• 検索結果がありません。

(2012 年8月 30 日~9月4日)

ドキュメント内 平成25年8月 地震・火山月報(防災編) (ページ 59-63)

56

-(2)地震活動(本震および余震の状況)

今回の地震はフィリピン海プレート内で発生した。この地震の発震機構(気象庁による CMT 解)は、

東西方向に圧力軸を持つ逆断層型である。

2001 年1月以降の活動を見ると、今回の地震の震央付近(領域b)では、今回の地震まで M6.0 以上

の地震は発生していなかった。

57

-(3)津波の観測状況

今回の地震により、日本の太平洋沿岸で 20cm 前後の津波を観測したが、八丈島八重根では 0.5m(観 測単位 0.1mの巨大津波観測計による)の津波を観測した。また、海外においても、フィリピン沿岸 や太平洋の島々で津波を観測した。

気象庁は、この地震により、8月 31 日 22 時 07 分に岩手県、宮城県、福島県、茨城県、千葉県九十 九里・外房、千葉県内房、伊豆諸島、小笠原諸島、相模湾・三浦半島、静岡県、愛知県外海、三重県 南部、和歌山県、徳島県、高知県、宮崎県、鹿児島県東部、種子島・屋久島地方、奄美群島・トカラ 列島、沖縄本島地方、大東島地方、宮古島

・八重山地方の沿岸に対して津波注意報を 発表した(9月1日 00 時 10 分解除)。

※ 表中の時刻の日時は、石垣島石垣港の第一波は8月 31 日、他は9月1日。

※ 所属機関の観測波形データをもとに気象庁で精査した値(観測データに バンドパスフィルターをかけて、その波形を用いて作成している)。

※ 観測値は後日の精査により変更される場合がある。

*1 巨大津波観測計により観測されたことを示す(観測単位は 0.1m)。

*2 八丈島八重根との比較のために記した。

*3 第一波を国内で最初に観測した津波観測点であるため記した。

表3-1 津波観測施設の津波観測値 (最大の高さ 15 ㎝以上)

図3-2 各津波観測施設で観測した津波の最大の高さ(津波を観測した地点のみ表示、最大の高さ 15 ㎝ 以上を観測した地点と八丈島神湊、石垣島石垣港については観測点名を表記)

神津島 神津島港

八丈島八重根

尾鷲

熊野市遊木

室戸市室戸岬

奄美市小湊

串本町袋港

第一波

到達時刻 発現時刻 高さ(cm) 神津島神津島港 海上保安庁 1:34 3:33 16 八丈島八重根 *1 気象庁 1:45 2:14 0.5 m

尾鷲 気象庁 1:33 2:09 17

熊野市遊木 気象庁 1:23 2:13 15 串本町袋港 気象庁 1:28 1:40 19 室戸市室戸岬 気象庁 1:18 2:00 19 奄美市小湊 気象庁 0:32 1:03 22 八丈島神湊 *2 海上保安庁 1:45 2:29 14 石垣島石垣港 *3 気象庁 23:49 2:01 5

津波観測点名 最大波

所属

図3-1 8月 31 日のフィリピン諸島の地震 による津波に対して発表した津波注意報

津波警報(大津波)

津波警報(津波)

津波注意報 8月 31 日 22 時 07 分 発表の津波注意報

石垣島石垣港

八丈島神湊

58

-図3-3 津波観測施設の津波波形(最大の高さ 15 ㎝以上を観測した地点および八丈島神湊[八丈島八重根 との比較のため])

※DART(Deep-ocean Assessment and Reporting of Tsunamis)

:深海底に設置した水圧センサーにより津波の高さを測定し、海上のブイと上空の衛星を経由してデータを伝送するシステム

図3-4 津波観測施設で観測された津波の高さ 海外の

津波観測施設の観測値は米国海洋大気庁(NOAA)に よる(9月3日現在)

三角は DARTで観測した津波の高さを示す。

海外の津波観測施設の観測点名を表記。

観測点名 国名

最大の津 波の高さ

(cm)

ダバオ フィリピン 9

ミッドウェー アメリカ合衆国 4

ウェーク島 アメリカ合衆国 4

レガスピ フィリピン 3

サイパン アメリカ合衆国 3

D52405 *1 アメリカ合衆国 3

マラカル パラオ 2

ヤップ ミクロネシア連邦 2

D52404 *1 フィリピン 1

表3-2 海外の津波観測施設の津波観測値

観測値は米国海洋大気庁(NOAA)による(9月3日 現在)

*1 DARTで観測した津波の高さを示す。

50 ㎝

9/1 00:00 50 ㎝

神津島 神津島港

八丈島 神湊

尾鷲

熊野市遊木

室戸市 室戸岬

奄美市小湊

9/1 06:00

9/1 12:00 9/1

00:00

9/1 06:00

9/1 12:00

震央

ミッドウェー

ウェーク島 サイパン

ヤップ マラカル ダバオ

レガスピ

D52404 D52405

<津波の測り方の模式>

津波の観測値の測り方を示す。第一波の向きは、下方向 が「引き」、上方向が「押し」となる(右の例の場合は

「引き」となる)。

最大の高さ

第一波の高さ 平常潮位 第一波の

到達時刻 最大の高さの

発現時刻

第一波の向き 八丈島

八重根

串本町袋港

59

-広域地図

(4)震源過程

今回の地震について、米国地震学連合(IRIS)

(注1)

のデータ管理センター(DMC)より広帯域地震波形 記録を取得し、遠地実体波を用いた震源過程解析

(注2)

を行った。

初期破壊開始点は、USGS による震源の位置(10°49.3′N、126°37.5′E、深さ 35km)とした。断層面 は、気象庁 CMT 解の 2 枚の節面のうち、観測波形をよく説明できる東傾斜の節面(走向 352°、傾斜 39°)

とした。最大破壊伝播速度は 2.3km/s とした。

主な結果は以下のとおり(この結果は暫定であり、今後更新することがある)。

・ 断層の大きさは長さ約 50km、幅約 40km であった。

・ 主なすべりは初期破壊開始点付近にあり、最大すべり量は 6.8m であった(周辺の構造から剛性率を 65GPa として計算

(注3)

)。

・ 破壊継続時間は約 30 秒であった。

・ モーメントマグニチュード(Mw)は 7.6 であった。

注1)米国地震学連合(IRIS)は、世界中に整備された広帯域地震波形記録を収集し管理している。

注2)震源過程解析とは、地震波形記録から、地震計の特性や地震波の伝播経路などの影響を取り除くことで、断層面 上でのすべりの様子を解析する手法である。

注3)剛性率は、ずれを生じさせる力によって、物質がどの程度変形しやすいかを表す物理量である。剛性率の仮定次 第で解析で得られるすべり量の絶対値は変化する。

浅い 深い

M0=3.07E+20Nm (Mw=7.59)

破壊開始からの経過時間(秒)

すべり量

→大きい 小さい←

(km)

※解析に使用したプログラム

M. Kikuchi and H. Kanamori, Note on Teleseismic Body-Wave Inversion Program, http://www.eri.u-tokyo.ac.jp/ETAL/KIKUCHI/

図4-1 震源時間関数(すべりの時間分布)

図4-3 地図上に投影したすべり量分布

星印は初期破壊開始点を示す。星印は初期破壊開始点を、青線はプレー ト境界の位置を示す。右図の赤枠は左図の地図範囲を示す。

図4-2 断層面上でのすべり量分布

星印は初期破壊開始点、矢印は下盤側に対する上 盤側の動きを表す。

図4-4 気象庁 CMT 解

断層面の設定に用いた節面(走向 352°、傾斜 39°、すべり角 73°) を赤線で示す。

60

-―― 観測波形

―― 理論波形

(解析に用いた上下成分のデータ範囲のみ表示)

今回の地震について W-phase を用いたメカニズム解析を行っ た。メカニズム、Mw とも、Global CMT などの他機関の解析結果 とほぼ同様であり、Mw は 7.6 であった。なお、W-phase の解析 で求めた震源は N10.8°,E126.9°,深さ 51km となった。

W-phase の解析では、震央距離 10°~90°までの 53 観測点の 上下成分、9 観測点の東西成分、8 観測点の南北成分を用い、100

~500 秒のフィルターを使用した。

注)W-phase とは P 波から S 波付近までの長周期の実体波を指す。

(W-phase に関する参考文献)

Kanamori, H and L. Rivera (2008): Geophys. J. Int., 175, 222-238.

IRIS-DMC より取得した広帯域地震波形記録を使用した。また、解析に使用したプログラムは金森博士に頂 いたものを使用した。記して感謝する。

観測点名

※解析に用いたデータの範囲は 15 秒×震央距離(度)としており、

各々の観測点の解析区間のみを繋げた波形を表示している。

1000 秒

ドキュメント内 平成25年8月 地震・火山月報(防災編) (ページ 59-63)