が こ れに 該 当 する と考 えら れる
。
100
古今集香と
132
歌仙香は、香 組を操作し
て 香の出方による数 を、
古 今 集 二 十 巻
、三 十 六 歌仙 に 当 てはめ た 組香 である
。こ こ では
100
古今集香と
132
歌仙香を 確認し、
229
恋題香につい ては 後述 する
。 香の出 方 による数を利用した
100
古今 集香 は、試ありの 一と 二 の 香、各一
包、試な
し の 香三種 各 一 包
、 合計五包をうち
ま ぜ、
試ありの一と
二だけを
聞いて い く。
五炷の内、
一 と 二 の出 る位置は二十通
り と な るため、
その出方によっ
て
、 古 今集二十巻の各巻頭歌の詞に拠る聞
き の 名目が指定されている。
和 歌中 の詞を そ のまま抜
き出したものの他に、
詞と 詞をつ な ぎ合せて
新たな言葉
を 作り出し、
聞 き の 名目 とし た五例が見られる。
年の内の春
年の内に春は来に
けり 一年を去
年 と やいはん今年
と やいはん
(在原元
方 巻第 一春 歌上 一)
161
めに見ぬ秋
秋来ぬと
目にはさやか
に見えねど
も 風の音にぞ驚かれぬる
(藤 原 敏 行 巻第四 秋 歌上 一六九)
峯の松
立ち 別れ因 幡 の山 の峯に生ふ
る 松と しき かばい ま 帰 り 来む
(在 原 行 平 巻第 八 離 別 歌 三 六 五)
おもひ の 夢
思ひ つ ゝ 寝ればや
人の見え
つら ん夢と 知 りせば さ めざら ま しを
(小野小町
巻第十二
巻恋歌二
五五二)
春のながめ
起き もせ ず 寝 もせで 夜 を明かして
は 春の物とて
な が め 暮し つ
(在原業平
巻第十 三 恋歌三
六一六)
132
歌仙香 は三十六歌仙の和歌と作者が題材
の 組 香 で
、それぞれ
の作者名と
初句を
、 と も に聞 き の 名目と し て いる
。 こ の 三 十 六 歌仙 和歌の 組 合せは 伝 本によ っ て、
いく 通りに も 異なり を 見 せ る が
、 歌 仙香 が採 用し ているのは、
「中、
近 世を通じて
最 も広 く流布した典
型的 な一首歌仙
本の 本文」
(
12
)とされる、伝 本の多 い 拾穂抄 型 系統(正徳四 年(一七
一四)刊
、北村季
吟『歌仙
拾穂抄
』 の 系 統)
と考 えられる
。
②
盤立物の造型から原
拠 とす る文 芸作品が窺え
るもの
48
野飼香、136
木樵香、234
随蝶香等が該当する。
48
野飼香 は、唐人の牛飼
と 馬飼人形が登場し、
花山 方 と桃林方に
分 かれ て 香 を聞く。
これは
『 書経』
「 武成」
の 一節
「馬 を崋山の南に
帰し、
牛 を桃林の野に放 つ」を原
拠 と す る 造型と 考 えられる。また
136
木樵香 は、初手(最初)の香を
「 伐木」
、 次 に 当 た る 香 を
「丁々
」と 名 付け
、盤 錺は 花の山
、泰山と
樵 人形で あ る。
「伐木
」「丁々
」は、
『詩経
』「小 雅」
の「 伐木
」、
「 木 を伐る こ と丁々たり」
を原拠 と する もの と考 えら れる
。「
木をこり
て帰る 心
」に よ り
、泰 山の麓 に 立
162
て 置 い た 樵人形を
手前 の舎 りに向けて
進 ませ る。
③
複数の 文 芸作品、場面を原拠
と するもの
36
末広香、71
(四巻)・
225
(附録巻)舞楽香が挙げられる
。
36
末広香は、聞 き の名目に「末広・五明
・ 手 な れ草
・ か はほり」
等、
扇の 異称 が登場 す る
。 しかしその
発 想の 原点は
『 源氏物語』
夕 顔巻 で、
聞き の名目には
「 五条わたり
・ 夕がほのはな
・ な で し こ の 母」
も見られる。
また東屋巻
で 浮舟に琴
を 教 えよ うか と考える薫が朗誦した
「班女 が 閨の 中の秋の扇の色
楚王の台の上の夜の琴の声」
(尊敬
『 和漢朗詠 集』
上冬三八〇
) に拠る
「 はん女 が 閨
・ だんせつ
」 の 聞 き の 名 目 も 見 ら れる
。 団 雪は
『 文 選
』 巻二十 七
「怨歌行」
に 拠る。
し たがって
末広香は、
複 数の文 芸 作品を原
拠 と し、
聞 き の名目とと
も に四炷香之図 を伴 うものの
、『 源氏物語』
享 受の 様相は希
薄 で ある
。
71
(四巻)・
225
(附録巻) 舞 楽香 は紅 葉賀巻と
花 宴巻を混合した、華
やかさを追究した盤物
で あ る。
次に、証歌提示はないが、特定の文芸作品を原拠
とす る こ とが明らかな組香
を確認 す る。
④
特定の文
芸作品に拠ること
が明らかなもの
イ
『古今和歌集』
「 仮名序」
「真名序」
「 古今伝授」に拠るもの
「仮名 序
」 に 拠 る
27
難波香、
34
山吹香、
85
六歌仙 香、
110
古今香、 「 真 名 序
」 に 拠 る
93
六儀香、 「 古 今 伝 授」
に拠る
49三鳥
香
、
103
鳥合香 が挙げられる。『 古今和歌集』はその和歌が、証
歌
、香名、聞
き の 名 目 に採用 さ れる だ け でなく
、 歌人の 名 も聞 きの 名目 や連 衆 名 に用 いら れ、
さらに 仮 名序 や真名序の
記 述 が 盤物に仕立て
られる等多用されて
い る。
また 古今伝授を摂取した組香もあり、
特 に
49三鳥香
での
「 古 今 伝授の鳥なれば
、 其 誠を しらぬ心也
」 に拠る、
答え の札を 故 意に打ち
かえ る方法 は
、 組 香と いう 遊戯に
163
取り入 れ られた「古今伝授」の
一つの 在 りよ うを示し
ている と 考えられる。
ロ