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5−2.きょうだい支援の今後の課題

セルフヘルプ・グループの役割について調査するにあたり,きょうだい個人のライフ ストーリーがしばしば語られた。例えば,以下のようなものである。

Y 2「(中略)まず自分的にね,一番変わったんは,やっぱり,{数十}年前弟が亡くなって しもて,目的がなくなって。でもさっきも言った定例(会)が,会自体も始まっていくわけ やけどもね。んー,弟がおらんかったら,弟の自立のことで始めた会で,いずれ親亡き後は 自分ら(きょうだい達)でやらなあかんから勉強したり,仲間助けおうたりとか,いうの で。そのシンボルがパーンなくなったら,親もポカーンとしとって。これでただの人になっ てしまうという恐怖で。今までだって,『俺はきょうだいだ!』,周りにも言うて,あの,や っぱり一般の健常者の生き方とは違うとか,そういう視野が変わってきたから,それで来て たはずやのに。亡くなってしもたら,これで普通の人になってしもたら,普通の,一般の人

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には戻れへんし,どないしようという感じで。」(傍線筆者)

Y 5「この前,えーと,○日,(中略),{数}年前に亡くなった一番下の弟が,病院で,ホス ピスで亡くなったんですけど,亡くなって,{数}年前に亡くなった人達の家族の集まりが あったんですけどね,皆,自分の体験を語るんですね。(中略)みんな涙ながらにいろんな ことしゃべるんですけどね。えー,あの,私は,正直言いますと,あの,父が亡くなった時 も,母が亡くなった時も,弟が亡くなった時も,涙が出て来なかったんですね,はい。『何 でかな?』ってずっと思ってるんですけれども。まぁ,たぶん,ね,何年か先には泣くだろ うなぁとは思うんですけどね。あの,そういう今,気持ちなんですよ。あの,まだね,やっ ぱり肩肘張ってるし,えー{間5秒}これはもう,逃れようのないっていうか,責任感みた いなものもありますからね,なんやかんやいうても。週のうちの,やっぱりね,3分の1 それ(弟達の世話)の関連のことで,ほとんど費やしていますので,はい。早く泣きたいと 思いますけどね。」(傍線筆者)

きょうだいは,「親の身代わり」(親の代理的な世話役)や「障害児者の身代わり」

(親から受ける「完璧への圧力」等)になる場合がある。きょうだいはそこに抵抗を感 じながらも,上記の事例のように,自身を障害児者との関係でしか定義できないのでは ないだろうか。

また,セルフヘルプ・グループにおいて,「機能論から物語論へ」の流れも見られる

(伊藤

2009)。今回の調査では,成人期のきょうだいを対象としたセルフヘルプ・グル

ープ(全国きょうだいの会)の役割については明らかとなった。しかし,きょうだい個 人の物語と照らし合わせる形では,フォーカス・グループの性質上,明らかにはされな かったと考える。

また,きょうだいの会の役割の歴史的変遷と会員の関係についても,今回,考察は不 十分であった。

今後のきょうだい支援においては,セルフヘルプ・グループの役割が,きょうだいの ライフストーリーの中にどのように立ち現われ,具体的にどのように機能していくのか を把握する必要もあると考える。また,「知的・発達障害児者のきょうだい」に限定し て考察するのではなく,家族社会学も視野に入れた「きょうだい」に関する考察も必要 となると考える。

以上を今後の課題とし,本稿を終えたい。

⑴ 障害者福祉における家族支援の公的分野において,主な支援対象は障害児者の親であり,きょうだい は支援対象として認識されてこなかった。しかし,近年,その認識が改められつつある。20087 22日付けの厚生労働省『障害児支援の見直しに関する検討会報告書』において,「きょうだい支援」

の必要性が,国として初めて明記された。そして,20081216日付けの『社会保障審議会障害者 部会報告−障害者自立支援法施行後3年の見直しについて−』に反映された。

だが,その内容は不十分なものとなっている。前者は,「家族の会などにおける障害児のきょうだい 障害者のきょうだいを対象としたセルフヘルプ・グループの役割 139

(兄弟姉妹)に対する支援の取組も促していく。また,親が障害児以外のきょうだいに関われる時間を 持てるようにしていく」と明記されるに留まる。後者も,「保護者同士の交流や障害児のきょうだいに 対する支援の促進など,家族を含めたトータルな支援を図っていくべきである」とのみ明記されるに 留まり,具体性に欠ける。

参考文献

[雑誌論文]

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西村辨作・原幸一(1996 b)「障害児のきょうだい達(2)」『発達障害研究』18(2),70−7.

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吉川かおり(2001)「障害児者の『きょうだい』が持つ当事者性−セルフヘルプ・グループの意義」『東洋 大学社会学部紀要』39(3),105−18.

[単著]

伊藤智樹(2009)『セルフヘルプ・グループの自己物語論−アルコホリズムと死別体験を例に』ハーベスト 社.

中西正司・上野千鶴子(2003)『当事者主権』岩波書店.

才木クレイグヒル滋子(2008)『実践 グラウンデッド・セオリー・アプローチ 現象をとらえる』新曜 社.

才木クレイグヒル滋子(2006)『ワードマップ グラウンデッド・セオリー・アプローチ 理論を生みだす まで』新曜社.

Sharon, Vaughn., Jeanne, Shay Schumm. and Jane, Sinagub M. eds.(1996)Focus Group Interviews in Education and Psychology, Sage Publication, Inc.(=1999.井上理監訳・田部井潤・柴原宜幸訳)『グループ・イン タビューの技法』慶應義塾大学出版会.

全国障害者とともに歩む兄弟姉妹の会編(2006)『きょうだいだって愛されたい「障害のある人が兄弟姉妹 にいるということ」』東京都社会福祉協議会.

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My research shows that one of the supports for siblings of people with disabilities including intellectual and developmental disabilities is concerned with the part of self-help groups. Sib-lings, not parents, must have relationships to people with disabilities for their lifetime. I did focus-group-interview about parts and issues about the self-help groups for siblings in 2 areas. I got data and used qualitative research method. In results, my research show that a part of the self-help groups for siblings is encountering with siblings , opening to and sharing with experi-ences and feelings getting information , discovering how to live in myself , empower-ment . The current issues of the self-help groups for siblings are collecting and sending between parents and siblings, combination between formal support and the self-help groups for siblings.

The Meaning of Self-Help Groups for Siblings of People with Disabilities

Risa Matsumoto

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