最 大は4月の1.78kg/日・隻、最小は7月の0.00kg/日・
隻、年平均では 0.55kg/日・隻であり、前年(0.19kg/
日・隻)に比べてかなり増加した。
4 沿岸資源動向調査
小型底びき網によるカレイ類(マコガレイ、メイ タガレイ、イシガレイ)のCPUEの推移を図7に、
シャコの CPUEの推移を図8に、それぞれ示した。
最近数年の資源水準は標本船の CPUE に限ってみる と、カレイ類はマコガレイが減少、他は横ばい傾向 にある。 一方シャコは 1996(平成 8)年をピーク に大きく減少し続けている。なお標本船の隻数は年 によって若干異なるが、最近数年は3~4隻である。
表1 2009年のマダイ漁獲量
表2 2009年のトラフグ漁獲量
表3 2009年のヒラメ漁獲量
姫 島 富 来
月 釣り 延縄 刺網 ごち網 小計 ごち網
1 15 6 51 72 1,573
2 2 12 14 553
3 0 241 241 2,406
4 10 784 44 838 3,498
5 219 1 2,139 240 2,599 3,960
6 585 2,295 126 3,006 3,902
7 485 431 916 2,844
8 483 9 283 4 779 1,747
9 405 19 89 524 1,037 2,621
10 150 5 148 573 876 4,599
11 58 5 76 331 470 3,019
12 52 5 79 653 789 3,155
合計 2,464 50 6,628 2,495 11,637 20,810
姫 島 富 来
月 釣り 延縄 刺網 小計 釣り
1 57 552 609 267
2 3 243 246 81
3 189 189 10
4 12 12 13
5 4 0 4 21
6 14 4 1 19 13
7 1 1 2 17
8 2 1,385 1 1,388 118
9 2 1,347 1 1,350 692
10 2 1,183 16 1,201 585
11 92 4,448 4,540 747
12 86 2,526 2,612 579
合計 263 11,889 20 12,172 3,143
姫 島 富 来
月 釣り 延縄 刺網 ごち網 小計 釣り
1 91 28 119 1,272
2 168 11 179 1,024
3 299 207 506 411
4 749 583 1,332 591
5 314 24 829 1,167 130
6 107 706 4 817 35
7 15 51 66 20
8 48 36 84 25
9 37 33 70 1
10 81 60 141 55
11 57 13 70 62
12 56 6 42 104 152
合計 2,022 30 2,599 4,655 3,778
図1 マダイ漁獲量の推移
図2 トラフグ漁獲量の推移
図3 ヒラメ漁獲量の推移
0 5 10 15 20 25 30 35
40 姫島
富来
年
漁獲量(トン)
0 5 10 15 20
25 姫島
富来
漁獲量(トン)
年
0 5 10 15 20 25 30 35
姫島 富来
漁獲量(トン)
年
平 成 21年 度
232 大 分 県 水 試 事 業 報 告
表4 2009年ヒラメ市場調査結果
国 見 姫 島 安 岐 別 府 計
測 定 尾 数 1 7 7 4 0 4 3 5 9 2 5 5 1 , 1 9 5
平 均 全 長 ( ㎝ ) 4 6 . 0 4 6 . 4 3 6 . 9 4 2 . 1 4 2 . 5
図4 市場調査におけるヒラメの体長組成
表5 別府湾小型底びき網のヒラメの月別CPUE 月 CPUE(kg/隻・日)
1月 0.966 2月 1.724 3月 0.942 4月 1.785 5月 0.043 6月 0.126 7月 0.000 8月 0.012 9月 0.085 10月 0.137 11月 0.268 12月 0.879
計 0.551
図5 別府湾小型底びき網のヒラメの月別CPUE
0 0.2 0.4 0.6 0.8 1 1.2 1.4 1.6 1.8 2
CPUE(㎏/���)
平 成 21年 度
図6 別府湾小型底びき網のヒラメCPUEの推移
図7 周防灘小型底びき網のカレイ類CPUEの推移
図8 周防灘小型底びき網のシャコCPUEの推移 0
0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7
2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009
CPUE (㎏/����
年
0.0 5.0 10.0 15.0 20.0
1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009
CPUE(㎏/���)
年 0
0.5 1 1.5 2 2.5 3
CPUE �㎏/���)
年
マコガレイ メイタガレイ イシガレイ
234 大 分 県 水 試 事 業 報 告
資源評価調査委託事業
(2)卵稚仔分布調査
(水研委託)
三代和樹・福田祐一
事業の目的
漁業資源を科学的根拠に基づいて評価し、漁獲可 能量等を推定するために、魚類の卵稚仔出現量を調 査した。
事業の方法
図1に示す周防灘南部の6定点で、卵稚仔の出現 が多い4~9月に各月1回、計6回の分布調査を実 施した。採集には丸特 B 型ネットを用い、海底か らの垂直曳(1 回)を行った。採集物はホルマリン 10%で固定し、沈殿量を計測した後、カタクチイワ シとその他に分けて、卵と稚仔の出現量を計数した。
図 1 卵稚仔 調査 定点図
中 津市 豊後 高田市
香 ヶ地町 St.12
St.6
St.11 St.9 St.15
St.5
図 1 卵稚仔調査定点図
事業の結果
卵・稚仔の月別出現量を表1に示した。
1 カタクチイワシの卵稚仔
カタクチイワシ卵の月別出現量を図2に示した。6 月~8月は平年を下回ったが、他月は平年を上回る 出現量であった。
カタクチイワシ卵の年度別出現量を図 3 に示し た。昨年の1,194粒に対し本年は668粒と減少した。
カタクチイワシ稚仔の月別出現量を図 4 に示し た。出現が確認されたのは5~8月であり、年間で みると昨年の 3 割であったが、昨年に比べて約 1.5 倍であった。(図5)
2 その他の卵稚仔
その他の卵の月別出現量を図6に、年度別出現状 況を図7に示した。昨年とは異なり、4月から出現 が見られるようになり、6 月が最も多かった。年間 の総出現数は290粒であり、昨年の263粒とほぼ同 数の出現であった。しかしながら、平年値(341粒)
よりも少ない量であった。
その他の稚仔の月別出現状況を図8に、年度別出 現状況を図9に示した。稚仔は4~9月に出現が見 られた。総出現量は73尾で、昨年の92尾より減少 し、平年(126尾)より少なかった。
表 1 卵稚仔調査結果(単位 卵:個 仔稚魚:尾)
年月 卵 稚仔 卵 稚仔
2009年4月 0 0 27 1
5月 304 3 40 4
6月 256 51 101 54
7月 6 3 37 4
8月 49 2 77 7
9月 53 0 8 3
計 668 59 290 73
カタクチイワシ その他魚類
図 2 カタクチイワシ卵出現量
図 4 カタクチイワシ仔稚魚出現量
図 6 その他卵出現量
図 8 その他仔稚魚出現量
0 100 200 300 400 500 600
4月 5月 6月 7月 8月 9月
卵数
平年値 2009年
0 20 40 60 80 100 120
4月 5月 6月 7月 8月 9月
尾数
平年値 2009年
0 20 40 60 80 100 120 140 160
4月 5月 6月 7月 8月 9月
卵数
平年値 2009年
0 20 40 60 80 100 120 140 160
4月 5月 6月 7月 8月 9月
卵数
平年値 2009年
図 3 カタクチイワシ卵の年別出現量
図 5 カタクチイワシ仔稚魚の年別出現量
図 7 その他卵の年別出現量
図 9 その他仔稚魚の年別出現量
0 500 1000 1500 2000 2500 3000 3500 4000 4500 5000
1973 1975 1977 1979 1981 1983 1985 1987 1989 1991 1993 1995 1997 1999 2001 2003 2005 2007 2009
卵数
年
0 100 200 300 400 500 600 700 800 900 1000
1973 1975 1977 1979 1981 1983 1985 1987 1989 1991 1993 1995 1997 1999 2001 2003 2005 2007 2009
尾数
年
0 200 400 600 800 1000 1200 1400
1973 1975 1977 1979 1981 1983 1985 1987 1989 1991 1993 1995 1997 1999 2001 2003 2005 2007 2009
卵数
年
0 100 200 300 400 500 600
1973 1975 1977 1979 1981 1983 1985 1987 1989 1991 1993 1995 1997 1999 2001 2003 2005 2007 2009
卵数
年
平 成 21 年 度
236 大 分 県 水 試 事 業 報 告
栽培対象魚種技術開発事業
(トラフグ)
畔地和久・福田祐一・三代和樹
事業の目的
トラフグは瀬戸内海および豊後水道等に広く回遊 する重要な漁業資源である。これまで各県が全長制 限、禁漁期の設定等の資源管理を実施してきたが、
当海域におけるトラフグ漁獲量は近年、激減してい る。
そこで、種苗放流による効率的な資源増大策を検 討するため、2001(平成 13)年度から大分県、山口 県および愛媛県が共同で種苗放流と放流後のモニタ リング調査を開始した。
本年度は標識放流および放流効果調査を実施し た。
なお、詳細は「平成 21 年度栽培漁業資源回復等 対策事業報告書(瀬戸内海西部海域トラフグ)」に 記述したので、ここでは大分県が実施した調査の内 容と結果の概要を記した。
方法と結果
Ⅰ 標識放流
トラフグの移動回遊の実態と放流効果を把握する ために、本年度も焼印標識(以下「焼印」という)
を装着して種苗放流を行った。焼印の標識用具はガ ス充填式コ-ドレスタイプの半田ゴテ(以下「コテ ライザ-」という)を使用した。コテライザ-のコ テ先は直径 3.5mm の円形に研磨した。焼印はトラ フグ種苗の頭部1ヵ所(胸鰭間)に装着した。1)
種苗は受精卵を(独)水産総合研究センター屋島 栽培漁業センターから譲り受け、大分県漁業公社上 浦事業場で生産された。6月17日に 74,000 尾(平
均全長 28.2mm)を県内の築堤式クルマエビ養殖池
に収容し、7 月 18 日まで中間育成した。標識作業 は大分県漁業協同組合宇佐支店(以下、大分県漁協 各支店名称は支店名だけを記載する)の魚市場にお いて、7月18日に実施し、長洲漁港内に 35,000尾
(平均全長77.6mm)標識放流した。
Ⅱ 放流効果調査
市場調査は宇佐支店魚市場および(株)別府魚市 の2市場と姫島支店の荷捌き所の3地区において実 施した。
市場調査結果と聞き取りによる漁獲量に基づき、
種苗放流の効果を推定(比推定)した。以下、2006 年7月~2009年12月末日の期間に調査した、放流 年級群ごとの再捕状況、混入率および回収尾数の推 定結果を述べる。
1. 大分県焼印放流群
2006年級群は 2,797尾を調査し、189尾の再捕を 確認した。2006年放流群の混入率は6.8%であった。
2007 年級群は 2,333 尾を調査し、26 尾の再捕を確 認した。2007 年放流群の混入率は 1.1%であった。
2008年級群は3,879尾を調査し、195尾の再捕を確 認した。2008 年放流群の混入率は 5.0%であった。
2009年級群は354尾を調査し、133尾の再捕を確認 した。2009年放流群の混入率は37.6%であった。大 分 県 海 域 に お け る 回 収 尾 数 は 、2006 年 放 流 群 が 2,580尾、2007年放流群が280尾、2008年放流群が 1,601 尾、2009 年放流群が 1,335 尾と推定された。
2. 山口県焼印放流群
2006年放流群は66尾、2007年放流群は 58尾、
2008年放流群は54尾の再捕を確認した。混入率は 2006年放流群が2.4%、2007年放流群が2.5%、2008 年放流群が 1.4%であった。大分県海域における回 収尾数は2006年放流群が961尾、2007年放流群が 690尾、2008年放流群が527尾と推定された。
3. 愛媛県焼印放流群
2006年放流群が8尾、2007年放流群が4尾、2008 年放流群が 4 尾の再捕を確認した。混入率は 2006 年放流群が 0.2%、2007 年放流群が 0.2%、2008 年 放流群が 0.1%であった。大分県海域における回収 尾数は、2006年放流群が247尾、2009年放流群が59 尾、2008年放流群が38尾と推定された。
4. 経済効果の試算
ここで、2006~2008年に実施した3県共同放流 が大分県にもたらした経済効果について試算したの で、その結果を表1~3に示した。
3 県共同放流によって大分県が回収できた推定重