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126写真 2-S 測定地点 S の場所と測定風景

ドキュメント内 根本 泰雄 (ページ 58-72)

 右写真に測定地点の遠景,左写真に測定地点の近景を示す.三到図書館前,全国高等学校野 球選手権大会優勝記念樹前の雨水枡が測定地点(写真内にて白○で示した辺り)である.

記念樹 理化学館

写真 2-T 測定地点 T の場所と測定風景

 右写真に測定地点の遠景,左写真に測定地点の近景を示す.更賜体育館側の排水溝が測定地 点(写真内にて白○で示した辺り)である.

更賜体育館

止戈徳館

5.考察

(1)自然放射線量の推定

 福島第一原発事故前の桜美林学園での放射線量の測定値が存在しないため,本研究での 測定値が福島第一原発事故の影響を受けているか否か,測定値で直接結論を出すことはで きない.そこで,福島第一原発事故の影響の有無を判断するためには,福島第一原発事故 の影響が無い場合,桜美林学園ではどの程度の自然放射線量であるかの検討を行う必要が ある.

 まず,桜美林学園から半径 20km 以上における測定値ではあるが,桜美林学園近傍で の福島第一原発事故前の測定値を概観する.

 東京都健康安全研究センター(2012)によれば,福島第一原発の事故以前の測定値は,

東京都新宿区百人町の地上高 18 m 地点にセンサー(検出器)高 180cm で設置されてい

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日から 2011 年 3 月 11 日の測定値だけを見ると,最大値は 0.0461μGy/h であり,最小 値は 0.0304 μGy/h であった.当モニタリングポストでの地上 1m での線量率比は 0.81

± 0.05 であることから(文部科学省,2012),地表高 1 m での放射線量の推定値は,0.032

~ 0.104 μGy/h 程度,2011 年 3 月 1 日から 2011 年 3 月 11 日での地表高 1 m での放 射線量の推定値は 0.035 ~ 0.061 μGy/h 程度となる.Gy から Sv へ変換する場合の放 射線荷重係数を 0.8,すなわち,1Gy/h = 0.8 Sv/h と考えた場合の換算を行うなら,地 表高 1m での放射線量の推定値は,0.026 ~ 0.083 μSv/h 程度,2011 年 3 月 1 日から 2011 年 3 月 11 日での地表高 1m での放射線量の推定値は 0.028 ~ 0.049 μSv/h 程度 となる.

 神奈川県衛生研究所(2011)によれば,神奈川県茅ヶ崎市の地上高にてセンサー(検 出器)の高さ 4.9 m に設置されているモニタリングポストにおいて,2010 年の年平均値 は 37 nGy/h であった.また,2011 年 1 月 1 日から 2011 年 3 月 11 日の測定値は,最 大値が 60 nGy/h,最小値が 35 nGy/h であった(神奈川県衛生研究所,2012).当モニ タリングポストでの地上 1m での線量率比は 1.01±0.04 であることから(文部科学省,

2012),地表高 1 m での放射線量の推定値は同期間において 33.3 ~ 61.9 nGy/h 程度 となる.Gy から Sv へ変換する場合の放射線荷重係数を 0.8,すなわち,1 Gy/h = 0.8 Sv/h と考えた場合の換算を行うなら,地表高 1 m での放射線量の推定値は,0.027 ~ 0.050 μSv/h 程度となる.

 神奈川県安全防災局危機管理対策課(2011b)によれば,川崎市川崎区にある 5 点のモ ニタリングポスト(測定小屋の屋根にセンサー(検出器)が設置されており,地上高約 3 m(川崎市環境局環境対策部環境対策課,2012))での 2011 年 2 月の 1 時間最小値と 1 時間最大値は,それぞれ 20.8 nGy/h,70.1 nGy/h であった.また,神奈川県横須賀市 にある 8 点のモニタリングポスト(測定小屋の屋根にセンサー(検出器)が設置されて いるため,地上高約 3 m(横須賀市,2012))での 2011 年 2 月の 1 時間最小値と 1 時 間最大値は,それぞれ 23.6 nGy/h,54.3 nGy/h であった.また,2009 年度の年平均値 は,川崎市内の 5 点で 0.0225 ~ 0.0415 μSv/h,横須賀市内の 8 点で 0.0243 ~ 0.0333 μSv/h であった(神奈川県安全防災局災害対策課,2011).なお,Gy から Sv へ変換す る場合の放射線荷重係数は 1.0 として計算されている.

 横浜市環境創造局(2012)によれば,横浜市磯子区滝頭の地上高 23 m に設置されて いるモニタリングポストにおいて,2009 年度の年平均値は 22 nGy/h (最大値 44 nGy/h,

最小値 20 nGy/h)であった.また,2011 年 3 月 1 日から 2011 年 3 月 11 日の測定値は,

21 ~ 29 nGy/h であった.

 次に,地質調査等に基づく,桜美林学園が位置する東京都町田市での自然放射線量の推 定値を考える.

 湊(2006)によれば,東京都西部や神奈川県での地表面における大地からの空間線量

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から Sv へ変換する場合の放射線荷重係数を 0.8,すなわち,1 Gy/h = 0.8 Sv/h と考え た場合の換算による).また,今井(2011)によれば,桜美林学園が位置する東京都町田 市界隈での地上高 1 m における大地からの空間線量率は 0.0178 ~ 0.036 μGy/h の範 囲に入っている.すなわち,Gy から Sv へ変換する場合の放射線荷重係数を 0.8 とする ならば,およそ 0.0142 ~ 0.0288 μSv/h となる.

 宇宙線による放射線量を考えると,日本の緯度では年間約 0.33 mSv(≒ 0.038 μSv/h)

(海抜 0 m にて)と見積もられている(国連科学委員会(UNSCEAR),2002).藤元・

O’Brien(2002)によれば,標高も加味しての東京都での宇宙線からの放射線量は 32.1

~ 44.3 nSv/h(= 0.0321 ~ 0.0443 μSv/h)であり,神奈川県での宇宙線からの放射 線量は 34.3 ~ 37.5 nSv/h(= 0.0343 ~ 0.0375 μSv/h)である.藤元・O’Brien(2002)

の図 4 からは,町田市での推定値は 33.8 ~ 36.4 nSv/h(= 0.0338 ~ 0.0364 μSv/h)

の範囲に入っていると読み取れることから,桜美林学園での宇宙線による放射線量は最大 で 36.4 nSv/h(= 0.0364 μSv/h)と考えてみる.ただし,この値は電離成分と中性子 成分との合計値を表している.藤元・O’Brien(2002)によれば,日本の宇宙線線量率の 平均は電離成分が 29.2 nSv/h,中性子成分が 6.1 nSv/h,合計 35.3 nSv/h であること から,乱暴な計算ではあるが,36.4 nSv/h の約 2 割弱は中性子成分であるとみなし,電 離成分のほとんどがγ線から成り,多めに見積もって 36.4 nSv/h の 9 割が γ 線由来で あると仮定し,宇宙線線量率のうち約 32.8 nSv/h(= 0.0328 μSv/h)の γ 線が宇宙線 由来であると考えてみる.

 今,仮に地表面と地上高 1m との線量率比として,本研究での石材による花崗岩類の影 響を受けていない測定地点での測定高 150cm と地表面との測定値における平均線量率比 を用いるとするならば,表 2 の値から,測定高 150cm と地表面との線量率比は分母を測 定高 150cm とした場合,約 1.39 となる.自然放射線量を多めに見積もり,1Gy = 1Sv とすれば,桜美林学園での地表面における大地からの空間線量率は次の様に推定できる.

 湊(2006)による 40 nGy/h を用いる場合:0.040 μSv/h

 今井(2011)による地上高 1m での 0.036 μGy/h を用いる場合:

   0.036 × 1.39 ≒ 0.050 μSv/h

 そこで,桜美林学園での地表面における大地からの自然放射線量の値をここでは 0.050 μSv/h であると仮定する.

 宇宙線による放射線量の値を 0.0364 μSv/h とし,その 9 割が γ 線由来であると考え,

これらの推定値の誤差が合計で± 10%であったとするならば,桜美林学園での福島第一 原発事故前の放射線(γ線)量は多めに見積もった場合およそ 0.0828±0.0083 μSv/h と推定することができる.よって,地表面での測定値がおおむね 0.09 μSv/h を越えて いる場合,自然放射線量以外の放射線量の影響を受けていると考えることにする.

 ところで,2011 年度の宇宙線実測値(サンプリング間隔 1 分間)を眺めると,各測定

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Stations, 2012).2011 年 9 月 5 日から 2011 年 12 月 9 日における宇宙線強度の変動幅 は± 4% 程度であり,2012 年 3 月 14 日の宇宙線強度は平常時より約 5% 弱い.このこと からも,各測定週での測定値は,宇宙線が一時的に強まった影響で高めの値が出たとは考 えられない.

 そこで,以上の推定値に基づき,自然放射線量と測定値との関係を比較することを試み る.表 2 から,測定第 1 週から測定第 13 週において,石材による花崗岩類の影響を受け ていると考えられる測定地点 H,I,J,J’,O 以外にて地表面での測定値が 0.09 μSv/h を越えている測定地点は次の通りとなる.

 測定地点 A,B,E,G,L,N,P,Q,R,S,T(16 点中の 11 点)

 閾値として 0.09 μSv/h と高めの設定をしたが,0.0828 μSv/h を閾値とするならば,

これら 11 地点に加えて測定地点 F,K,M の 3 点が加わり,16 点中の 14 点となる.測 定地点 C の測定第 1 週から測定第 13 週での地表面の平均測定値は 0.072 μSv/h であり,

測定地点Dの測定第1週から測定第13週での地表面の平均測定値は0.081 μSv/h である.

 よって,γ線の地中での透過距離を考えると,花崗岩類などの放射線源となる元素が 含まれる岩種が,貫入などによって地中極浅くの測定地点近傍に近づく現象でも生じない 限り,測定地点 C での測定値の平均値を除けば,直接的に自然放射線量以外の放射線量 の影響を受けていると考えなければ測定値の説明がつかないと解釈できる.こうした貫入 などの現象が測定地点の極近傍で生じた場合,著者等が測定を行っている桜美林大学に設 置されている地震計にて何らかの波形記録が得られるはずであるが,その様な記録は得ら れていない.

 ここで,Gy から Sv へ変換する場合の放射線荷重係数を 1.0 から 0.8 として同様に推 定するならば,桜美林学園での福島第一原発事故前の放射線(γ 線)量は多めに見積もっ た場合およそ 0.0764 ± 0.0076 μSv/h となり,測定地点 C も自然放射線量以外の放射線 量の影響を受けていると考えられることとなる.

 いずれにせよ,ここまでに記したデータに基づく仮定にて推定した桜美林学園での自然 放射線量の値は,近隣のモニタリングポストで測定された値と比較しても小さめの値を推 定しているとは考えられず,特に,測定地点 G での測定値は,多めに見積もった場合の 自然放射線量の倍以上の測定値であることから(表 2-7),自然放射線量だけで測定値を 説明することは困難である.

 それでは,測定地点 G や,測定地点 G での値よりは小さいものの,やはり高めの値となっ ている測定地点 S での測定値は,どのように考えれば解釈することができるのであろうか.

次に,各測定地点での測定値を簡単に考察する.

(2)各測定地点での測定値

 “4.結果” にて記した通り,全体としては概ね測定高が高くなるほど放射線量の値は低

ドキュメント内 根本 泰雄 (ページ 58-72)

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