とうもろこしサイレージの切断長の違いが乳牛の 消化性に及ぼナ影響について
奥野裕史・岡本明治・吉田則人(帯広畜産大学) 緒 言
高エネノレギー飼料であるとうもるこしサイレージは、今日の北海道酪農Kおいて、牧草と共K組飼料 の2本柱として、広く利用されている口これはすイレージ通年給与技術の普及、つまり従来の放牧主体 の組放型から、サイレージ主体の集約型への変化Kよる、経営の合理化が主な原因Kなっている。この よう K とうもるこしサイレージは、酪農経営にとって増々重要視されてきているが、これ K ともない、
この給与における問題も、実際面 Kおいて生じている。すなわち過給 K よるデンプン減退、あるいは第 4胃変位などであり、このような生理的問題は、サイレージの切断長にもその一因があると考えられる。
切断長を短くすることは、サイロ内の密度を高め、空気の排除を容易K し、サイレージ調製中の養分 損失を防止するなどの指摘があり、このこと K より、作業機械体系では、現在の切断程度は、 1cm前後
となっている
5 )
反面、家畜
K
与える影響としては、細切はサイレージの表面積を増大し、ノレーメン内微生物K
よる、発酵・分解を受けやすくなることから、その多量給与は、異常発酵の原因となったり、消化管内通過速 度が速まることなどから、消化性の低下の要因となることも、報告されている。
以上の観点から、とうもるこしサイレージの切断長の違いが、乳牛の消化性K及ぼす影響Kついて検 討した口
材料および方法
供試飼料は、昭和55年10月5日刈取りの飼料用とうもろこし(ニューデント 95日 糊熟期)を設定 切断長、 1. 1 cm、2.3
c
祝および4.5cmの3段階とし、それぞれのサイロ K詰込んだ。尚、 1. 1 cmの切断 は自走式フォーレージハーベスター、 2.3c
、加 4.5 cmは、サイロ K とりつけたチョッパーとプロアーで 切断した。供試乳牛は、未経産のホノレスタイシ(体重427‑‑628 kg )を用い、昭和56年1月より、予備試験7日、 本試験6日で実施した。試験は、一処理につき6頭で行い、結果はその6頭の平均値とした。
ノレーメン内性状
K
ついては、フィステノレ装着牛を別VC2
頭用い、pH
、アンモニア態窒素及びVFA
の経時推移を調査した。VFA
はガスクロマトグラフィーで測定した。採食反努行動は、本試験中、鈴木(省)らの方法で、 48時間連続測定した。
結果と考察 2
︑= 桂一 分 := 布一 分一
の=
長一 断一 切一 の午 料一 原一
噌'
A= 表 一
布 (%)
供試とうもる こしサイレージ の切断長分布;
切断の長さは、
風乾したサイレ ージをランダム
設定切断長
(cm) │ 一‑‑1 1‑‑~ 1~.~ .5‑‑ 2‑‑3 3‑‑4 4‑‑5 5‑‑6 6‑‑7 7‑‑
I
平均 1.5 21.1 3.1 79.3 12.8 3.1
。
1.2 0.6。 。
1.39 2.3。
17.5 77.5 3.9 0.7 0.4。 。
2.28 4.5。
1.3 14.5 27.7 19.6 13.2 11.5 12.3 4.59‑107 ‑
K約400
I f
サンプリングし、その茎部の長さを測定した。(表1) 供試すイレージの発酵品質;pHは1.1 cm区、 2.3 cm区および4.5cm区でそれぞれ3.74、 3.88および3.84であったoV.FA/T‑Aは 18.8、36.4、および22.1%、 NH3‑N/T‑A は、 3.9、2.6および3.2であり、 3処理区 とも同じような良質のサイ νージ発酵であっ た。(表2 )
供試飼料組成,1.1cm区、 2.3 cm区および 4.5 cm区
K
おいて、水分70.1、70.5および 71.0 %、粗蛋白質、 9.5、 9. 5、および9.9%、デシプシ18.1、17.6および17.1%と、代 表的な糊熟期のとうもろこしサイレージであ った。(表2)
1日1頭当りの乾物摂取量は、 1. 1 cm区、 2.3 cm区および4.5cm区で、 7. 7、7. 1およ び6.4kgであった。このよう VL4.5 cm区で、
乾物摂取量が、低下したのは、切断長が7cm 以上の茎を、採食しきれず、残飼となったた めである。
消化率;乾物は、 4.5cm区が77.6%と高く、
1. 1 cm区で76.1%、 2.3 cm区で72.3%であった。有機物、粗蛋白質Kついては、 4.5 cm区が、それぞれ 表2 サイレージの発酵品質及び飼料粗成
; ; ‑ ‑ ‑ ‑ m 哩 竺 j
1.1 2.3 4.5水 分(%) 70.1 70.5 71.0 pH 3.74 3.88 3.84 発 酢 酸 0.36 0.41 0.33 酵 プロピオン酸 0.07 0.15 0.02 酪 酸 0.06 0.11 0.03 品 し手 酸 2.12 1.17 1.34 質 VFA/T‑A 18.8 36.4 22.1 ( %) NH3‑N 0.06 0.04 0.05
NH3‑N/T‑A 3.9 2.6 3.2 有 機 物 93.6 94.0 92.0 粗 蛋 白 質 9.5 9.5 9.9 飼 粗 ß~ 日 肪 4.5 3.3 4.1 料 単 少 糖 類 2.7 1.7 1.8
デ ン プ ン 18.1 17.6 17.1 組 NDF 50.9 51.4 58.3 成 ADF 34.0 32.3 37.7 (勢) H.Cel 16.9 19.1 20.6 Cel 27.6 27.1 32.1 リ グ ニ ン 4.1 3.2 3.5
79.4、77.4%と高く、ついで1.1 cm区、 2.3 cm区と、ほぽ同じような傾向であった。
粗脂肪は、 1. 1 cm区が93.4%と高く、 4.5 cm区、 2.3 c祝区の順となった。デンプンは、どの処理区も 98%以上の高消化率であった。
(図1 )
N D Fなど、構造性炭水化物の 消化率は、 1. 1 cm区が、 2.3 cm区 より高く、 4.5 cm区でまた向上す る傾向Kあったo (図2)このよ うK消化率で、。4.5cm区が高い傾 向を示したのは、乾物摂取量が少 なかったことや、滞留時間などが、
影響していると考えられる口 窒素出納;乾物摂取量の差より、
摂取窒素量 K差は生じたが、蓄積
%
100
90
80
70
乾 物 有 織 物 F且蛋自民 粗脂肪
..•
1
・ ‑
AY
EE‑‑BIA
・
Illi‑‑E'A
・
IB‑Ill
・
‑ltデンプン
11
・
Tl
'EBa
・ マ
‑EE・
E・ ‑ 且 ・
011
︐ ︐ . マ
B
tl
・
il
l it ‑
‑ ‑t
1.1 2.3 4五 11 23 4~ 11 23 4.5 1.1 2.3 4.5 cm
図l 消化率
‑108 ‑
1. 1 cm区が55.99もと高く、 2.3C1ll区、 /摂取は、
14.5 cm区が、 50.6、47.1%であった。蓄積/
‑EE‑‑EA・EEEEB‑
‑ρ Fし
H.C'el NDF ADF
%' 2.3 cmおよび4.5cm区で 1. 1 cm、
可消化は、
75.1、71.9および63.90/0となり切断長が短い 80 窒素利用効率が優れていることが、認 方が、
められた。(表3 )
70
採食反第行動;採食時間は、切断長が長い 時聞を要し、反第時間は、切断長が短い 程、長くなる傾向を示し、他の報告と同様K 程、
60
IJ 23 4S 11 2.3 45
‑・占̲̲̲.園̲̲.̲・E・
l.l 23 4S
負の相関関係があ ることが認められた。また
C.C. Balch は~)
採食時間と反第時間Kは、
II 2.3 4S CI!
図2 消化率
r o u g h a g e i n d e x
を、飼料の物理性を比較するそれぞれ96.3、115.0および 2.3 cm区および4.5cm区で、
1. 1 cm区、 指標としているが、本実験では、
(表4) 110.0であった。
採食、反舞行動
4,5 2,3 1.1
6.40 439.4
68.6
43.5 12.5 30.0 31.7 23.2
切 断 区 分 分 (cm) 乾物摂取量(kg) 採食時間(rnin) 採食時間/乾物摂取
(rn
i
ry'kg) 反第時間(rnin) 反調時間/乾物摂取(rn in/kg) 反 第 回 数 1反舞期当りの反舞時間
(rn in)
※roughage index 表4
(g/
日 % ) 4.5 2.3 1.1区
278.1
49.1 50.6 55.9 切断区分 分 (cm)
摂取N量 糞中N量 糞 中
N
量/摂取N
量尿中
N
量 尿中N
量/摂取N
量可消化
N
量 蓄積N量 蓄積N量/摂取N量 蓄積N
邑/可消化N
量窒素出納 表3
区
7.12
461.2 357.5
64.8 14.5 50.2 7.69 241.8 31.4
64.9 16.7 499.1 100.1
23.0
27.9
49.2 27.9 23.0
77.1 108,6
32,0 29.5 21.5 19.9 76.5 55.0 117.2
25.6
19.0 22.3
87.2 65.5 29.9
63.9 71.9 75,1
111.0 115.0
96.3
n d
採食時間+反第時間e x =
乾物摂取量r o u g h a g e
以上とうもろこしサイレージの切断長の違い が、消化性、ノレーメン内性状、採食反調行動
K
切断長1.1 粗蛋白質及び構造性炭水化物の消化率は、
乾物、有機物、
及ぼす影響Kついて検討したが、
4.5 cmVCなると、向上する傾向Kあった。切断長が、約7cm以上K 2.3 cm程度よりも高く、
cm程度が、
なると、採食しきれないことがわかった。切断長が、短い程窒素利用効率が良く、ノレーメン内性状Kは、 反努時間 処理区間Kは、差が認められなかった。また切断長が長くなる程採食時聞が長くなり、反面、
‑109 ‑
は、短くなることが認められた。瓦ITWles/ins pH
7IJ ~ Q. 60
50
40.1
30.
o ncm!R
f~一二
6IJL
• 23 CmI2{
1I!9/10腕ι ... 45 CmI2{ 10
Jr:、
。
・ 21 31 mmI 区区
• 4.5侃区