(提供:社団法人住宅生産団体連合会)
イ 湿潤剤等を除去する成形板等に十分噴霧する。特に、ネジ部分は入念に噴霧を 行い、湿潤剤等が十分成形板等に染み込んだことを確認した後、除去作業を行う こととする。成形板の内部に浸透するまでに必要な時間や量は、あらかじめ現場 で試験を行い把握しておくこと。
ウ 除去作業は、まずネジ等を外し、手ばらしにより成形板等の原形を保って除去
することとする。バール等の使用は、手ばらしをするに際して成形板等を浮かせ
る場合に限る等必要最小限とする。特に外装の作業は、アスベストが飛散した場
合、環境中への漏えいを防ぐことが困難であるので、手ばらしによる除去作業を
徹底する必要がある。また、湿潤の方法も、屋根全体を一度に湿潤させると滑り
やすく危険なので、作業範囲ごとに十分湿潤化させる。
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【コラム】部分的な湿潤化
作業範囲ごとに、湿潤剤等を噴霧しながら除去作業を行う場合に、使用可能な 携帯噴霧器には、写真のようなものがある。 (写真 2-3 参照)
エ 除去した成形板等を降ろす作業は手渡しで行い、破損しないよう慎重に扱う。
投下等は成形板等が破砕されるので、行ってはならない。
オ 除去作業等、高所作業については、安全の確保に十分留意し、転落防止ネット を張ったり、命綱を装着するなど落下防止対策を行って除去作業を行う必要があ る。 (写真 2-15)
【コラム】高所の除去作業
高所の屋根等の除去作業で、スレート波板等が劣化しているため高所作業が困 難な場合や、転落防止水平ネットを張ることが困難な場合等は、作業計画を作成 する段階で施工主とコスト、工期等を調整し、安全に作業を行う方法を検討のう え、アスベストを外部に飛散させない除去方法等を採用していくことが重要であ る。
カ 改修時で除去部分が狭い場合などは、部分的な養生を行うことによって外部へ の飛散防止が可能な場合も考えられる。このような場合も成形板等を湿潤化し、
手ばらしによる除去が原則であるが、万一破砕した場合は、作業終了後 HEPA フ ィルタ付真空掃除機で養生内部の換気及び養生内の清掃を十分に行わなければ ならない。撤去した成形板等を下に降ろす方法も、エと同様、手渡しで行う。
キ 原形を保って除去した成形板等は、廃棄に当たっても破砕しないように注意し て飛散防止を徹底する必要がある。湿潤な状態のうちに、原形のままプラスチッ クシートに梱包して、産業廃棄物として処理する。
2-5 後片付け・仕上げ清掃
除去作業に使用した工具及び資材等は、付着したアスベストを取り除いた後に 作業場外へ搬出する。養生シート等を撤去し、アスベスト含有建材の除去などの 一連の作業を終了した後は、その破片やくずなどが工事現場及びその周辺に残ら ないよう、破片等を極力集め、工事現場などを仕上げ清掃しなければならない【作 業場の遵守事項第 2 3 及び 4】 。
現場状況により可能であれば、HEPA フィルタ付き真空掃除機等を用いて仕上
げ清掃することが望ましい。
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2-6 廃棄物の処理
作業後に発生した成形板等の廃棄物(石綿含有産業廃棄物:廃棄物処理法上の呼 称)については、適正に、管理及び工事現場からの搬出を行い、運搬・処分する。
特に廃棄物の集積場所は乾燥すると発じんしやすいことから、常に湿潤化し、整 理整頓を心がけ、廃棄物の乱雑な扱いを避ける。
2-6-1 アスベスト廃棄物の処理の概要
アスベスト廃棄物は、解体・改修の工事現場から排出されるものについては、
特別管理産業廃棄物に該当する飛散性アスベスト廃棄物(廃石綿等:廃棄物処理 法上の呼称)と通常の産業廃棄物として取り扱われる非飛散性アスベスト廃棄物
(石綿含有産業廃棄物)に分類される(表 2-5-1) 。本マニュアルで取上げる成 形板等については、廃棄物処理法上、石綿含有産業廃棄物に該当する。
廃石綿等及び石綿含有産業廃棄物は、収集運搬・保管・中間処理・埋立処分な どにおいて、取扱いが異なる。
【コラム】整理整頓清掃は全ての基本
アスベストは厳格な管理を要求される発がん物質である。それは飛散し
やすく、微細な粉じんは目に見えない。ばく露による発がんは数十年後で
ある。これを適切に管理して労働者のばく露を予防することは相当に高度
な課題といえる。建設現場における安全衛生対策の基本的な事項である整
理整頓清掃や墜落防止、熱中症防止ができていない職場において、より高
度な課題である発がん物質対策ができている例はない。つまり整理整頓清
掃などの基本的事項が充分に行われていることが、この高度な課題に取り
組むための前提なのである。
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表 2-5-1 アスベスト含有建材の分類及び種類に対応する産業廃棄物上での取扱
アスベスト含有建材の工法・材質等からの分類 産業廃棄物上での取扱い
分類 種類 飛散性・非飛散性
の区分 廃棄物処理法等での取扱い
吹付け材
吹付けアスベスト
石綿含有吹付けロックウール 石綿含有吹付けバーミキュライト 石綿含有パーライト吹付け
石綿含有建築用仕上塗材(リシン吹付け など吹付け工法により施工されたもの)
など
飛散性
(廃石綿等)
「事業者の特別管理産業廃棄物に係 る処理(法第12条の2)」及び都の指 導指針等の遵守が必要。
保温材等
石綿保温材 けいそう土保温材 パーライト保温材
その他石綿が飛散するおそれのある保 温材
石綿が飛散するおそれのある耐火被覆 材
石綿が飛散するおそれのある断熱材
成形板等
石綿含有ロックウール吸音天井板 住宅屋根用化粧スレート
石綿スレート 石綿セメント円筒
石綿含有パルプセメント板 石綿含有ビニル床タイル 繊維強化セメント板 窯業系サイディング
石綿含有建築用仕上塗材(吹付け工法以 外の工法により施工されたもの)
など多種
非飛散性
(石綿含有産業 廃棄物)
産業廃棄物に関する「事業者の処理
(法第 12 条)」及び都の指導指針等 の遵守が必要。
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【参考】
特別管理産業廃棄物(廃石綿等)の定義と範囲
廃棄物処理法において「廃石綿等」とは、廃石綿及び石綿が含まれ、又は付 着している産業廃棄物のうち、次のものであって、飛散するおそれのあるもの をいう。
(1)石綿建材除去事業(建築物その他の 工作物(建築物等)に用いられる 材料であって石綿を吹き付けられ、又は含むものの除去を行う事業)に係 るもの
(2)特定粉じん発生施設が設置されている事業場において生じたもの
(3)輸入されたもの(事業活動に伴って生じたものに限る。 )
このうち、(1)の石綿建材除去事業に係るものについて、 「廃石綿等」の具 体的な範囲は、次のとおりである。
ア 建築物等に用いられる材料であってアスベストを吹き付けられたもの から石綿建材除去事業により除去された当該石綿
イ 建築物等に用いられる材料であって石綿を含むもののうち石綿建材除 去事業により除去された次に掲げるもの
(ア) 石綿保温材
(イ) けいそう土保温材
(ウ) パーライト保温材
(エ) 人の接触、気流及び振動等によりアからウに掲げるものと同等以 上に石綿が飛散するおそれのある保温材、断熱材及び耐火被覆材
ウ 石綿建材除去事業において用いられ、廃棄されたプラスチックシート、
防じんマスク、作業衣その他の用具又は器具であって、石綿が付着して いるおそれのあるもの
エ 集じん施設を設置する事業場において用いられ、廃棄された防じんマス ク、集じんフィルタその他の用具又は器具であって、石綿が付着してい るおそれのあるもの(輸入されたものを除く。 )
オ 石綿であって、集じん施設によって集められたもの(事業活動に伴って 生じたものであって、輸入されたものに限る。 )
カ 廃棄された防じんマスク、集じんフィルタその他の用具又は器具であっ て、石綿が付着しているおそれのあるもの(事業活動に伴って生じたも のであつて、輸入されたものに限る。 )
石綿含有産業廃棄物の定義
廃棄物処理法において「石綿含有産業廃棄物」とは、工作物の新築、改築又
は除去に伴って生じた産業廃棄物であって、石綿をその重量の 0.1%を超えて
含有するもの(廃石綿等を除く。)をいう。石綿含有産業廃棄物の多くは、石
綿含有の成形板等を建築物等から除去したものである。
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2-6-2 廃棄物が搬出されるまでの措置及び保管
廃棄物処理法においては、事業者に対して、産業廃棄物が運搬されるまでの 間、産業廃棄物保管基準に従い、生活環境の保全上支障のないようにこれを保 管することを義務付けている【廃棄物処理法第 12 条第 2 項】 。
産業廃棄物保管基準【施行規則第 8 条】のうち、石綿含有産業廃棄物を排出 する建築物等の解体・改修の工事現場に関わるものは、次のとおりである。
(1)保管の場所の要件
ア 周囲に囲いが設けられていること。
イ 見やすい箇所に次に掲げる要件を備えた掲示板が設けられているこ と。
(ア)縦及び横それぞれ 60cm 以上であること。
(イ)次に掲げる事項を表示したものであること。
①産業廃棄物の保管の場所である旨
②保管する産業廃棄物の種類
・産業廃棄物については、 「がれき類」・ 「ガラスくず」・ 「廃プラス チック類」などの表示
・産業廃棄物に「石綿含有産業廃棄物」が含まれる場合には、その 旨の表示
③保管場所の管理者の氏名又は名称及び連絡先
④屋外において産業廃棄物及び特別管理産業廃棄物を、容器を用いず に保管する場合にあっては、次の(2)に示す高さのうち最高の値
(2)保管する廃棄物の高さの制限
屋外において産業廃棄物を、容器を用いずに保管する場合にあっては、
積み上げられた産業廃棄物の高さが、保管の場所の各部分について、図
2-5-1 に掲げる場合に応じ、それぞれに示されている高さを超えないように
する。
ここで、直接負荷部分とは、囲いにおいて設けられる、保管する産業廃 棄物の荷重が直接かかる構造である部分をいう。
図 2-5-1 最大保管高さの判定(屋外で容器を用いずに保管する場合)
点線の高さを超えて保管することはできません。
囲いに直接負荷部分がある場合 囲いに直接負荷部分がない場合
ドキュメント内
アスベスト成形板対策マニュアル 平成 29 年 12 月
(ページ 43-78)